「多読理論研究クラブ」が必要?−多読の理論化について−

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5650. 「多読理論研究クラブ」が必要?−多読の理論化について−

お名前: 慈幻 http://mayavin.txt-nifty.com/labotadoku/
投稿日: 2005/5/16(22:25)

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どうも慈幻です。

〉慈幻さん、ありあけファンさん、こんにちは!

〉〉〉〉「多読」という方法論やそれを可能にしている原理についても
〉〉〉〉興味が湧いてきたことが挙げられます。

〉これはね、言語学関係で、いまいちばんホットな、
〉いや、ホットであっても不思議はない分野だと思うんだけど。

私がちょっと検索した範囲ですが、

http://www.extensivereading.net/er/er.html

http://nflrc.hawaii.edu/rfl/

http://www.readingmatrix.com/journal.html

なんかで、多読に関する論文が読めます。

ただ、これらの論文について、日本語で言及したものを読んだことが
ないので、アメリカやイギリスではともかく、日本では、あまりまと
もな研究がされていないのではないかと。

また、イギリスやアメリカでも、社会人に対して、SSSのような形で
大規模に実施した例はないようなので、論文にまとめて投稿すれば、
結構面白い反応が返ってくるのではないかと。

と、言うわけで、酒井先生、英語でそういう論文を書いて上記のオン
ライン・ジャーナルとかに投稿して頂けませんか?(笑)

〉〉〉〉■多読論考編
〉〉〉〉○多読と「言語獲得装置」
〉〉(中略)
〉〉〉〉そうすると、成人の「言語獲得装置」は、実際には眠っている
〉〉〉〉だけで、適切な条件さえ整えれば機能させ得るということにな
〉〉〉〉り、従来の第二言語習得研究に対して、理論的な面でも、非常
〉〉〉〉に大きな一石を投じる画期的な方法論であるとも言えます。

〉〉〉多読で,夢中になって楽しく読んでいる時,がまさにそういう時
〉〉〉なのでしょうね.
〉〉〉ここいちさんは,このような時は「良いホルモンが出ている」と
〉〉〉おっしゃっていますが,私もそのような時間を何度も経験してい
〉〉〉ます.
〉〉〉私自身の場合,そのような時間がある程度の期間以上充分な時間
〉〉〉続いた直後にYLの急上昇(飛躍)した例もあります.

〉〉ホルモンかどうかは分かりませんが、脳内麻薬は確実に出てるかと
〉〉思います。つうか、「ランナーズ・ハイ」ならぬ、「リーダーズ・
〉〉ハイ」は結構あります(笑)

〉いや、ここいちさんの「良いホルモン仮説」は本気で取り組まなきゃ
〉いけないなと思ってるんですよ。

〉非常に簡単に言い切ってしまうと、「リーダーズ・ハイ」の状態が
〉おとなをこどもにしてしまうので、杏樹さんのフランス語も可能に
〉なる・・・

「ホルモン」というか、「脳内麻薬の分泌」によって誘発される「リ
ーダーズ・ハイ」の状態は、一種の「変性意識状態」ですから、「批
判力の低下」や「集中力の亢進」などが起こり、通常以上に学習効果
が高まることは十分考えられます。

また、「変性意識状態」において、「感覚の鋭敏化」や「記憶力の増
幅」なども見られますから、「Happy Reading」=「リーダーズ・ハ
イ」により、言語習得率が飛躍的に向上するというのは、非常にあり
そうな話です。

〉いや、まだまだいろいろみなさんの報告を詳しく読んで行かなきゃ
〉行けませんが、ある年齢になると働かなくなるはずの「言語獲得装置」
〉が実は眠っていただけだとすると、これは外国語獲得理論解明の
〉革命ですね。

ただ、それを言う為には、せめて、多読開始前と、100万語終了後に、
ある程度客観的に英語力を測定できるテストか何かを行い、統計的に
有意な差が出ることを証明した上でないと、追試実験を誰もしてくれ
ないので、主張するのも難しいのではないかと。

〉〉〉〉○多読を開始できる条件
〉〉〉〉SSSでは、多読を始める前提として、日本の中学1年生レベ
〉〉〉〉ルの英語力、つまり、「英語多読開始の条件」としています。
〉〉〉〉これは、逆に言えば、全くの白紙状態から多読開始が可能に
〉〉〉〉なる状態までに学習を進展させる方法論は未開発であること
〉〉〉〉になります。

〉親子の広場の投稿から、そしてぼうが実際に子どもたちを見て、
〉中学1年生程度の「英語力」は必要ないと思われます。
〉あれを書いたときにも(「快読100万語!)、本当は英語の知識は
〉ゼロからはじめられると予想していたのですが、実例がなくて、
〉そう言いきれなかった・・・

〉何人かの子どもたち(小学低学年以下)を見ると、英語に接触している
〉とは考えなくてもいいような気がします。

ただ、別の所で杏樹さんが仰られているように、ORTなどの学習書が
充実している英語ならそれも可能かもしれませんが、学習書がそれほ
ど充実していない他言語でそれをやるにはまだ敷居が高いと思われま
す。

〉○多読と語用論
〉「語用論」(pragmatics)とは、言語学の一分野で、一言でいえば、言
〉葉とその意味を、私たちが普段行っているコミュニケーションの場面
〉に即して、即ち、言葉の用いられた状況や文脈を踏まえて考えていこ
〉うとする学問のことです。
〉(中略)
〉そして、まさにこの「語用論」上の「意味」を理解しようとすること
〉を重視し、そのことによって外国語を自然に習得することを目指すの
〉が「多読」だと言えます。

〉慈幻さんの言われる「語用論」上の「意味」に多量に触れることができ
〉るようになったのは,多読を開始してからです.

〉従来の学習法では、「物語」の「内容」にまで意識を向けさせるのは至難
〉の技でしたからね。

〉そう、至難だったので、単語や文法に注目した。
〉ところが多読の効果をいろいろ見ていると、物語(語用論上の意味)から
〉はいって単語や文法に下がっていく方が理にかなっているらしいと
〉わかってきたと思います。

ただ、これも証明するには、実証研究をしないと、言語学や教育学の人たち
を説得するのは難しいのではないかと(苦笑)

〉これに対して、従来の外国語学習においては、コミュニケーションの
〉状況やコンテクストに関わりなく決まる言葉の意味─「文字通りの意
〉味」(literal meaning)─をあつかう分野である「意味論」(semantics)
〉を前提とし、単語の文字通りの意味や文法規則を重視していると言え
〉ます。

〉 私はSSS式多読を開始する前は,いわゆる勉強モードで,メソードを
〉組み立てようとまでしたこともあるのですが,「統語論」と「意味論」に
〉こだわりすぎていたようです.

〉日本に限らず、通常の外国語学習法が、そこに止まってますから、仕方
〉ないと思いますが・・・

〉あんなに良いGRや、ORTやLLLを作っているイギリスでも、
〉出版社自体が「物語から英語へ」というトップ・ダウンの道を意識
〉してはいないのです。これから先の仕事の量を考えると、楽しみ!

実証研究の手間、特に、ある程度客観性を持ち、かつ、対象者にとって
「多読の楽しさ」を損なわないような「測定方法」の開発が急務かと思
われますので、酒井先生の奮闘努力に期待しております(笑)

〉○多読と物語論
〉(中略)
〉非常に簡略化すれば、以下のように図示できるかもしれません。

〉           物語

〉       シーン − シーン    

〉     機能  − 機能 − 機能    

〉  文  文  文  文  文  文 文 文       
 
〉語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 

〉うわぁぁー,ピラミッド!
〉とてもわかりやすい図です.
〉「文」の上にある「機能」と「シーン」は「−」で結ばれているの
〉は何か意味があるようですね.

〉「機能」にしろ、「シーン」にしろ、ある種の論理的関係があって、
〉初めて「物語」が成立するという含みです。

〉詳細を話し出すと、多読とは関係ない話になるので、割愛してます。

〉関係ない部分も含めて、ぜひじっくりお話ししたいですね。

了解です。

〉今度の多読学会で、こうした「理論面」についての分科会もあると
〉いいですね!

そういうのでしたら是非参加してみたいです。

〉では、この先この話題がたくさんの人の参加で深まっていくことを
〉祈りつつ・・・ Happy reading!

数百万語以上読んだタドキストで、多読に関する教育学や言語学に関
する英語の論文なんかを読む「多読理論研究クラブ」とかを作る必要
があるのかもしれませんね(笑)

以上、用件のみですが、今回はこれで失礼します。


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