私の100万語(24):バレエで100万語

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1773. 私の100万語(24):バレエで100万語

お名前: ウルトラQの母
投稿日: 2004/6/16(16:26)

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注文入れてた「バレエがらみ」の英語の本の一部が入荷。わ〜い! しばらくは「バレエで100万語」の日々だぞ〜!

.88.4月9日(金):Bad Day for Ballet (NDN):1500語:9300語:721202語:☆☆☆(+):これは、The Nancy Drew Notebooksという少女探偵物の中の1冊です。このシリーズ、全部で40冊以上もあるらしい。アメリカでは人気のシリーズなのかしらん。
 で、「バレエ小説」と言うよりは、「少女推理物」の中の舞台設定がたまたま「リサイタル直前」の「バレエ教室」っていうタイプの小説です。なので、バレエシーンは少なく、子ども達の子どもの動きも、「バレエ」を巡るものではなく、「本番直前に本番用のテープが消えた」っていう、「事件」を巡るものが中心だったりはします。
 本番直前なのに振りがちゃんと入ってないベスがレッスンメイトから「犯人では?」と疑われ(>先生に何度も注意されて「こんなテープ捨てちゃいたい!」みたいな爆弾発言しちゃったという事情もあるのだが)、ベスと仲良しのナンシーが一生懸命「謎解き」をする…というストーリー展開。
 
89.4月10日(土):Ballet Surprise (FHM):1500語:10000語:731202語:☆☆☆(+):これ、読んでる最中は「投げ技を使うか???」でした。これも、シリーズ物の中でたまたま舞台設定が「バレエ」っていうものです。
 母親はいないけど(88の主人公も母親がいませんでした。そう言えば)、父親、2人の姉、おじさん、おじさんの妻、2人の双子の息子、父親の親友(であり一緒に朝のトークショーをやるという仕事上のパートナー)、犬、そして本人の10人家族おじさんやら、アメリカには珍しく大家族で住む一家の話で、大人気のTVシリーズでもあるらしい。(なんとNHKでも放映されたそうです)
 なぜ「途中で投げようか」と思ったかというと、それは主人公ミッシェルのあまりのエゴイズムであります。そもそも、彼女はバレエはあまり好きじゃなく、得意でもなく、途中でタップに転向する。だけど、ターナー家の「伝統」とやらで、学校の催しでやるバレエのオーディションを受けちゃう。その催しでは2人の姉が主役を踊ったっていう「歴史」もあったりはする。で、ミッシェルはもちろんそんな大きな役はもらえず、でも、先生いわく「重要な役」はもらえる。
 ほんとだったら「それだけでもありがたいと思えよ!」と言いたいところだが、彼女は次々自分だけ目立とうという工夫を「勝手に」やるんです。長い間バレエの訓練を積んできた子たちを、それはあまりに馬鹿にした行為だ…と腹が立った。
 で、最後の最後になって、先生が「あなたは他の子のことを全く考えていなかった」と彼女に言う場面が出てくるんですよね。
 あぁ、そうなのか。子どもの持つ「エゴイズム」というもの、それはそれは強い物で、どの子も「自分を見て、自分を見て」と訴える。親がよその人と話していると、一生懸命自分に注意を引こうとする。子どもってそういうもんです。
 で、イギリスの子ども向け小説を読んでいても思うけれど、アメリカやイギリスの子ども向け読み物って、そういう子どもの「いやなところ」を隠さない。日本だったら、多分、もうちょっとオブラートに包んで表現してしまうんじゃないかと思うんですよね、このあたり…。
 このシリーズが人気があるというのは、そういう子どもが本来もってる「エゴイズム」や「身勝手な奔放さ」というもののプラスとマイナスをとても素直に描いているからなのかもしれないな…と最後の最後まで来て思いました。
 ただ、私はやっぱり個人的には、このミッシェル、あんまり好きじゃありません。アメリカ文化よりイギリス文化になじみがあるせいかもしれません。父親が「君がお姉さん達みたいに上手に踊れなかったとしてそれが何だい? 君はいつだって君自身なんだよ」みたいなことを言ったりもするし、テーマは「社会なり家族なりの期待」と「本当の自分自身」の葛藤・・みたいなことだったりするのだろうから、ミッシェルの「自己」を中心にストーリーが展開していくのは仕方ないとしても、先生が最後に指摘した「周囲の子ども」への目配りがこいつにはあまりにないなぁと思う。
 同じくらいの年齢の少女を対象にした小説で、同じように「バレエ小説」としてではなく、シリーズ物の中でバレエが対象になっているもので言うなら、9のGlitter Girls: Ballet Babeの方が私はずっと好き。
 ただ、子どもの目線で読んだ時、子ども達がどう感じるのか…ということについては、もはや子どもでなくなってしまった私には良く分からないところであります。

90.4月11日(日):My Mama Had a Dancing Heart:?語:370語:731572語:☆☆☆☆☆:美しいです。これは絵本じゃなくて、絵と言葉が奏でる詩です。あまりの美しさに思わず涙ぐみました。絵も美しいけれど、言葉も美しい。言葉ってこんなに美しいものだったんですね。
 「踊る」時にもっとも大切な物は何か…についても、改めて教えられた気がします。読み終わってなお、心が震えています。

91.4月12日(月):Baseball Ballerina(SIR3):700語:800語:732372語:☆☆☆(+):シャークスという女子野球チームでショート(ショートってshortstopなのね。知らなんだ)を守る女の子が、「もっと女の子らしいことを」とバレエを習わされる話。教室に行くと別のシャークスのメンバーも。2人は「このことは絶対に仲間には内緒にしよう」と約束するんだけど、友達の方はだんだんバレエにはまっていく…。
 「バレエみたいな女々しいことできるか!」「みんなに見られたら恥ずかしくてしょ〜がない!」という新手の女の子のお話だったりはする。これもバレエ内在的なストーリーではなくて、バレエ外在的なストーリーであります。
 89の主人公よりはこっちの主人公が好き。この子は野球をやってるだけあって、チームスピリッツというものが分かっている。だから、本当はリサイタルなんていやだし、客席にシャークスのメンバーを見つけた時には「やば!」と思うんだけど、「今日は私のチームメートはシャークスのメンバーじゃなくて、一緒に踊る子たちなんだ」って、そう思って一生懸命踊ろうとする。
 母が押しつける「女の子らしさ」と「自分らしさ」の間に葛藤はあるけれど、でも、バレエの舞台の本番を目の前にした時には、自分にとって本来の自分らしさを感じられる野球を一時棚上げにして、バレエの仲間が築いてきた努力をスポイルするようなことはガマンする…。なかなか好感が持てます。野球を愛する子は、他の物を大切にしている子たちの、その大切な物にも敬意を払える…。
 レオタード着て、野球帽かぶり、グローブはめて、バットを持っている主人公の絵が描いてある表紙を見た時は思わず読むのやめようかと思ったけど、読んでみて良かった。


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