「Brothers」感想

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9036. 「Brothers」感想

お名前: jun http://members.jcom.home.ne.jp/j-miyaza/
投稿日: 2003/1/12(19:48)

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こんにちは。jun@120万語です。

 暮れに100万語通過報告をしたときに、まりあさんと古川さんから推薦をいただき、amazonに頼んでおいた「Brothers」「The Killer’s cousin」「My Uncle Oswald」が一昨日届きました。
 それで昨日から一番薄い(^^)Lieshout「Brothers」を読み始めましたが、面白く、連休のこともあり、いましがた読み終えてしまいました。
 本来なら「書評」のほうにアップすべきものかもしれませんが、そういう経緯で読み始めたものですので、ここに書かせていただく次第です。

 まず一般的な紹介から。
 この本はオランダ語からの英訳です。著者は子供向けの小説や詩や戯曲を書いているひとのようで、それによっていくつかの賞をもらっているようです。

 内容についていはアマゾンのレビューにまりあさんが詳しく書かれていますので、それをごらんになっていただくのが一番ですが、弟の死後、兄が弟が残した日記を読むことにより、弟の隠されていた内面にふれ、自分と弟の関係をあらためて考え直し、自己のアイデンティティを見出していくというようなものです。
 登場人物は二人の兄弟とその両親だけで、父の影がうすく、母親もやや類型的に描かれていますから、ほとんど兄弟ふたりの内面的な対話で話が進みます。
 劇的なことはほとんどおこりませんので、物語の展開の面白さで読んでいくタイプのかたにはあまりお薦めできない本かもしれません。
 文学作品をある程度は読んでいて、GRのフィクションは話の底が浅いと感じられているかたにはぴったりの作品かと思います。英語はあまり難しくないと思います。
 むこうのジュニア小説のレベルというのは高いのだなと感心しました。読後に深く考えさせるものを残しますから大したものです。
 日本ではこのあたりの領域は少女マンガがカバーしているのでしょうか?

 個人的な感想としては、ホモセクシャルという問題と弟の病気の問題に主題が分裂しているような印象をうけました。(こころの問題という抽象的な主題と、体の病気という具体的な主題が、今一つ溶け合っていないということはないでしょうか?)
 これからこの本を読まれるかたのために、あまり筋の展開をばらすようなことはしてはいけないのだと思いますが、話が後半に進むにつれ、主題がホモセクシャルから病気の問題に移ってしまい、そのためにテーマの統一がやや散漫になっているのではないかと思いました。
 病気の話を持ち込まないほうが、「われわれが考えるとは?」「それを書き記すことの意味は?」さらには「われわれはいずれ必ず死ぬことが定まっているのに、それでも何かするのはなぜなのだろうか?、その意味は?」という根源的な主題にもっとせまれたのではないかと思います。病気の診断というような話はそれよりもずっと次元の低い話だと思います。
 実は後半読んでいて、個人的にはかなり複雑な感想をもちました。というのはわたくしは医者なもので、「あれ、これはなんか変じゃない?」という部分がところどころあり、最後にきて納得はできたのですが、「オランダの医者も大したことはないな!」、という感想をもちました。まあ、これはわたしの職業によるきわめて個人的な感想ですが(^^)。
 
 そういうことで大変すばらしい本を紹介していただきまして、まりあさん、どうもありがとうございました。
 今度は「My Uncle Oswald」を読もうと思っているのですが、書き出しの最初の10行くらいに10個くらい知らない単語があり、少しめげています。なんとか気をとりなおして読んでみようかと思います。
 これからもいろいろな面白い本をご紹介ください。

jun


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