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お名前: スニフ
投稿日: 2015/6/2(19:12)
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"杏樹"さんは[url:kb:13221]で書きました:
〉複雑なのは綴りと発音の不規則性です。
〉これには理由があると読んだことがあるのですがうろ覚えで。たしか近世まではある程度発音に即していたのが、ある時期発音が大きく変化して表記の方がついていかなかったとか…。
母音の変化については、大母音遷移というのが、中英語期後期(1400年台)から近代英語期の初め(1600年台)までに起きたのが顕著で、長母音が2重母音に移っていって、a:=>ε:=>e:=>i:=>ai, ο:=>o:=>u:=>au という風にずれた。
結果、name は、ナーメだったのが、ネイムになった。
find も フィンドだったのが、ファインドになり、cheezeも、チェーズがチーズになった。
(A,B,C が、アベセでなく、エイビーシーなのもたぶんそのせい)
子音に関しては、紀元前にさかのぼるけれども、グリムの法則+ベルネルの法則と呼ばれる変化があって、bh=>b=>p=>f, dh=>d=>t=>th, gh=>g=>k=>h とずれていった。結果、knight の kやgh は発音されなくなった。
>ただ、中世イングランドでは国王がフランス国王の臣下だったこともあって、
11世紀の、ノルマン征服の結果、フランス語からの語彙が、大量に流入したせいで、英語の語彙は、最頻1000語程度は、元々の英語由来の単語が優勢なものの、最頻3000語レベルになると、もう、外来語の方が多い状態になる。ゲルマン語系列の単語は、最初の音節にアクセントがあることが多いが、フランス語由来のものは、最後の音節にアクセントがくることが多くなって、アクセントの位置が不規則になった。
11世紀以前の英語は、ゲルマン系の風合が大きくて、まさにゲルマン系とおもいますが、まるで違う言語みたい(ドイツ語に近い)で、これを今の英語と同列に呼ぶのはちょっと抵抗がありますね。
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お名前: 柊
投稿日: 2015/6/3(16:35)
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"スニフ"さんは[url:kb:13241]で書きました:
〉"杏樹"さんは[url:kb:13221]で書きました:
スニフさん、こんにちは。
〉〉複雑なのは綴りと発音の不規則性です。
〉〉これには理由があると読んだことがあるのですがうろ覚えで。たしか近世まではある程度発音に即していたのが、ある時期発音が大きく変化して表記の方がついていかなかったとか…。
〉母音の変化については、大母音遷移というのが、中英語期後期(1400年台)から近代英語期の初め(1600年台)までに起きたのが顕著で、長母音が2重母音に移っていって、a:=>ε:=>e:=>i:=>ai, ο:=>o:=>u:=>au という風にずれた。
〉結果、name は、ナーメだったのが、ネイムになった。
〉find も フィンドだったのが、ファインドになり、cheezeも、チェーズがチーズになった。
〉(A,B,C が、アベセでなく、エイビーシーなのもたぶんそのせい)
ふーむ。ジェームズ欽定聖書だと少し今の英語と違うのは、固まりきっていなかったからでしょうか。三単現のsがあの当時、thだったりするのを、歴史的文書で見たりします。
〉子音に関しては、紀元前にさかのぼるけれども、グリムの法則+ベルネルの法則と呼ばれる変化があって、bh=>b=>p=>f, dh=>d=>t=>th, gh=>g=>k=>h とずれていった。結果、knight の kやgh は発音されなくなった。
あの発音しない音にも法則性があるんですね。
〉>ただ、中世イングランドでは国王がフランス国王の臣下だったこともあって、
〉11世紀の、ノルマン征服の結果、フランス語からの語彙が、大量に流入したせいで、英語の語彙は、最頻1000語程度は、元々の英語由来の単語が優勢なものの、最頻3000語レベルになると、もう、外来語の方が多い状態になる。ゲルマン語系列の単語は、最初の音節にアクセントがあることが多いが、フランス語由来のものは、最後の音節にアクセントがくることが多くなって、アクセントの位置が不規則になった。
フランス語系かゲルマン語(ドイツ語?)系かがわかれば、ある程度見当はつくということですか。
〉11世紀以前の英語は、ゲルマン系の風合が大きくて、まさにゲルマン系とおもいますが、まるで違う言語みたい(ドイツ語に近い)で、これを今の英語と同列に呼ぶのはちょっと抵抗がありますね。
11世紀以前の英語は、歴史書でも読んだことがないので(その頃の人で興味のある人がいないから)わからないのですが、残っているものなのですか! 日本でも古文書が残っているのは知っていますが、すごいですね。
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"柊"さんは[url:kb:13244]で書きました:
〉11世紀以前の英語は、歴史書でも読んだことがないので(その頃の人で興味のある人がいないから)わからないのですが、残っているものなのですか! 日本でも古文書が残っているのは知っていますが、すごいですね。
「主の祈り」を比べてみると、
日本語:
天にまします我らの父よ、御名が尊ばれますように
御国が来ますように、御旨の天に行なわれるがごとく
地にも行なわれますように
KJV(1604):
Our Father which art in heaven, Hallowed be thy name. Thy kingdom come. Thy will be done in earth, as it is in heaven.
古英語(11世紀)
Thu ure faeder, the eart on heofonum, sy thin nama gehalgod.
Cume dhin wylla on eordhan swaswa on heofonum.
(上の古英語で、th , dh, g は、今のアルファベットに対応するものがないので、置き換えています。th は p の縦の棒を上に伸ばしたような文字、dh は、the の発音記号に使われているような 6をひっくり返したような文字、g は、筆記体の z のような文字です。)
古英語だと、2人称単数も残っているし、格変化も残っているし、gehalgodのge- は、ドイツ語の ge- と多分同じ使い方だと思います。
KJVになると、2人称単数と活用は残っているものの、格変化はほぼ無くなっていますね。シェイクスピアがほぼこの時代だから、シェイクスピアまでは、2人称単数の、thou, thy, thee, thine と、若干の活用の癖(2人称単数の -st, 3人称単数の -thとか)を覚えればそれほど苦労せずに読めます。
さすがに、聖書関係は、黙示録に「もしこれに書き加える者があれば、神はその人に、この書に書かれている災害を加えられる。」と警告されているだけあってかなり忠実に残っているみたいです。どの書が正典なのかなんて話は当時の派閥争いも関係しているらしいですけど。