[掲示板: 〈過去ログ〉多読による外国語教育 -- 最新メッセージID: 1456 // 時刻: 2024/11/25(08:06)]
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お名前: メイ
投稿日: 2006/5/13(15:16)
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つむぎさん、酒井先生、こんにちは。
栄えある酒井先生の多読クラス見学第1号(笑)というのになった
メイです。
つむぎさんの授業をどう評価したら・・・?というのは、教える者みんなが
迷うところだと思います。
どうしても何がしか成績なり、評価なりをしなくてはならないですものね。
多少の参考になればと思いますので、私が考えていることを
お話ししましょう。
〉〉>つむぎさんは、なぜ語数を評価に反映させたいと思うのだろう?
〉〉>そこを知らせてくださいますか?
〉〉はい。授業で評価する以上、何らかのできれば客観的な基準が必要だと思いました。
〉〉その際まず考えられるのは、出席、語数、実力テストあたりでしょうか。
〉語数で知ることも、実力テストで知ることも不可能ではないかな?
〉語数で知ろうとすると古川さんのいうようにcheatingを誘発します。
〉実力テストは二つ具合の悪いことがあります。
〉一つは学生がテストのために読む姿勢になってしまいかねないこと。
〉(これは先生とのあいだで揺るぎない信頼ができていれば避けられます。)
〉二つめは多読で育つ力を計るテストがまだ苦付されていないこと。
みなさんが言われるように語数で評価すると どうしてもcheatingは
避けられないと思います。
私は自分が学生時代にいろいろやった経験があるので、そういう学生の
気持ちはとてもよくわかります。
語数を評価に入れるかぎり、絶対にcheatingを防ぐ手だてというのは
おそらくないでしょう。
ただ、cheatingしにくい状況を作ることはできると思います。
まずは、授業中に学生と良いコミュニケーションができて、信頼関係が
できると なぜかcheatingは少なくなる気がします。
それと、語数を評価に入れる場合は、その割合をあまり大きくしない
ようにします。
私のところでは、60%を出席、記録を書いて提出するのを10%にして
います。これで、実力には関係なく Bにはなるので、特にcheatingを
しなくても単位は十分、取れるわけです。
後の30%は何かというと、冊数と語数でポイントを決めて加算して
います。
現在は、50冊で1%、1万語で1%ということにして 基本の70%に加えて
いく方式です。
平均して200冊ちょっと読んでいるので これで4%、このくらいで、5万語
以上になってきますので、Aを取るのも手が届く範囲です。
ちょっと心がければ、誰でも可能と学生が思ってくれれば、それだけで
意欲が違うように思います。
ここで大事にしていることは、学生の意欲を助長するような評価をしたいと
いうことです。
冊数を評価に入れているのは 実力のない人はやさしい本を読み続ける
ので、語数は伸びない代わりに冊数が伸び、読めてきた人は 長い本に
なるので、冊数は伸びず、代わりに語数が伸びていくことを狙っています。
誰にでも公平にがんばる余地があれば、無理してcheatingをする気持ちは
少なくなると思います。
実力テストを評価に入れていないのは、多読で培った力をどこまで
反映するのか 不安があるからです。
テストはある程度の目安にはなりますが、中には ずいぶん読めるように
なったのに、テストに結果が出ないこともあるので・・・
昨年度はけっこう読んでいたのに、なぜかテストの結果はあまり
よくなくて、私はかなり落ち込んでしまいました。
学生になんと言って報告したら・・・とずいぶん悩みました。
こういう時、教師はつらいものだと思いました。
かなり長いこと考えた結果、みんなに言ったことは
「みなさんが英語を勉強しているのは、英語を読んだり、話せたりする
ためでしょう? 前よりむずかしい本が読めるようになったのに、テストの点数が出なかった人は、テストというのはそんなものだと思ってください。
自分が読めたということは事実なのですから、テストの点数ではなくて
読めた事実の方が大切です。
伸ばさなくてはならないのは、英語の実力で、テストの点数ではないはずですから。」
と、こんな内容でした。
多くの人はそれで、納得してくれたように思いますが、中にはそれきり
多読はダメと思った人もないわけではありません。
むずかしいものですね。
こんなところで少しは参考になったでしょうか?
そうそう、酒井先生の授業はまた、見学にいらっしゃるとよいと思います。
毎年、伺っていますが、何か学んで帰ります。
こちらもその時々、いろいろ悩んだり、迷ったりすることがあるので、
そういう目で 見学すると また何か新発見があるわけです。
〉実は毎年凄い数の方が授業見学に来てくださいます。
〉最初は忘れもしないメイさんで、4年前になると思います。
〉昨年度は「教室で読む英語100万語」のおかげか、
〉特に先生方の来訪が多くて、50人以上の方がいらっしゃいました。
〉(こんなところで、授業見学歓迎の宣伝をしております。
〉もうしわけない・・・)
酒井先生、こちらもこんなところで何すが、今年もまた、近いうちに
見学させていただきたいです。よろしくお願いいたします。
では、つむぎさん、ご健闘をお祈りしてますよ〜。
メイ
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酒井先生、メイさん、返信ありがとうございました。 こうやって何人もの方が貴重な時間を割き、アドバイスくださったり 考えてくださったりすること、本当にありがたいことだと思っています。 >酒井先生 >努力自体を評価すると、人間性の評価になりかねませんね。 >(努力は主観的なものだと思います。学生は努力したつもりでも >先生がそれを努力と認めないときの心の傷はとても大きいのでは?) 確かにそうなのですよね。語数で評価すると、本人的にはものすごくがんばった 数字でも、評価をするときには平均と比べて低いとか高いとかいう見方にならざるを 得ないので、確かに公平に評価というのには無理がありますね。 >ひどい偽りかどうかは、つむぎさんと学生さんの信頼関係次第です。 >けれども、つむぎさんはとても心の素直な方のようだから、 >ひどくはなくてもかなりの偽りである可能性はあると思います。 >つむぎさんがそんな風に楽観的(?)だとすると >学生をcheatingへと誘うだけでなく、 >正直な学生にも「cheatingしようかな、どうしようかな?」という >誘惑になるかもしれません。 そうですか、ちょっとショックですね(^^;) 私も信頼関係はとても大事だと思います。そのために学生とのコミュニケーションは 大切ですよね。人数が多いとこれが難しくなるので困ります。 信頼関係のためにも、古川さんの言葉にもあったように、 学生を疑うのは止めてもっとおおらかになろうと思ったのですが、 そういう楽観的な態度がさらにcheatingを誘発してしまうのですね… 語数で評価するのをやめればよいというのはよくわかったのですが、 すでにこのやり方で行くと公言して今年度は始まってしまっているので、 急にやり方を変えるのは、難しいと感じています。しかし来年度からは変えます。 今年度は、学生との信頼関係をできるだけ築けるよう努力していくしかないですね。 あとは語数の目標数を低く設定し、cheatする必要性ができるだけなくなるように したいと思います。 酒井先生の授業も進化し続けているのですね。 なんとか都合を合わせて、また見学に行かせていただこうと思います。 またいろいろご相談させてください。どうもありがとうございました。 >メイさん メイさんの評価の仕方を具体的に教えてくださりありがとうございます。 とても参考になりました。 >ただ、cheatingしにくい状況を作ることはできると思います。 >まずは、授業中に学生と良いコミュニケーションができて、信頼関係が >できると なぜかcheatingは少なくなる気がします。 熱中している学生に声をかけるのが邪魔になるような気がしてなかなかできず、 つい文字によるコミュニケーションに頼ってしまいがちなのですが (提出物にたいするフィードバックを書くなど)、 やはり直接話すことは重要ですよね。がんばります。 >昨年度はけっこう読んでいたのに、なぜかテストの結果はあまり >よくなくて、私はかなり落ち込んでしまいました。 実は私も去年まったく同じ状況でした。 メイさんが学生に対して話されたことはその通りだと思います。 やはり実力テストで多読で伸びた力を評価するのは、少なくとも現時点では 難しいようですね。 >ここで大事にしていることは、学生の意欲を助長するような評価をしたいと >いうことです。 >誰にでも公平にがんばる余地があれば、無理してcheatingをする気持ちは >少なくなると思います。 よく理解できました。語数でも冊数でもよいというのは、とてもよいですね。 それでもそれを成績に反映させるのは最小限にとどめるということですね。 メイさん、今回もアドバイスありがとうございました。感謝します。 今度学会などで直接お会いできたら嬉しいです。