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5636. Re: 多読開始2周年報告(長文・乱文注意。「読み飛ばし」推奨!)
お名前: 杏樹
投稿日: 2005/5/14(15:47)
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慈幻さん、こんにちは。
先に横入りだけしましたが、ここらでお返事を。
物語論のところだけなんですけれども…。
〉非常に簡略化すれば、以下のように図示できるかもしれません。
〉 物語
〉 シーン − シーン
〉 機能 − 機能 − 機能
〉 文 文 文 文 文 文 文 文
〉
〉語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語
この図は面白いですね。
今までの語学学習では一番下位の「語」を重視し、文法によって文章を組み立てたり解釈して…と、下から上へ上がっていくのが常識でした。土台を固めないと上にはいけないぞ、という考えです。しかし特に語彙レベルのみで英語レベルを測ったり、単語の暗記を重視するのは多読をしてみると違和感を感じるようになります。
で、多読的に外国語がわかるようになるのにはこの図の「上から下へ」という働きがポイントなんですね。
このあいだの自分のフランス語報告に結びつくような気がするんです。
下位層の「語」の理解も「文」の理解も極めて乏しいまま、それでも「物語」を感じることができると、そのまま「読む」ことができたりします。英語でも難しいと思っていた本が「呼ばれて」「読みたい」と思って読んだとき、飛ばしまくっても語彙が足りなくても、読んでしまったという報告はよくあります。そんな時は細かい「語」レベルはどうでも、「物語」をつかんでいるわけです。そして「物語」をつかむことできればそれより下位の理解をカバーできるわけです。
そして多読が進んでレベルが上がっていくと、下位層の理解も増えて、より細かい内容がわかるようになる。
まず上部の「物語」重視で読み進めていくことが「わからないところは飛ばす」ということにもなるわけです。下位の「語」や「文」のひとつや二つや三つや四つ飛ばしても本は読める、ということを裏付けられます。
〉そして、ある「物語」において、一つの「語」の「意味」が他の「機能」
〉や「シーン」などとの関係性、即ち、「文脈」との関係でしか決定でき
〉ないということは、より上位レベルの構成単位にも当てはまります。
〉「文」も「機能」も「シーン」も、その「物語」における「文脈」によっ
〉て、その「意味」は決定されます。従って、その「語」の「意味」が「文
〉脈」から把握することが可能であるように、「文」も「機能」も「シーン」
〉も「文脈」からの把握が可能であることになります。
〉そして、正にこの『「文脈」による「意味」の把握』が可能であるからこ
〉そ、「分からないところは飛ばす」を「語」よりも上位のレベル、「文」・
〉・「機能」・「シーン」のレベルで行ったとしても、その「物語」の把
〉握は十分に可能です。
まさしくその物語における「語」の意味は、その「物語」の中で解釈してこそ、なのですね。辞書による意味よりも、「物語」の中での役割を理解することが単語理解に重要なわけです。
〉実際、通常の「物語」であっても、1ページ辺り数語や数文の未知の部分
〉があったとしても、読むのに支障はありません。そして、「物語」の規模
〉が大きくなるほど、一つの「語」や「文」の「文脈」における重要性は低
〉下します。極論を言えば、1段落、さらには1ページ丸ごと「読み飛ばし」
〉たとしても、その「物語」を楽しむことができます。
そうですね。私がフランス語の絵本を読んでもわからないのにいきなり児童書に手を出そうとしたのも、語数の少ない絵本のほうが「語」の重要性が大きいからわからないのではないかという気がしたんです。おおまかな「物語」を把握できたらかえってその方が読めるのではないかという気がしたんです。
〉つまり、「分からないところは飛ばす」=「読み飛ばし」が可能なのは、
〉「物語」というものが、その構造として各構成要素が密接に関連している
〉ため、一部を理解できなくても全体を把握することが可能であると性質を
〉有しているからだと言えるでしょう。
従来型学習法の考えでは多読法の利点を理解してもらうのは難しいことがあり、特に「辞書を引かないでどうして単語の意味がわかるのか」という疑問は根強いです。そんな時、この図を利用して、「下から上への積み上げ学習」と「上から下へのトップダウン学習」の違いを説明するとわかりやすいのではないかと思います。
ここまで多読を理論化できるなんてすばらしいです。
読んでても面白い報告でした。
それでは…。
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お名前: 慈幻 http://mayavin.txt-nifty.com/labotadoku/
投稿日: 2005/5/16(22:36)
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どうも慈幻です。
〉慈幻さん、こんにちは。
〉先に横入りだけしましたが、ここらでお返事を。
〉物語論のところだけなんですけれども…。
〉〉非常に簡略化すれば、以下のように図示できるかもしれません。
〉〉 物語
〉〉 シーン − シーン
〉〉 機能 − 機能 − 機能
〉〉 文 文 文 文 文 文 文 文
〉〉
〉〉語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語
〉この図は面白いですね。
〉今までの語学学習では一番下位の「語」を重視し、文法によって
〉文章を組み立てたり解釈して…と、下から上へ上がっていくのが
〉常識でした。土台を固めないと上にはいけないぞ、という考えで
〉す。しかし特に語彙レベルのみで英語レベルを測ったり、単語の
〉暗記を重視するのは多読をしてみると違和感を感じるようになり
〉ます。
〉で、多読的に外国語がわかるようになるのにはこの図の「上から
〉下へ」という働きがポイントなんですね。
〉このあいだの自分のフランス語報告に結びつくような気がするん
〉です。
〉下位層の「語」の理解も「文」の理解も極めて乏しいまま、それ
〉でも「物語」を感じることができると、そのまま「読む」ことが
〉できたりします。英語でも難しいと思っていた本が「呼ばれて」
〉「読みたい」と思って読んだとき、飛ばしまくっても語彙が足り
〉なくても、読んでしまったという報告はよくあります。そんな時
〉は細かい「語」レベルはどうでも、「物語」をつかんでいるわけ
〉です。そして「物語」をつかむことできればそれより下位の理解
〉をカバーできるわけです。
〉そして多読が進んでレベルが上がっていくと、下位層の理解も増
〉えて、より細かい内容がわかるようになる。
〉まず上部の「物語」重視で読み進めていくことが「わからないと
〉ころは飛ばす」ということにもなるわけです。下位の「語」や
〉「文」のひとつや二つや三つや四つ飛ばしても本は読める、とい
〉うことを裏付けられます。
独語版漫画多読が何故続けられたのか、そして、続けることで何故
独語が読めるようになるのか。その原理と効用を私なりに理屈付け
ようと四苦八苦した結果が、「語用論」や「物語論」の理論を利用
した上記の理論化です。
ただ、言語学も文学理論もきちんと勉強した訳ではないので、あく
までも「私が理解した『語用論』・『物語論』の理論」ですので、
私の勘違いや読み違えはあるかもしれません(苦笑)
〉まさしくその物語における「語」の意味は、その「物語」の中で解釈
〉してこそ、なのですね。辞書による意味よりも、「物語」の中での役
〉割を理解することが単語理解に重要なわけです。
その通りです。その為に、議論の前段として、「語用論」を出して、
「文脈」の重要性を指摘した訳です。
〉そうですね。私がフランス語の絵本を読んでもわからないのにいきな
〉り児童書に手を出そうとしたのも、語数の少ない絵本のほうが「語」
〉の重要性が大きいからわからないのではないかという気がしたんです。
〉おおまかな「物語」を把握できたらかえってその方が読めるのではな
〉いかという気がしたんです。
独語でも、MTHの独語版の方が、絵本よりも易しく感じます。これは、
「物語」を把握できているので、「語」や「文」が理解しやすいという
実例かもしれません。
〉従来型学習法の考えでは多読法の利点を理解してもらうのは難しい
〉ことがあり、特に「辞書を引かないでどうして単語の意味がわかる
〉のか」という疑問は根強いです。そんな時、この図を利用して、
〉「下から上への積み上げ学習」と「上から下へのトップダウン学習」
〉の違いを説明するとわかりやすいのではないかと思います。
成る程。「トップダウン」と「ボトムアップ」の違いですね。
〉ここまで多読を理論化できるなんてすばらしいです。
〉読んでても面白い報告でした。
少しでも参考になれば幸いです。
以上、用件のみですが、今回はこれで失礼します。