イギリス留学記
私の大学レポート
早稲田大学(ブリストル大学) 権代明優
みなさん、初めまして。私はSEGに中学2年生から高校3年生までの長い間お世話になり、2年間の多読パート・外国人パートのチューターを経たのち、現在は英国のブリストルという街で大学生活を送っています。
私は、2020年4月に早稲田大学国際教養学部に入学し、学部のカリキュラムの一環として2021年9月よりブリストル大学に長期留学をしております。コロナ禍という未曾有の事態の中ですが、このような貴重な機会をいただきましたので、私の現在の生活の様子やSEGでの学びをご紹介いたします。
現地での生活
<授業・課題>
2021年の9月に渡英し、イギリスでの大学生活がスタートしました。日本や他国の大学とは異なり、コロナウイルスによる規制があまりない状態(アルコール消毒、室内でのマスク着用は有り)での久しぶりの大学生活でした。
ブリストル大学では、講義やセミナーはほぼ全て対面で行われ、対面授業にも参加することが原則必須という方式となっておりました。
週に3回行われるセミナーは、教授だけではなく生徒同士でも活発に意見交換をする場となっていて、さまざまな観点からの考え方を学びました。中でも、“Global South”という授業では、セミナーの先生が私たち生徒をフィールドワークに連れて行ってくださり、現在学習している事柄に関して身をもって体験することができました。知識豊かな先生や広い視野や知識を持つ友人たちと意見を交換する場は、日本では難しい貴重な体験だったと思います。
他の海外大学と同様、講義・セミナーの数自体は多くないものの、ブリストル大学では、事前・事後学習や課題に割かなければならない時間は非常に多かったです。日本の大学と比較してイギリスの大学は事前学習、主にリーディングに力を入れているため、膨大な事前学習の必要性を感じました。この膨大な量のリーディングをこなし、短期間で授業内のディベートに活かせるまで情報を整理する能力を得ることができたのはSEGで培った多読力によるものだと再度感じました。
また、私の専攻している学部(国際政治学・社会学)の性質上、中間および学期末に試験はありませんでした。しかし、学部によっては対面もしくはオンラインで試験があり連日勉強している生徒たちをよく見かけました。
私の学部では、試験の代わりに中間・期末にレポートがいくつかありました。中でも、学期末のレポートは成績に占める割合が大きく、学期末には図書館に籠って一日中勉強することが多かったです。レポートは、いくつか与えられたテーマの中から一つを選び研究する形式となっていて、自身でそのテーマに沿った文献を探し、その文献の中からまた必要な情報だけを活用していく必要がありました。
講義や課題は日本の大学と変わらない部分も少なくはないのですが、教授の講義の形式や生徒の授業中・外の姿勢など、日本とはとても異なっていました。少人数のセミナーはもちろんのこと、多くの生徒が参加している講義でも双方向のコミュニケーションが積極的に図られる形式は、日本の多くの大学の講義形式とは異なっており、とても興味深かったです。同じ大学という教育機関でも、このような違いがあると体感することができ、今回の留学は貴重な体験だと改めて感じました。
<授業外での大学生活>
渡英中は、現地の学生および留学生が混ざった寮で生活することになっているため、寮内での交流はとても活発です。イギリスの大学の寮はフラットメイトでキッチンなどを共有しており、日本の実家に暮らしている時とは異なる、新たな経験を日々しています。
また、大学のSociety(日本でいうサークルのようなもの)活動や異文化交流も積極的に行われています。私はSalsa Societyというソサエティに入り、毎週友人らと交流を深めています。ソサエティ以外でも、互いの言語や文化を教えあう交流の場が大学で開かれており、世界中の人々と日本の文化に関して毎週活発に話し合っています。私の大学には日本語を学びたい学生がとても多く、日本のアニメ・漫画文化の影響の大きさを改めて強く感じました。
<ブリストルに関して>
ブリストルはイギリス南西部に位置する、ロンドンから車で2時間ほどの大きな街です。この街は海に面していることから、貿易港として発展してきました。大英帝国時代の奴隷貿易とも関係が深く、ブリストルではいくつもの博物館や遺産を見ることが可能です。現在では世界的に有名な覆面アーティスト・バンクシーの出身地であり、多数の作品が街中に残っていることでも有名です。彼の作品以外でも街中はグラフィティで溢れており、街を歩くだけでも多くのカラフルな作品を目にすることができます。
また、ブリストルは環境活動への熱心な取り組みでも有名です。2015年にはイギリスで一番「グリーン」な街として、そしてヨーロッパの「グリーンキャピタル」として名を馳せています。その取り組みは留学生でも感じられるほど日常的に多くの場所で行われていました。
SEGでの生活
SEG には中学2年生から高校3年生までお世話になっており、その後に多読や外国人パートのチューターとして2021年8月頃まで授業補助をしておりました。SEG生の際は中学生から高校生まで継続して多読の授業を受けていました。
今、再度SEGでの生活を振り返ると、多読クラスでの学びがあったからこそ今の自分がいるのだなと強く感じます。SEGの英語授業で核となっている多読の授業は、多読、そして速読力に繋がるだけでなく英語への姿勢も大いに変えてくれたと思っています。好きな本を好きなだけ原作で読むことができる体験は、日本の数多くある塾や学校でもかなり貴重なものだと思います。幼い頃から英語を楽しんで読む経験が、英語に対するポジティブな姿勢に繋がり、現在のイギリス留学まで影響を与えたのだと思います。SEGの「英語を英語として読み、英語に親しむ」カリキュラムは、日本語を介することなく英語を捉える力の形成に大変役に立ちました。
そして、外国人パートで実際に英語を使って楽しく会話をする経験は、私の大学生活でも活きていると強く思います。アニメーションやSEGだけの教材を多く使用した先生方の授業は、生徒としてはもちろん、チューターとして補助する立場でもとても楽しく参加をすることができました。外国人の先生方との授業を面白く、そして積極的に参加したからこそ、大学でも英語を話すことに抵抗がなくなりました。英語で話して意思疎通をすることを楽しむというSEGで学んだ姿勢が、現在の生活でも役に立っていると私は思います。
最後に
SEGで勉強をされているみなさんは、大学受験という大きな目標に向けて努力を重ねているところだと思います。その中で悩むことも、苦しいこともたくさんあると思います。ですが、皆さんがいまSEGにいる意味やそれまでの過程のことを思い出してみてください。自分自身の現在の状況や将来のことだけでなく、そこまで歩んできた道を考えればみなさんなりの答えが出てくるかと思います。それと同時に、みなさんには支えてくださる方々がいることをぜひ忘れないでください。両親や兄弟、友人、そして先生方など、たくさんの方々のサポートを胸に、みなさんが輝かしい未来へと進んでいかれることを願っています。
グローバル化が進む中で、近年「留学」というオプションは文理ともに注目を集めていると思います。コロナ禍で海外に行くことができない人が多い中、現在留学ができているという環境に感謝すると同時に、みなさんに海外大学の現状を少しでもお伝えできていれば幸いです。
もし何かご質問がございましたら、またチューターとしてどこかでお答えできればと思っております。最後までお読みいただきありがとうございました。