Re: 話題に上らないPGR2のお薦め本

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[喜] 14844. Re: 話題に上らないPGR2のお薦め本

お名前: マリコ@SSS http://www.seg.co.jp/sss
投稿日: 2003/6/14(09:56)

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道化師さん、古川さん、おはようございます。SSSのマリコです。

PGR2は要注意といつも言っている張本人ではありますが、PGR2の評判があまりにも
悪くなると困ったなと思ってたところでした。
グッドタイミングの投稿で嬉しいです。

〉〉SLINKY JANE
〉〉基本的に恋愛話ですれど、田舎町の保守的で閉鎖的な雰囲気に
〉〉息の詰まるような思いをしている男と、
〉〉人生に絶望している女の感情の絡み合いが、
〉〉大うなぎが、川の淵でもがいている姿に仮託して、
〉〉上手く描かれていると思います。

〉はい。全く同感。でも、女性書評委員からは不評で、
〉セット漏れしてしまいました。
〉#他にも支持者の方はいませんか?

上記の女性書評委員はわたしのことです。
あきおさんも、この本お好きみたいですね。
「セット漏れ」のところが残念な気持ちが表れているようです。
男性がわに立って読まれるからでしょうね。
Slinky側にたって読む読者としては、保守的な女性達の批判が、どうも違和感があって。
小説だし、そういう時代なんだからというのはわかるのですが、身につまされるというか・・・
そういう女性達が村の世論を作っているという設定が、読んでいてあまり心地よくなかったです。
自分が日常いやだなと感じることが思い出されて・・・
まったく、個人的な感想ですが。

だけど、下の道化師さんのお薦めは、Lady in the lake 以外はわたしの好みとまったくちがうので、笑っちゃいました。

〉〉OF MICE AND MEN
〉〉「裸の大将」を悲劇にしたら、こうなるって感じの話です。
〉〉原作者のスタインベックの得意な
〉〉「最底辺に生きる(農場)労働者のやり場の無い悲哀、憤り」
〉〉は、よく伝わると思います。
〉〉この「やり場のない悲哀、憤り」は、現代のサラリーマンにも通じる
〉〉現代的なテーマだと思うのですが・・・。

〉こんど読んでみます。

〉〉CALL OF THE WILD
〉〉WHITE FANG
〉〉同じ原作者による、同じような設定の話ですが、
〉〉犬が平和な飼われた状況から、野生へ
〉〉狼が野生から平和な飼われた状況へと
〉〉ちょうど方向性が反対に描かれていて、
〉〉二つを一緒に読むと、人と犬(狼)の関係について、
〉〉感慨深いものがあります。

〉はい。私も好みでしたが、ちょっと、いまの
〉ふつうの人の興味にははずれるかと。。。

〉〉FRENCH FASHIN DESIGNERS
〉〉GUCCI BUSINESS IN FASHIN
〉〉この2冊はファッション、ブランドに詳しくないけれど、
〉〉目に付く、耳に付くと言う方にお薦めです。
〉〉そのブランド根底にある意図が解ります。
〉〉シャネルが女性をコルセットから解放して、
〉〉その反発からクリスチャン・ディオールは出発してと、
〉〉大まかな流れが見えてきます。
〉〉グッチは更に細かいウンチクがあって、
〉〉夫を殺し屋を雇って殺した女性の実際の写真まで出ていて、
〉〉オジサンがOLさんの持ってるブランド品を見て
〉〉「知ってるかい、君の持ってるのはね・・・」と
〉〉始めてしまいたくなる話題満載です。
〉〉(本当にやらないで下さいね。嫌われる事、請け合いです。)

〉〉GENTLEMAN PREFER BLONDES
〉〉マリリン・モンローのかの有名な映画「紳士は金髪がお好き」
〉〉(あれ、タイトルが「お熱いのがお好き」と混同してるかな?)
〉〉の原作のリトールドで、映画系とはちょっと違うと思います。
〉〉紳士を利用して、お気楽に生きていく女性の話です。
〉〉とにかく、「人生を学ぶ」事を笑わせてくれます。
〉〉でも、ある種、本質を突いているようで、
〉〉笑ってばかりもいられないのです。
〉〉(私は、「紳士」ではありませんが、思い当たるフシがありました。笑)

〉〉LADY IN THE LAKE
〉〉これは、しばしば話題になっている本ですが、
〉〉読みにくいと言う事で話題にもなっているので、
〉〉あえて、好きな本と言いたいのです。
〉〉話はレイモンド・チャンドラー原作の有名なフィリップ・マーロウ物です。
〉〉登場人物が多くて、誰が誰やらと言う話もありますが、
〉〉ミステリー系が好きな人には問題のない数です。
〉〉(ミステリーで登場人物が少なかったら、すぐにネタばれしますもん。)
〉〉この本は、内容よりも、私みたいにペーパーバックが読みたい、
〉〉パルプフィクションが読みたい、と思ってる者が、
〉〉ペーパーバックを読んでる気分させてくれる、
〉〉読めるようになった時の夢を与えてくれる、
〉〉そういう効果絶大な本です。

〉はい。この本も好きです。
〉私が強くセット入りを主張して入れちゃいました。

〉〉いかにもパンフレットって感じの個別の本よりも、
〉〉所謂普通の本を読んでるって気になれます。
〉〉つまらない事ですけれど、私にとっては、
〉〉「気分にさせてくれる」って言うのが、
〉〉結構大切な要素なんです。

〉はい。そうですね。
〉それにこれって実は 1話あたりが割安ですよね。


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14872. SLINKY JANE←大うなぎの名前

お名前: 道化師
投稿日: 2003/6/15(01:16)

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こんんばんは、古川さん、マリコさん。
SLINKY JANEが、そんなに議論の分かれる作品だとは知りませんでした。
危ない作品を話題に上らせてしまいました(笑)

〉PGR2は要注意といつも言っている張本人ではありますが、PGR2の評判があまりにも
〉悪くなると困ったなと思ってたところでした。
〉グッドタイミングの投稿で嬉しいです。

そうだったんですか。PGR2注意報はマリコさん発だったんですね。
確かに、PGR2は種類が多いだけに、当たり外れが大きいですもんね。
最大の外れは、読みにくいとか難しいとかの問題ではなく、
内容的にBAY WATCH-THE INSIDE STORYでした。
問題なく読めてしまうから、かえって内容に飽きれてしまいました。
読みながら、ずっと「なんじゃこれ?」って言葉が頭の中で巡ってました。
でも、PGR2を読まないと「レベル2で100万語」という
「素敵な知恵」(by酒井先生)も実行が難しくなってしまいます。
もしも、今のPGR2の作品数をOBW2並に絞り込んで、
外れ作品を無くしたら、そんなに遜色は無いと思うんですけれど。

さて、SLINKY JANEです。

〉あきおさんも、この本お好きみたいですね。
〉「セット漏れ」のところが残念な気持ちが表れているようです。
〉男性がわに立って読まれるからでしょうね。
〉Slinky側にたって読む読者としては、保守的な女性達の批判が、どうも違和感があって。

Slinky側に立つって、大うなぎの視点に立つんですか?(笑)
(Slinky Janeは大うなぎの名前です。)
冗談です。解っています。主人公の女性側にたって読むって事ですね。

〉小説だし、そういう時代なんだからというのはわかるのですが、身につまされるというか・・・

多分、1950年代、公民権運動やウーマンリブ運動が盛んになる直前、
マッカーシーズム吹き荒れる頃って感じでしょうか。

〉そういう女性達が村の世論を作っているという設定が、読んでいてあまり心地よくなかったです。
〉自分が日常いやだなと感じることが思い出されて・・・
〉まったく、個人的な感想ですが。

この「保守的な女性達」と言うのは、リアリティがあるようで、無い、
確かに現実に何処にでもいそうで、居ない存在だと思うのです。
読む人が男であろうと女であろうと、
この「保守的な女性達」に共感してこの作品を読む人は居ないと思うのです。
多かれ少なかれ、主人公の男女のどちらかに何処か共感する部分を感じて、
この作品を読む事になると思います。
と、言う事は主人公の男女には読者の心の中にある真実に近い
リアリティがある事になるけれど、
「保守的な女性達」にはリアリティはないと思うのです。
もし、この「保守的な女性達」と描かれているような立場の女性が
この作品を読んでも、自分はこの「保守的な女性達」と同じだとは
思わないでしょう。
言い換えると、この「保守的な女性達」と言うのは、
時代劇の悪徳代官や悪徳商人と同じで
現実には在り得ない存在だと思います。
(悪徳代官だって、現実に存在したら、妻子を愛していたり、
青春時代にほろ酸っぱい恋の思い出を持ってたりして、
バッサリと切り捨てたりは出来ない存在でしょう)
逆に、誰の心の中にも、こういう保守的な部分があるとも言えます。
人間、生活している全ての場面で、
革新的な存在として生きていられる訳ではないでしょうから。
自分が価値を置いている事にかんしては、
社会の保守的な部分に革新的な存在としていられるでしょうけれど、
価値を置いていないあまり意識していない場面では、
この「保守的な女性達」と同じような言動をしている事があると思うのです。
つまり、そういった意味で、この作品SLINKY JANEでは、
主人公の男の視点に立とうが、女の視点に立とうが、
この「保守的な女性達」の言動に対する不快感は変わらないと思うのです。
この不快感は「女性」に対する者ではなく、
「保守的」に対するものだと思うのです。
この小説の意図は、まさにそこにあると思います。
読んだ誰もが、個を取り巻く社会の保守性に、
憤りを感じさせるというか、居心地の悪さを感じさせるのが意図だと思うのです。
それが話の構成上、社会に波紋を呼び起こす異邦人を女性にしてしまったので、
憤りの対象が同姓の女性になってしまったと言う事にすぎないと思います。

小説には、気分爽快エンターテイメントと、快であれ不快であれ、心を揺さぶる作品が
あると思います。
それを楽しめるかどうかは、読む側の視点の変更によると思います。
気分爽快エンターテイメントを、中身があるのかだなんて言う視点で読めば
「なーんだ」って事になって、つまらない事になってしまいますし、
不快な小説だからと言って、社会の歪をそこから感じて、
自分が社会の中でより良く行動する為の思考の一助とすれば、
「いいたい事がある作品」として楽しめます。
PGR2は、英語のテキストとして、あらゆる人に受け入れられる為に
かなり広いバリエーションの作品を揃えている為に、
それを多く読んでいくことは、
読む時にこの視点の変更を多く強いられますけれど、
その変更さへ、その作品と噛み合えば、結構読めてしまいます。
私は読む時に、「これはおバカ系の作品」「これは深刻系」
「これは感動系」「これは童心系」とか思いながら、
楽しむ視点を変えて読んでいます。
和書を読むときは、最初に自分がどの系列が読みたいかを決めて
それから本を選ぶ事になるのでしょうけれど、
GR他タドク用図書を選ぶ時に、そんな事を言っていたら、
読む本が限られてしまいますから、仕方の無い事だと思っています。

以上、ダラダラと書きましたが、
Slinky Janeは男でも心地悪い作品だけれど、だからこそ面白いという事と、
PGR2も、読み手次第で、満更でもないという話でした。


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