Re: 今後の課題でしょう(笑)

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[♪] 5641. Re: 今後の課題でしょう(笑)

お名前: 酒井@快読100万語!
投稿日: 2005/5/15(12:10)

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慈幻さん、ありあけファンさん、こんにちは!

〉〉〉「多読」という方法論やそれを可能にしている原理についても
〉〉〉興味が湧いてきたことが挙げられます。

これはね、言語学関係で、いまいちばんホットな、
いや、ホットであっても不思議はない分野だと思うんだけど。

〉〉 この問題は,私が多読を始めるまでの非常に長い間,いろいろと
〉〉勉強し,そして悩んだことがある問題でした(過去完了).
〉〉2003年7月23日に多読を始めてからは,このような問題で悩むことは
〉〉なくなりましたが,逆に,なぜ多読でだんだんと読めるように(そ
〉〉してごく僅かずつですが,聴けるように)なっていくのかが不思議
〉〉で不思議でたまりません.
〉〉その謎を知りたい,という衝動は日に日に高まっています.
〉〉こういう経緯ということもあって,慈幻さんの投稿をとても興味深
〉〉く読ませていただきました.

〉私の屁理屈が少しでも参考になれば幸いです。

ありあけファンさんのお考えもそのうち聞かせてください。

〉〉〉■多読論考編
〉〉〉○多読と「言語獲得装置」
〉(中略)
〉〉〉そうすると、成人の「言語獲得装置」は、実際には眠っている
〉〉〉だけで、適切な条件さえ整えれば機能させ得るということにな
〉〉〉り、従来の第二言語習得研究に対して、理論的な面でも、非常
〉〉〉に大きな一石を投じる画期的な方法論であるとも言えます。

〉〉多読で,夢中になって楽しく読んでいる時,がまさにそういう時
〉〉なのでしょうね.
〉〉ここいちさんは,このような時は「良いホルモンが出ている」と
〉〉おっしゃっていますが,私もそのような時間を何度も経験してい
〉〉ます.
〉〉私自身の場合,そのような時間がある程度の期間以上充分な時間
〉〉続いた直後にYLの急上昇(飛躍)した例もあります.

〉ホルモンかどうかは分かりませんが、脳内麻薬は確実に出てるかと
〉思います。つうか、「ランナーズ・ハイ」ならぬ、「リーダーズ・
〉ハイ」は結構あります(笑)

いや、ここいちさんの「良いホルモン仮説」は本気で取り組まなきゃ
いけないなと思ってるんですよ。

非常に簡単に言い切ってしまうと、「リーダーズ・ハイ」の状態が
おとなをこどもにしてしまうので、杏樹さんのフランス語も可能に
なる・・・

いや、まだまだいろいろみなさんの報告を詳しく読んで行かなきゃ
行けませんが、ある年齢になると働かなくなるはずの「言語獲得装置」
が実は眠っていただけだとすると、これは外国語獲得理論解明の
革命ですね。

〉〉〉○多読を開始できる条件
〉〉〉SSSでは、多読を始める前提として、日本の中学1年生レベ
〉〉〉ルの英語力、つまり、「英語多読開始の条件」としています。
〉〉〉これは、逆に言えば、全くの白紙状態から多読開始が可能に
〉〉〉なる状態までに学習を進展させる方法論は未開発であること
〉〉〉になります。
〉〉〉そして、このことが、英語以外の言語で多読をする際に意外
〉〉〉に大きな落とし穴になっているのではないかと思われます。

〉〉 一度,時間ができれば,第2外国語で全く白紙の条件でどの
〉〉程度多読を開始できるかどうか試してみたいのですが,残念な
〉〉がら不可能なようですね.

〉いえ、「未開発」なだけで、「不可能」ではないと思います。で
〉すから、様々な方が挑戦する過程で、徐々にその方法論が確立さ
〉れて行くと思いますので、ありあけファンさんも挑戦されてみる
〉というの一つの手です(笑)

親子の広場の投稿から、そしてぼうが実際に子どもたちを見て、
中学1年生程度の「英語力」は必要ないと思われます。
あれを書いたときにも(「快読100万語!)、本当は英語の知識は
ゼロからはじめられると予想していたのですが、実例がなくて、
そう言いきれなかった・・・

〉〉〉と言うのも、「日本の中学1年生修了レベルの英語力」とい
〉〉〉うのが、意外にあなどれないこと、そして、他の言語に比べ
〉〉〉て、無意識に英語に接している機会が圧倒的に多いことがあ
〉〉〉げられます。

〉〉最近は,小学校卒業までに全く英語を勉強していなかった中学
〉〉1年生4月初めの英語力も結構あなどれないと思います.
〉〉無意識に結構な量の英語に接しているのではないでしょうか?

〉私が子供の頃より、無意識の接触量は増えてるような気がします。
〉もっとも、それがどう影響するかは分かりませんが。

何人かの子どもたち(小学低学年以下)を見ると、英語に接触している
とは考えなくてもいいような気がします。

〉〉〉○多読と語用論
〉〉〉「語用論」(pragmatics)とは、言語学の一分野で、一言でいえば、言
〉〉〉葉とその意味を、私たちが普段行っているコミュニケーションの場面
〉〉〉に即して、即ち、言葉の用いられた状況や文脈を踏まえて考えていこ
〉〉〉うとする学問のことです。
〉(中略)
〉〉〉そして、まさにこの「語用論」上の「意味」を理解しようとすること
〉〉〉を重視し、そのことによって外国語を自然に習得することを目指すの
〉〉〉が「多読」だと言えます。

〉〉慈幻さんの言われる「語用論」上の「意味」に多量に触れることができ
〉〉るようになったのは,多読を開始してからです.

〉従来の学習法では、「物語」の「内容」にまで意識を向けさせるのは至難
〉の技でしたからね。

そう、至難だったので、単語や文法に注目した。
ところが多読の効果をいろいろ見ていると、物語(語用論上の意味)から
はいって単語や文法に下がっていく方が理にかなっているらしいと
わかってきたと思います。

〉〉〉これに対して、従来の外国語学習においては、コミュニケーションの
〉〉〉状況やコンテクストに関わりなく決まる言葉の意味─「文字通りの意
〉〉〉味」(literal meaning)─をあつかう分野である「意味論」(semantics)
〉〉〉を前提とし、単語の文字通りの意味や文法規則を重視していると言え
〉〉〉ます。

〉〉 私はSSS式多読を開始する前は,いわゆる勉強モードで,メソードを
〉〉組み立てようとまでしたこともあるのですが,「統語論」と「意味論」に
〉〉こだわりすぎていたようです.

〉日本に限らず、通常の外国語学習法が、そこに止まってますから、仕方ない
〉と思いますが・・・

あんなに良いGRや、ORTやLLLを作っているイギリスでも、
出版社自体が「物語から英語へ」というトップ・ダウンの道を意識
してはいないのです。これから先の仕事の量を考えると、楽しみ!

〉〉〉○多読と物語論
〉(中略)
〉〉〉非常に簡略化すれば、以下のように図示できるかもしれません。

〉〉〉           物語

〉〉〉       シーン − シーン    

〉〉〉     機能  − 機能 − 機能    

〉〉〉  文  文  文  文  文  文 文 文       
〉〉〉 
〉〉〉語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 語 

〉〉うわぁぁー,ピラミッド!
〉〉とてもわかりやすい図です.
〉〉「文」の上にある「機能」と「シーン」は「−」で結ばれているの
〉〉は何か意味があるようですね.

〉「機能」にしろ、「シーン」にしろ、ある種の論理的関係があって、
〉初めて「物語」が成立するという含みです。

〉詳細を話し出すと、多読とは関係ない話になるので、割愛してます。

関係ない部分も含めて、ぜひじっくりお話ししたいですね。
今度の多読学会で、こうした「理論面」についての分科会もあると
いいですね!

では、この先この話題がたくさんの人の参加で深まっていくことを
祈りつつ・・・ Happy reading!


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