[掲示板: 100万語超 報告・交流 -- 最新メッセージID: 13567 // 時刻: 2024/11/24(08:33)]
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お名前: みゅう
投稿日: 2005/9/2(13:51)
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100万語通過ごとに掲示板に現れるみゅうです。9月2日にDauphne du MaurierのRebeccaで900万語を通過したので、そのご報告です。
800万語を通過したあとからいろいろ忙しくなってすっかり本を読むペースが乱れてしまい、なかなか読み進まない時期が進みました。みゅうは基本的に停滞というのはないので読めないとか言いつつちょっとずつは読んでいるのですが、今までは一日一万語だったペースがその半分にも満たない時期が続き、SheldonのRage of Angelsなど半月で読む予定が一ヶ月以上もかかったりして夏になる前まではこれではいかん、でも読めない、ということの連続でした。それが7月半ばにHarry Potter and the Half-Blood Princeを読み始めてから突如以前と同じペースに戻り、今は完全に元通りです。みゅうはこれまではどちらかというと一章が短い本を細切れで読む感じだったのですが、Harry Potterではそうもいかないのでどうしてもまとまった時間読書に専念することになります。それが逆に良かったようで、今は一章が長い本でも躊躇せず手にできるようになりました。今回のHarry Potter最新刊はとりわけおもしろかったのでどうしても先を読みたくなりますから久しぶりに夢中で本を読んだなぁと感じています。800万語通過から半年たってしまったので、それまでのほぼ3ヶ月で100万語読むペースの半分ですから明らかなペースダウンだったというのも納得です。1000万語まではこれまでどおり3ヶ月で読んで、無事年内には1000万語通過といきたいものです。今年の10月末には多読を初めて3周年ですのでほんとはそれまでに1000万語通過したかったのですが。それはちょっと無理そう?
みゅうは児童書とかMangaとかほとんど読まないので、Peanutsがコミックであるのと「大草原」が児童書であるほかは今回読んだ本も全部一般書に近いものです。米国でよく売れているらしいものを中心にミステリが多くなりますが、本当は古典文学を読みたいのです。でも800万語までのときにDickensのChristmas Carolを読んであまりに読めなかったのでがっくりしてしまい、いつになったら文学作品も自由自在に読めるのか知らん、とためいきをつく日々です。つい先日のT.Yさんの1000万語報告で、古典をたくさん読まれていると書いてあるのを読んで「おぉ・・・」と思ってしまったり。今回読んだRebeccaは20世紀の作品ですがわりと古典的な雰囲気の本といえなくもないので、読めてうれしかったですね。そう言ったらChristieのミステリも古典的なのかもしれませんが。以下の感想にもありますがRebeccaは思ったよりずっと読みやすかったので、PB読みの方で興味がある人はぜひ読んでいただきたいものです。
以下、800万語から900万語までに読んだ本の感想です。
()内は著者名と総語数。
YL: 3-
The Complete Peanuts 1953-1954(Schultz)(26000)
SnoopyでおなじみのコミックPeanutsの全集第2巻。表題の通り、1953年と1954年のストリップをサンデー版も含め全部掲載しています。シュローダーは全集1巻に引き続いてあいかわらずベートーヴェンの難曲「ハンマークラヴィーア」ソナタを弾き続けています。シュローダーの弾いているピアノがおもちゃだというのは見ていてわかっていたことですが、なんと黒鍵は白鍵の部分に黒で色を塗っただけなのだとか。それじゃやっぱり「ハンマークラヴィーア」は無理だよー、とがっくりしてしまいました。シュローダーのピアノのレパートリーはブラームスとベートーヴェンが全部、バッハとバルトークの一部、なのだそうで、なかなかの本格派です。今でこそバルトークの音楽もさかんに演奏されているようですが、このストリップが掲載されたのはバルトークが亡くなって10年くらいのまだまだバルトークの曲が現代曲だったころのことですのでちょっと意外に思えました。このあたりは作者のシュルツさんのお好みが反映されているのでしょうか。いずれにせよみゅうもバルトークの音楽はとても好きなので、シュローダーの言葉を読んでなんだかとてもうれしくなってしまいます。このころから野球ネタも増えてきます。800万語報告のときにも書いたと思いますが、なにせ50年前の連載ですので、現在私たちが知っているスヌーピーたちとは絵柄がだいぶ違います。ここでもまだスヌーピーは4本足で歩く見かけは普通の犬です。ウッドストックも出てきません。これからどう進化していくのでしょう。
A Cat's Life(Judy J. King)(21000)
猫の視点から見た飼い主との関係を描いたもの。と書くと難しそうですが、英語はとても平易で読みやすいです。読んでいて、我が家の猫の(本物の)みゅうちゃんもこうやって飼い主の私を見ているのかと考えてしまいました。みゅうちゃんの小さかったころもこんなことあったなー、とまさしく驚きの連続。すごい本です。猫好きの方、ぜひどうぞ。
YL: 4-
These Happy Golden Years(Wilder)(60000)
「大草原の小さな家」のシリーズ。みゅうはこのシリーズの第1作"Little House in the Big Woods"で100万語を通過しているので、とりわけ大事に読んでいるシリーズですがそれももう終盤であと一冊残すのみになってしまいました。ここでは"in the Big Woods"では小さかったローラが学校の先生になり、そして結婚しますので感慨もひとしおです。地味婚だけがいいとは決して思わないのですが、簡素な結婚式とそれにむけて準備に邁進する姿にはやはり感銘を受けました。ここでもネリー・オルセンはあいかわらず意地悪なのですが、それに対するアルマンゾの配慮というのが大人だなと思い、これもちょっと感心したことです。
YL: 6-
The Notebook(Sparks)(51000)
まなおさんから拝借した始めて読むNicholas Sparksの本。とても読みやすい本で驚いてしまいました。そんなに長くないので、初めて読むPBにしてもいいかもしれないなと思いました。みゅうの初PBはDaniel SteelのLeap of Faithなのですが、Leap of Faithにくらべて総語数が少し多い程度のように思えたからです。若いころの話で終わらず、その後が書かれているところが余韻が深かったように思います。この本を読んでいる間はちょうどその映画が公開されているころだったので、本屋さんを歩いていて訳本がいっぱい並んでいたのが印象的でした。みゅうは恋愛小説をほとんど読まないので、借りなければ出会わなかった本です。まなおさんに感謝。
The Sands of Time(Hoeye)(78500)
擬人化したネズミが主人公のミステリー"Time Stops for No Mouse"の続編。主人公たちの世界では猫の存在はタブーだったので、あるとき女流画家が個展で描いた猫の絵に騒然とします。そして猫とネズミの関係をさぐるミステリーがまたも展開するのですが・・・。猫好きのみゅうは、猫の存在の議論にわく登場人物たちに思わず、おーい、と叫んでしまうのですが、主人公がネズミでは仕方ありません。主人公たちは擬人化されているから人間と同じくお茶もするしパーティーもします。でもやっぱりネズミなので、手やしっぽの描写がネズミになったりしてなんだかかわいいのです。そして話は大人のほろ苦い感じもするのですが、直前に読んだSheldonのRage of Angelよりもさらに読みやすかったので、この読みやすさが児童書として出ているゆえんかもしれません。総語数は13.3x32x(277-60)x0.85で計算。
YL: 7-
Going Solo(Dahl)(60000)
Puffin Booksのダールの児童書はこの一冊で読破したことになります。といっても他の児童書とは違ってダールの自伝ですので対象年齢はちょっと高めと思われ、児童書ほどには読みやすくはないと思います。ダールは第2次世界大戦で英国軍のパイロットであったため空中戦の描写がかなりありますが、このあたりが読みにくかったです。しかし理解度があがると描写されている場面の深刻さに気がつき、月並みな言い方ですが戦争って怖いんだな、と実感します。一流作家が戦闘の当事者の視点で書いているわけですから、その描写から感じることというのは一言では言いがたいものがあります。そして最後にあっけなくパイロットをお役御免になってお母さんのところに戻るところは感無量です。
YL: 8-
Letters to a Young Gymanst(Comaneci)(54173)
1976年モントリオール五輪で10点満点を連発したルーマニアの元体操選手ナディア・コマネチによる自伝。体操競技を始める前の幼少時から米国に亡命し結婚するまでの半生記です。話がちょっと変わりますが、みゅうはピアニストの中村紘子さんと青柳いづみこさんの文章というのをまめに読んでいて、このお二人が「読んだ」とおっしゃる本はなるべく手にとっています。青柳さんは昨年度まで朝日新聞の書評委員をしていらして、本書の和訳も朝日新聞の書評欄で青柳さんが紹介されたものです(2004年10月3日の朝刊)。訳本だとかえってなかなか読まないかな、と思い、ハードカバーしか出ていないのですが思い切って原書を購入しました。青柳さんは書評で「読んでいて満点を取る精神構造というものを考えた」と書かれていますが、みゅうも同じように感じました。著者が体操選手として際立って大きな実績を残したのはもちろんそのもとからの身体能力の高さと練習によるところが大きいのでしょうけれど、著者はその精神力と注意力が素晴らしい。そしてその優れた注意力や精神力というのに著者は子供のころから気づいていて、日常の中で幼少時から能力を上手に生かしている様子には感嘆せずにはいられません。そして頁が多く割かれている、著者と体操コーチのベラ・カロリーとの関係もとても興味深いものです。名コーチのカロリーにスポイルされる選手も多かったようですが、みゅうにはカロリーと著者の関係はとても望ましいものに思えました。「故障する恐れはなかった、なぜなら彼(カロリー)は自分の(身体的能力の)限界を知らなかった」のに「カロリーは自分(著者)を信用していたのだ」という言葉にすっかり考えさせられ、そしてうらやましくも思ったのです。「信用していた」という言葉がどれだけ重大であるかは、本書に書かれるカロリーと著者をとりまく当時のルーマニアの状況を読めばおのずと理解できると思います。体操競技の描写が読みにくいですが、競技そのものに関する部分は実はかなり少ないので全般には読みやすく感じました。青柳さんがおっしゃるとおり、体操に限らず教育に関わるあらゆる人に読んでもらいたい本です。総語数12x33x(178-26)x0.9で計算。ISBN:0465012760。
ABC Murders(Christie)(88400)
アガサ・クリスティーの代表作のひとつ。アルファベットをモチーフにした連続殺人事件という題材は今では斬新ではないかもしれませんが、古きよきイギリスの雰囲気が上品で好ましく感じられ、やはり他のミステリーにはない良さがあるように思いました。クリスティーというとこの前にはAnd Then There were Noneを読んでいますが、そちらよりは難しく感じられたのは翻訳を読んでいないでいきなり原書に挑戦したからということもあると思います。クリスティーの本は小説としては中編程度の長さで気張らず読めるので、これからもどんどん読んでいきたいと思う作家の一人です。13.4x39x(224-8-17)x0.85で総語数を計算。きゃんちろさんから拝借して読んでいます。感謝。
Rage of Angels(Sheldon)(160000)
Sheldonは好き嫌いが分かれるのであまり読まない方も多いようですが、みゅうは彼の本の主人公のたくましい女性たちが好きなのと、何より簡潔でわかりやすい文章にひかれて、難しいと思った本のあとにはついついSheldonに手が行ってしまいます。あとは作家が物知りなのは当たり前ですが、Sheldonの本は特にそういう著者の教養が随所に見え隠れするのを読むのもあらすじを追う以外の楽しみなのです。今回も女性が主人公。前半は新米弁護士の彼女が陥れられてどん底を味わった後は勝ちまくるサクセスストーリー、後半はうってかわってマフィアとのからみがあるシリアスな展開となります。ラストを読んでちょっとしんみりしてしまいました。もっともThe Other Side of Midnightのラストほどには衝撃的ではありません。何冊目かのSyeldonとしてはおすすめできますが、Sheldon初挑戦はやはりThe Sky is Fallingかな、と思いました。総語数は11.6x38x(504-78)x0.85で計算。
Harry Potter and the Half-Blood Prince(Rowling)(168923)
発売日にAmazonから宅配されてきた本書を手にとって思ったのは、前巻(5巻)より少し薄くなったかな、ということです。要するに最初の1巻とか2巻に比べるとまだまだ厚い。4巻以降は結末が苦いものになっていることもあって「さすがにちょっと長いかな」と感じていたのですが、今回の6巻は長さを感じさせないもので、読み終わって大満足の一冊です。何を書いてもネタバレになりそうなのであらすじを書くのは控えますが、「あの教科」の先生がなぜ毎年変わるのか、Voldemordの過去などこれまで疑問になっていたままだった秘密が次々と明らかになるのでどんどん読めてしまいます。そしてあまのじゃくのみゅうはProfessor Snapeのファンであったりするので、166頁(US版です)を読んで「ええ、ついに・・・。そうなのぉ」と本を抱きかかえて思わずにんまりしてしまいました。大手町の会の皆さんともお話したことですが、次巻に向けて積み残した課題が多いように思うので、次の7巻はいったいどんな長さになるのやら、という感じ。それだけ先が楽しみだということでもありますが。5巻の発売のときには原書は1巻すら読んでいなかったので、発売の騒ぎを横目で眺めるだけだったのですが、今回は発売日から読み始めています。次も発売日に本を手にとるのを楽しみにしたいものです。それにしても発売の翌日には読み終わって書評をあげてしまったSkipperさんはすばらしい。。。みゅうは読み終わるまで2週間半かかりました。
The Black Ice(Connelly)(113000)
Harry Boschシリーズの第2作。Harry Potter #6の直後に読み始めたので、文体と雰囲気のあまりの違いに面食らってしまいましたが、今回も渋いハードボイルドをちゃんと味わうことができました。といってももうちょっと理解度が上がるとなおうれしいのですが。間者猫さんのレビューと同じになってしまいますが、後ろ三分の一くらいのBoschがメキシコに行くところは理解度がだいぶ下がっています。でも当初は予想もしなかった結末はちゃんと読めたのでしめしめと思っております。PB読みの皆さんにはBoschのシリーズはかなり人気が高いので、もうかなり読破してしまっている人が結構いるようですね。みゅうは1000万語を目の前にしてまだ2冊しか読んでいませんがこれももっと読みたいシリーズのひとつ。SheldonもGrishamもまだ読んでいないのがいっぱいあるのでなかなかあれこれ手が出ないのですが、のんびり読み進めたいと思います。
Rebecca(de Maurier)(170420)
ダフネ・デュ・モーリエの代表作「レベッカ」。SSSの書評にも書きましたが、冒頭のManderleyの描写を除いては本当に読みやすく、手に取る前はかまえていたのが拍子抜けしてしまうほどです。ほとんど古典の名作といっていい本がこれほどするする読めてしまうとは、と感激してしまいました。ヒッチコック監督が映画化していますが、ある種の怖さというのはありません。しかし主人公の「私」が死んで影すらない先妻Rebeccaの圧倒的な存在感に追い詰められていく様子は秀逸で、これといった大事件が起こるという展開ではないのに最後まで本当に興味深く読むことができました。総語数は12.7x42x(380-25)x0.9で計算。
それでは、年内に1000万語通過をご報告できますように・・・・。
【みゅう】
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