大会2日目:午後プログラム

 

「酒井先生のシャドウイング講習会のご紹介」

 

 

■まず、シャドウイングには、「おとな式」と「こども式」がある!

 

シャドウイングとして知られている方法には実はふたつの方法があります。

「おとな式」ではまず、それぞれの子音、母音の発音方法を習い、これを結合していくことで正しい発音ができるとされています。

「こども式」では個別の子音、母音の発音の方法には注目せず、最初から全体の英語をそのまままねることを行います。

 

■「おとな式」の不可能性について

 

「おとな式」で習得した発音を、「極端形」と呼ぶとします。

これまでに学校などで「英語の発音記号 [ l ] の音は、舌をどうしてこうして、このような風にして音を出します」というように習ったと思いますが、その通りに出したものが極端形です。

 しかし本来、それぞれの音は、その出て来る場面で、微妙に違います。

例えば、同じ [ l ] でも、次の例にある/l/の音は全部違っています。

 

  例 light,  slight,  class,   child,   hills,  camellia,  Joel

 

極端形の通りに音を出してみたとしても、それは、一音だけを取り出して言う場合の音にすぎず、

すべてには所詮あてはめることができないんですね。なにしろlightの/l/からJoelの/l/まで

無段階に変化しているので、「おとな式」で習得することは不可能です。

 

■「こども式」シャドウイング

 

「極端形」を習ったことがない子どもは、聞こえたとおりに言います。

聴いたままを口にするシャドウイングは、最初は、殆ど意味のある言葉としては聞き取れないところから始まります。

でも、10時間程度のシャドウイングで、聞き取れる発音になる部分が非常に増えてきて、

30時間程度のシャドウイングで95%程度が普通に聞き取れる英語になった学生がいます。

「極端形」を学んでいない学生です。

 

この、たった30時間で英語の自然な音に近づいた学生にぼくが言ったことは二つだけ、

 

(1) できるだけ大きな声で言おう。

 

(2) 耳障りで気持ち悪い音、はっきりしない音は、できる限り、はっきりしないまま、気持ち悪い音のまま出そう。

 

ということでした。

 

      10時間、30時間、それぞれの線より上が、声を出してみて、英語としてわかる部分。

30時間のほうが、わかる部分が増えたことを意味するグラフです。

 

■「おとな式」からの道

 

「おとな式」から音に入った場合、覚えた発音方法では、すべてには通用しないため、

unlearnが必要になるというわけです。

 

(資料作成協力:涼音さん、きゃんちろさん、ako