500万語通過報告

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11865. 500万語通過報告

お名前: 極楽トンボ http://d.hatena.ne.jp/gokuraku-beijing/
投稿日: 2010/1/10(00:53)

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500万語通過報告

400万語のときに、MTHの1.5倍速聴き読みシャドウイングをして読速を高める実験をして、読速が120WPSから150wpsに向上したことは報告しました。その後、実験を継続する気力を失っていたので、てっきり元通りの読速にもどっちゃったんじゃないかと心配していました。半年たって500万語通過直前に計ってみたら、150wpsを維持していたので、すっかり安心しちゃいました。この実験はやる気が復活するまでお休みです。

レベル6以下のじゅうぶんやさしい読みものなら、中国語訳より英語版の方が読みたいと思うようにすらなりました。解像度では、中国語読書の方が圧倒的に勝るのにもかかわらずです。私の中国語が英語にある面で追いぬかれたのだと思います。わたしは解像度高きがゆえに尊からずを実感しました。解像度が高くなくても読書が楽しめることは、わかっているつもりだったのにもかかわらず、英語については解像度第一主義になっていたことは反省点です。わたしの英語多読初期の失敗の最大原因だと考えています。

400万語を越えたあたりから聴き読みが楽しくなってきました。それまでは、聴き読みすると、どうしても眠くなってしまってダメでした。どうして聴き読みが楽しくなってきたのかはっきりした理由がわかりませんが、MTHの聴き読みシャドウイング訓練が奏功したのかもしれません。この傾向は英語・中国語ともに顕著にあらわれ、できるだけ音源のある本を読みたくなっています。英語について言うと、いま、audiblに入りたい気持ちと、キャンセルするときに英語で電話できないと困るという心配とで、葛藤しています。liblivoxでもうちょっと我慢しようかな。

400万語以降、困った傾向も現れました。シャドウイングが楽しくなくなってしまったのです。聴き読みが楽しくなったことと関係があると見ています。前はいんちきシャドウイングでそれなりに2年半ほど楽しんでいたのですが、いまは駄目です。ほんのちょっとばかり英語の音が聞き取れるようになったせいで、どれだけ自分の音が駄目かわかるようになったからではないかと考えています。

以下は、読んだ本の感想です。

MTHの29-34巻
MTHの中国語英語双語版は34巻まで出ています。それで、新シリーズはこの6冊しか読んでいません。だいたい楽しく読めましたが、31巻のSummer of the Sea Serpentだけは、舞台となった断崖海岸の地形がよくわからず、状況がつかめないので、全編にわたり読み返しました。地形語彙が難しかったように思う。オーディオブックをまだ入手していないので、入手したら聴き読みでまた楽しみたい。

PatriciaMacLachlanのSkylarkとCaleb's Story
お気に入りのSarah、Plain and Tallの続作。2作目も大好き。大干ばつのため、セアラの故郷に避難してきたケーレブたちにセアラのオールドミスの伯母たちは大喜び。伯母たちはケーレブに一日でも長く滞在して欲しいと思っています。でも、ケーレブは子どもだから、伯母たちの気持ちに気がつかず、しきりにお父さんのいるおうちに帰りたがって、伯母たちをがっかりさせます。この場面大好き。
3作目は語り手がCalebに交代します。勉強嫌いだとか言ってるくせに、SarahやPapaのこと細かく観察して日誌を書いたり、文盲のGrandpaに作文教えたりして大活躍、他人の気持ちのよくわかる男の子に成長したのがよくわかって、とても頼もしいです。Papaが放蕩親父のこと受け容れることができたのも、半分はCalebのおかげですね。アンナは村の家を出て町で教師をしています。第一次大戦の欧州戦線に出征したボーイフレンドのことが心配です。そうか、この話は、その時代の話だったんですね。聴き読みで4回ずつ読みました。何度も書いて恐縮ですが、このCDは語り手の女優の朗読が筆舌を尽くしがたいほどすばらしい。

Nights in Rodanthe Nicholas Sparks
やさしいペーパーバックの定番、ニコラス・スパークスに挑戦してみました。どうせわからんだろうからと思って、思い切りすっ飛ばして読んだ。前半は登場人物のプロフィールがはっきり捉えられなくて難渋した。二人が急接近するハリケーンの夜あたりから俄然面白くなってきて、細部はボケボケなのに最後まで集中して読めた。それだけで満足。

Story of Doctor Dolittle by Hugh Lofting
livlivox聴き読み。わたしの使った本は北米版で、差別的と思われる語をかきかえたり、問題ありと思われるエピソードを大幅にカットした箇所があった。ぜひ原版で読み直したい。

Voyage of Doctor Dolittle by Hugh Lof
livlivox聴き読み。30分〜60分で疲れてしまう。途中であらすじがわからなくなってしまったが、無理やり最後まで読んだ。話は知ってるはずなんだけどな。要リベンジ。

pollyanna by porter
livlivox聴き読み。アメリカ口語で書かれているからなのだろうか、やさしそうに見えてとても読みにくい。少しきつかった。楽しむ余裕なんてなかった。これも要リベンジ。

My Father's Dragon by Ruth Stiles Gannett
livlivox聴き読み。日本語版で子供に読み聞かせたことがある本ですが、きれいさっぱり忘れていました。あれー、こんな話だっけと思いながら読んだ。一回目はあまりよくわかんなかったので、2回読んだ。短い本はこれができるからいいですね。アメリカ在住の9歳の男児による吹き込み。読み手の少年がこの本を楽しみながら朗読しているのがよくわかる朗読音声なので、主人公にトラが食べちゃうぞーって飛びかかろうとする場面など、こちらもいっしょになって手に汗握ってしまった。

Adventures of Pinocchio
livlivox聴き読み。あらすじしかわからなかったが、満足できた。デズニーでおなじみのクリケットが冒頭でいきなりピノキオにたたき殺されたのには仰天しました。ピノキオって本当に自己中で意志薄弱な子なのですが、最後は幸せになってほっとします。ついついピノキオの味方になって読んでしまいますね。 一方、ピノキオの悪友のDunnyはロバのまま農場でこき使われて死んでいきます。Dunnyとピノキオはどうしてこんなに結末が違うのかなあ? 以上、Dillさんのご案内のおかげで楽しくlivlivoxの聴き読みができました。特に記してお礼を申し上げます。

Diary of a Wimpy Kid 1-2 Jeff Kinney
アメリカの小学生の日記体小説。たわいない男児の日常がつづられている。どうでもよいささいなことが、小学生にとっては大問題だったりするんですね。それはわかるんだけどさ、あんまりぴんとこなかったなあ。なんでこの本がベストセラーになるのかな?やっぱり解像度低いせいで駄目だったのかな。このシリーズ、3まで買っちゃって失敗したかも。

The Witches by Roald Dahl
最初の方はあんまりよくわかんなかった。どうしよ、読むのやめちゃおうかなと思ったけれど、いーや、Dahlのことだからきっと後半から面白くなるはずだと信念をもって読んでいたら、やはり、魔女大会に紛れ込んだ主人公がネズミに変身させられる場面のあたりから急におもしろくなってきた。

主人公は最初のうちおばあちゃんに魔女の話をたくさん聴かされ、魔女のことあんなに怖がっていたくせに、いったん魔女に捕まってネズミに姿を変えさせられたら、怖がるどこか、一流ホテルの厨房やレストランを舞台に大冒険を楽しんでいる様子がありあり。こっちも手に汗握ってどきどき。こういうどこに行くかわからない展開になると、Dahlはとてもおもしろい。それに、学校に行ってつまんない毎日を送るくらいなら、いっそネズミになって大人たちを困らせた方がどんなに楽しいかわかんないぜ、といつもながら斜に構えた感じがとてもDahlらしくてよいと思います。限りある人生、愛と冒険の日々がずっと続くのさ、ネズミであろうが人間であろうが。この結末もいいねえ。

Matilda by Roald Dahl
いつもどおりに、すっ飛ばして読んで、あらすじがだいたい追えて、楽しく読めた。大事業を成し遂げた、という感じでなくて、よい退屈しのぎができた、という気楽な感じで読めたのがうれしい。Roald Dahlはお気に入りの作家、面白いに決まっているという安心感をもって読んだけれども、これも期待を裏切らなかった。Miss Honeyが身の上話を始めてからは、もう一気に坂を転げ落ちるように読めた。Matildaのことも気になるけど、かわいそうなMiss Honeyが長年の屈従を止め、初めて意地悪な伯母に反旗を翻し、ささやかな自立を果たした2年間の苦闘がどのような結末を迎えるかに関心が移ってしまいました。

Magic Finger by Roald Dahl
Dahl自身の朗読CDを聴きながら読んだ。2年前、200万語付近で読んだ本の再読。そのときは、前半ぼけぼけでわからなかったが、今回は全体にわたってはっきり話がわかったし、ずっと容易に楽しく読めた。The Witchesでは、魔法使いにネズミに変身させられた主人公が最期まで人間に戻れなかったのに、Magic Fingerの方では、鳥に変身させられたGregg一家は前非を悔いただけで人間に戻れた。Dahlにしては甘いなあと思ってしまった。

Illustrated Mum, The Jacqueline Wilson
全身にオリジナルのデザインの刺青を入れ、定職なく、情緒不安定でほとんど障害に近いお母さんのマリーゴールド。中学生と小学生の二人の娘がいるのだが、家事も育児もめちゃくちゃでほとんどネグレクトに近い。貧しい母子家庭で娘たちはそれでもそれぞれの仕方でお母さんを慕っています。お母さんにはもうちょっとまっとうに生きて欲しいと願っているしっかりものの姉娘はお母さんに批判的に接していて、若くて美しいおかあさんに憧れる妹娘の方はお母さんを盲目的に崇拝しています。

ある日、姉娘のお父さんのミッキーにマリーゴールドが再会するところから物語が動き出します。ミッキーは、マリーゴールドと暮らしていると娘たちの将来がないと考え、娘たちをマリーゴールドから奪おうとします。妹娘は断固ミッキーの家に行くのを拒否しますが、姉娘を失ったマリーゴールドはショックのあまり、酒びたりになって自傷行為に走り、病院にかつぎ込まれます。主人公の妹娘は、姉娘ほど自分が母に愛されていないことに傷つきながらも、彼女なりのやり方で最善を尽くそうとします。話がそこまで来ると、あとはもう一気に読み終わりたい感じになります。

とてもリアリティのあるお話だったと思います。目も当てられないような状況に置かれた小学生の女の子の話なんだけど、読後感が爽やかなのは、やはりかの女、孤独なようでいて、実は、決して多くはないけれど、周りに彼女を助けてくれる友人や大人の人がいて、しかも彼女にその助けを拒んだりしない柔軟さがある点にあると思うな。

Dustbin Baby Jacqueline Wilson
少し難しくて、主人公が施設を転転とするあたりなど、かなり曖昧にしかわからなかったけれど、それでもラストに向うにつれて、物語のなかにぐいぐいと力強く引き込まれました。私は、年齢のせいか、Marionのことが気になります。この人は、施設の学校で歴史を教える定年まじかの独身女性です。孤児Aprilのことを気に入って養女にします。それは、携帯電話をいつ買い与えるかというようなささいな問題で、こんなにはらはらしなきゃならないほど困難なことです。そのぐらいは予想していたでしょうけど、それでもMarionはAprilに賭けた。そして、どうやら賭けに勝てそうな感じでお話が終わりました。すっごくほっとしました。

Chinese Cinderella and the Mystery of the Song Dynasty Painting by Adeline Yen Mahこの著者の子供向け自伝Chinese Cinderellaを読んで面白かったので、創作児童書Chinese Cinderellaシリーズのほうも読むことにした。本作はその第2作。シリーズ第1作は、杏樹さんによる書評が上がっているので、参考になる。

Chinese Cinderellaシリーズは、CCという名の、著者の子ども時代をモデルにした1940年代の中国の女の子が主人公。しかし、本作はなんと、北宋の都開封の高度に発達した都市生活を描いた絵巻「清明上河図」をめぐる歴史小説になってます。

CCは、ある事故で気を失って以来、宋代の高官の娘、張美蘭の記憶がよみがえってしまう。美蘭の家に阿趙という遊び相手の使用人がいて、美蘭と彼女の兄は毎日、この阿趙と三人で親しく遊び、いつしか二人はお互い引かれあうようになる。阿趙は彫刻と絵画に才能を示し、やがて皇帝の目に留まる。富貴な身分の保証される宮廷画家になるには、宦官にならなければならない。美蘭を愛する阿趙は宦官になるのを嫌い、美蘭の屋敷から姿を消してしまう。三年後の清明節、阿趙は突然美蘭の屋敷に現れ、清明節の開封の街の様子を描いた絵巻「清明上河図」と謎のメッセージを美蘭兄妹に託す。この「清明上河図」を見て美蘭は三年前の愛の誓いを思い出し、その晩、屋敷を一人で抜け出し、阿趙に会いに行く。

シリーズ第1作を読んでいないので、冒頭はちょっと戸惑いましたが、美蘭たちが清明節に船に乗って開封の街へ出かけるあたりから、おもしろくなってあとは一気に読んでしまいました。

Kensuke's Kingdom  by Michael Morpurgo
パパとママと三人で世界一周の航海に出かけた12歳のマイケルは、ニューギニアで船から落ち、無人島に漂着します。彼はそこで、オランウータンと暮らす一人ぼっちの旧日本兵の70歳の老人ケンスケに出会います。マイケルとケンスケは最初はお互い接触を避けていましたが、ある事件をきっかけに親しくなり、共同生活するようになり、お互いのことを理解しあうようになります。マイケルはやがてイギリスに帰りたい気持ちが募りますが、ケンスケは頑として日本に帰ろうとしません。ケンスケは長崎に残してきた妻子が原爆で死んだと信じ込んでいるからです。

マイケルが世界一周の途中、ヨットから落ちて遭難するまでは、退屈でした。細部がぼけぼけであんまりよくわかんないし、おもしろくなくて眠くなって2回休憩しました。でも、無人島に漂着してからは俄然、おもしろくなってきました。先ほどまでの眠気もどこへやら、途中に一回だけ休憩をはさんで、一気に最後まで聴き読みしてしまいました。

ケンスケの無人島生活の様子が詳細に描写されているところが読みどころだと思いました。座礁し海の藻屑となった軍艦から持ち出したヤカンなどの数すくない道具を40年以上大事に使っていたり、島で取れる素材を工夫して生活用品に加工したり、オランウータンの社会を観察して、オランウータンの親子間に人間並みの親子の情が通っていることを理解したりしています。つまりケンスケは無人島での一人ぼっちの生活を楽しんでいるのです。このあたり、いかにも人間嫌いの西洋人的な、器用仕事で生活それ自体を楽しむことや、自然界と一体となって交流することへの憧憬を投影したケンスケ像が作られていると思います。

イギリスの作家なら、旧日本軍兵士の捕虜虐待の話を書くのではないかという先入見は見事にはずれました。ケンスケは、初めのうちマイケルと口を聞こうとせず、食べ物は恵んでやるけれども、マイケルが狼煙を上げようとするのを邪魔したり、海で泳ぐのをやめさせようとしたりするだけで、その理由を明かそうとしません。このあたり、少し文明的でない野蛮なイメージが出ていますが、要するに人間嫌いになっていたんですね、彼は。マイケルとの出会いによって、彼の頑なな人間嫌いな面もだんだん変わって行きます。戦争で傷ついた老軍医ケンスケはマイケルとの短い共同生活によって癒されたわけです。こればっかりはオランウータンとの共生では得られなかった収穫だったのではないでしょうか。

挿絵に描かれたケンスケの姿が、なんだか喜界が島に流された俊寛みたいで笑えます。

読みにくい長文を読んでくださってありがとうございます。


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