Re: <追記しました>発音全般についての質問です

[掲示板: 〈過去ログ〉音のこと何でも -- 最新メッセージID: 3373 // 時刻: 2024/5/10(05:51)]

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3363. Re: <追記しました>発音全般についての質問です

お名前: ドラちゃん http://dorataoku.blog37.fc2.com/
投稿日: 2008/5/19(03:24)

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 主観の新茶さん、おはようございます。ドラです。

 私自身は昔からヒアリングが苦手で、未だに苦手なのですが、私の思った
ことを幾つか書いてみますね。

 この『英語舌の作り方』という本は、私自身が多読を始める前に数年間
ディクテーションをやっていて、それで、自分がどうしても正しく聞き取れない
箇所の傾向が見えてきたので、探して買った本です。

 なぜこれを買ったかというと、ディクテーションをやっている時に、色々と
試行を繰り返した結果として、

  『自分が発音できるものは、自分が聞き取れる』

という事が分かって来たのですが、しかし、例えば…文中でthemとhimなどの単語が
同じ様な曖昧な音として発音されたり、文中でifが出て来た時に曖昧な音として
発音されていて、そうした幾つかの箇所でいつも聞き取れない状態になっていたん
ですが、なぜそう発音されるものなのか? どこがそう発音されるものなのか?
が理解できなかったからです。

 この本は、そうした私の疑問にちょうど答えてくれるものではありましたが、
今の私なら、他の人がそうした状況に陥った事が分かった場合には、まずは
多聴またはシャドウイングを勧めると思います。

# 元々のご質問者の吉良さんはシャドーイングを
# 始める前提でご質問されていました。
# 私がこの本を吉良さんに勧めたのは、
# あくまで参考としてだったので、
# 吉良さんがこの本を使わないという
# 判断は十分アリだと思っています。

 というのは、この本が説明している音の変化は、幾つかの典型的に頻用される
ものを上げていて、でも、全てだとはとても思えないし、細々とした例を挙げて、
一つ一つの変化の規則性を覚えていくよりも、多聴で耳を慣らしていった方が、
自然に理想的な状態に近づけると思うからです。

 これは、辞書や文法書を抜きに、自然に英文が理解できるようになる多読と
原理的には同じ事だと思っています。

 それに、結局のところ、この『英語舌の作り方』という本でも、弱形の発音の
様々な具体例や長文を話す時の強弱のリズム感に関しては、色々な文章を読んで
みて、自分で感覚を掴むこと、という風に結論づけられているように、私には
見えます。

 さて、ここまでが、私がこの本を引き合いに出した前提なんですが、主観の
新茶さんのご質問に答える前に、もう二点だけ。

 この本と付属のCDは、本章の説明を読んでExerciseするとそれなりの効果が
得られる様になっています。

 それは、例えばpがtと聞こえる、といった箇所に顕れていると思います。

 つまり、主観の新茶さんがpを聞き取れないのは、pの正しい発音ができない
せいではないかと思われるのです。

# あとは、lとrの違いとか。
# これも自分が発音出来る様に
# なると自然と聞き分けられる
# 様になってきます。

 そういう意味で、この本のCDだけを持っていて、本自体を持っていない
という現在の状態は、この本による恩恵を充分に得られる状態ではないと思います。

 その理由は、CDでは英文や単語だけを読んでいて、どの様にしてその音を出すか
とか、どうして・どこが・どの様に音が変化するのか?といった説明は、本章に
しか書かれていないからです。

 さて、そろそろ本題に近くなってきました…次に、この本の真骨頂は、単語の発音
ではなく、センテンスやフレーズの発音の部分(つまり後半)です。

 例えば、45では(1)はCan I use it?,(3)はFirst of allです。

# ちなみに…私も昔はFirst of allは
# festivalに聞こえました。

 私の経験から言っても、これらのフレーズによる音の変化は、予備知識が
特になくても聞き取りやすいものと、音からは想像も付かず慣れないと聞き取れ
ないものがあるのです。

 書き下していただいた内容を厳密に採点した訳ではありませんが、パッと
見た感じでは、単語の部分は8〜9割正解ですが、センテンスやフレーズに
なっている部分は、正しく書けているのは(設問数ではなく、単語数で)
3割〜4割程度の様です。

 例えば、56の(2) This is for you. (3) She didn't work for a long time.
57の(2) I'm from Aomori. (3) From now on, we will open at nine.
など、書かれているのを見れば何のことは無く、難しい単語は一つもないの
ですが、弱形や、発音時の音のくっつきや省略に馴染みがないので聞き取れない、
という事がご理解いただけると思います。

 さて、一筋縄には答えられないご質問だったため、非常に前置きが長くなりました。
 ご質問の回答を私なりにまとめてみますと、以下の様になるかと思います。

1) 以上の説明を踏まえて、もし、主観の新茶さんが『英語舌の作り方』で
 それなりの成果を出したいのであれば、CDだけではほとんど意味がありません。
 本の部分を入手してExerciseすることをお勧めします。

2) もし、ヒアリングを伸ばしたい・あるいは、ヒアリング能力が気になるので
 あれば、多読をするかたわらで、多聴・またはシャドウイング・L&Rなどを
 やられる事をお勧めします。

 というのは、

  『単語が聞き取れるだけではヒアリングは成り立たない』

  『一つのセンテンスが聞き取れるだけでも、ヒアリングは成り立たない』

という事は、確実に言えるからです。

 それは例えば、日常会話や会議など、自分がコミュニケーションする局面、
あるいはラジオやTVや映画を観てる局面などを考えてみてください。
話者はドンドン話しかけてきますし、自分が知らない・思い出せない単語も
バンバン使ってきます。

 つまり、自分が発音上聞き取れない箇所もドンドン出て来るし、綴りは想起
出来ても意味が分からない単語も、あるいは聞いた記憶すらない単語もドンドン
出て来るのが普通なんです。

 ところが、ヒアリングに慣れていない頭だと、どうしても分からなかった箇所・
聞き取れなかった箇所に気がいってしまいがちです。

 そこで、多読における読み飛ばしと同様に、聞き飛ばしという技が出て来る
のだと思っています。

 そして、多聴・シャドウイング・L&Rなどで、聴く事及び自分が発音する事に
慣れてくると、聞き飛ばしが出来る様になるだけでなく、よりクリアに聞けるよう
にもなってくるのです。

 私はシャドウイングが苦手で、まだ通算で10数時間しかやっていませんが、
Podcastの掛け流し(特に聞こうとせず、とりあえず流しておくだけ)を始めて
もうすぐ一年になります。通算で聞いた(というか、掛けていた)時間は、
概算ですが300時間以上になります。

# その他に音読もやっていて、
# こちらは(仕事で読んだものも含めると)
# 20万語くらいか…

 以前の私でしたら、話者が早くしゃべっている箇所は単語として認識できません
でした。でも、今なら、CNNでも、BBCでも、意味が分からない単語があったとしても、
綴りは想起出来るくらいまで聞けるようになりました。

# でも、ヒアリングは相変わらず
# 苦手です。(汗々)

 主観の新茶さんの期待とは違った回答になってしまったのではないかと
思うのですが、ご質問の趣旨を英語を聞き取る事全般に関する質問と捉えて、
ご本人がCDの内容を書き取られた結果を参考にしつつ、私の分かる範囲で
答えさせていただきました。

 また、追加の質問などありましたら、遠慮なくどうぞ。

 では、Happy Reading and Listeningって事で♪

【追記】
 元々の主観の新茶さんの質問意図は、『この書き取りからどこが弱いかを
教えて欲しい』という点である事は、ドラも重々承知していたのです。

 その点に関して言うと、(上にも書いていますが、あらためてまとめると)

  ・pの発音
  ・lとrの区別
  ・弱形やくっつき、発音の省略全般

という事になります。

 しかし、『では、その質問はどこから来たのか?』という事を考えるに、
やはり、主観の新茶さんご自身の発音やヒアリング能力に関する興味から
来たものだと、私は思いました。

 また、ドラ的には『継続練習しなければ…』という切りだし方がちょっと
気になりました。

 というのは、私自身、以前にはイングリッシュ・アドベンチャーを定期購読
したり、アメリカ映画・イギリス映画をたくさん観たりと色々な事をやみくもに
やった経験がありますが、それらの経験によるヒアリング能力の向上はほとんど
感じられなかったからです。

 しかし、今は着実に良い状態になっている事を感じ取ることが出来ます。

 それは、多読を始める直前頃の1ヶ月ほどの間に、今まで自分がやってきた
英語学習を振り返って、自分の向き・不向きや、何をやってどうダメだったのか? 
自分に不足していたのは何だったのか? などを整理できた事が大きくて、
その自省の結果として、フォニックスや発音のあり方などを探究する方向性と、
更に自分自身が能動的にたくさんの英語量と触れるメソッドを探すという
方向性を見いだすことが出来た事と、その方向性に沿って自分自身が継続して
来れた事によるのだと思っています。

 そうした経緯があって、『継続練習しなければ…』という主観の新茶さんの
お言葉の裏に『やみくもに…』という点と『お勉強的な感触』を感じ取ってしまったので、
余計なお節介とは思いましたが、もう少し本質的なお話として、発音と
ヒアリング能力の関係と、ヒアリングが出来る様になると言うのはどういう状態
なのか?という点を私なりに説明させてもらいました。

 また、主観の新茶さんが今回やられたCDの書き取りは、一般にはディクテーション
と呼ばれていますが、ディクテーションの道だけを突き進んでも、ヒアリング
能力がさほど向上する訳ではない、という事を私は痛感しているので、上記の
様な回答となりました。

 もちろん、ある程度以上の実用的なレベルのヒアリング能力を持った方達が、
よりヒアリングの精度を上げるためにディクテーションやシャドウイングをやったり
しているのを私は知っていますが、それはそういうレベルに到達した人達に
通用する話でしかないので。


▲返答元

▼返答


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