[掲示板: 〈過去ログ〉PBの掲示板(ネタバレ可) -- 最新メッセージID: 1182 // 時刻: 2024/11/24(09:45)]
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お名前: 間者猫 http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/6250/
投稿日: 2004/1/22(06:30)
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投稿しようかどうか迷ったんですが
自分の内を整理するために書かずにはおれないので書きました。
無知な自分への自戒も込め、今の自分にできることは投稿することだと考えました。
邦訳で確認していないし、100%読めているわけではないので
完全な読み間違いがあるかも知れません。
”Switch Bitch”, Roald Dahlに収録されている”The Visitor”は、
”Leprosy”という言葉と意味が分からなければ全然分からない話です。
ついに辞書を引いてしまいました。
しかし、引いたからといって”面白かった。なるほど!”というのではなく、
むしろとても悲しい気持ちになりました。
書かれた当時の時代を反映しているとはいえ、
昨今では黒川温泉宿泊拒否事件に代表される”Leprosy”の悲しい歴史を省みる時、
今、これを読んだ私自身を含めた無知な読者が差別を助長しないかが心配です。
私自身、かなり前に邦訳”来訪者”を読んでいたはずなのですが、
全く覚えていない(不覚)。いまさらながら情けないです。
筒井康隆さんの断筆宣言に代表されるような言論・表現の自由への干渉ではなく
過去の認識の上に書かれた本は本として受け入れ、言論・表現の自由を保障した上で、
読者に”Leprosy”の現状認識を知る術を与え、
それぞれ個人が判断すればよいのだろうと思います。
邦訳では”Leprosy”の現状について”あとがき”あたりで掲載してほしいものです。
こういう作品に出会うと次の作品を読むのが億劫になってきます。
こういう議論が起こると必ず公権力の介入を望む声があがるのですが
私は間違っても公権力に判断を委ねることはしたくないです。
とここまで書いて、やはり邦訳を確認しておこうと思い、
図書館で”来訪者”を借りてきて確認してみると、
なんと”レプラ”とカタカナでそのままではないですか! 最悪!
もう怒りが込み上げてきました。
訳者も苦肉の策として”レプラ”としたのでしょうが、
これだと全然味も素っ気もない作品に仕上げられてしまいます。
”She has leprosy”と読んだ瞬間に全てが明らかになるのに全然落ちない。
つまらない作品に仕上げられてしまったものです。
これなら堂々と日本語訳をあて、公に議論するべきだったと思います。
まさに筒井康隆断筆宣言と同じ構図ではないですか!
つまらない自主規制のおかげでつまらない邦訳に仕立てあげられて
本当に怒り心頭です。
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お名前: 古川@SSS http://www.seg.co.jp/
投稿日: 2004/1/22(16:28)
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古川@SSSです。
"間者猫"さんは[url:kb:363]で書きました:
〉投稿しようかどうか迷ったんですが
〉自分の内を整理するために書かずにはおれないので書きました。
〉無知な自分への自戒も込め、今の自分にできることは投稿することだと考えました。
こういう問題提起は大いに歓迎したいと思います。
〉とここまで書いて、やはり邦訳を確認しておこうと思い、
〉図書館で”来訪者”を借りてきて確認してみると、
〉なんと”レプラ”とカタカナでそのままではないですか! 最悪!
〉もう怒りが込み上げてきました。
うーん。これはちょっとひどいですね。
架空の病気にしてしまったわけですね。
とはいうものの、原作も翻訳も読んでいないので
これ以上意見は述べないですが、今度、ぜひ読んでみたいと
思いました。
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お名前: まりあ@SSS http://www.buhimaman.jp/
投稿日: 2004/1/22(17:26)
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間者猫さん、古川@SSSさん、こんにちは。 まりあです。
〉こういう問題提起は大いに歓迎したいと思います。
〉〉とここまで書いて、やはり邦訳を確認しておこうと思い、
〉〉図書館で”来訪者”を借りてきて確認してみると、
〉〉なんと”レプラ”とカタカナでそのままではないですか! 最悪!
〉〉もう怒りが込み上げてきました。
〉うーん。これはちょっとひどいですね。
〉架空の病気にしてしまったわけですね。
いえ、架空ではありません。戦後間もない頃はまだ
「ハンセン氏病」という呼び方は普及しておらず、一般の人は
「らい病」というのが普通でしたが、私の祖父や父は「レプラ」
と言い、「らい病」と言うことを避けていました。
「ハンセン氏病」という言い方が普及する以前に、医師は
「レプラ」という言葉を使っていたと思います。
「皮膚科は嫌だよね〜 レプラ診ないといけないからさ、
ま、あれは非常に感染力が弱くて医者や看護婦にうつることない
けどね..」とか。一般の人ほど蔑視したり恐怖を感じたりは
していないけど、多少の差別感がないわけではない、という
響きでしょうか?
ですから訳者はそれなりの努力と調査をして、許容範囲内で
差別感を表現しようと「レプラ」と訳したのだと思います。
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366. Re: ロアルド・ダール”来訪者”に関する一考察、そして今、『砂の器』
お名前: 道化師
投稿日: 2004/1/22(18:25)
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こんにちは、間者猫さん。道化師です。
ねたバレなのですが、読んでいません。すみません。
〉”Switch Bitch”, Roald Dahlに収録されている”The Visitor”は、
〉”Leprosy”という言葉と意味が分からなければ全然分からない話です。
〉ついに辞書を引いてしまいました。
〉しかし、引いたからといって”面白かった。なるほど!”というのではなく、
〉むしろとても悲しい気持ちになりました。
〉書かれた当時の時代を反映しているとはいえ、
〉昨今では黒川温泉宿泊拒否事件に代表される”Leprosy”の悲しい歴史を省みる時、
〉今、これを読んだ私自身を含めた無知な読者が差別を助長しないかが心配です。
確か、映画で言うと、かの有名な「ベンハー」で、ベンハーの母と妹が、
ハンセン氏病に罹り、牢獄の看守にも嫌われて、恐れられ解き放たれ、
洞窟で隠れ住んでいた所、キリストの奇跡により治ったという下りがあります。
神の奇跡を劇的に表現させる為に、悲惨の極として「ハンセン氏病」を扱う姿勢に、アメリカと言えども、ベンハー制作年代には、差別意識が残っていたのでしょうね。
〉私自身、かなり前に邦訳”来訪者”を読んでいたはずなのですが、
〉全く覚えていない(不覚)。いまさらながら情けないです。
〉筒井康隆さんの断筆宣言に代表されるような言論・表現の自由への干渉ではなく
〉過去の認識の上に書かれた本は本として受け入れ、言論・表現の自由を保障した上で、
〉読者に”Leprosy”の現状認識を知る術を与え、
〉それぞれ個人が判断すればよいのだろうと思います。
〉邦訳では”Leprosy”の現状について”あとがき”あたりで掲載してほしいものです。
そうですね。現在では、完全に完治する病であると言うだけでなく、
私たちがどんな差別をしていたかを知る手がかりが欲しい所ですね。
(差別に関しては、いつも自分が加害者の立場に立って見つめる事が大切だと思います。)
〉とここまで書いて、やはり邦訳を確認しておこうと思い、
〉図書館で”来訪者”を借りてきて確認してみると、
〉なんと”レプラ”とカタカナでそのままではないですか! 最悪!
〉もう怒りが込み上げてきました。
〉訳者も苦肉の策として”レプラ”としたのでしょうが、
〉これだと全然味も素っ気もない作品に仕上げられてしまいます。
〉”She has leprosy”と読んだ瞬間に全てが明らかになるのに全然落ちない。
〉つまらない作品に仕上げられてしまったものです。
うーん、読者が「レプラ」を知っているかどうかですね。
訳者は「知っている人は知っている言葉」として、婉曲な表現として、
レプラにしたのでしょうね。もっと婉曲だと「業病」とも書かれますが。
〉これなら堂々と日本語訳をあて、公に議論するべきだったと思います。
〉まさに筒井康隆断筆宣言と同じ構図ではないですか!
〉つまらない自主規制のおかげでつまらない邦訳に仕立てあげられて
〉本当に怒り心頭です。
間者猫さん、お怒り真っ最中の時、今テレビで「砂の器」が放映されています。
この作品は、それこそ真ん中に「ハンセン氏病」がテーマになっている話なのですが、現代のドラマとして、このテーマをどうテレビが扱っていくつもりなのか、注目して見ています。やっぱり、避けて通るのかなぁ。
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お名前: マリコ@SSS
投稿日: 2004/1/22(23:38)
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"間者猫さん、こんばんは。マリコです。
〉なんと”レプラ”とカタカナでそのままではないですか! 最悪!
〉もう怒りが込み上げてきました。
お気持ちわかるような気がします。
〉訳者も苦肉の策として”レプラ”としたのでしょうが、
〉これだと全然味も素っ気もない作品に仕上げられてしまいます。
レプラはたしかにあまり一般的には使われてないかもしれないので、そういう意味では
小説としては、衝撃度の低い作品と感じられたかもしれません。
でも、あまり差別用語を使いたくないということでこの言葉を使ったんだと思います。
ただ訳さずにカタカナ読みとして「レプラ」としたわけでは無いと思うのですが・・・
事実、レプラと言う人もいるので、採用したのではと思います。
当時者たちにとっては、ライ病などという字を目にすると、怒りがこみあげてくるかもしれません。
〉つまらない自主規制のおかげでつまらない邦訳に仕立てあげられて
〉本当に怒り心頭です。
まぁ、そんなに怒らずに。
いろんな事情があると思います。
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お名前: 間者猫 http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/6250/
投稿日: 2004/1/23(22:40)
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古川さん、まりあさん、道化師さん、マリコさん、
レスありがとうございます。
ダールの原作の面白さを訳者の勝手な自主規制によって半減させてよいのか?
という問題と
差別される側の受け手の問題は
非常に難しい問題だと思います。
自分自身ももっと深く考えていかねばならないと思っています。
戦後すぐにアメリカ合州国で薬が開発されており、
この作品が書かれた頃には、もうすでに合州国では差別がなくなっていたのかな?
と思っていたのですが、なかなか差別というのはなくならないのでしょうか。
ダールが”らい病”は治るもので感染しないという事実を知っていて、
これを書いたのだとすれば、作家として失格だと思いますが、
そうでないのだとしたら、戦後20年以上たったアメリカ合州国でも
人々の意識は変わっていなかったということなのでしょう。
このあたり知りたいものです。
ところで”Switch Bitch”は18禁とまではいきませんがR指定です(笑)。
われらがオズワルド伯父さんも2編に登場します。
では。皆さんHappy Reading!
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お名前: ひまぞ
投稿日: 2004/1/24(16:46)
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こんばんはです。ひまぞです。
私が小学生の頃に読んだ本(日本語)の中には時々
変な姿をした偏屈な老人が出てきて
本当はそんなに年ではなくて、病気で変な顔になってしまい
偏見の目にさらされたくなくて、人目をさけているのだと
後から子供達が知る場面がありました。
それらの本が書かれた年代はわかりませんが
その中で、病気は治って人にもうつらないのだけど
昔は肺病のように隔離されていたんだよという説明があり
後ろの解説で「らい」という言葉を知りました。
「らい」という言葉自体に、偏見が含まれていたのかどうか
その歴史を知らないので、私にはわかりませんが、
今は、「ハンセン氏病」と表記されているようですね。
アメリカの歴史についても、私はよく知らないのですが
この LEPROSY という病気、カナダではよく耳にします。
日本でも、時々、骨髄バンクのCMを見かけるように
このLEPSORY のCMが流れているんです。
「エレファントマン」の映画以来
感染性の病気でないことは理解されているようですが
それでも、変形してしまった顔や姿をはじめて見た人達は
驚きを隠せないからなのかもしれません。
カナダでは、同様に知ることで差別をなくすためのCMや
広告が多く取り入れられていると思います。
イギリスの児童書では、まだ見たことがないのですが
アメリカの児童書、8−12歳向けの中には
やっぱり、変な顔した人目を避ける老人が出てきて
子供達が変な人!とからかうと、親や先生達が
彼らは病気で顔が変わってしまっただけなんだよと
さとす場面を何度か見かけます。
本のストーリーそのものとは無関係だったので
どの本かは覚えていませんが、最近でも数回ありました。
人種をはじめ、差別が色濃く残るアメリカですが
だからこその配慮や教育は、続いていると思います。
ダールのこの本はまだ読んでいないのですが
そんな社会ベースがあって、大人が読む本だとしたら
少しは怒りをもたずに済むのではないでしょうか?
悲しさは、やっぱり残るとは思うのですが・・・。
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お名前: 間者猫 http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/6250/
投稿日: 2004/1/25(19:28)
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"ひまぞ"さんは[url:kb:369]で書きました:
〉こんばんはです。ひまぞです。
こんばんは、間者猫です。
カナダのお話ありがとうございます。
私は英語を母語とする友人がいないので、
こういう情報はありがたいです。
〉私が小学生の頃に読んだ本(日本語)の中には時々
〉変な姿をした偏屈な老人が出てきて
〉本当はそんなに年ではなくて、病気で変な顔になってしまい
〉偏見の目にさらされたくなくて、人目をさけているのだと
〉後から子供達が知る場面がありました。
〉それらの本が書かれた年代はわかりませんが
〉その中で、病気は治って人にもうつらないのだけど
〉昔は肺病のように隔離されていたんだよという説明があり
〉後ろの解説で「らい」という言葉を知りました。
〉「らい」という言葉自体に、偏見が含まれていたのかどうか
〉その歴史を知らないので、私にはわかりませんが、
〉今は、「ハンセン氏病」と表記されているようですね。
〉アメリカの歴史についても、私はよく知らないのですが
〉この LEPROSY という病気、カナダではよく耳にします。
〉日本でも、時々、骨髄バンクのCMを見かけるように
〉このLEPSORY のCMが流れているんです。
〉「エレファントマン」の映画以来
〉感染性の病気でないことは理解されているようですが
〉それでも、変形してしまった顔や姿をはじめて見た人達は
〉驚きを隠せないからなのかもしれません。
〉カナダでは、同様に知ることで差別をなくすためのCMや
〉広告が多く取り入れられていると思います。
ということは、やっぱり差別意識があるんですね。
〉アメリカの児童書、8−12歳向けの中には
〉やっぱり、変な顔した人目を避ける老人が出てきて
〉子供達が変な人!とからかうと、親や先生達が
〉彼らは病気で顔が変わってしまっただけなんだよと
〉さとす場面を何度か見かけます。
〉本のストーリーそのものとは無関係だったので
〉どの本かは覚えていませんが、最近でも数回ありました。
結構でてくるんですね。
怒ったのはですね、ダールの作品に対してではなく、
それをカタカナのまま訳した邦訳の方なんです。
原著そのものには怒りと言うよりも悲しい気持ちです。
なぜ、日本語訳をあてなかったのか?
それは糾弾を恐れての事ではなかったか?と考えるからです。
適切な訳をあてなかったのは作者に対しても失礼だし、
読者に対しても失礼ではないのか、と考えたからなんです。
ちゃんと日本語訳あて、あとがきで、
らい病を知らない読者が差別を助長しないように
コメントをつけるべきだったのではないかと考えます。
ひまぞさんのコメントとても参考になりました。ありがとう。
それと遅ればせながら1000万語おめでとうございます。
私も早く1000万語読んで、どんな境地か味わいたいものです。
では、ひまぞさんもHappy Reading!