科学的教育グループ SEG

授業レポート

2016.05.11

中1英語

五感をフルに使って英語を楽しむ!
英語を英語のまま理解し、 積極的なアウトプットを促すネイティブパートの授業 ≪中1編≫ (1)

五感をフルに使って英語を楽しむ!英語を英語のまま理解し、 積極的なアウトプットを促すネイティブパートの授業 ≪中1編≫ (1)
教室内は、本棚に洋書がギッシリ。SEGは約55万冊の洋書を所蔵。

多読・多聴で生きた英語に触れ、大学入試後を見据えた“本物の英語力”を育てるSEG。一般的な英語塾では、読解や文法は日本人の講師から、英会話はネイティブの講師からそれぞれ教わるが、SEGではネイティブ講師がオール・イングリッシュで文法を指導するという。そんなユニークな授業に大変興味を持った私は、実際に授業を体験できる機会を得た。

教室に入ってまず、大量の洋書に圧倒された。壁面を覆うように本棚がしつらえられ、その中にぎっしりと多読用の本が並んでいるのだ。ラインナップも『Oxford Reading Tree』や 『I CAN READ BOOKS』といった絵本から、『Oxford Factfiles』のようなノンフィクションまで実に幅が広い。

これから始まるのは、英語を勉強し始めて約半年が経った中学1年生の多読コースの授業。見るからに元気いっぱいの彼らに交じって、私も80分間の「ネイティブパート」を受講した。

【前半80分/文法(ネイティブパート)】
あいさつのキャッチボールでWarm up!

「中1英語多読コース」の授業は、「ネイティブパート」と呼ばれるネイティブ講師による会話・文法の指導(80分)と、日本人講師による多読の指導(80分)の2部構成となっている。10月のある日、取材班は上級者を対象とするCクラスの教室を訪れ、ネイティブパートの1コマを見学した。担当するのは、アメリカ出身のJeremy Lewison先生。授業は文法や新出単語の解説も含め、オール・イングリッシュで行われる。

17時を過ぎたころから生徒が教室に到着し始める。このクラスの標準定員は14名だが、この日は文化祭や中間テストなどで振替をした生徒が多く、男子6名と女子9名が集まった。授業開始時刻は17時15分。Jeremy先生が出欠をとりながら、一人ひとりに“How are you?(調子はどう?)” と声を掛け、振替の生徒には“You’re ‘furikae’, right? What’s your name? (あなたは振替の生徒だね? 名前は?)”と、ていねいに確認する。

ほとんどが“I’m fine.(元気です)”、“I’m great.(とても元気です)”と返事をするなか、ある生徒が“I’m sleepy.(眠いです)”と答えた。すると、Jeremy先生は“Because of the exam? You must be tired.(試験のせいかな?きっと疲れているんでしょう)”という労いの言葉をかけ、“I’m sleepy, too.(ぼくも眠いよ)”とみんなを笑わせた。

ゲームの前に、表現方法やルールを全員で共有

ゲームの前に、表現方法やルールを全員で共有

教室の雰囲気が和んだところで、Jeremy先生は
“Today, we’re going to do a Board Game, OK?(今日はみんなでボードゲームをしましょう)”
と呼びかけた。続いて、一人ひとりに
“Is math class extremely important? ”(数学の授業は非常に重要ですか?)
“Does your friend run slowly? ”(あなたの友だちは走るのが遅いですか)
といった短い質問を投げかけると、生徒たちは先生に質問された内容に合わせて、“Yes, it is.”, “No, she doesn’t” などと答えていく。これらの質問はすべて、これから使うボードゲームのマスに書かれたもの。 実際にゲームを始める前に、まずは一対一で練習をして、単語の意味や正しい答え方をクラス全員で共有する。

ゲームを始める前に、Jeremy先生が
“OK! So, let’s make a group. Would you come over here? Thank you!
(グループをつくりましょう。あなたはここに来てくれる?)”
と指示。生徒たちは慣れた様子で小さなグループをつくり、あっという間に準備が整うと、Jeremy先生はゲームのルールを英語で説明する。

ゲームの前に、表現方法やルールを全員で共有

…………………
①じゃんけんをして、勝った人がサイコロを振り、出た目の数だけコマを進める
②勝った人は、負けた人にマスに書かれた質問をする
③負けた人はその質問に英語で答える
…………………

Jeremy先生は、“But, but, but, but…”と「でも」を強調した後、
“Your answer has to be 5 words! (5つ以上の単語で答えなくてはいけないよ)”と注意を促した。つまり、
“Is pizza very delicious? (ピザはとてもおいしいですか?)” という質問に対して、
“Yes, pizza is very delicious. (はい。ピザはとてもおいしいです)”
と答えるのはOKだが、
“Yes, it is.” や “Yes.” といった短い回答はNGということになる。
“So, how many words answer? (では、答えは何ワードでしょうか?)”
“5 words answer! (5ワードです!)
“Alright! Are you going to say your answer is Yes or No, OK?
(いいですね!答えはYesかNoでOKかな?)” “No! (いいえ!)”
“Good! So, do ‘Rock Scissors Paper’ and the winner is going to move, OK?
(いいね!では、じゃんけんをして勝った人はコマを進めよう!)”
クラス全体に説明の内容がしっかりと伝わったところで、ゲームが始まった。

ボードゲームで遊びながらQ&Aのさまざまなスタイルに親しむ

教室のあちらこちらでボードゲームが始まると、Jeremy先生は各グループを回り、熱戦のゆくえを見守る。マスには「Be動詞」で始まる質問と「Do/Does」から始まる質問が並び、コマが進むごとに

“Is your friend a fast speaker? (あなたの友だちは早口ですか?)”
“Yes, he is a fast speaker.(はい。彼は早口です)”
“Do you work hard every day?(あなたは毎日がんばっていますか?)”
“Yes, I work very hard every day.(はい、私は毎日とてもがんばっています)”
というやりとりが聞こえてくる。そのなかで、
“Is Ichiro Suzuki totally fast? (イチローはすごく速いですか?)”
という質問の答えに詰まっている生徒を見つけると、Jeremy先生はすかさず
“Do you know Ichiro Suzuki, the baseball player for the Yankees? Does he run fast? (ヤンキースのイチロー選手を知っているかな? 彼は走るのが速い?)”
と、話題に関連する別の質問を挟んだ。生徒が
“Yes, he runs very fast.(はい。彼はとても足が速いです)” と答えると、
“Yeah! So, he is totally fast.(そうだね!つまり、彼はすごく速いよね)” とフォロー。質問の意味を理解した生徒は、“I see! (なるほど)” と、晴れやかな表情でゲームを続けていた。
このように、Jeremy先生は別の言葉に置き換えたり、違う言い回しを使ったりして、生徒が初めて出合った単語や表現でも、辞書を使うことなく「英語のまま」理解できるよう促している。

ジェスチャーを使って単語の細かいニュアンスまで理解

授業が始まる前に、Jeremy先生はこれから行う“Movie talk”のトピックとなる表現をホワイトボードに書いていた。

ジェスチャーを使って単語の細かいニュアンスまで理解

slow walker (ゆっくり歩く人)
walking carefully (注意深く歩く)
walking carelessly (注意せずに歩く)
glowled quietly (静かにうなる)
ask nicely (穏やかに頼む)
good thrower (上手に投げる人)
pushed hard (強く押す)
asked angrily (腹立たし気に頼む)
kicked hard (強く蹴る)
good kicker (蹴るのが上手な人)
fell guickly (早く落ちる)
jumped carefully (注意深くジャンプする)

“Now, we’ll have a short video today. First, please look up the board! (では、短いビデオを見ましょう。まずはボードを見てください)”
と先生が呼びかけると、生徒たちは一斉に何が書かれているのかを確認する。
Jeremy先生は、“Walking carefully is no problem, but if you walk like this? (注意深く歩けば問題はないけれど、もしこんな風に歩いたら?)”
と言いながら、目の前にある机にぶつかってみせた。すると、ある生徒がすぐさま “It’s not carefully! (注意深くありません!)”。続いて、小さな唸り声をあげてから “Do I growl loudly? (大きく唸っていますか?)” と訊ねると、“You growl quietly. (静かに唸っています)” という答えが返ってくる。このようにして、生徒たちはJeremy先生の解説とジェスチャーに注目し、その単語が持つ細かいニュアンスをくみ取ろうとしていた。

動画を見て、状況やあらすじを英語で実況する “Movie talk”

“Movie talk”は、2分間の短いアニメーションを場面ごとに区切りながら上映し、状況やあらすじを英語で実況するというもの。この日のアニメーションは吊り橋を舞台に、4種類の動物が登場した。Jeremy先生は数秒ごとに動画を止めて質問をし、生徒がそれに答える形で進んでいく。

“How’s the weather? (天気はどうかな?)“
― “Sunny.(晴れ)”, “Maybe middle. (たぶん、普通)”
“What is this? (これは何でしょう?)”
― “Bridge. (橋)”
“Yes, is this a long bridge or a short bridge?(そうだね。長い橋かな、それとも短い橋?)”
― “Long bridge. (長い橋)”
“Is it a plastic bridge or a wood bridge? (これはプラスチックの橋?それとも木の橋?)”
― “A wood bridge. (木の橋です)”
“Is the bridge made of plastic? (この橋はプラスチック製ですか?)”
― “No.(いいえ)”
“So, what is it made of? (では何で作られているの?)”
― “It’s made of wood. (木でできています)”
というように、Jeremy先生は各場面の細かい部分まで生徒に観察させ、英語での的確な表現を求める。
全員でアニメーションを見ながらキーワードを確認した後、Jeremy先生は2回目を上映し、今度はペアワークで“Movie talk”が行われた。動画が止まった瞬間、隣の人と“Rock Scissors Paper 123! (じゃんけんぽん!)” が始まる。「じゃんけんに勝った人は、動画のシーンに関連する質問に対し、7ワードで答える」というルールでどのペアも盛り上がっていた。

ショートインタビューをもとに、「think that~」の構文を練習

次に、9つの質問が書かれたインタビュー・シートが配られた。

【Interview】
Do you swim quickly? (あなたは速く泳ぎますか?)
Does your friend eat loudly? (あなたの友だちは音を立てて食べますか?)
Do you think that penguins are very scary? (あなたはペンギンを怖いと思いますか)
Does your P.E. teacher talk loudly? (あなたの体育の先生は大声で話しますか?)
Are you a good sumo wrestler? (あなたは優秀な関取ですか?)
Are snakes totally beautiful? (あなたは蛇をとても美しいと思いますか?)
Is your mother a good dancer? (あなたのお母さんはダンスが上手ですか?)
Is banana soup very delicious? (バナナのスープはとてもおいしいですか?)
Is playing dodgeball totally fun? (ドッジボールはすごく楽しいですか?)

質問の下には、
Write some sentences: (文章を書きましょう)
Example ― Jeremy thinks that chicken dancing is very dangerous.
(例― ジェレミーはニワトリのダンスがとても危険だと思っている)
She thinks that her English teacher is totally strong.
(彼女は、英語の先生がとても強いと思っている)
とあり、文章を書くスペースがある。

 “So, what I want you to do is, you’re gonna stand up, you’re gonna meet somebody, you’re gonnna say ‘what’s your name?’ Put their name down and ask them a questions! And then they’re gonna give you a Yes answer, or No answer, you’re gonna circle yes or no. After one question, find a new partner! Let’s take about 5minutes to do this interview, and when you finished, you can make some sentences down here. OK? Ready, go!”
(では、みんな席を立って。相手の名前を聞いて記入したら、質問しましょう! YesかNoで答えてもらって、丸をつけてください。一つの質問が終わったら、新しいパートナーをみつけること! 約5分でインタビューを終えたら、下に文章を書いていいですよ。じゃあ始めよう!)

  • ショートインタビューをもとに、「think that~」の構文を練習
  • ショートインタビューをもとに、「think that~」の構文を練習

とJeremy先生が指示すると、全員が一斉に立ち上がった。短いQ&Aであるため、生徒は回答を一つ得るとすぐに別のパートナーのところへと向かう。インタビュー合戦で一気ににぎやかになった教室が落ち着きはじめたころ、Jeremy先生は “Ok, you’ve finished. Sit down. (では終わった人は座りましょう)”と声を掛け、これから書く作文のスタイルについて説明を始めた。

“So, just for an example, ‘Do you swim quickly?’
For example, I ask a question to him, and I say ‘Do you swim quickly?’ and he said, ‘Yes!’
So, I’d say ‘He thinks that he swims quickly.’ Just like that, OK?”
(たとえば、“Do you swim quickly?”という質問を彼にして、彼が“Yes!”と答えたら、“ ‘He thinks that he swims quickly.”というふうになります。いいですか?)

生徒たちは数分前に終えたばかりのインタビューをもとに、「think that~」を用いた文章を次々に書いていく。Jeremy先生は、一人ひとりの文章を確認すると、“Be careful!(気をつけてね)”と全体に注意を促し、ホワイトボードに「I/We=don’t」「He/She=doesn’t」と書いた。約5分後、生徒たちは再びペアを組み、自分が書いた文章を互いに読み合って内容を確認した。

  • ショートインタビューをもとに、「think that~」の構文を練習

動画を見て、状況やあらすじを英語で実況する “Movie talk”

この日のネイティブパートも残すところ10分。先ほどの“Movie talk”で見たアニメーションに登場した動物を一つ選び、そのキャラクターの視点で物語を文章化するアクティビティーが始まった。たとえば「うさぎ」を選んだ場合は、
“I am a rabbit. One day, I was walking across the bridge. I saw a moose…”
(私はうさぎです。ある日、橋を歩いて渡っていました。私はヘラジカに会って…)
というように、うさぎの立場でストーリーを振り返り、50~70ワードの英作文を書く。
手が止まりそうな生徒も、Jeremy先生に“Mistakes are OK, just keep writing, OK? (ミスしても大丈夫。書き続けてね)”と励まされながら書き上げていった。
18時35分に授業が終わると、20分間の休憩。生徒たちは校舎付近のコンビニに出かけたり、軽食をとりながら友だちとおしゃべりを楽しんだりして、リフレッシュしていた。

(女子生徒のコメント)
私は春期講習から受講しています。学校の授業とは違い、さまざまな本に出合えるところが他の塾にはない魅力だと思います。SEGにはたくさんの洋書があり、ディズニーのストーリーブックや先生がすすめてくださった本など、毎回読めるのが楽しいです。

(男子生徒のコメント)
友だちと友だちのお兄さんがSEGに通っていたので、ぼくも夏期講習を受講してみたところ、自分に合っていると感じたので9月から入会しました。家にはないようなジャンルの物語を英語で読んだり、“Movie talk”では映像に合わせて会話をしたり、楽しみながら勉強しています。