YLについて (3)

[掲示板: 〈過去ログ〉YL・語数・書評システム情報 -- 最新メッセージID: 1253 // 時刻: 2024/11/22(21:04)]

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464. YLについて (3)

お名前: 古川@SSS http://www.seg.co.jp/
投稿日: 2004/10/10(17:53)

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(一般書のYLの定義)
 GRで同程度のYLのものをだいぶ読み慣れている人なら、
 約50%位の人がその一般書を理解度60%位で
 読めるだろうと推定される本のYLを、そのGRと同程度とする

というのが今の私の基本的立場であることは先ほど書きました。

ここで、理解度ですが、

90% 日本語で読むのと同じくらいすっきりわかる
80% かなりクリアに細かいところもわかりながら読めている感じがする
70% ちょっとあいまいなところもあるが、かなりクリアに読めている
60% だいぶあいまいだが、まあまあ読めている
50% 相当霧の中だが、あらすじはわかる
40% 霧がだいぶ濃いが、なんとか前へ進める
30% 霧が濃すぎて、前へ進めない (しかし、ストーリを
    ある程度最初から知っているのでなんとか前へ進める)
20% 部分的にはわかるが、一頁読んでみてもなんだか全く
    わからない。
10% 数ページよんでも、全くなにが書いてあるのか分からない

という感じでしょうか。しかし、この%の数値には何の意味も
ありません。

さて、いまは、周りの生徒や大人達をみて、(実際には数人のことも
多いわけですが) 50%位の人が読めるのではないか ということ
を勝手に推定してYLを決めています。

しかし、多くの人が 自分の実感で、YLを上記の基準で投票してい
くと

たとえば

YL 1.8 **
YL 2.0 ******
YL 2.2 **************
YL 2.4 ************
YL 2.6 *****
YL 2.8 **
YL 3.0 *
のような本は YL 2.0-2.6( 平均 2.3)

YL 1.4 **
YL 1.6 ******
YL 1.8 *********
YL 2.0 ************
YL 2.2 **************
YL 2.4 ************
YL 2.6 **********
YL 2.8 ********
YL 3.0 **
のような本は YL 1.6-2.8( 平均 2.2)

などと表せることになると期待しています。
将来的にそういうことを期待して、新しい
書評システムでは、YLの投票制度を導入
しました。

本の読みやすさは多くのことが関連しており、
個人の興味・好みにも大きく左右されるので
どちらの本の方が読みやすいか ということ
自体、数値で表すことは無理があります。

しかし、多くの人が
Howl's Moving Castle
より
Castele in the Air
の方がやさしいと感じるのも、多分統計をとってみれば
正しいと分かるでしょう。

YLについては、高いものが読めたときは、
こんな高いものが読めたから私もなかなかだな

と思って下さい。 低いものが読めなかった
場合には、
私はたまたま、残りの50%だったんだな
と思って下さい。でも、大体半分の人が読めない
こともあるんだから、今の自分にはちょっとあって
いなかったんだ と考えて下さい。

そんな風な感じで利用していただくありがたいです。

なお、実際、YL2の本ばかり読んでいた人でも
沢山よむことによって、一気に YL 7 に設定されて
いる Harry Potter が読めたというような例は
枚挙ありません。 一方、YL6の Penguin 6
までいったのに、 Magic Tree House が読めなく
てショックだったという人もたくさんいます。

でも、児童書・一般書の場合、半分くらいの人が
読める基準(当然、それより上の人でも読めない
ことはあるし、それよい下の人でも読めることが
ある)と考えていただければ、良いのではないでしょうか?


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465. Re: YLについて (3)

お名前: 成雄
投稿日: 2004/10/10(23:59)

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みなさん、こんにちは。成雄です。

〉ちょっと、仕事が忙しく、つづきを書くのが遅れてしまいまいした。

古川さん、お忙しいのに、YLについてのSSSの見解を述べていただきありがとうございます。
YLについての話、とても参考になりました。

「やさしい本をたくさん読もう〜」と言われても、実際、どんな本(児童書・絵本)がやさしい本なのか、
例えば、アマゾンでの読者レビューで、「とってもやさしい」と言われている本が
YL5ぐらいの本であったことを思うと、YLという考えが提示された時、
本当に画期的だったと思いました。
大人が自分自身のペースで学習していける道筋を示している、というYLのもつ破壊力をいまも感じています。

いまや、YL表があるのを前提にして会話していますが、
今回お名前が上がっている、酒井先生、古川さん、まりあさん、マリコさん、しおさん、は
YL一覧表をまとめあげるうえで、そうとう悩みに悩まれたことと思います。
今回、自分なりにYLについて考えてみて、その苦労の、ほんの少しはわかったつもりです。

また、
YLについて(3)で示された理解度の日本語表現、
自分の 理解度を判断するうえで、とてもわかりやすい表現だと思いました。

〉本の読みやすさは多くのことが関連しており、
〉個人の興味・好みにも大きく左右されるので
〉どちらの本の方が読みやすいか ということ
〉自体、数値で表すことは無理があります。

まったく同感です。
この数値にどの程度こだわる必要があるのか、
その人その人によって「その本への思い入れ」もあったりしますし。

〉YLについては、高いものが読めたときは、
〉こんな高いものが読めたから私もなかなかだな

〉と思って下さい。 低いものが読めなかった
〉場合には、
〉私はたまたま、残りの50%だったんだな
〉と思って下さい。でも、大体半分の人が読めない
〉こともあるんだから、今の自分にはちょっとあって
〉いなかったんだ と考えて下さい。

〉そんな風な感じで利用していただくありがたいです。

はい、わかりました。
と、数値化することの難しさにすんなり納得する部分と、
一方で、例えば、

〉YL 2.2-2.6
〉 (PGR2を読める人は、50%位の確率で 60%以上の理解度で下記の本が読める
〉 だろう)
〉Magic Finger, Esio Trot, Enourmous Crocodile

このダールの児童書については「今日から」本(2003.4)で上記のようなYLだったけれども、
この広場への投稿が熟成されて、その結果、現在のYL一覧表では改定に
いたっています。
本来、数値化できないけれど、相対化を深めている努力はすごいものがあると思っています。
それが、より簡単に各自のYL感覚が書評システムに反映できるようになったのだから、
どんどん活用されるようになったらいいですね。


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466. Re: YLについて (3)

お名前: 古川@SSS
投稿日: 2004/10/11(10:40)

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"成雄"さん ご指摘とご意見ありがとうございました。

下記の件ですが、当初、そのように決めたのは、もっぱら、
高校生・大学生に多読指導をしている観点からでした。
あと、初期の社会人には、ある程度学校英語を相当
やっていた人が多かったという事情もありました。
実際、今でも、高校生・大学生では、PGR2になれてくる時点で
DAHLを読める人が多いと聞いています。
しかし、一般の社会人の場合、PGR2<DAHL ということも
はっきりしたことと、低いYLのものを読めないとショックが
大きいという意見があり、昨年のタドキスト大会の後に、
YLがあがったのでした。

〉〉YL 2.2-2.6
〉〉 (PGR2を読める人は、50%位の確率で 60%以上の理解度で下記の本が読める
〉〉 だろう)
〉〉Magic Finger, Esio Trot, Enourmous Crocodile

〉このダールの児童書については「今日から」本(2003.4)で上記のようなYLだったけれども、
〉この広場への投稿が熟成されて、その結果、現在のYL一覧表では改定に
〉いたっています。
〉本来、数値化できないけれど、相対化を深めている努力はすごいものがあると思っています。
〉それが、より簡単に各自のYL感覚が書評システムに反映できるようになったのだから、
〉どんどん活用されるようになったらいいですね。


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467. YLが0.1刻みであることについて

お名前: しお
投稿日: 2004/10/12(05:53)

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みなさん、こんにちは。しおです。

古川さんの書いてくださった、
書評システムの将来的なかたちについてですが、

〉多くの人が 自分の実感で、YLを上記の基準で投票してい
〉くと

〉たとえば

〉YL 1.4 **
〉YL 1.6 ******
〉YL 1.8 *********
〉YL 2.0 ************
〉YL 2.2 **************
〉YL 2.4 ************
〉YL 2.6 **********
〉YL 2.8 ********
〉YL 3.0 **
〉のような本は YL 1.6-2.8( 平均 2.2)

〉などと表せることになると期待しています。
〉将来的にそういうことを期待して、新しい
〉書評システムでは、YLの投票制度を導入
〉しました。

このようになると理想的だと思います。
しかし、それ以前に、
「自分の実感を、0.1刻みのYLで数値化すること自体が
難しいな〜」と思っている方がたくさんいると思います。

私も、実際に次のような声を多く聞きました。

「いま書評システムに新規入力するとき、YL2.2とか2.8とか、細かい
数値をどう自分で判断したらいいのか分からない。新規入力するのが
おっくう」
「前はレベル1〜9の9段階だったからレベルを決めるのは気楽
だったけど、いまのYL0.0−9.0じゃ、どうしていいか分からない」
「レビューでYLの数値をいれるのがいやだ」

これらは、もっともな意見だと思います。

そこで、YLが0.1刻みになったことについて、私の理解を書いてみます。

旧書評システムでは、読みやすさの基準が、
レベル1〜9の9段階、1刻みだったのが、
新書評システムでは、0.1刻みのYLに完全移行しました。

  旧   新  
レベル0=YL0.0-0.9
レベル1=YL1.0-1.9
レベル2=YL2.0-2.9
    ・
    ・
    ・

読みやすさの基準が0.1刻みになる、という話がでたとき、
これはメリットだなと私が思ったのは、次の2点でした。

1)レベル0〜1の中を細かくレベル分けできるので、多読を始めた人が
  本を選ぶときの大きな助けになる。

2)難易度の幅をもっと表現できる、レベルをまたがった表現ができる。

まず、1)ですが、レベル0といっても、ORT Stage1の文字のない絵本から、
PGR0、OBW0まであるわけで、これらがレベル0というひとつのカテゴリ
にごちゃっと一緒にはいっていたのです。
それよりは、0.1刻みのYLの方が、多読初心者の方が本を選んでいく上で
役にたつ情報になります。特に、レベル0〜1については、YLが細かい刻み
になることは、とても意義があると思いました。

2)については、
前のレベル1〜9では、
「レベル3でも簡単なほうかな。もしかしたらレベル2の後半くらいの人も
読めるかも」というのを表現する方法がなくて、掲示板でよくそういう
情報交換がされていました。
でも、新システムのYLだと、そういうのをYL2.5〜3.5などと表現できます。
「ちょっと難しい」「まあまあ」というのを、数字の幅を使うことで、
表現できるようになるのはいいかなと思いました。

ところが、YLが導入されて、実際に、YLをつける段になると、
急に細かい数字が重たく、難しく感じられます。

「やっぱり2.2よりは2.4が難しいってことだよね」
「2.6と2.8の違いって?」
「だいたいで数字つけちゃまずいかな? こわいな〜」

あらためて細かい数値がついているのをみると、
厳密な絶対値というような印象があります。

でも、YL導入以前もいまも それぞれがそれぞれの主観で、
なんとか「だいたいこのくらいかな〜」と数値で表現していることに
変わりありません。

また、個人個人で数字の感覚がちがうので、
例えば「レベル2の上のほう」というイメージを、
AさんはYL2.5〜2.9、BさんはYL2.8-3.0と表現する、というように
バラつきがでます。
それは、そうなって当然だし、それでいいと思います。

これは、古川さんの書かれた以下のことに関連すると思います。

〉本の読みやすさは多くのことが関連しており、
〉個人の興味・好みにも大きく左右されるので
〉どちらの本の方が読みやすいか ということ
〉自体、数値で表すことは無理があります。

〉しかし、多くの人が
〉Howl's Moving Castle
〉より
〉Castele in the Air
〉の方がやさしいと感じるのも、多分統計をとってみれば
〉正しいと分かるでしょう。

〉YLについては、高いものが読めたときは、
〉こんな高いものが読めたから私もなかなかだな

〉と思って下さい。 低いものが読めなかった
〉場合には、
〉私はたまたま、残りの50%だったんだな
〉と思って下さい。でも、大体半分の人が読めない
〉こともあるんだから、今の自分にはちょっとあって
〉いなかったんだ と考えて下さい。

〉そんな風な感じで利用していただくありがたいです。

ですから、書評システムに新規登録するときも、心配しすぎず、
「まあ、自分としては、だいたいYL○○〜○○って感じかな」と
もっと気持ちを楽にしてYLを登録していいと思います。
(もちろん、多読用洋書リストのページ、読書手帳等のYL表もぜひ
参考にしてくださいね !)

「これはおかしい」と思うYLがあったり、自分でつけてみたけど
自信がないYLがあったら、ぜひ「YL・語数カウントの広場」に投稿して
みんなに相談してみてください。
そういう質問・意見があつまることで、YL表がもっともっと改善されて
いきます。

それから、個人的には、
YLが0.1刻みで意味があるのは、やはり多読初期のレベル0〜1の段階で
あって、レベル2か3以上になったら、2.5、3.0.3.5と0.5刻みくらいで
いいんじゃないかと思います。
(これは古川さんもそのようなことをおっしゃっていました。)

レベルがあがるほど、自分の好みが優先されるので、
レベルを細かくして選択の手がかりを増やす意義が薄れると思います。

やっぱり、細かい刻みが存在すると、利点もあるけど
悩みも増すな〜というのは実感です。

それでは。


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