[掲示板: 100万語超 報告・交流 -- 最新メッセージID: 13567 // 時刻: 2024/11/23(21:51)]
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5593. 多読開始2周年報告(長文・乱文注意。「読み飛ばし」推奨!)
お名前: 慈幻 http://mayavin.txt-nifty.com/labotadoku/
投稿日: 2005/5/8(14:03)
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どうもご無沙汰しております。慈幻です。
本日、5月8日で、多読開始2周年となりましたので、
報告します。なお、非常に長い上、英語多読とは直接
関係のない話も多いので、適当に「読み飛ばし」て下
さるよう御願いします(笑)
多読1周年で300万語を通過して以来、語数を数える
のをやめたので正確な語数は不明ですが、英語に関して
は約400万語前後と思われます。
最初の1年で300万語読んだのに比べると、明らかに
ペースが落ちてます。これは、停滞していたのではなく、
他の言語、具体的には独語に浮気していたのが原因です。
昨年の3月から独語に翻訳された日本語漫画の多読を始
め、現時点で独語版漫画200冊以上、独語児童書20
冊余りを読み、独語でも100万語を達成しました。
という訳で、この1年で、英語100万語、独語100
万語、計200万語を読了したという計算になります。
1周年目に比べて約100万語少ないですが、これは、
現時点の独語の読速が英語の読速の約半分しかないため
で、多読に費やした時間は1年目とそんなに変わってい
ないと思います。
多読2周年を経た感想ですが、英語に関しては、このま
まやって行けば大丈夫だという確信がしっかりと出来上
がり、日本語の読書に大分近づきつつあります。
そして、収穫としては、英語だけでなく、外国語一般に
対する恐怖感が薄れたこと、「多読」という方法論やそ
れを可能にしている原理についても興味が湧いてきたこ
とが挙げられます。
■英語多読編
この1年ですが、今振り返ってみると、英語に関しては、
「アカデミックへの挑戦」と「時事英語への挑戦」とい
う2つのテーマにまとめられると思います。
ただ、そのために、「易しい児童書をを開拓する」という
のはすっかりおざなりになってしまい、全く新規開拓は
出来ませんでした。
○「アカデミックへの挑戦」
まず、「アカデミックへの挑戦」ですが、これは、「英
語で人文・社会系専門書の原書を読む」という目標へ向
かう足慣らしとして、人文・社会系学問の入門書を読む
というものでした。
300万語達成した時点で、大学新入生・一般社会人向
けシリーズであるA Very Short Introductionsが何とか
読めたので、引き続き、興味のある分野を読むことにし
ました。
1冊読むのに、早くて1週間、長い場合には1ヶ月近く
かかることもありましたが、再読も含め、
3 Buddhsim (仏教)
4 Literary Theory (文学理論)
6 Psychology (心理学)
12 Sociology (社会学)
15 Antholopology (人類学)
40 Jung (ユング)
55 Philosophy (哲学)
81 Emotion (感情)
93 Linguistics (言語学)
の計9冊を読了しました。
さらに、
Teach Yourselfシリーズの"Philosophy"
Wadsworth Philosophersシリーズの"On SOCRATES"
などを読みましたが、独語多読が軌道に乗り出し始めた
9月頃から英語の本はほとんど読まなくなったため、一
時中断します。
そして、独語多読で80万語を越えた辺りから、少しず
つ、本による英語多読も再開しましたが、いきなり何万
語にもなる本を読む元気はありませんでした。
そこで、何か短くて良いのはないかと探して見つけたの
が、Postmodern Encountersシリーズです。1冊1万語
前後と語数が少なく、本自体も薄いのが特徴です。
ちなみに、このシリーズも「ポストモダン・ブックス」
とかいうシリーズ名で日本語に翻訳されているようです
が、日本語の本は1冊も読んでないので詳細は不明。
現時点で読んだのは、
"Barthes and the Empire of Signs"
"Chomsky and Globalisation"
"Dawkins and the Selfish Gene"
"Derrida and the End of History"
"Edward Said and the Writing of History"
"Einstein and the Birth of Big Science"
"Freud and False Memory Syndrome"
"Nietzsche and Postmodernism"
"Thomas Sebeok and the Signs of Life"
"Umberto Eco and Football"
の計10冊です。
なお、このシリーズは1冊辺りの量が少なく、英語その
ものもせいぜい6〜7レベル程度ですが、内容そのもの
はかなり高度です。ですから、タイトルになっている哲
学者・思想家やテーマの入門書くらいは読んだことがな
いと理解するのは難しいです。
実際、FreudとかNietzscheとかの有名どころは、予備知
識を総動員して6〜7割は何とか分かりましたが、余り
馴染みのないEdward SaidやThomas Sebeokだと、下手す
ると理解度は3割行くか行かないかというところです。
○「時事英語への挑戦」
次に、「時事英語への挑戦」ですが、これは偶然の産物
というか苦肉の策が偶々上手くいったというものです。
昨年の9月頃、独語多読が軌道に乗り出した頃から、多
読の比重が独語に傾きだすと、英語の本を読むのが億劫
になり始めました。
しかし、全く英語を読まないで独語に集中すると、せっ
かく培った英語の多読力が落ちるような気がしたのも事
実でした。
そこで、毎日、少しでも良いから英語を読む時間をつく
れないかと考えていた時、「1日1分英字新聞」云々と
いう本の宣伝をする電車のつり革広告が目に留まりまし
た。
単純な私は、そのタイトルを見て、「英字新聞の記事な
ら、1つあたりは短いから、何とか読めるのでは?」と
考え、その本を立ち読みすらせずに、「英字新聞多読」
を始めることにしました。
とは言え、現実はそんなに甘くありませんでした。試し
にUSA TODAYやNY TimesなどのWEBを覗いてみましたが、
さっぱり読めませんでした。
そこで、日本の新聞の英語版なら何とか読めるのでは
ないかと考え、掲示板で話題に挙がっていたDaily
YomiuriのWEB版に挑みましたが、これも玉砕しました。
英字新聞を読むのはまだ早いのかと諦めかけていた時、
何故か「しまうま読み」のことを思い出しました。
「邪道かもしれないけれど、日本語で読んだ記事の英
語版なら読めるのではないか?」
早速、毎日新聞の記事のチェックを担当していた私は、
毎日新聞のWEBの英語版を開きました。すると、分から
ない単語は山のようにありますが、固有名詞や分かる
単語をつなげると、その記事が日本語で読んだどの記
事に対応しているのかは何となく分かりました。
これなら、独語版漫画を始めた頃の、「1ページ辺り
数語」という語彙認識率に比べれば、理解度は明らか
に上だと考えた私は、この「新聞しまうま読み」を続
けてみる気になりました。
それから数ヶ月、毎日「新聞しまうま読み」を続けた
結果、独語版漫画多読と同じように、徐々に語彙認識
率は上昇を始めました。
勿論、これは単純な英語力の向上だけではなく、以前
よりも時事問題に注意するようになり、日本語でも新
聞やTVのニュースから積極的に情報を仕入れるように
したことによる予備知識からのフィードバックも大き
かったと思います。
気をよくした私は、再び、USA TODAYやNY Timesなどの
WEBを覗いてみました。すると、数ヶ月前に比べると、
明らかに語彙認識率は向上していました。それでも、
正直、毎日読み続けるのは厳しいと感じました。
何か上手い方法はないか。そう考えた時、何故か、
「LR」のことが思い浮かびました。
「音に合わせて読むなら、音に押されて強制的に読み
進まざるを得ないから、習慣化できるのではないか?」
その直観を基に、「Website情報の広場」の投稿を色々
と検討した結果、毎日、「Voice of America」の記事
を最低1つ、できれば3つ程度「LR」=オーバーラッ
ピングすることにしました。
最初は、音と文字が一致せず、何処を読んでいるのか
分からないことも多々ありました。それでも、「新聞
しまうま読み」も継続しつつ、毎日、「Voice of
America」の「LR」を続けました。
やがて、音と文字が一致し始め出すと、後は簡単です。
内容を理解できようが理解できなかろうが、音に合わ
せて目を動かす。これを続けていると、音の速度に合
わせて文章を読んでも徐々に理解できるようになりま
した。
現在も、この「Voice of America」の「LR」は日課と
して続けていますが、日本の新聞でも話題に上るよう
な予備知識のある記事であれば、6〜7割は理解でき
るようになりました。
そして、その理解度は、他の英字新聞のWEB版でも同
様で、USA TODAYやNY Timesの記事でも、日本の新聞
の国際面で概要を知っている記事なら何とか読めます。
また、TimesやNews Weekなどの英字週刊誌を週末に
図書館で覗いてますが、同じく予備知識のある記事
なら、6〜7割の理解度で読めるようになりました。
(なお、「LR」をこれだけやりながら、ヒアリング
もリスニングも全く試してみてないので、どの程度、
音に関して上達したかは不明です。
「Voice of America」の「LR」の理解度が8割を超
えたら、スクリプトなしでどの程度理解できるかの
練習を始めるつもりです。)
■独語多読編
「『多読』という方法論は、別に英語に限ったこと
ではない」ということは、英語で100万語を達成
したころから漠然と考えていました。ですから、当
初の予定では、英語で500万語を達成した辺りで、
独語多読に挑戦するつもりでした。
その予定が繰り上がったのは、大阪でのOFF会で、
優香さんに漫画多読の楽しさを聞き、勧誘をされた
からです。
調子に乗りやすい私は、その晩に、早速、辞書を片
手にドイツ・アマゾンに「ザールブルクの錬金術師」
と「スプリガン」の独語版を発注しました。
○独語版漫画多読
昨年の3月21日に、独語版の「ザールブルクの錬金
術師」全5巻が到着し、なし崩し的に独語版漫画多読
が始まりました。
大学時代に第二外国語で独語を履修していたとは言え、
既に文法も単語も記憶の彼方。「1ページ辺り数語」
という語彙認識率がせいぜいというのが正直な所。
しかし、天才・手塚治虫が築き上げた日本の漫画技法
は偉大でした。
台詞のほとんどを理解できなくても、「漫画の文法」
=「映像表現のルール」を把握していれば、絵を見て
いるだけで、状況や登場人物の大まかな心情は理解で
きてしまいます。
そして、作品に対する「愛」は奇跡をもたらします。
日本語で何回も読み返した作品は、絵を見ただけで、
台詞の大まかな内容や状況を蘇らせてくれるため、
絵と記憶が、未知語の意味を類推させてくれます。
とは言え、最初からそんなに上手くいった訳ではあり
ません。
昨年の3月から独語版漫画多読を始めたものの、認識
語彙率・読速ともに中々向上せず、5月辺りで、一旦、
停滞に突入してしまいます。
独語版漫画を手に取るものの、読みきれずに本棚に戻
すという時期が続きました。
この停滞から脱出できた契機は2つありました。
1つは、洋販が版権を持つ「絵で見る○○語」シリーズ
の独語版1巻を入手し、基本単語をざっとおさらいした
こと。
もう1つは、先達にして、漫画布教委員会委員長の優香
さんのアドバイスに従い、日常描写の豊富な作品、「カ
ードキャプター桜」や「ラブひな」などのシリーズを読
み始めたこと。
そして、8月辺りから、独語の語彙認識率がじわじわと
向上し始めました。絵と記憶に頼って読むのではなく、
独語で何となく意味が理解できるようになっているとい
う実感が湧いてきます。
さらに、語彙認識率の低い状況で多読を続けたことで、
「読み飛ばし」技能が磨かれることとなり、語彙認識率
の低さが段々と気にならなくなって来ます。
そうなると、独語版漫画多読が楽しくなり、英語の本を
ほとんど読まなくなりました。
そして、ほぼ1年後の本年3月21日、独語版漫画多読
で100万語を達成しました。
そして、本年4月27日、独語版漫画多読で200冊、
推定語数110万語を越え、独語版漫画多読の1区切
りを迎えました。
○独語児童書多読
独語版漫画で100万語を達成したので、独語の児童
書にも挑戦を始めています。
とは言え、いきなり独語原書児童書に挑むのは厳しい
ので、英語から翻訳された独語児童書から読むことに
しています。
独語児童書の記念すべき最初の1冊は、"Frog and
Toad"シリーズを1冊にまとめた"Das große Buch von
Frosch und Kröte"でした。
次に、Nate the Grateの独語版であるNick Naseを10
冊程読み、現在は、Magic Tree Houseの独語版である
Magiche Baumhausシリーズを読んでいます。
今後は、英語も含め、独語の易しい児童書シリーズの
新規開拓を目指したいと思っています。
■仏語多読編
独語版漫画多読が一区切りしたので、「漫画多読」の
方法論を洗練させるべく、本年4月29日に仏語版漫
画多読を開始しました。
とは言え、予算の都合や入手の困難さもあるため、仏
語版「NARUTO」の1巻と「名探偵コナン」の1巻を読
了し、ようやく1万語を通過した程度です。
取り合えず、フランス・アマゾンに発注中の本が届く
までは、適当に再読しつつ、簡単な仏語入門書を「多
読」的に斜め読みするつもりです。
仏語版漫画多読については、独語版漫画多読で培った
方法論の再検討もかねていますので、「漫画多読」に
拘らず、入門書の斜め読みやNHKのフランス語会話の
鑑賞、児童書の多読や仏語ラジオニュースの多聴なん
かも織り交ぜてみたいと思います。
■西語多読
西語に関しては、高校で1年程アルゼンチンに留学し
て以来、全く何もしていませんでした。何とか片言は
話せるようになった西語も衰えていく一方だったので
すが、それを維持する方法もわかりませんでした。
英語の多読を始めるようになって、何度か間違えて西
語の児童書を買ってしまいましたが、全く歯が立たず、
その度に本棚を飾るだけになっていました。
ところが、先日、何の気なしに手に取ったArnold Lobel
の西語版児童書が、さらっと読めてしまいました。試
しに、他のものも読んでみたところ、西語に関しては
全く何もしておらず、英語と独語の多読をしただけな
のに、何となく読めるようになっていました。
と、言う訳で、こちらもなし崩し的に本年4月30日
に児童書による西語多読を開始し、ようやく1万語通
過したところです。
こちらは、仏語版漫画多読のついでのつもりですが、
同じロマンス系の言語なので、英語や独語よりもフィ
ードバックは期待できそうです。
■今後の展望
英語・独語の多読を継続しながら、その合間を縫って
仏語版の漫画や西語の児童書を適当に織り交ぜながら
読んでいこうかと思っています。
取り合えず、外国語に対する恐怖感は大分薄れてしま
いましたし、英語と独語の読書に関しては、生活の一
部になりつつあるので、これをこのまま継続できれば
良いと思っています。
○「多言語しまうま読み」
普通、SSSの用語で「しまうま読み」と言うと、ある
作品を1巻ごと、もしくは1章ごとに日本語と英語
で交互に読んでいく方法とされています。
ただ、新聞記事などですと、全く同じ翻訳はありませ
んし、英語以外の言語でそういう読み方をするのは導
入時期にはつらいものがあります。
そこで、私がやっているのが、「全く同じ作品の同じ
箇所を時間をずらして読む」というものと、「同じ内
容を取り扱った記事を多言語で読む」というものです。
前者に関しては、例えば、「名探偵コナン」の1巻を、
日本語で読み、英語で読み、独語で読み、仏語で読む
とかいうようなものです。
ここで、重要なのは、時間を空けることです。出きれ
ば、日を変えると、「何となく内容は覚えてるけれど、
細かい文章は覚えていない」という状態になるので、
「訳読」にならずにその言語で頭に入ってきます。
実際、仏語版漫画に関しては、「語彙認識率が1ペー
ジ当り数語」という独語版漫画の多読開始初期と同じ
ですが、試しに前日に英語版を読んでみると、何とな
く話の流れを覚えていたので、心理的な負担はかつて
読んだ記憶を頼りに独語版を読んだ時よりも明らかに
軽かったと思います。
後者に関しては、新聞を利用するやり方です。例えば、
イギリスの選挙でトニー・ブレアが三選されたという
記事を日本語で読んだら、英語の新聞で読んで大まか
に内容を把握した上で、独語・西語・仏語の新聞でト
ニー・ブレアの名前を探し、その記事を分からなくて
も良いから斜め読みするというものです。
ポイントは、日本の国際面で大きく扱われている記事
を探すことで、そういう記事は大抵他の言語でも似た
ような記事があるし、見慣れた固有名詞が多いので、
「何となく分かった気になれる」ということです。
この方法は、私が英字新聞を読むために、同じ新聞の
日本語版と英語版を読むと言う「しまうま読み」の
「裏技」から着想を得たものです。少なくとも、ある
程度蓄積のある独語や西語に関しては、それなりに
効果はありそうですが、ほとんど蓄積のない仏語の
効果は未知数です。
なお、この「裏技」はある程度語数を読んで、一定
程度の言語蓄積と「読み飛ばし」技術向上がないと
厳しいと思います。
■多読論考編
多読について、私が考えた屁理屈を読んでみたいという物好
きな方のみお読み下さい(笑)
○多読と「言語獲得装置」
我々は普通3歳くらいになると片言ながらも言葉を話すよう
になります。
しかしながら、どの言語をとってみても、その文法は非常に
複雑な構造を持っており、子どもが非常な短期間で、複雑な
言語を習得することができるのはどうしてなのかを説明しよ
うとした場合、子どもの言語習得を学習によって説明しよう
とすると非常な困難にぶつかります。
例えば、私たちは、特に意識もせずに、「が」、「は」、
「に」、「へ」などの助詞を使っています。どういう場合に
「私が」がふさわしく、どういう場合には「私は」の方が適
切であるのかを我々は感覚的に理解していますが、それを系
統立てて説明できる人は皆無に近いでしょう。にもかかわら
ず、ほとんどの日本人は、誰に教えられるでもなく、それら
の使い方を自然に覚えます。
このように、我々がどのようにして「母語」=「第一言語」
を習得するのかという過程を真摯に考察することを通じて、
言語学者のチョムスキーは、言語を発話したり理解したりす
る実際のいとなみである
「言語運用」(“linguistic performance”)
と人間が言語を理解したり運用したりするための根本的な
「言語能力」(“linguistic competence”)
を区別しました。
「言語能力」それ自体は人という種に生得的に備わっており、
文化や言語の別を問わず普遍的に存在すると考えたのです。
そして、その「言語能力」の一つとして、「人は厳格な文を
産出する生得的な装置」、即ち、
「言語獲得装置」(“Language Acquisition Device”:LAD)
を備えていると主張しました。
言い換えるなら、人間には元々「言語を理解する能力」が生得
的に備わっているからこそ、短期間で母語を習得できると言う
ことであり、人間が言語を習得する為には、その言語が実際に
使用されている場に居合わせ、大量な使用例を体験するだけで
良いということです。
ただ、従来の第二言語習得研究においては、この「言語獲得装
置」を認める立場の研究者であっても、暗黙の内に、「言語獲
得装置」が機能するのは幼少時だけであり、成人の「言語獲得
装置」は機能しないということを前提しています。
しかしながら、多くの社会人が、即ち、成人が多読により英語
を習得しているという事実を考えると、多くの本を読むことで、
実際の使用例を大量に体験し、母語=第一言語を獲得するよう
に外国語=第二言語を習得することが可能だということになり
ます。
そうすると、成人の「言語獲得装置」は、実際には眠っている
だけで、適切な条件さえ整えれば機能させ得るということにな
り、従来の第二言語習得研究に対して、理論的な面でも、非常
に大きな一石を投じる画期的な方法論であるとも言えます。
○多読を開始できる条件
SSSでは、多読を始める前提として、日本の中学1年生レベ
ルの英語力、つまり、アルファベットは問題なく読めて、基
礎的な単語・文法はある程度理解していることを、「英語多
読開始の条件」としています。
これは、逆に言えば、全くの白紙状態から多読開始が可能に
なる状態までに学習を進展させる方法論は未開発であること
になります。
そして、このことが、英語以外の言語で多読をする際に意外
に大きな落とし穴になっているのではないかと思われます。
と言うのも、「日本の中学1年生修了レベルの英語力」とい
うのが、意外にあなどれないこと、そして、他の言語に比べ
て、無意識に英語に接している機会が圧倒的に多いことがあ
げられます。
第一に、日本の中学1年生レベルの英語力ですが、大学の第
二外国語の授業は、中学1年生の英語の授業に比べて、圧倒
的に時間数も宿題も少なく、訳読であれ、授業での音読であ
れ、総合的なその言語との接触量は大学の第二外国語の授業
の方が少ないです。
さらに、余程の意志力の持ち主でない限り、独学や語学スク
ールで英語以外の外国語を学ぶ場合、果たしてその接触量が
中学1年生レベルの英語力に匹敵すると言える場合と言うの
が意外に少ないのではないかと思われます。
第二に、その後、中学で3年、高校で3年、大学で2年と、
英語はずっとついて回ります。進学しないとしても、英語は
日本の社会に様々な形で関わってくるので、他の言語に比べ
ると、無意識の内に接触している量は、普通に考えているよ
りも意外に多いと考えられます。
このように考えてくると、英語以外の言語で多読を始めるに
は、その前にそれなりの言語接触量を必要とすると考える方
が妥当です。その意味で、ある言語で多読を始める場合には、
簡単な入門書で、一定の文法や単語について、予備知識を仕
入れてから、というのが現実的と言えます。
勿論、「のだめカンタービレ」のヒロインであるのだめ嬢の
ように、その場面を見ただけで、台詞や物語の状況が把握で
きるくらい熟知した作品で該当の言語での多読を始めるなら、
話は違ってくるでしょうが。
○多読と"MIE"(Manga in Education)
英語の多読においては、GRを始め、様々なレベルの学習書
が豊富に存在しますが、残念ながら他の言語はそのような
学習書は英語ほど充実していません。
また、ドイツ、フランス、スペインなどの絵本は、ハード
カバーの高価なものが多いため、多読導入に絵本を使用す
るのは、潤沢な資金を必要とし、個人で実践するのはかな
り困難です。
それに対して、日本の漫画を各国語に翻訳したものや、そ
の国の漫画は、絵本に比べれば安価で、1冊あたりの語数
もそれなりにあるため、個人で多読を実践する場合に、有
効な教材足りえる可能性を秘めています。
実際、私は独語は独語に翻訳された日本漫画だけで100
万語達成しました。翻訳の関係もあるので、単純に英語と
の比較はできないのでしょうが、ab7/8(対象年齢7、8
歳の意味)と書いてある独語の児童書がそれなりに読め
る程度には独語の読解力が向上しました。
ただ、この漫画による多読という方法論は、まだまだ荒削
りであり、とても万人向けと言えるものにまでなっていま
せん。
実際、最初の20冊くらいは、1ページ辺り数語という異
常に低い認識語彙率に耐えなくてはなりません。
これを乗り切るには、「のだめカンタービレ」のヒロイン、
のだめ嬢のように、絵を見ただけで台詞がでてくるくらい何
度も読み返した作品を導入につかうとか、他の言語で数百万
語を読んで、「読み飛ばし」技能に磨きをかけてから挑戦す
るとかの工夫が必要になります。
その意味では、全くの多読初心者に、いきなり漫画多読を薦めた
として、果たして何人が実践できるかと言うと大いに疑問です。
また、この方法論にはもう一つ大きな問題があります。
それは、漫画多読の最大の敵は資金であるということです(爆)
漫画1冊辺りの値段は5〜6ユーロ、日本円にして平均600円
程度と、英語の児童書と比べてそれほど割高と言うことはありま
せん。
しかし、如何せん日本アマゾンでは品切れが多く、勢い、ドイツ
アマゾンに発注することになります。そうすると、送料がかかる
ため、1冊平均で1000円くらいとなります。
従って、漫画多読だけで100万語を達成しようとすると、漫画
150〜200冊、即ち15〜20万が必要となります。
GRや児童書による英語多読の必要資金が10万くらいということ
を考えると、かなり割高になります。
この2点から、漫画多読については、今後、方法論を洗練させて
いく必要があると思われます。
なお、"MIE"とは、「新聞を教育に有効活用しよう」という"NIE"
(News in Education)という某新聞社の標語をもじったもので
す(笑)
○多読と語用論
「語用論」(pragmatics)とは、言語学の一分野で、一言でいえば、言
葉とその意味を、私たちが普段行っているコミュニケーションの場面
に即して、即ち、言葉の用いられた状況や文脈を踏まえて考えていこ
うとする学問のことです。
例えば、次のような会話を想像してみてください。東京に住むA君の
ところに、大阪にいる友達のB君から電話がかかってきたという場面
です。
B君 「東京の天気はどう?」
A君 「今、外は大雪だよ」
さて電話が終わった直後、A君は母親からおつかいを頼まれ、次のよ
うに答えました。
母親 「ちょっとおつかいに行ってきてくれない?」
A君 「今、外は大雪だよ」
A君の返事は、どちらの場合もまったく同じものです。しかし、その
意味はB君に対するものと母親に対するものとでは異なります。
B君への返事が意味しているのは、まさに文字通り、“今、外では大
雪が降っている”ということでしょう。
しかし、母親への返事が意味していることはそれだけではありません。
言外に、母親の頼みごとに対する拒否、つまり“おつかにいは行きた
くない”といったことも意味しています。このような“拒否”という
意味は、どう考えてもB君への返事の場合にはありません。
つまり、同じ「今、外は大雪だよ」という言葉が使われていても、そ
の意味は、状況やコンテクストによって、少なからず違ってくるので
す。
そして、まさにこの「語用論」上の「意味」を理解しようとすること
を重視し、そのことによって外国語を自然に習得することを目指すの
が「多読」だと言えます。
これに対して、従来の外国語学習においては、コミュニケーションの
状況やコンテクストに関わりなく決まる言葉の意味─「文字通りの意
味」(literal meaning)─をあつかう分野である「意味論」(semantics)
を前提とし、単語の文字通りの意味や文法規則を重視していると言え
ます。
○多読と物語論
「物語論」(Narratology)とは、文学理論の一分野で、「物語」を「言
語学」や「記号学」をモデルに、その構造や機能の観点から分析しよう
とする学問です。
言語学において、有限の「音」を一定の規則によって組み合わせること
で、無数の言葉を生み出すという事態は、言語の構成要素として、「音
素」、「語」という下位レベルを想定し、それらが「文法」という一定
の規則によって組み合わせられることで、理論的にはほぼ無限に等しい
「文」が生み出されるという事象として分析されます。
同じように、物語論においては、有限の文や絵や音を組み合わせること
で、人々に「事件」を語り、様々な感情を引き起こすと言う事態は、
「機能」や「シーン」という下位レベルを想定し、それらが「物語文法」
という一定の規則によって組み合わせることで、理論的にはほぼ無限に
等しい「物語」が生み出されるという説明を試みようとしています。
先に語用論の議論において示したように、非常に大雑把に分類するな
らば、ある「文」の「意味」は、その文が持つ「文字通りの意味」
(literal meaning)と、「文脈における意味」(contextual meaning)
とに大別されます。言い換えるなら、ある「文」は、他の「文」との相
互的な関係によってしか「文脈における意味」(contextual meaning)
は決定することができないことになります。
そして、「物語論」という観点からすれば、「物語」の構成要素たる
「機能」や「シーン」は、複数の「文」が組み合わさることで成立し
ます。従って、これらの「機能」や「シーン」も、他の「機能」や
「シーン」との相互的な関係によってしか「文脈における意味」
(contextual meaning)は決定することができないと考えるべきで
しょう。
このように考えるならば、ある作品、即ち、「物語」における一つの
「語」の「文脈における意味」(contextual meaning)はどのように
決定されると言えるでしょうか。
例えば、「起」・「承」・「転」・「結」という、4つの「シーン」
で構成された非常に単純な「物語」を想定してみましょう。
4つの「シーン」は、1つ以上の「事件」によって構成されます。
「事件」とは、ある「舞台」において、誰か/何かによって「変化」
が起きることです。例えば、「起」では、登場人物や状況を分かりや
すく「提示」するべく、その登場人物の性格や環境を象徴する「事件」
が起こります。不幸な人物なら、ちょっとしたアクシデントが起こる
でしょうし、幸福な人物なら、彼の幸福さを示すちょっとした良いこ
とが起こるでしょう。
各「シーン」は、1つ以上の「機能」によって構成されます。「機能」
とは、「事件」を構成する「登場人物の行為」や「状況の変化」を指
します。例えば、「失恋」という「シーン」は、最低でも、「意中の
ヒロインに告白する」、「ヒロインに振られる」という2つの「機能」
を構成要素として必要とします。
各「機能」は、1つ以上の「文」によって構成されます。例えば、
「告白」という「機能」は、最低でも、「あなたが好きです」のよう
な「告白」をしていることを示す「文」を構成要素として必要としま
す。
各「文」は、1つ以上の「語」によって構成されます。例えば、「あ
なたが好きです。」という「文」は、「あなた」・「が」・「好き」・
「です」という4つの「語」によって構成されています。
非常に簡略化すれば、以下のように図示できるかもしれません。
物語
シーン − シーン
機能 − 機能 − 機能
文 文 文 文 文 文 文 文
語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語
さて、ある「物語」において、一つの「語」の「意味」はどのよう
に決定されるのでしょうか。
勿論、その「語」にも「文字通りの意味」(literal meaning)はある
でしょう。しかし、厳密に言うならば、その「語」の「文脈におけ
る意味」(contextual meaning)は、その「語」が属する「文」・
「機能」・「シーン」・「物語」全体の文脈との関連でしか決定で
きないと言うべきです。
例えば、「嫌い」という「語」を考えて見ましょう。この「語」の
「文字通りの意味」(literal meaning)は、「あるモノや人などに対
する否定的感情」であると言えます。しかし、「物語」、特に「恋愛」
を主題とする作品において、この「嫌い」という「語」の「文字通り
の意味」(literal meaning)を理解したところで、「物語」を楽しむ
には不十分です。
ある「物語」におけるヒロインの「あなたなんか嫌い!」という台詞
が何を意味しているのかは、その「シーン」の「物語」における位置
で全く変わります。
この台詞が「物語」の前半、例えば「起」にあたる「シーン」で出て
きたならば、ほぼ「文字通りの意味」(literal meaning)かもしれま
せんが、紆余曲折の末、「物語」の最後にある「結」にあたる「シー
ン」で出てきたならばどうでしょうか。「嫌い」という「語」の「文
字通りの意味」(literal meaning)の正反対である「好き」という感
情だけでなく、それを素直に表せない彼女の性格やヒーローとの微妙
な関係、さらには、その「物語」が終わった後に起こるであろうヒロ
インとヒーローとの痴話喧嘩じみた騒動までも予感させ得るのです。
このように、ある「物語」における一つの「語」は、「文」・「機能」
・「シーン」・「物語」という「文脈」を抜きにして理解することは
出来ません。
逆に言うと、その「物語」における様々な「文脈」を把握していれば、
「語」の「文字通りの意味」(literal meaning)を知らなくても、「文
脈における意味」(contextual meaning)を理解することが可能とも
言えるのです。
具体例を挙げましょう。"Stirb”という独語があります。私は、未だに
この「語」が、文法的にどういう意味なのかを正確に説明することはで
きません。恐らく、「死ぬ」を意味する動詞"Sterben"が変化した形の
1種だと推測していますが、時制がどうとか態がどうとかいうのはさっ
ぱりです。
しかし、この「語」がどういう「文脈」で出てきたかははっきりと覚え
ています。
一つは、独語版「ベルセルク」で、「黒の騎士」と呼ばれる主人公が、
復讐の手がかりを求めてある街に赴き、そこを支配する魔族と戦ってい
る時、満身創痍になりながら、敵である魔族よりも恐ろしい形相で剣を
構え、今にもそれを振り下ろそうとする時、彼が"Stirb”と叫びます。
もう一つは、独語版「るろうに剣心」で、「人斬り抜刀斎」の異名を持
つ主人公が、彼の後を継いで「暗殺」を手がけた「黒笠」と呼ばれる男
にヒロインを人質に取られ、ヒロインに掛けられた「死の暗示」を解く
にはその男を殺すしか方法がないという状況で、刀を大きく振りかぶり、
目に殺気を滾らせた彼が"Stirb”と叫びます。
これ以外にも何度か見かけましたが、「武器を構えた登場人物が、敵に
向かって叫ぶ」というのが共通していました。つまり、「物語」の「文
脈」から考えれば、"Stirb”という独語は、日本語の「死ね!」という
表現に相当するだろうということが容易に把握できます。
このように、「物語」の「文脈」から、一つの「語」の、「文脈におけ
る意味」(contextual meaning)把握することは十分に可能です。そし
て、それらの経験を積み重ねることで、逆に、その「語」の「文字通り
の意味」(literal meaning)に到達することも十分に可能なのではない
かと思います。
そして、ある「物語」において、一つの「語」の「意味」が他の「機能」
や「シーン」などとの関係性、即ち、「文脈」との関係でしか決定でき
ないということは、より上位レベルの構成単位にも当てはまります。
「文」も「機能」も「シーン」も、その「物語」における「文脈」によっ
て、その「意味」は決定されます。従って、その「語」の「意味」が「文
脈」から把握することが可能であるように、「文」も「機能」も「シーン」
も「文脈」からの把握が可能であることになります。
そして、正にこの『「文脈」による「意味」の把握』が可能であるからこ
そ、「分からないところは飛ばす」を「語」よりも上位のレベル、「文」・
・「機能」・「シーン」のレベルで行ったとしても、その「物語」の把
握は十分に可能です。
実際、通常の「物語」であっても、1ページ辺り数語や数文の未知の部分
があったとしても、読むのに支障はありません。そして、「物語」の規模
が大きくなるほど、一つの「語」や「文」の「文脈」における重要性は低
下します。極論を言えば、1段落、さらには1ページ丸ごと「読み飛ばし」
たとしても、その「物語」を楽しむことができます。
つまり、「分からないところは飛ばす」=「読み飛ばし」が可能なのは、
「物語」というものが、その構造として各構成要素が密接に関連している
ため、一部を理解できなくても全体を把握することが可能であると性質を
有しているからだと言えるでしょう。
○「携帯留学」としての多読
NOVAのCMで「駅前留学」というフレーズがありますが、これに対抗して多
読は「携帯留学」とでも呼びたいと思います。
つまり、本を読むというのは、その本を通じてその言葉に触れると言うこ
とですから、外国語のレッスンを「留学」と見做せるなら、外国語の読書
も「留学」の一種と見做せるだろうと言う理屈です。
とは言え、そう言うだけでは面白くないので、ちょっとした数字遊びを。
英語多読の最初の目標として、100万語読むというのがあります。
これがどれくらいの量かというと、普通の日本人が英語を読む速度は、
1分間に120語程度ですから、1時間では7200語です。従って、
100万語読むのに、大体140時間掛かる計算です。
では、この140時間というのは、どのくらいの時間か、比較例を考え
て見ましょう。
高校生の交換留学を振興するAFSという団体において、「何語であれ、
3ヶ月滞在すれば、分かるようになる」と言う経験則があります。
そして、実際、私の経験に照らしてみても、大体3ヶ月くらいで何と
なくスペイン語が分かるようになったと記憶しています。
人が起きているのが、大体、1日8時間ですから、3ヶ月の留学とい
うのは、720時間の読書に相当するとしましょう。そうすると、こ
れを語数に換算すると、大体、500万語くらいとなります。
逆に、100万語=140時間というのは、留学にすると17日間くら
いの滞在期間に相当します。
短期の語学留学が2週間=14日くらいですから、100万語多読を
「携帯留学」というのも、あながち間違いではないかもしれません(笑)
以上、長文・乱文となりましたが、今回はこれで失礼します。
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5596. Re: 多読開始2周年報告>ありがとうございます。(「書き飛ばし」失礼!)
お名前: チクワ
投稿日: 2005/5/9(00:24)
------------------------------
慈幻さん、掲示板では初めましてかもしれません。チクワです。
2004年の2月大阪での酒井先生の講演会におじゃまさせていただいた折、
昼食のテーブルをごいっしょさせていただき、Jigsaw Jonesシリーズを教えてもらいました。
感謝しております。
〉本日、5月8日で、多読開始2周年となりましたので、
〉報告します。
多読開始2周年、おめでとうございます!
あら、私、ほとんど同じ頃だ〜、とびっくりです。
私は、ちょっと日付の確証を失ってしまっておりますが〜。
(「今日から読みます100万語」を買ったときのレシートが見つからない・・・)
なお、非常に長い上、英語多読とは直接
〉関係のない話も多いので、適当に「読み飛ばし」て下
〉さるよう御願いします(笑)
読むのは全部読ませていただきました!(←おおいばり)
どこまできちんと理解したかはわかりません!(←なんて失礼な)
お返事つけにきたのは無謀かもしれません!(←開き直り?)
まず「アカデミック」のところをするりとかわし・・・(おいおい)
「時事英語」のところ、とっても参考になりました。
ありがとうございまいした。
新聞シマウマ読みと、Voice of AmericaのLR、とってもいいなー、と思いました。
現実世界の時事的なことがらを英語でとらえていくのも、
フィクションを読むのとはまた違った楽しさがありますし。
この、慈幻さんの方法で時事英語に慣れていき、
BSの2ヶ国語放送などに抵抗感がなくなればニュースリスニングが手軽に楽しくできますよね。
(っていうか、英語でニュースが聞けるようになりそう!)
〉(なお、「LR」をこれだけやりながら、ヒアリング
〉もリスニングも全く試してみてないので、どの程度、
〉音に関して上達したかは不明です。
〉「Voice of America」の「LR」の理解度が8割を超
〉えたら、スクリプトなしでどの程度理解できるかの
〉練習を始めるつもりです。)
また、そのうちご報告いただけると嬉しいです!
さてさて、ここまで書いておいて、どこに反応したかったんだか、
また探しに行ってきました。
(お返事を書く画面は字がちいさいので、1画面戻ってー)
・・・げ、どこだっけ・・・?
・・・と、結局また全部読みました。2回目〜(←再びおおいばり)
慈幻さんのご理屈の展開は結構好きです。内容も好きな分野ですし。語用論とか。
・・・で、あ、あったあった。ここに反応してみたかったんです〜。
〉○多読を開始できる条件
〉SSSでは、多読を始める前提として、日本の中学1年生レベ
〉ルの英語力、つまり、アルファベットは問題なく読めて、基
〉礎的な単語・文法はある程度理解していることを、「英語多
〉読開始の条件」としています。
あ、ここでいっこ細かいことなんですが、
アルファベットを問題なく読める、っていうのはSSSの前提の想定に
入ってないのではないかなあ?
アルファベットをアルファベットの名前(エイビーシー)で読める必要は言われてない気がします。
もちろんアルファベットをフォニックス読み(っていう言い方でいいのか?)(ア、ブ、ク)
が、できなきゃいけないとも、言われてないですし。(これは学校でも系統立ててやりませんね。)
〉これは、逆に言えば、全くの白紙状態から多読開始が可能に
〉なる状態までに学習を進展させる方法論は未開発であること
〉になります。
児童英語のほうの取り組みで、
多読を「読み聞かせ」から始めて、ごくごく初期から、アルファベットもやらずに
というのはあるようです。
で、結構ORTなんかは読みすすめられるようになるようですよ。
どのくらい多読以外とミックスしての効果か?という疑問はあるかもしれませんね。
でも、今ここでは、英語自体の多読開始の話じゃないですもんね。失礼しました。
〉このように考えてくると、英語以外の言語で多読を始めるに
〉は、その前にそれなりの言語接触量を必要とすると考える方
〉が妥当です。その意味で、ある言語で多読を始める場合には、
〉簡単な入門書で、一定の文法や単語について、予備知識を仕
〉入れてから、というのが現実的と言えます。
「英語以外」の掲示板で、でしたか、慈幻さんはドイツ語で?
一定の文法や単語についての予備知識を仕入れる段階を踏まれた
と書かれていましたよね、確か・・・
上のほうでも
〉1つは、洋販が版権を持つ「絵で見る○○語」シリーズ
〉の独語版1巻を入手し、基本単語をざっとおさらいした
〉こと。
こう書かれていたし。
で、ある意味質問なんですが、文法予備知識の仕入れをどのくらい「しっかり」なさいましたか?
使われたご本に問題のページなぞあって、解答を書き込んでみて正誤チェックとかも
されたんでしょうか?
文法を勉強するんだとしても、多読を経験したひとがする学習、
またはこの文法予備勉強のあと、多読でやっていくんだー、と思っている人の文法学習は
そうでない場合の文法学習ときっとおのずと違うと思うんです。
または、意識的に取り組みを変えた方がいいんじゃないかと。
問題は解いてみるんだけど、まあ、正解もチェックしてみるんだけど、
間違っていても鉛筆で線をひいて消して書き直すくらいで
あんまり気にしないー、そのあと復習もしないーとか。
こういう文法学習をして、こういう点がいいかも?と思えるのは
学習中に何度か基本単語に繰り返し出会えること。
語句リスト、単語熟語カードなんて作る必要はない。
基本文も覚えようとしない。
そんなふうにおキラク〜にやっていけるんなら、本格多読開始前の文法も
いいかも、と思えます。
きっと速さも重要なのではないかな。慈幻さん、おっしゃる「ざっと」のイメージです。
で、慈幻さんは、多言語多読のことを話題にしていらっしゃるのに、
私はそこを利用して英語の中学1年生(もしくは英語歴1年目の子)の話にしてしまって
申し訳ないんですが〜。
日本の中学校での1年間の英語学習は、それだけでもう、
ある程度のunlernが必要になるような(例えば訳語1対1対応をさせることなど)
そんな学ばされ方をしているように思います。
あんまりいい英語体験をさせてもらってない、というか。
言葉に対する常識、想像力もどんどん失われていきます。
やっぱり問題集なんかで、細かいことチェックしすぎ。テストは成績に直結だし。
教わっているのは英語でなく、英語の問題の素材の文、語句。
つけているのは英語力でなく、英語の問題の解答力。
「多読」へのプレリュードとして、基礎の基礎編文法を
自分で、または英語教室のサポートでやるなら、キーワードは「速く浅くざっと。」で
やりたい(やらせてあげたい)な、と思います。
〉○多読と"MIE"(Manga in Education)
これ、何のもじりかすぐわかって笑いました〜。いいなー。
〉○「携帯留学」としての多読
これもイイです!
さてさて、自分のいいたいことだけ申し上げに来てすみません。
この辺で撤退いたします。
今後とも慈幻さんのご報告楽しみにお待ちしています。
では、Happy Reading!
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お名前: 慈幻 http://mayavin.txt-nifty.com/labotadoku/
投稿日: 2005/5/10(00:22)
------------------------------
どうも慈幻です。
〉慈幻さん、掲示板では初めましてかもしれません。チクワです。
〉2004年の2月大阪での酒井先生の講演会におじゃまさせてい
〉ただいた折、昼食のテーブルをごいっしょさせていただき、
〉Jigsaw Jonesシリーズを教えてもらいました。
〉感謝しております。
ご参考になったなら幸いです。
〉〉本日、5月8日で、多読開始2周年となりましたので、
〉〉報告します。
〉多読開始2周年、おめでとうございます!
お祝いの言葉、どうも有難う御座います。
〉あら、私、ほとんど同じ頃だ〜、とびっくりです。
〉私は、ちょっと日付の確証を失ってしまっておりますが〜。
〉(「今日から読みます100万語」を買ったときのレシートが
〉(「見つからない・・・)
そうすると、みちるさんやJulieさんとも同期ということになるかと。
〉読むのは全部読ませていただきました!(←おおいばり)
どうも有難う御座います。
〉どこまできちんと理解したかはわかりません!(←なんて失礼な)
私も書きながら考えているので、きちんと理解しているとは言い難い
です。
〉お返事つけにきたのは無謀かもしれません!(←開き直り?)
どんなご意見でも参考になりますので、お返事頂けるのは有難い
です。
〉「時事英語」のところ、とっても参考になりました。
〉ありがとうございまいした。
〉新聞シマウマ読みと、Voice of AmericaのLR、とってもいいなー、
〉と思いました。
〉現実世界の時事的なことがらを英語でとらえていくのも、
〉フィクションを読むのとはまた違った楽しさがありますし。
〉この、慈幻さんの方法で時事英語に慣れていき、
〉BSの2ヶ国語放送などに抵抗感がなくなればニュースリスニングが
〉手軽に楽しくできますよね。
〉(っていうか、英語でニュースが聞けるようになりそう!)
私の目標が正にそれです。私はシャドーイングもヒアリングもそれだけ
ではやる気が起きないので、これだけでヒアリングができると言えるよ
うになったら面白いな〜と。
〉また、そのうちご報告いただけると嬉しいです!
了解です。
〉〉○多読を開始できる条件
〉〉SSSでは、多読を始める前提として、日本の中学1年生レベ
〉〉ルの英語力、つまり、アルファベットは問題なく読めて、基
〉〉礎的な単語・文法はある程度理解していることを、「英語多
〉〉読開始の条件」としています。
〉あ、ここでいっこ細かいことなんですが、
〉アルファベットを問題なく読める、っていうのはSSSの前提の想定に
〉入ってないのではないかなあ?
〉アルファベットをアルファベットの名前(エイビーシー)で読める必要
〉は言われてない気がします。
〉もちろんアルファベットをフォニックス読み(っていう言い方でいいの
〉か?)(ア、ブ、ク)
〉が、できなきゃいけないとも、言われてないですし。(これは学校でも
〉系統立ててやりませんね。)
「アルファベットが読める」という言い方が悪かったみたいですね。要は、
脳内音読であれ、無音であれ、黙読できる状態にある必要があると言うべ
きでしょうか。
私が想定していたのが、教室とかではなく、社会人が一人で進めることで
したので、意味を理解できるかどうかは別にして、1冊の本をさっと目を
通せる程度にはアルファベットを見慣れている必要があるかと。
〉〉これは、逆に言えば、全くの白紙状態から多読開始が可能に
〉〉なる状態までに学習を進展させる方法論は未開発であること
〉〉になります。
〉児童英語のほうの取り組みで、
〉多読を「読み聞かせ」から始めて、ごくごく初期から、アルファベット
〉もやらずにというのはあるようです。
〉で、結構ORTなんかは読みすすめられるようになるようですよ。
〉どのくらい多読以外とミックスしての効果か?という疑問はあるかもし
〉れませんね。
恐らく、「読み聞かせ」によって、自然に文字と音が対応していくので、
そのまま黙読に入れると言うことでしょう。
ただ、社会人が一人でやる場合には、「読み聞かせ」をしてくれる人は
居ないので、自分で自分に「読み聞かせ」る「脳内音読」が出来る程度
には「アルファベットの発音規則」くらいは事前に理解している必要が
あるというくらいの趣旨です。
〉で、ある意味質問なんですが、文法予備知識の仕入れをどのくらい
〉「しっかり」なさいましたか?
全く「しっかり」とはやっていません。
〉使われたご本に問題のページなぞあって、解答を書き込んでみて正
〉誤チェックとかもされたんでしょうか?
問題は全部無視しました。
〉文法を勉強するんだとしても、多読を経験したひとがする学習、
〉またはこの文法予備勉強のあと、多読でやっていくんだー、と思っ
〉ている人の文法学習はそうでない場合の文法学習ときっとおのずと
〉違うと思うんです。
〉または、意識的に取り組みを変えた方がいいんじゃないかと。
〉問題は解いてみるんだけど、まあ、正解もチェックしてみるんだけど、
〉間違っていても鉛筆で線をひいて消して書き直すくらいで
〉あんまり気にしないー、そのあと復習もしないーとか。
意識的に変える必要があるとまで言い切れるか分かりませんが、従来の
文法学習とは異なるのは間違いないです。
ヴィトゲンシュタインは、言語運用を「言語ゲーム」"Sprache spiel"
と表現しましたが、細かい理屈をすっとばして、彼の議論のイメージを
借用して、比ゆ的に説明させてもらいます。
ある新しい「ゲーム」を買ってきたと想像してみてください。
今まで全く遊んだことのない「ゲーム」なので、そのゲームの「遊び
方」=「ルール」は全く知らないし、身についても居ないでしょう。
そこで、この「ゲーム」の「ルール」を習得するにはどうすれば良い
でしょうか。
この場合、選択肢は三つあります。
一つは、「ゲーム」を始めてしまい、実際に「ゲーム」をしながら
「遊び方」=「ルール」を覚えるというもの。
もう一つは、先に「説明書」を読んで、「遊び方」=「ルール」の
大まかなイメージを掴んでから、「ゲーム」をはじめ、必要に迫ら
れたら、その都度、必要な箇所だけ「説明書」を参照することで、
「実践」と「知識」を上手く織り交ぜて、「遊び方」を覚えるとい
うもの。
最後に、「説明書」を順番に読んだり、何度も読み返したりして、
「ルール」をひたすら暗記して、「遊び方」を「知識」として学ぶ
というもの。
多分、一番理想的なのは、実際にゲームをしながら、その過程で
自然に「遊び方」を覚えることでしょう。
しかし、これをやるには、上級者が一緒に参加し、上手く誘導し
たり、必要最小限の知識はその都度説明したりなどの介入が必要
です。
もしくは、最近のコンピューターゲームのように、「ゲーム」
に練習モードが入っていて、その練習モードをやってる内に、
自然に「遊び方」を覚えるというのも可能かもしれません。
そして、「ゲーム」を言語、「遊び方」=「ルール」を文法に
置き換えてみてください。
「読み聞かせ」から「多読」への自然な移行とは、一番目の
最も理想的な方法によるものです。
一方、三番目のひたすら「説明書」を読むというのが、従来、
「外国語学習」とされている方法です。
私が「多読式にざっと入門書を読む」というのは、「実際に
遊んでみることを前提にざっと『説明書』を読む」のに近い
感じだと言えば、少しはイメージが伝わるでしょうか?
これから遊ぶ「ゲーム」の全体的なイメージを掴み、遊ぶの
に必要な必要最低限の操作方法や基本ルールと思われる所の
み注意深く読みます。ただ、必要に迫られれば、後で読み直
すことが前提なので、そもそも覚えようとは考えません。
より具体的には、文法の説明は斜め読みし、例文は軽く音読
か脳内音読し、練習問題は無視。イメージを掴むためだけで
すから、活用や変化を覚えようと言う気は最初からありませ
ん。
〉教わっているのは英語でなく、英語の問題の素材の文、語句。
〉つけているのは英語力でなく、英語の問題の解答力。
学生時代、よく冗談半分で、「日本の英語の授業というのは、
『暗号解読』の訓練であって、英語を習得する為のものじゃ
ない」と言い合ってましたが、状況は変わってないようです
ね(苦笑)
〉〉○多読と"MIE"(Manga in Education)
〉これ、何のもじりかすぐわかって笑いました〜。いいなー。
元ネタがわかって頂けて嬉しいです(笑)
〉〉○「携帯留学」としての多読
〉これもイイです!
まあ、ちょっとした目安というか、話の種程度にして頂けると
よろしいかと。
以上、用件のみですが、今回はこれで失礼します。
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お名前: 杏樹
投稿日: 2005/5/11(00:17)
------------------------------
チクワさん、こんにちは。
〉〉このように考えてくると、英語以外の言語で多読を始めるに
〉〉は、その前にそれなりの言語接触量を必要とすると考える方
〉〉が妥当です。その意味で、ある言語で多読を始める場合には、
〉〉簡単な入門書で、一定の文法や単語について、予備知識を仕
〉〉入れてから、というのが現実的と言えます。
〉「英語以外」の掲示板で、でしたか、慈幻さんはドイツ語で?
〉一定の文法や単語についての予備知識を仕入れる段階を踏まれた
〉と書かれていましたよね、確か・・・
〉上のほうでも
〉〉1つは、洋販が版権を持つ「絵で見る○○語」シリーズ
〉〉の独語版1巻を入手し、基本単語をざっとおさらいした
〉〉こと。
〉こう書かれていたし。
〉で、ある意味質問なんですが、文法予備知識の仕入れをどのくらい「しっかり」なさいましたか?
〉使われたご本に問題のページなぞあって、解答を書き込んでみて正誤チェックとかも
〉されたんでしょうか?
〉文法を勉強するんだとしても、多読を経験したひとがする学習、
〉またはこの文法予備勉強のあと、多読でやっていくんだー、と思っている人の文法学習は
〉そうでない場合の文法学習ときっとおのずと違うと思うんです。
〉または、意識的に取り組みを変えた方がいいんじゃないかと。
〉問題は解いてみるんだけど、まあ、正解もチェックしてみるんだけど、
〉間違っていても鉛筆で線をひいて消して書き直すくらいで
〉あんまり気にしないー、そのあと復習もしないーとか。
〉こういう文法学習をして、こういう点がいいかも?と思えるのは
〉学習中に何度か基本単語に繰り返し出会えること。
〉語句リスト、単語熟語カードなんて作る必要はない。
〉基本文も覚えようとしない。
〉そんなふうにおキラク〜にやっていけるんなら、本格多読開始前の文法も
〉いいかも、と思えます。
このへんなんですけれども、英語と他の言語の大きな違いは、英語にはORTなど初学者向けの素材が豊富にあることです。文法など予備知識の学習をそれほどしなくても、そういった素材をたくさん読めば、自然に読めるようになっていくことが期待できます。
英語以外で一番の課題が、ORTと同じようなレベルの素材がないことです。ですから多読をするにしても、とりあえず初歩の文法でもやっとかないと、多読できる本がない、ということになります。
ですから英語の場合なら、多読前に文法とか予備知識とか、それほど考えなくてもいいと思うのですが…いかがでしょう?文法は多読である程度読めるようになってから、自分が得た言語感覚を確認するために勉強するのがいいと思います。
〉きっと速さも重要なのではないかな。慈幻さん、おっしゃる「ざっと」のイメージです。
〉で、慈幻さんは、多言語多読のことを話題にしていらっしゃるのに、
〉私はそこを利用して英語の中学1年生(もしくは英語歴1年目の子)の話にしてしまって
〉申し訳ないんですが〜。
〉日本の中学校での1年間の英語学習は、それだけでもう、
〉ある程度のunlernが必要になるような(例えば訳語1対1対応をさせることなど)
〉そんな学ばされ方をしているように思います。
〉あんまりいい英語体験をさせてもらってない、というか。
〉言葉に対する常識、想像力もどんどん失われていきます。
〉やっぱり問題集なんかで、細かいことチェックしすぎ。テストは成績に直結だし。
〉教わっているのは英語でなく、英語の問題の素材の文、語句。
〉つけているのは英語力でなく、英語の問題の解答力。
最近はコミュニケーション重視になってるらしいとは聞いたのですが、それでもまだまだ学校英語ってそんな状態なんですね。
それでは…。
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5615. Re: しつこいヤツとお思いでしょうが・・・(お返事&横入りありがとうございました!)
お名前: チクワ
投稿日: 2005/5/12(00:54)
------------------------------
チクワです。
慈幻さん、お返事ありがとうございました。
杏樹さん、横入りありがとうございました。
なんだか直感的に浮かんできたフレーズをタイトルにしてしまいましたが、
これ、もとネタはなんだっけ・・・
〉そうすると、みちるさんやJulieさんとも同期ということになるかと。
嬉しい〜♪
でもでも、多読はまだまだ始まったばかり。(なんて私が言っていいのか)
今後の長ーい歴史の中で考えれば、10年間くらいの人は皆、同期!
と、やがては言うようになるかも!(不遜な発言?)
〉〉〉○多読を開始できる条件
〉私が想定していたのが、教室とかではなく、社会人が一人で進めることで
〉したので、
おお、そりゃそうでした。
〉意味を理解できるかどうかは別にして、1冊の本をさっと目を
〉通せる程度にはアルファベットを見慣れている必要があるかと。
「アルファベットを見慣れている必要がある」あ、これなら大納得です。
〉〉〉これは、逆に言えば、全くの白紙状態から多読開始が可能に
〉〉〉なる状態までに学習を進展させる方法論は未開発であること
〉〉〉になります。
〉恐らく、「読み聞かせ」によって、自然に文字と音が対応していくので、
〉そのまま黙読に入れると言うことでしょう。
〉ただ、社会人が一人でやる場合には、「読み聞かせ」をしてくれる人は
〉居ないので、自分で自分に「読み聞かせ」る「脳内音読」が出来る程度
〉には「アルファベットの発音規則」くらいは事前に理解している必要が
〉あるというくらいの趣旨です。
お金をかけてもよければ、音源つきの本、という手はありますね。
しかしこれも英語以外ではなかなか入手しづらい、と。
う〜ん、「アルファベットの発音規則」の事前理解の方は、
今、反応できるほど自分の意見がまとまりませんので、またの機会にと
いうことでお願いします・・・(←正直者?)
自分ながら、児童英語のほうの事情説明を持ってきてしまったのは
ギロンとして、失敗だったなー、と思います。
いや〜、そこをお相手ありがとうございました。
杏樹さんにも〜。
〉〉で、慈幻さんは、多言語多読のことを話題にしていらっしゃるのに、
〉〉私はそこを利用して英語の中学1年生(もしくは英語歴1年目の子)の
〉〉話にしてしまって申し訳ないんですが〜。
と、書く程度には自分でも場違いがわかっていたつもりではありますが
どうも、現在の中学の学校英語のやり方が、う〜ん・・・という気持ち
なので、
せめて慈幻さんが、多言語多読の方で主張されるくらいのやり方に
ならないもんかー、という気持ちで、ここにこんなことを書いている
わけです。
そんなの無理、と言われたらそれまでだしー。(実際無理そうだし。)
今、ひとつ思い出すのは、子どもの広場で
「中学の間は病気をしていて、学校でほとんど英語を勉強しなかった。
だから文法の問題集をやってみています。」っていう子がいました。
この子がORTに出会えれば良いのですが、そうでなかったら・・・
(だってORTやっぱり高い・・・)
やっぱり「英語」の現在の初歩の教科書、文法書もなんとかなってほしい
もしくは使う方がテキトーに使おうという気持ちを持ってほしい
と思うのです。
結局教科書、文法書がそこにどうしても存在するなら
慈幻さんおっしゃる多言語多読むきの多読の始め方が、
ひるがえって英語にも参考にならないかな?と。
ま、それにしても慈幻さんおっしゃるように、日本の社会では
英語のことばに触れる機会は、その他の言語よりははるかに多く
ありますね。
で、杏樹さんが書いてくださった、ここにも私の言い訳がつながります。
〉このへんなんですけれども、英語と他の言語の大きな違いは、
〉英語にはORTなど初学者向けの素材が豊富にあることです。
〉文法など予備知識の学習をそれほどしなくても、そういった素材を
〉たくさん読めば、自然に読めるようになっていくことが期待できます。
〉英語以外で一番の課題が、ORTと同じようなレベルの素材がないことです。
〉ですから多読をするにしても、とりあえず初歩の文法でもやっとかないと、
〉多読できる本がない、ということになります。
〉ですから英語の場合なら、多読前に文法とか予備知識とか、
〉それほど考えなくてもいいと思うのですが…いかがでしょう?
〉文法は多読である程度読めるようになってから、自分が得た言語感覚を
〉確認するために勉強するのがいいと思います。
(すみません〜。メモ帳にコピペでお返事書いているので(←ある意味気合入り)
杏樹さんの文を勝手に折り返してしまいましたー。)
どうも私が目の当たりにしている多読学習者たちが、小中高校生なもので・・・
学校の英語が(週3時間+家庭学習分+塾などの学習分)
なんとかなってくれないもんか、と。
いやー、さっさとあきらめて頭を切り替えるべきなのか・・・
杏樹さんのおっしゃること全くもって「exactly!」なのでしてー。
例えば中1、2年で読み聞かせから始めてずーっと多読、
中3で、自分が得た言語感覚を確認するために文法、ルールを勉強、なんていう
のを理想像として持っているので、こんなことを言い出すんですね、私は。
(これ、ある意味自分の首を絞めるようなことを言っています・・・)
〉〉で、ある意味質問なんですが、文法予備知識の仕入れをどのくらい
〉〉「しっかり」なさいましたか?
〉全く「しっかり」とはやっていません。
Yay!
〉〉使われたご本に問題のページなぞあって、解答を書き込んでみて正
〉〉誤チェックとかもされたんでしょうか?
〉問題は全部無視しました。
Hooray!
「多読的」に文法書を読まれた、という感じでしょうか?
どなただったか、Grammar in Useをなさったとき、「問題はやらず」
という方も・・・いらっしゃったっけ?(違うかも。)
〉〉文法を勉強するんだとしても、多読を経験したひとがする学習、
〉〉またはこの文法予備勉強のあと、多読でやっていくんだー、と思っ
〉〉ている人の文法学習はそうでない場合の文法学習ときっとおのずと
〉〉違うと思うんです。
〉〉または、意識的に取り組みを変えた方がいいんじゃないかと。
〉〉問題は解いてみるんだけど、まあ、正解もチェックしてみるんだけど、
〉〉間違っていても鉛筆で線をひいて消して書き直すくらいで
〉〉あんまり気にしないー、そのあと復習もしないーとか。
〉意識的に変える必要があるとまで言い切れるか分かりませんが、従来の
〉文法学習とは異なるのは間違いないです。
異なりますよね!
私がもし、こういった多読的観点(?)をもって、文法を勉強するなら
多分、読んでいるだけだと寝てしまうので・・・(爆)
正解に振り回されないように問題もやるのではないかな?と思います。
その辺は「性格」による誤差かな?
でも、問題をやるとやらないとじゃ、とられる時間が全然違うので
それじゃー、いやだなと、結局やらずに過ごす・・・(おいおい)
〉〉教わっているのは英語でなく、英語の問題の素材の文、語句。
〉〉つけているのは英語力でなく、英語の問題の解答力。
〉学生時代、よく冗談半分で、「日本の英語の授業というのは、
〉『暗号解読』の訓練であって、英語を習得する為のものじゃ
〉ない」と言い合ってましたが、状況は変わってないようです
〉ね(苦笑)
〉最近はコミュニケーション重視になってるらしいとは聞いたのですが、
それでもまだまだ学校英語ってそんな状態なんですね。
うーん、今の状態を、以前より「コミュニケーション重視」になっている
と評価するひとは、多いだろうと思います。
ネイティヴのAETが来ることで、まあ外国人には慣れるでしょう。
でも、AETがリスニングテストの読み上げ係をやっている、とかね・・・
ロールプレイイングなんかも豊富かもしれませんが、
自分の発想で、モデル会話文と違うことを言ったり聞いたりを、
多くの子ができるようになるとは思えません。
以前韓国の英語教育といってテレビで見たのは・・・
「ウチの学校は英会話を重視しています」という触れ込みでしたが
その授業は「文型」の口頭練習でした。
コミュニケーションって、結局は「相手と関わろうとする」「気持ち」
なんじゃないでしょうか。
そういうのって「英語の授業」の枠組みで教えられるものか・・・
できるかもしれない、けど・・・できたら最高、だけど・・・
でも、今のところの「コミュニケーション重視」では無理っぽい。
授業の様相が変わっても、「テスト」が変わらないと!と思います。
(もっといってしまえば、なくならないと、と・・・)
〉ヴィトゲンシュタインは、言語運用を「言語ゲーム」"Sprache spiel"
〉と表現しましたが、細かい理屈をすっとばして、彼の議論のイメージを
〉借用して、比ゆ的に説明させてもらいます。
おお、ヴィトゲンシュタインさん、こんばんは。
お名前だけはかねがね。(笑)
すみません、ゲームそのもののところはちょっきんしてしまいましたー。
(パソコン買って、マインスイーパーやフリーセルを覚えて
遊んでいた頃を思い出して、読みました。)
〉そして、「ゲーム」を言語、「遊び方」=「ルール」を文法に
〉置き換えてみてください。
〉「読み聞かせ」から「多読」への自然な移行とは、一番目の
〉最も理想的な方法によるものです。
〉一方、三番目のひたすら「説明書」を読むというのが、従来、
〉「外国語学習」とされている方法です。
「説明書」だけずーっと読んでて、実際にゲームをしない
ってことですよね。(笑)
〉私が「多読式にざっと入門書を読む」というのは、「実際に
〉遊んでみることを前提にざっと『説明書』を読む」のに近い
〉感じだと言えば、少しはイメージが伝わるでしょうか?
〉これから遊ぶ「ゲーム」の全体的なイメージを掴み、遊ぶの
〉に必要な必要最低限の操作方法や基本ルールと思われる所の
〉み注意深く読みます。ただ、必要に迫られれば、後で読み直
〉すことが前提なので、そもそも覚えようとは考えません。
〉より具体的には、文法の説明は斜め読みし、例文は軽く音読
〉か脳内音読し、練習問題は無視。イメージを掴むためだけで
〉すから、活用や変化を覚えようと言う気は最初からありませ
〉ん。
「ゲーム」は楽しいのがわかっているから、この方法で実際に
ゲームを始めてしまえる人が多いのですよね。
いつまでも説明書を読もうという人は、あまりいない。
慈幻さん、杏樹さん、ありがとうございました。
大いに参考にさせていただいて、なんとか
学校英語のサポート業務を、うまいことかわして?
(いや・・・何といったらいいのか?)
多読中心に子どもたちと多読していきたいと思います。
では〜。
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5604. Re: 多読開始2周年報告(長文・乱文注意。「読み飛ばし」推奨!)
お名前: みちる http://blog.goo.ne.jp/michiru_tsukiusagi/
投稿日: 2005/5/10(12:18)
------------------------------
慈幻さん、こんにちは。
二周年おめでとうございます。
しっかり、保存させていただいて、二度ほど読みかえしました。
色々気がついた点があるのですが、
私もドイツ語をはじめようと「絵で見る○○語」まで読み始めたのは
同じだったのですが、それからが、うーん・・・という感じで。
MANGAもそれほど得意じゃないしとか思っていたのでした。
でも、英語とシマウマ読みで、ローベルなどを読んでいけば読めるかも
と思ったりしました。
Frog&Toad全一冊本、買ってみたいと思います。
あとは、なんといっても時事英語シマウマ読み。
読みにくいと思っている本はどんどんシマウマにして、シマの量を変えて
いけばいいのではないか。そんな風にも思いました。
新聞を買うよりも、ネットの英字版からというのも興味のあるところから
見ることができていいですね。
それから、新書みたいなのも探せばあるものだなぁというのも思いました。
10000語くらいのシリーズっていいですね。
他の分野でも、そのくらいの本がないか、探してみようと思います。
その他にも、いろいろと参考になることがありました。
素晴らしいご報告、ありがとうございました。
それでは、これからもはっぴー・りーでぃんぐ♪
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お名前: 慈幻 http://mayavin.txt-nifty.com/labotadoku/
投稿日: 2005/5/10(21:24)
------------------------------
どうも慈幻です。ご無沙汰しております。
〉慈幻さん、こんにちは。
〉二周年おめでとうございます。
〉しっかり、保存させていただいて、二度ほど読みかえしました。
お祝いのお言葉、どうも有難う御座います。
〉色々気がついた点があるのですが、
〉私もドイツ語をはじめようと「絵で見る○○語」まで読み始めたのは
〉同じだったのですが、それからが、うーん・・・という感じで。
〉MANGAもそれほど得意じゃないしとか思っていたのでした。
MANGAによる多読は、日本の漫画が好きな人で厳しいです。
〉でも、英語とシマウマ読みで、ローベルなどを読んでいけば読めるかも
〉と思ったりしました。
〉Frog&Toad全一冊本、買ってみたいと思います。
これから、独語の絵本・児童書の新規開拓を始めるところですので、何
かありましたら、「英語以外〜」の掲示板に報告しますので、そちらを
ご参照ください。
〉あとは、なんといっても時事英語シマウマ読み。
〉読みにくいと思っている本はどんどんシマウマにして、シマの量を変えて
〉いけばいいのではないか。そんな風にも思いました。
それは面白いと思います。
例えば、10章構成の本がシリーズであるとして、
1〜3巻くらいを、日本語で7章、英語で3章
4〜6巻くらいを、日本語で5章、英語で5章
7〜9巻くらいを、日本語で3章、英語で7章
という風に徐々に英語の割合を増やしていって、最後は全部英語で読む
とかするとかもアリかもです(笑)
〉新聞を買うよりも、ネットの英字版からというのも興味のあるところから
〉見ることができていいですね。
今では、大抵の新聞・雑誌がWEB版で読めますので重宝してます。それに、
日本のニュースで、「米紙ニューヨークタイムスによれば、云々」とか聞
いたら、実際に、WEBでその記事を読んでみて、少しでも読めると凄い嬉
しかったりします(笑)
ちなみに、時事英語の入門としては、新聞以外にも、
http://www.nhk.or.jp/daily/english/
で、NHKが国際記事を英語で発信してます。記事一つが短めで、英語も
易しめなので、まずはここで読んでみるのがお奨めかと。
ちなみに、右上の「Select Language」で、仏語・西語・中国語なども
読めますので、非常に重宝してます。
〉それから、新書みたいなのも探せばあるものだなぁというのも思いました。
〉10000語くらいのシリーズっていいですね。
語数が短いと、分からないところがあっても、さっと読めるのが良いで
す。「後で再読すれば良い」とか思えますし。
〉他の分野でも、そのくらいの本がないか、探してみようと思います。
良いのがありましたら、また御教授下さい。
以上、用件のみですが、今回はこれで失礼します。
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5610. Re: 多読開始2周年報告(長文・乱文注意。「読み飛ばし」推奨!)
お名前: ありあけファン
投稿日: 2005/5/11(23:39)
------------------------------
慈幻さん こんにちは
ありあけファン@212万語(多読)/3万2000語(多聴) です
〉本日、5月8日で、多読開始2周年となりましたので、
〉報告します。
多読開始2周年おめでとうございます!!
〉多読1周年で300万語を通過して以来、語数を数える
〉のをやめたので正確な語数は不明ですが、英語に関して
〉は約400万語前後と思われます。
〉多読2周年を経た感想ですが、英語に関しては、このま
〉まやって行けば大丈夫だという確信がしっかりと出来上
〉がり、日本語の読書に大分近づきつつあります。
〉そして、収穫としては、英語だけでなく、外国語一般に
〉対する恐怖感が薄れたこと、「多読」という方法論やそ
〉れを可能にしている原理についても興味が湧いてきたこ
〉とが挙げられます。
この問題は,私が多読を始めるまでの非常に長い間,いろいろと勉強し,そして悩んだことがある問題でした(過去完了).
2003年7月23日に多読を始めてからは,このような問題で悩むことはなくなりましたが,逆に,なぜ多読でだんだんと読めるように(そしてごく僅かずつですが,聴けるように)なっていくのかが不思議で不思議でたまりません.
その謎を知りたい,という衝動は日に日に高まっています.
こういう経緯ということもあって,慈幻さんの投稿をとても興味深く読ませていただきました.
〉■多読論考編
〉○多読と「言語獲得装置」
〉我々は普通3歳くらいになると片言ながらも言葉を話すよう
〉になります。
ORT1の後半のレベルですね!
〉そうすると、成人の「言語獲得装置」は、実際には眠っている
〉だけで、適切な条件さえ整えれば機能させ得るということにな
〉り、従来の第二言語習得研究に対して、理論的な面でも、非常
〉に大きな一石を投じる画期的な方法論であるとも言えます。
多読で,夢中になって楽しく読んでいる時,がまさにそういう時なのでしょうね.
ここいちさんは,このような時は「良いホルモンが出ている」とおっしゃっていますが,私もそのような時間を何度も経験しています.
私自身の場合,そのような時間がある程度の期間以上充分な時間続いた直後にYLの急上昇(飛躍)した例もあります.
〉○多読を開始できる条件
〉SSSでは、多読を始める前提として、日本の中学1年生レベ
〉ルの英語力、つまり、「英語多読開始の条件」としています。
〉これは、逆に言えば、全くの白紙状態から多読開始が可能に
〉なる状態までに学習を進展させる方法論は未開発であること
〉になります。
〉そして、このことが、英語以外の言語で多読をする際に意外
〉に大きな落とし穴になっているのではないかと思われます。
一度,時間ができれば,第2外国語で全く白紙の条件でどの程度多読を開始できるかどうか試してみたいのですが,残念ながら不可能なようですね.
〉と言うのも、「日本の中学1年生修了レベルの英語力」とい
〉うのが、意外にあなどれないこと、そして、他の言語に比べ
〉て、無意識に英語に接している機会が圧倒的に多いことがあ
〉げられます。
最近は,小学校卒業までに全く英語を勉強していなかった中学1年生4月初めの英語力も結構あなどれないと思います.
無意識に結構な量の英語に接しているのではないでしょうか?
〉○多読と語用論
〉「語用論」(pragmatics)とは、言語学の一分野で、一言でいえば、言
〉葉とその意味を、私たちが普段行っているコミュニケーションの場面
〉に即して、即ち、言葉の用いられた状況や文脈を踏まえて考えていこ
〉うとする学問のことです。
〉例えば、次のような会話を想像してみてください。東京に住むA君の
〉ところに、大阪にいる友達のB君から電話がかかってきたという場面
〉です。
〉B君 「東京の天気はどう?」
〉A君 「今、外は大雪だよ」
〉さて電話が終わった直後、A君は母親からおつかいを頼まれ、次のよ
〉うに答えました。
〉母親 「ちょっとおつかいに行ってきてくれない?」
〉A君 「今、外は大雪だよ」
〉A君の返事は、どちらの場合もまったく同じものです。しかし、その
〉意味はB君に対するものと母親に対するものとでは異なります。
〉B君への返事が意味しているのは、まさに文字通り、“今、外では大
〉雪が降っている”ということでしょう。
〉しかし、母親への返事が意味していることはそれだけではありません。
〉言外に、母親の頼みごとに対する拒否、つまり“おつかにいは行きた
〉くない”といったことも意味しています。このような“拒否”という
〉意味は、どう考えてもB君への返事の場合にはありません。
〉つまり、同じ「今、外は大雪だよ」という言葉が使われていても、そ
〉の意味は、状況やコンテクストによって、少なからず違ってくるので
〉す。
〉そして、まさにこの「語用論」上の「意味」を理解しようとすること
〉を重視し、そのことによって外国語を自然に習得することを目指すの
〉が「多読」だと言えます。
慈幻さんの言われる「語用論」上の「意味」に多量に触れることができるようになったのは,多読を開始してからです.
〉これに対して、従来の外国語学習においては、コミュニケーションの
〉状況やコンテクストに関わりなく決まる言葉の意味─「文字通りの意
〉味」(literal meaning)─をあつかう分野である「意味論」(semantics)
〉を前提とし、単語の文字通りの意味や文法規則を重視していると言え
〉ます。
私はSSS式多読を開始する前は,いわゆる勉強モードで,メソードを
組み立てようとまでしたこともあるのですが,「統語論」と「意味論」にこだわりすぎていたようです.
〉○多読と物語論
〉「物語論」(Narratology)とは、文学理論の一分野で、「物語」を「言
〉語学」や「記号学」をモデルに、その構造や機能の観点から分析しよう
〉とする学問です。
〉言語学において、有限の「音」を一定の規則によって組み合わせること
〉で、無数の言葉を生み出すという事態は、言語の構成要素として、「音
〉素」、「語」という下位レベルを想定し、それらが「文法」という一定
〉の規則によって組み合わせられることで、理論的にはほぼ無限に等しい
〉「文」が生み出されるという事象として分析されます。
〉同じように、物語論においては、有限の文や絵や音を組み合わせること
〉で、人々に「事件」を語り、様々な感情を引き起こすと言う事態は、
〉「機能」や「シーン」という下位レベルを想定し、それらが「物語文法」
〉という一定の規則によって組み合わせることで、理論的にはほぼ無限に
〉等しい「物語」が生み出されるという説明を試みようとしています。
〉先に語用論の議論において示したように、非常に大雑把に分類するな
〉らば、ある「文」の「意味」は、その文が持つ「文字通りの意味」
〉(literal meaning)と、「文脈における意味」(contextual meaning)
〉とに大別されます。言い換えるなら、ある「文」は、他の「文」との相
〉互的な関係によってしか「文脈における意味」(contextual meaning)
〉は決定することができないことになります。
〉そして、「物語論」という観点からすれば、「物語」の構成要素たる
〉「機能」や「シーン」は、複数の「文」が組み合わさることで成立し
〉ます。従って、これらの「機能」や「シーン」も、他の「機能」や
〉「シーン」との相互的な関係によってしか「文脈における意味」
〉(contextual meaning)は決定することができないと考えるべきで
〉しょう。
〉このように考えるならば、ある作品、即ち、「物語」における一つの
〉「語」の「文脈における意味」(contextual meaning)はどのように
〉決定されると言えるでしょうか。
〉例えば、「起」・「承」・「転」・「結」という、4つの「シーン」
〉で構成された非常に単純な「物語」を想定してみましょう。
〉4つの「シーン」は、1つ以上の「事件」によって構成されます。
〉「事件」とは、ある「舞台」において、誰か/何かによって「変化」
〉が起きることです。例えば、「起」では、登場人物や状況を分かりや
〉すく「提示」するべく、その登場人物の性格や環境を象徴する「事件」
〉が起こります。不幸な人物なら、ちょっとしたアクシデントが起こる
〉でしょうし、幸福な人物なら、彼の幸福さを示すちょっとした良いこ
〉とが起こるでしょう。
〉各「シーン」は、1つ以上の「機能」によって構成されます。「機能」
〉とは、「事件」を構成する「登場人物の行為」や「状況の変化」を指
〉します。例えば、「失恋」という「シーン」は、最低でも、「意中の
〉ヒロインに告白する」、「ヒロインに振られる」という2つの「機能」
〉を構成要素として必要とします。
〉各「機能」は、1つ以上の「文」によって構成されます。例えば、
〉「告白」という「機能」は、最低でも、「あなたが好きです」のよう
〉な「告白」をしていることを示す「文」を構成要素として必要としま
〉す。
〉各「文」は、1つ以上の「語」によって構成されます。例えば、「あ
〉なたが好きです。」という「文」は、「あなた」・「が」・「好き」・
〉「です」という4つの「語」によって構成されています。
〉非常に簡略化すれば、以下のように図示できるかもしれません。
〉 物語
〉 シーン − シーン
〉 機能 − 機能 − 機能
〉 文 文 文 文 文 文 文 文
〉
〉語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語
うわぁぁー,ピラミッド!
とてもわかりやすい図です.
「文」の上にある「機能」と「シーン」は「−」で結ばれているのは何か意味があるようですね.
〉さて、ある「物語」において、一つの「語」の「意味」はどのよう
〉に決定されるのでしょうか。
〉勿論、その「語」にも「文字通りの意味」(literal meaning)はある
〉でしょう。しかし、厳密に言うならば、その「語」の「文脈におけ
〉る意味」(contextual meaning)は、その「語」が属する「文」・
〉「機能」・「シーン」・「物語」全体の文脈との関連でしか決定で
〉きないと言うべきです。
〉このように、ある「物語」における一つの「語」は、「文」・「機能」
〉・「シーン」・「物語」という「文脈」を抜きにして理解することは
〉出来ません。
〉逆に言うと、その「物語」における様々な「文脈」を把握していれば、
〉「語」の「文字通りの意味」(literal meaning)を知らなくても、「文
〉脈における意味」(contextual meaning)を理解することが可能とも
〉言えるのです。
〉このように、「物語」の「文脈」から、一つの「語」の、「文脈におけ
〉る意味」(contextual meaning)把握することは十分に可能です。そし
〉て、それらの経験を積み重ねることで、逆に、その「語」の「文字通り
〉の意味」(literal meaning)に到達することも十分に可能なのではない
〉かと思います。
〉そして、ある「物語」において、一つの「語」の「意味」が他の「機能」
〉や「シーン」などとの関係性、即ち、「文脈」との関係でしか決定でき
〉ないということは、より上位レベルの構成単位にも当てはまります。
〉「文」も「機能」も「シーン」も、その「物語」における「文脈」によっ
〉て、その「意味」は決定されます。従って、その「語」の「意味」が「文
〉脈」から把握することが可能であるように、「文」も「機能」も「シーン」
〉も「文脈」からの把握が可能であることになります。
多読で文法が身に付く理由がやっとわかりました.
(最近,文法用語で「仮定法」と言われる用法が,文法で勉強したときの
イメージとかなり違ってきているように感じます.たぶん,多読を続ける
ことによって感じてきたイメージのほうがより自然なのでしょう!)
〉そして、正にこの『「文脈」による「意味」の把握』が可能であるからこ
〉そ、「分からないところは飛ばす」を「語」よりも上位のレベル、「文」・
〉・「機能」・「シーン」のレベルで行ったとしても、その「物語」の把
〉握は十分に可能です。
〉実際、通常の「物語」であっても、1ページ辺り数語や数文の未知の部分
〉があったとしても、読むのに支障はありません。そして、「物語」の規模
〉が大きくなるほど、一つの「語」や「文」の「文脈」における重要性は低
〉下します。極論を言えば、1段落、さらには1ページ丸ごと「読み飛ばし」
〉たとしても、その「物語」を楽しむことができます。
〉つまり、「分からないところは飛ばす」=「読み飛ばし」が可能なのは、
〉「物語」というものが、その構造として各構成要素が密接に関連している
〉ため、一部を理解できなくても全体を把握することが可能であると性質を
〉有しているからだと言えるでしょう。
今までの多読の体験を振り返ると,とてもよく理解できます.
やっと,長い間の謎が解けてきたようでうれしいです.
〉○「携帯留学」としての多読
〉NOVAのCMで「駅前留学」というフレーズがありますが、これに対抗して多
〉読は「携帯留学」とでも呼びたいと思います。
〉つまり、本を読むというのは、その本を通じてその言葉に触れると言うこ
〉とですから、外国語のレッスンを「留学」と見做せるなら、外国語の読書
〉も「留学」の一種と見做せるだろうと言う理屈です。
〉とは言え、そう言うだけでは面白くないので、ちょっとした数字遊びを。
〉英語多読の最初の目標として、100万語読むというのがあります。
〉これがどれくらいの量かというと、普通の日本人が英語を読む速度は、
〉1分間に120語程度ですから、1時間では7200語です。従って、
〉100万語読むのに、大体140時間掛かる計算です。
〉では、この140時間というのは、どのくらいの時間か、比較例を考え
〉て見ましょう。
〉高校生の交換留学を振興するAFSという団体において、「何語であれ、
〉3ヶ月滞在すれば、分かるようになる」と言う経験則があります。
〉そして、実際、私の経験に照らしてみても、大体3ヶ月くらいで何と
〉なくスペイン語が分かるようになったと記憶しています。
〉人が起きているのが、大体、1日8時間ですから、3ヶ月の留学とい
〉うのは、720時間の読書に相当するとしましょう。そうすると、こ
〉れを語数に換算すると、大体、500万語くらいとなります。
〉逆に、100万語=140時間というのは、留学にすると17日間くら
〉いの滞在期間に相当します。
〉短期の語学留学が2週間=14日くらいですから、100万語多読を
〉「携帯留学」というのも、あながち間違いではないかもしれません(笑)
「携帯留学」!
とってもいい響きですね.
そして,数字の計算結果も感覚的に(自然減衰の補正を加えれば)今の自分の語数に照らし合わせて,まさにその通りという感じです.
〉以上、長文・乱文となりましたが、今回はこれで失礼します。
とても貴重な報告ありがとうございます.
保存させていただき,何度も何度も読ませていただきました.
今後も,楽しく多読を続けていきたいと思います.
慈幻さんも楽しく多読を続けてください.
HAPPY READING!!
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お名前: 慈幻 http://mayavin.txt-nifty.com/labotadoku/
投稿日: 2005/5/13(22:37)
------------------------------
どうも慈幻です。
〉慈幻さん こんにちは
〉ありあけファン@212万語(多読)/3万2000語(多聴) です
〉〉本日、5月8日で、多読開始2周年となりましたので、
〉〉報告します。
〉多読開始2周年おめでとうございます!!
お祝いの言葉、どうも有難う御座います。
〉〉「多読」という方法論やそれを可能にしている原理についても
〉〉興味が湧いてきたことが挙げられます。
〉 この問題は,私が多読を始めるまでの非常に長い間,いろいろと
〉勉強し,そして悩んだことがある問題でした(過去完了).
〉2003年7月23日に多読を始めてからは,このような問題で悩むことは
〉なくなりましたが,逆に,なぜ多読でだんだんと読めるように(そ
〉してごく僅かずつですが,聴けるように)なっていくのかが不思議
〉で不思議でたまりません.
〉その謎を知りたい,という衝動は日に日に高まっています.
〉こういう経緯ということもあって,慈幻さんの投稿をとても興味深
〉く読ませていただきました.
私の屁理屈が少しでも参考になれば幸いです。
〉〉■多読論考編
〉〉○多読と「言語獲得装置」
(中略)
〉〉そうすると、成人の「言語獲得装置」は、実際には眠っている
〉〉だけで、適切な条件さえ整えれば機能させ得るということにな
〉〉り、従来の第二言語習得研究に対して、理論的な面でも、非常
〉〉に大きな一石を投じる画期的な方法論であるとも言えます。
〉多読で,夢中になって楽しく読んでいる時,がまさにそういう時
〉なのでしょうね.
〉ここいちさんは,このような時は「良いホルモンが出ている」と
〉おっしゃっていますが,私もそのような時間を何度も経験してい
〉ます.
〉私自身の場合,そのような時間がある程度の期間以上充分な時間
〉続いた直後にYLの急上昇(飛躍)した例もあります.
ホルモンかどうかは分かりませんが、脳内麻薬は確実に出てるかと
思います。つうか、「ランナーズ・ハイ」ならぬ、「リーダーズ・
ハイ」は結構あります(笑)
〉〉○多読を開始できる条件
〉〉SSSでは、多読を始める前提として、日本の中学1年生レベ
〉〉ルの英語力、つまり、「英語多読開始の条件」としています。
〉〉これは、逆に言えば、全くの白紙状態から多読開始が可能に
〉〉なる状態までに学習を進展させる方法論は未開発であること
〉〉になります。
〉〉そして、このことが、英語以外の言語で多読をする際に意外
〉〉に大きな落とし穴になっているのではないかと思われます。
〉 一度,時間ができれば,第2外国語で全く白紙の条件でどの
〉程度多読を開始できるかどうか試してみたいのですが,残念な
〉がら不可能なようですね.
いえ、「未開発」なだけで、「不可能」ではないと思います。で
すから、様々な方が挑戦する過程で、徐々にその方法論が確立さ
れて行くと思いますので、ありあけファンさんも挑戦されてみる
というの一つの手です(笑)
〉〉と言うのも、「日本の中学1年生修了レベルの英語力」とい
〉〉うのが、意外にあなどれないこと、そして、他の言語に比べ
〉〉て、無意識に英語に接している機会が圧倒的に多いことがあ
〉〉げられます。
〉最近は,小学校卒業までに全く英語を勉強していなかった中学
〉1年生4月初めの英語力も結構あなどれないと思います.
〉無意識に結構な量の英語に接しているのではないでしょうか?
私が子供の頃より、無意識の接触量は増えてるような気がします。
もっとも、それがどう影響するかは分かりませんが。
〉〉○多読と語用論
〉〉「語用論」(pragmatics)とは、言語学の一分野で、一言でいえば、言
〉〉葉とその意味を、私たちが普段行っているコミュニケーションの場面
〉〉に即して、即ち、言葉の用いられた状況や文脈を踏まえて考えていこ
〉〉うとする学問のことです。
(中略)
〉〉そして、まさにこの「語用論」上の「意味」を理解しようとすること
〉〉を重視し、そのことによって外国語を自然に習得することを目指すの
〉〉が「多読」だと言えます。
〉慈幻さんの言われる「語用論」上の「意味」に多量に触れることができ
〉るようになったのは,多読を開始してからです.
従来の学習法では、「物語」の「内容」にまで意識を向けさせるのは至難
の技でしたからね。
〉〉これに対して、従来の外国語学習においては、コミュニケーションの
〉〉状況やコンテクストに関わりなく決まる言葉の意味─「文字通りの意
〉〉味」(literal meaning)─をあつかう分野である「意味論」(semantics)
〉〉を前提とし、単語の文字通りの意味や文法規則を重視していると言え
〉〉ます。
〉 私はSSS式多読を開始する前は,いわゆる勉強モードで,メソードを
〉組み立てようとまでしたこともあるのですが,「統語論」と「意味論」に
〉こだわりすぎていたようです.
日本に限らず、通常の外国語学習法が、そこに止まってますから、仕方ない
と思いますが・・・
〉〉○多読と物語論
(中略)
〉〉非常に簡略化すれば、以下のように図示できるかもしれません。
〉〉 物語
〉〉 シーン − シーン
〉〉 機能 − 機能 − 機能
〉〉 文 文 文 文 文 文 文 文
〉〉
〉〉語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語
〉うわぁぁー,ピラミッド!
〉とてもわかりやすい図です.
〉「文」の上にある「機能」と「シーン」は「−」で結ばれているの
〉は何か意味があるようですね.
「機能」にしろ、「シーン」にしろ、ある種の論理的関係があって、
初めて「物語」が成立するという含みです。
詳細を話し出すと、多読とは関係ない話になるので、割愛してます。
〉〉○「携帯留学」としての多読
(中略)
〉「携帯留学」!
〉とってもいい響きですね.
〉そして,数字の計算結果も感覚的に(自然減衰の補正を加えれ
〉ば)今の自分の語数に照らし合わせて,まさにその通りという
〉感じです.
英会話の受講料を補助するくらいなら、英語多読をしている社会
人の本代を補助してくれないかな〜とか思う今日この頃(笑)
以上、用件のみですが、今回はこれで失礼します。
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お名前: 酒井@快読100万語!
投稿日: 2005/5/15(12:10)
------------------------------
慈幻さん、ありあけファンさん、こんにちは!
〉〉〉「多読」という方法論やそれを可能にしている原理についても
〉〉〉興味が湧いてきたことが挙げられます。
これはね、言語学関係で、いまいちばんホットな、
いや、ホットであっても不思議はない分野だと思うんだけど。
〉〉 この問題は,私が多読を始めるまでの非常に長い間,いろいろと
〉〉勉強し,そして悩んだことがある問題でした(過去完了).
〉〉2003年7月23日に多読を始めてからは,このような問題で悩むことは
〉〉なくなりましたが,逆に,なぜ多読でだんだんと読めるように(そ
〉〉してごく僅かずつですが,聴けるように)なっていくのかが不思議
〉〉で不思議でたまりません.
〉〉その謎を知りたい,という衝動は日に日に高まっています.
〉〉こういう経緯ということもあって,慈幻さんの投稿をとても興味深
〉〉く読ませていただきました.
〉私の屁理屈が少しでも参考になれば幸いです。
ありあけファンさんのお考えもそのうち聞かせてください。
〉〉〉■多読論考編
〉〉〉○多読と「言語獲得装置」
〉(中略)
〉〉〉そうすると、成人の「言語獲得装置」は、実際には眠っている
〉〉〉だけで、適切な条件さえ整えれば機能させ得るということにな
〉〉〉り、従来の第二言語習得研究に対して、理論的な面でも、非常
〉〉〉に大きな一石を投じる画期的な方法論であるとも言えます。
〉〉多読で,夢中になって楽しく読んでいる時,がまさにそういう時
〉〉なのでしょうね.
〉〉ここいちさんは,このような時は「良いホルモンが出ている」と
〉〉おっしゃっていますが,私もそのような時間を何度も経験してい
〉〉ます.
〉〉私自身の場合,そのような時間がある程度の期間以上充分な時間
〉〉続いた直後にYLの急上昇(飛躍)した例もあります.
〉ホルモンかどうかは分かりませんが、脳内麻薬は確実に出てるかと
〉思います。つうか、「ランナーズ・ハイ」ならぬ、「リーダーズ・
〉ハイ」は結構あります(笑)
いや、ここいちさんの「良いホルモン仮説」は本気で取り組まなきゃ
いけないなと思ってるんですよ。
非常に簡単に言い切ってしまうと、「リーダーズ・ハイ」の状態が
おとなをこどもにしてしまうので、杏樹さんのフランス語も可能に
なる・・・
いや、まだまだいろいろみなさんの報告を詳しく読んで行かなきゃ
行けませんが、ある年齢になると働かなくなるはずの「言語獲得装置」
が実は眠っていただけだとすると、これは外国語獲得理論解明の
革命ですね。
〉〉〉○多読を開始できる条件
〉〉〉SSSでは、多読を始める前提として、日本の中学1年生レベ
〉〉〉ルの英語力、つまり、「英語多読開始の条件」としています。
〉〉〉これは、逆に言えば、全くの白紙状態から多読開始が可能に
〉〉〉なる状態までに学習を進展させる方法論は未開発であること
〉〉〉になります。
〉〉〉そして、このことが、英語以外の言語で多読をする際に意外
〉〉〉に大きな落とし穴になっているのではないかと思われます。
〉〉 一度,時間ができれば,第2外国語で全く白紙の条件でどの
〉〉程度多読を開始できるかどうか試してみたいのですが,残念な
〉〉がら不可能なようですね.
〉いえ、「未開発」なだけで、「不可能」ではないと思います。で
〉すから、様々な方が挑戦する過程で、徐々にその方法論が確立さ
〉れて行くと思いますので、ありあけファンさんも挑戦されてみる
〉というの一つの手です(笑)
親子の広場の投稿から、そしてぼうが実際に子どもたちを見て、
中学1年生程度の「英語力」は必要ないと思われます。
あれを書いたときにも(「快読100万語!)、本当は英語の知識は
ゼロからはじめられると予想していたのですが、実例がなくて、
そう言いきれなかった・・・
〉〉〉と言うのも、「日本の中学1年生修了レベルの英語力」とい
〉〉〉うのが、意外にあなどれないこと、そして、他の言語に比べ
〉〉〉て、無意識に英語に接している機会が圧倒的に多いことがあ
〉〉〉げられます。
〉〉最近は,小学校卒業までに全く英語を勉強していなかった中学
〉〉1年生4月初めの英語力も結構あなどれないと思います.
〉〉無意識に結構な量の英語に接しているのではないでしょうか?
〉私が子供の頃より、無意識の接触量は増えてるような気がします。
〉もっとも、それがどう影響するかは分かりませんが。
何人かの子どもたち(小学低学年以下)を見ると、英語に接触している
とは考えなくてもいいような気がします。
〉〉〉○多読と語用論
〉〉〉「語用論」(pragmatics)とは、言語学の一分野で、一言でいえば、言
〉〉〉葉とその意味を、私たちが普段行っているコミュニケーションの場面
〉〉〉に即して、即ち、言葉の用いられた状況や文脈を踏まえて考えていこ
〉〉〉うとする学問のことです。
〉(中略)
〉〉〉そして、まさにこの「語用論」上の「意味」を理解しようとすること
〉〉〉を重視し、そのことによって外国語を自然に習得することを目指すの
〉〉〉が「多読」だと言えます。
〉〉慈幻さんの言われる「語用論」上の「意味」に多量に触れることができ
〉〉るようになったのは,多読を開始してからです.
〉従来の学習法では、「物語」の「内容」にまで意識を向けさせるのは至難
〉の技でしたからね。
そう、至難だったので、単語や文法に注目した。
ところが多読の効果をいろいろ見ていると、物語(語用論上の意味)から
はいって単語や文法に下がっていく方が理にかなっているらしいと
わかってきたと思います。
〉〉〉これに対して、従来の外国語学習においては、コミュニケーションの
〉〉〉状況やコンテクストに関わりなく決まる言葉の意味─「文字通りの意
〉〉〉味」(literal meaning)─をあつかう分野である「意味論」(semantics)
〉〉〉を前提とし、単語の文字通りの意味や文法規則を重視していると言え
〉〉〉ます。
〉〉 私はSSS式多読を開始する前は,いわゆる勉強モードで,メソードを
〉〉組み立てようとまでしたこともあるのですが,「統語論」と「意味論」に
〉〉こだわりすぎていたようです.
〉日本に限らず、通常の外国語学習法が、そこに止まってますから、仕方ない
〉と思いますが・・・
あんなに良いGRや、ORTやLLLを作っているイギリスでも、
出版社自体が「物語から英語へ」というトップ・ダウンの道を意識
してはいないのです。これから先の仕事の量を考えると、楽しみ!
〉〉〉○多読と物語論
〉(中略)
〉〉〉非常に簡略化すれば、以下のように図示できるかもしれません。
〉〉〉 物語
〉〉〉 シーン − シーン
〉〉〉 機能 − 機能 − 機能
〉〉〉 文 文 文 文 文 文 文 文
〉〉〉
〉〉〉語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語
〉〉うわぁぁー,ピラミッド!
〉〉とてもわかりやすい図です.
〉〉「文」の上にある「機能」と「シーン」は「−」で結ばれているの
〉〉は何か意味があるようですね.
〉「機能」にしろ、「シーン」にしろ、ある種の論理的関係があって、
〉初めて「物語」が成立するという含みです。
〉詳細を話し出すと、多読とは関係ない話になるので、割愛してます。
関係ない部分も含めて、ぜひじっくりお話ししたいですね。
今度の多読学会で、こうした「理論面」についての分科会もあると
いいですね!
では、この先この話題がたくさんの人の参加で深まっていくことを
祈りつつ・・・ Happy reading!
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5650. 「多読理論研究クラブ」が必要?−多読の理論化について−
お名前: 慈幻 http://mayavin.txt-nifty.com/labotadoku/
投稿日: 2005/5/16(22:25)
------------------------------
どうも慈幻です。
〉慈幻さん、ありあけファンさん、こんにちは!
〉〉〉〉「多読」という方法論やそれを可能にしている原理についても
〉〉〉〉興味が湧いてきたことが挙げられます。
〉これはね、言語学関係で、いまいちばんホットな、
〉いや、ホットであっても不思議はない分野だと思うんだけど。
私がちょっと検索した範囲ですが、
http://www.extensivereading.net/er/er.html
http://nflrc.hawaii.edu/rfl/
http://www.readingmatrix.com/journal.html
なんかで、多読に関する論文が読めます。
ただ、これらの論文について、日本語で言及したものを読んだことが
ないので、アメリカやイギリスではともかく、日本では、あまりまと
もな研究がされていないのではないかと。
また、イギリスやアメリカでも、社会人に対して、SSSのような形で
大規模に実施した例はないようなので、論文にまとめて投稿すれば、
結構面白い反応が返ってくるのではないかと。
と、言うわけで、酒井先生、英語でそういう論文を書いて上記のオン
ライン・ジャーナルとかに投稿して頂けませんか?(笑)
〉〉〉〉■多読論考編
〉〉〉〉○多読と「言語獲得装置」
〉〉(中略)
〉〉〉〉そうすると、成人の「言語獲得装置」は、実際には眠っている
〉〉〉〉だけで、適切な条件さえ整えれば機能させ得るということにな
〉〉〉〉り、従来の第二言語習得研究に対して、理論的な面でも、非常
〉〉〉〉に大きな一石を投じる画期的な方法論であるとも言えます。
〉〉〉多読で,夢中になって楽しく読んでいる時,がまさにそういう時
〉〉〉なのでしょうね.
〉〉〉ここいちさんは,このような時は「良いホルモンが出ている」と
〉〉〉おっしゃっていますが,私もそのような時間を何度も経験してい
〉〉〉ます.
〉〉〉私自身の場合,そのような時間がある程度の期間以上充分な時間
〉〉〉続いた直後にYLの急上昇(飛躍)した例もあります.
〉〉ホルモンかどうかは分かりませんが、脳内麻薬は確実に出てるかと
〉〉思います。つうか、「ランナーズ・ハイ」ならぬ、「リーダーズ・
〉〉ハイ」は結構あります(笑)
〉いや、ここいちさんの「良いホルモン仮説」は本気で取り組まなきゃ
〉いけないなと思ってるんですよ。
〉非常に簡単に言い切ってしまうと、「リーダーズ・ハイ」の状態が
〉おとなをこどもにしてしまうので、杏樹さんのフランス語も可能に
〉なる・・・
「ホルモン」というか、「脳内麻薬の分泌」によって誘発される「リ
ーダーズ・ハイ」の状態は、一種の「変性意識状態」ですから、「批
判力の低下」や「集中力の亢進」などが起こり、通常以上に学習効果
が高まることは十分考えられます。
また、「変性意識状態」において、「感覚の鋭敏化」や「記憶力の増
幅」なども見られますから、「Happy Reading」=「リーダーズ・ハ
イ」により、言語習得率が飛躍的に向上するというのは、非常にあり
そうな話です。
〉いや、まだまだいろいろみなさんの報告を詳しく読んで行かなきゃ
〉行けませんが、ある年齢になると働かなくなるはずの「言語獲得装置」
〉が実は眠っていただけだとすると、これは外国語獲得理論解明の
〉革命ですね。
ただ、それを言う為には、せめて、多読開始前と、100万語終了後に、
ある程度客観的に英語力を測定できるテストか何かを行い、統計的に
有意な差が出ることを証明した上でないと、追試実験を誰もしてくれ
ないので、主張するのも難しいのではないかと。
〉〉〉〉○多読を開始できる条件
〉〉〉〉SSSでは、多読を始める前提として、日本の中学1年生レベ
〉〉〉〉ルの英語力、つまり、「英語多読開始の条件」としています。
〉〉〉〉これは、逆に言えば、全くの白紙状態から多読開始が可能に
〉〉〉〉なる状態までに学習を進展させる方法論は未開発であること
〉〉〉〉になります。
〉親子の広場の投稿から、そしてぼうが実際に子どもたちを見て、
〉中学1年生程度の「英語力」は必要ないと思われます。
〉あれを書いたときにも(「快読100万語!)、本当は英語の知識は
〉ゼロからはじめられると予想していたのですが、実例がなくて、
〉そう言いきれなかった・・・
〉何人かの子どもたち(小学低学年以下)を見ると、英語に接触している
〉とは考えなくてもいいような気がします。
ただ、別の所で杏樹さんが仰られているように、ORTなどの学習書が
充実している英語ならそれも可能かもしれませんが、学習書がそれほ
ど充実していない他言語でそれをやるにはまだ敷居が高いと思われま
す。
〉○多読と語用論
〉「語用論」(pragmatics)とは、言語学の一分野で、一言でいえば、言
〉葉とその意味を、私たちが普段行っているコミュニケーションの場面
〉に即して、即ち、言葉の用いられた状況や文脈を踏まえて考えていこ
〉うとする学問のことです。
〉(中略)
〉そして、まさにこの「語用論」上の「意味」を理解しようとすること
〉を重視し、そのことによって外国語を自然に習得することを目指すの
〉が「多読」だと言えます。
〉慈幻さんの言われる「語用論」上の「意味」に多量に触れることができ
〉るようになったのは,多読を開始してからです.
〉従来の学習法では、「物語」の「内容」にまで意識を向けさせるのは至難
〉の技でしたからね。
〉そう、至難だったので、単語や文法に注目した。
〉ところが多読の効果をいろいろ見ていると、物語(語用論上の意味)から
〉はいって単語や文法に下がっていく方が理にかなっているらしいと
〉わかってきたと思います。
ただ、これも証明するには、実証研究をしないと、言語学や教育学の人たち
を説得するのは難しいのではないかと(苦笑)
〉これに対して、従来の外国語学習においては、コミュニケーションの
〉状況やコンテクストに関わりなく決まる言葉の意味─「文字通りの意
〉味」(literal meaning)─をあつかう分野である「意味論」(semantics)
〉を前提とし、単語の文字通りの意味や文法規則を重視していると言え
〉ます。
〉 私はSSS式多読を開始する前は,いわゆる勉強モードで,メソードを
〉組み立てようとまでしたこともあるのですが,「統語論」と「意味論」に
〉こだわりすぎていたようです.
〉日本に限らず、通常の外国語学習法が、そこに止まってますから、仕方
〉ないと思いますが・・・
〉あんなに良いGRや、ORTやLLLを作っているイギリスでも、
〉出版社自体が「物語から英語へ」というトップ・ダウンの道を意識
〉してはいないのです。これから先の仕事の量を考えると、楽しみ!
実証研究の手間、特に、ある程度客観性を持ち、かつ、対象者にとって
「多読の楽しさ」を損なわないような「測定方法」の開発が急務かと思
われますので、酒井先生の奮闘努力に期待しております(笑)
〉○多読と物語論
〉(中略)
〉非常に簡略化すれば、以下のように図示できるかもしれません。
〉 物語
〉 シーン − シーン
〉 機能 − 機能 − 機能
〉 文 文 文 文 文 文 文 文
〉語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語
〉うわぁぁー,ピラミッド!
〉とてもわかりやすい図です.
〉「文」の上にある「機能」と「シーン」は「−」で結ばれているの
〉は何か意味があるようですね.
〉「機能」にしろ、「シーン」にしろ、ある種の論理的関係があって、
〉初めて「物語」が成立するという含みです。
〉詳細を話し出すと、多読とは関係ない話になるので、割愛してます。
〉関係ない部分も含めて、ぜひじっくりお話ししたいですね。
了解です。
〉今度の多読学会で、こうした「理論面」についての分科会もあると
〉いいですね!
そういうのでしたら是非参加してみたいです。
〉では、この先この話題がたくさんの人の参加で深まっていくことを
〉祈りつつ・・・ Happy reading!
数百万語以上読んだタドキストで、多読に関する教育学や言語学に関
する英語の論文なんかを読む「多読理論研究クラブ」とかを作る必要
があるのかもしれませんね(笑)
以上、用件のみですが、今回はこれで失礼します。
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5613. Re: 多読開始2周年報告(長文・乱文注意。「読み飛ばし」推奨!)
お名前: yamasina
投稿日: 2005/5/12(00:19)
------------------------------
こんにちは。yamasinaと申します。
めっちゃおもしろい投稿でした。
特に物語論のあたり。
世の中、「前置詞や冠詞がちょっと違うだけで意味がこんなに違う!覚えとけ!」
みたいなのが多いですが、実際本を読む分には覚えとく必要はほんとにないなあ
と思います。
ではでは。
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5630. 多分、英語の先生は「読み飛ばし」を習得してないのでしょう(苦笑)
お名前: 慈幻 http://mayavin.txt-nifty.com/labotadoku/
投稿日: 2005/5/13(22:40)
------------------------------
どうも慈幻です。
〉こんにちは。yamasinaと申します。
〉めっちゃおもしろい投稿でした。
〉特に物語論のあたり。
私の屁理屈が少しでも参考になったのなら幸いです。
〉世の中、「前置詞や冠詞がちょっと違うだけで意味が
〉こんなに違う!覚えとけ!」みたいなのが多いですが、
〉実際本を読む分には覚えとく必要はほんとにないなあ
〉と思います。
覚えなくても、たくさん読んでると、知らない間に身に
ついているでしょうね。
多分、日本の英語の先生は、「読み飛ばし」を習得して
いないか、自覚できないのでしょう。
以上、用件のみですが、今回はこれで失礼します。
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5636. Re: 多読開始2周年報告(長文・乱文注意。「読み飛ばし」推奨!)
お名前: 杏樹
投稿日: 2005/5/14(15:47)
------------------------------
慈幻さん、こんにちは。
先に横入りだけしましたが、ここらでお返事を。
物語論のところだけなんですけれども…。
〉非常に簡略化すれば、以下のように図示できるかもしれません。
〉 物語
〉 シーン − シーン
〉 機能 − 機能 − 機能
〉 文 文 文 文 文 文 文 文
〉
〉語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語
この図は面白いですね。
今までの語学学習では一番下位の「語」を重視し、文法によって文章を組み立てたり解釈して…と、下から上へ上がっていくのが常識でした。土台を固めないと上にはいけないぞ、という考えです。しかし特に語彙レベルのみで英語レベルを測ったり、単語の暗記を重視するのは多読をしてみると違和感を感じるようになります。
で、多読的に外国語がわかるようになるのにはこの図の「上から下へ」という働きがポイントなんですね。
このあいだの自分のフランス語報告に結びつくような気がするんです。
下位層の「語」の理解も「文」の理解も極めて乏しいまま、それでも「物語」を感じることができると、そのまま「読む」ことができたりします。英語でも難しいと思っていた本が「呼ばれて」「読みたい」と思って読んだとき、飛ばしまくっても語彙が足りなくても、読んでしまったという報告はよくあります。そんな時は細かい「語」レベルはどうでも、「物語」をつかんでいるわけです。そして「物語」をつかむことできればそれより下位の理解をカバーできるわけです。
そして多読が進んでレベルが上がっていくと、下位層の理解も増えて、より細かい内容がわかるようになる。
まず上部の「物語」重視で読み進めていくことが「わからないところは飛ばす」ということにもなるわけです。下位の「語」や「文」のひとつや二つや三つや四つ飛ばしても本は読める、ということを裏付けられます。
〉そして、ある「物語」において、一つの「語」の「意味」が他の「機能」
〉や「シーン」などとの関係性、即ち、「文脈」との関係でしか決定でき
〉ないということは、より上位レベルの構成単位にも当てはまります。
〉「文」も「機能」も「シーン」も、その「物語」における「文脈」によっ
〉て、その「意味」は決定されます。従って、その「語」の「意味」が「文
〉脈」から把握することが可能であるように、「文」も「機能」も「シーン」
〉も「文脈」からの把握が可能であることになります。
〉そして、正にこの『「文脈」による「意味」の把握』が可能であるからこ
〉そ、「分からないところは飛ばす」を「語」よりも上位のレベル、「文」・
〉・「機能」・「シーン」のレベルで行ったとしても、その「物語」の把
〉握は十分に可能です。
まさしくその物語における「語」の意味は、その「物語」の中で解釈してこそ、なのですね。辞書による意味よりも、「物語」の中での役割を理解することが単語理解に重要なわけです。
〉実際、通常の「物語」であっても、1ページ辺り数語や数文の未知の部分
〉があったとしても、読むのに支障はありません。そして、「物語」の規模
〉が大きくなるほど、一つの「語」や「文」の「文脈」における重要性は低
〉下します。極論を言えば、1段落、さらには1ページ丸ごと「読み飛ばし」
〉たとしても、その「物語」を楽しむことができます。
そうですね。私がフランス語の絵本を読んでもわからないのにいきなり児童書に手を出そうとしたのも、語数の少ない絵本のほうが「語」の重要性が大きいからわからないのではないかという気がしたんです。おおまかな「物語」を把握できたらかえってその方が読めるのではないかという気がしたんです。
〉つまり、「分からないところは飛ばす」=「読み飛ばし」が可能なのは、
〉「物語」というものが、その構造として各構成要素が密接に関連している
〉ため、一部を理解できなくても全体を把握することが可能であると性質を
〉有しているからだと言えるでしょう。
従来型学習法の考えでは多読法の利点を理解してもらうのは難しいことがあり、特に「辞書を引かないでどうして単語の意味がわかるのか」という疑問は根強いです。そんな時、この図を利用して、「下から上への積み上げ学習」と「上から下へのトップダウン学習」の違いを説明するとわかりやすいのではないかと思います。
ここまで多読を理論化できるなんてすばらしいです。
読んでても面白い報告でした。
それでは…。
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お名前: 慈幻 http://mayavin.txt-nifty.com/labotadoku/
投稿日: 2005/5/16(22:36)
------------------------------
どうも慈幻です。
〉慈幻さん、こんにちは。
〉先に横入りだけしましたが、ここらでお返事を。
〉物語論のところだけなんですけれども…。
〉〉非常に簡略化すれば、以下のように図示できるかもしれません。
〉〉 物語
〉〉 シーン − シーン
〉〉 機能 − 機能 − 機能
〉〉 文 文 文 文 文 文 文 文
〉〉
〉〉語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語
〉この図は面白いですね。
〉今までの語学学習では一番下位の「語」を重視し、文法によって
〉文章を組み立てたり解釈して…と、下から上へ上がっていくのが
〉常識でした。土台を固めないと上にはいけないぞ、という考えで
〉す。しかし特に語彙レベルのみで英語レベルを測ったり、単語の
〉暗記を重視するのは多読をしてみると違和感を感じるようになり
〉ます。
〉で、多読的に外国語がわかるようになるのにはこの図の「上から
〉下へ」という働きがポイントなんですね。
〉このあいだの自分のフランス語報告に結びつくような気がするん
〉です。
〉下位層の「語」の理解も「文」の理解も極めて乏しいまま、それ
〉でも「物語」を感じることができると、そのまま「読む」ことが
〉できたりします。英語でも難しいと思っていた本が「呼ばれて」
〉「読みたい」と思って読んだとき、飛ばしまくっても語彙が足り
〉なくても、読んでしまったという報告はよくあります。そんな時
〉は細かい「語」レベルはどうでも、「物語」をつかんでいるわけ
〉です。そして「物語」をつかむことできればそれより下位の理解
〉をカバーできるわけです。
〉そして多読が進んでレベルが上がっていくと、下位層の理解も増
〉えて、より細かい内容がわかるようになる。
〉まず上部の「物語」重視で読み進めていくことが「わからないと
〉ころは飛ばす」ということにもなるわけです。下位の「語」や
〉「文」のひとつや二つや三つや四つ飛ばしても本は読める、とい
〉うことを裏付けられます。
独語版漫画多読が何故続けられたのか、そして、続けることで何故
独語が読めるようになるのか。その原理と効用を私なりに理屈付け
ようと四苦八苦した結果が、「語用論」や「物語論」の理論を利用
した上記の理論化です。
ただ、言語学も文学理論もきちんと勉強した訳ではないので、あく
までも「私が理解した『語用論』・『物語論』の理論」ですので、
私の勘違いや読み違えはあるかもしれません(苦笑)
〉まさしくその物語における「語」の意味は、その「物語」の中で解釈
〉してこそ、なのですね。辞書による意味よりも、「物語」の中での役
〉割を理解することが単語理解に重要なわけです。
その通りです。その為に、議論の前段として、「語用論」を出して、
「文脈」の重要性を指摘した訳です。
〉そうですね。私がフランス語の絵本を読んでもわからないのにいきな
〉り児童書に手を出そうとしたのも、語数の少ない絵本のほうが「語」
〉の重要性が大きいからわからないのではないかという気がしたんです。
〉おおまかな「物語」を把握できたらかえってその方が読めるのではな
〉いかという気がしたんです。
独語でも、MTHの独語版の方が、絵本よりも易しく感じます。これは、
「物語」を把握できているので、「語」や「文」が理解しやすいという
実例かもしれません。
〉従来型学習法の考えでは多読法の利点を理解してもらうのは難しい
〉ことがあり、特に「辞書を引かないでどうして単語の意味がわかる
〉のか」という疑問は根強いです。そんな時、この図を利用して、
〉「下から上への積み上げ学習」と「上から下へのトップダウン学習」
〉の違いを説明するとわかりやすいのではないかと思います。
成る程。「トップダウン」と「ボトムアップ」の違いですね。
〉ここまで多読を理論化できるなんてすばらしいです。
〉読んでても面白い報告でした。
少しでも参考になれば幸いです。
以上、用件のみですが、今回はこれで失礼します。