Re: 1つだけ

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[汗] 2542. Re: 1つだけ

お名前: 酒井@快読100万語!
投稿日: 2008/3/4(12:49)

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marinさん、こんにちは!
さかい@tadoku.orgです。

たかぽん、こんにちは!!
(こうやってると前と変わらないねえ・・・
 泣けてきちゃうよ)

〉酒井先生、marinです。 またまたこんばんは。

〉酒井先生の意思が石のように硬いので(別にダジャレを言いたいわけでなし)、
〉とりあえず、勘違いがあるといけないので、1つだけ。

〉単語と訳語の一対一対応がなぜ悪いかの説明が欲しいのではなく、それを多読
〉より先に行うことのまずさが知りたいのです。

〉というのは、基本的に、私達社会人から多読を始めた人は、文法も教わったし、
〉単語と訳語の一対一対応で単語を覚えて始めたわけです。

〉酒井先生が、それを先にするのは本当の多読でないとすると、私達がしてきた
〉ことは酒井先生が言うところの多読ではないってことで良いですか?

そう、少なくともこれからぼくが目指す「こども式」ではない。

〉私は、先に文法をやろうが、訳語を覚えようがそういうものは多読によって、
〉結局、きれいに正しい形に昇華されるので、どっちが先でもどうでもいい、
〉と思ってます。

ほとんどの人の場合、昇華される、と思いたい。
けれども、学校英語の影響を大きく受けると、昇華が遅くなる。

〉別の板で、時制の一致の話が出てましたけど、私は時制の一致を知っていた
〉けれど、別に、一致されてない文が出ても特に何も感じませんでした。
〉(というか自分の中で1回ではひっかからない)。それが1回や2回じゃなく
〉なった時に、時制の一致って結局何だったのかとWeb内で検索したことが
〉あります。

〉きっと、酒井先生からするとこういう行動が問題ありなんでしょうが、ゼロ
〉からの出発だけを正とするとゼロから出発しなかった人に希望はないです。

あのね、これはね、ぼくはね、15年前から言ってるよ。
marinさんもぼくの本、読んでないでしょ!
(Ernieさんも一冊も読んでないんだよ!!)

たかぽんが言ってるとおりさ。
おとなはunlearnが必要なんだ。
unlearnすれば「希望」が見えてくるんだよ。
おとなはたいていマイナスから出発すると思った方がいい。
これは15年前にもそう書いたけれど、その後じっくり観察してきて、
やっぱりいまでも間違ったことは書かなかったと確信しているよ。

典型的な例が大学の英語の先生で、英語の本をみなさんのように
楽しんでいる人なんて、ほっとんどいないんだから・・・

じゅんじゅんさんが書いているように、ぼくは「素朴な形の多読」が
いちばんよさそうだって見当をつけている。

でも、じゅんじゅんさんが言うように、何かの必要に迫られて
「ドーピング」することは勧めているよ。
marinさんが時制の一致について調べたのは、知的必要に
迫られたのじゃないかな? だとすると、それはよいことだと思うよ。
(日本の英文法書ではないことを祈る!)

辞書を使うことだって(英英だけど)ある時期が来ればむしろ
すばらしい楽しみになるよ。

でもね、最初からっていうのはいかにもまずい・・・
なんでわざわざマイナスから出発しなきゃいけないのさ?
(寝太郎口調が抜けない・・・)

そこをね、もう時間がないから、ちょっとだけくわしく

きのうの夜のぼくの投稿を見て、メールをくれた人がいて、
こう書いてあった・・・

***************************

聖書の、わたしの好きな箇所、
ヨハネ福音書14章の、最後の箇所を、おもいだしました。

十字架への道のりを、
その先にある、真理の道、命の道を、見据えて、
イエスが、歩きだすとき、

イエスは、弟子たちに、
「わたしは世を去るが・・・」と、はなしをはじめるのだけれど、
でも、それは、真理と、永遠の命の、約束で・・・

その結びは、
Rise, let us be on our way.

***************************

ぼくはイエスではないけどね
(でも回りにキリスト教の人がいっぱいいる!)
あ、似ていると思ったのだけれど、それはどうでもいい。

この最後の一行を見て、アイルランドの詩人William Butler Yeatsの
詩を思い出したのだ。The Lake Isle of Innisfreeっていうんだけどね、
この詩の最初の一行が特に印象に残っていて、おそらく上の一行が
響いていると思うのだけれど、こんな風

I will arise and go now, and go to Innisfree

でね、
(なかなかmarinさんの疑問に対する答えまでたどりつかないけど、
もうすぐだよ。)

このYeatsっていう人は、それこそ多読用の語彙かと思うくらい
身近な言葉を使うのさ。

I WILL arise and go now, and go to Innisfree,
And a small cabin build there, of clay and wattles made:
Nine bean-rows will I have there, a hive for the honey-bee,
And live alone in the bee-loud glade.

And I shall have some peace there, for peace comes dropping slow,
Dropping from the veils of the morning to where the cricket sings;
There midnight's all a glimmer, and noon a purple glow,
And evening full of the linnet's wings.

I will arise and go now, for always night and day
I hear lake water lapping with low sounds by the shore;
While I stand on the roadway, or on the pavements grey,
I hear it in the deep heart's core.

ぼくはよく思うんだけど、Yeatsの詩はケルトの巨石文化のようだ。
単純で力強い言葉がどーんどーんどーんて置いてあってね、
でも日常の気持ちや心の揺れとしっかり結びついている。
荒々しいデッサンのようなのに、描かれているのは繊細にして
洗練された心持ち? どっちなんだー?っていう詩なのさ。

そういう、たとえばYeatsみたいな人の詩を味わうにはね、
中学のころに出てくる言葉を訳語と一対一対応させてたら致命的なんだよ。
身も蓋もなくなっちゃう。

詩を味わうために多読してるんじゃないって言うかもしれないけど、
もし多読した本で感動したら、それは「詩を味わう」のとおなじことだよ。
読書には上の詩で説明したような言葉を、訳語を通さずに知っていることが絶対必要。

ところが一旦訳語で覚えてしまうと、そのunlearnにはものすごーい
時間がかかる。近眼の独眼龍さんが「やさしい語ほど訳せなくなった」って
講演でよく言ってるけど、まったくその通りだと思う。

一番最初のところほど、一対一対応は避けなければいけないと思うよ。


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