[掲示板: 100万語超 報告・交流 -- 最新メッセージID: 13567 // 時刻: 2024/11/24(14:47)]
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お名前: みゅう
投稿日: 2005/3/2(18:31)
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みゅうです。ご無沙汰しております。
3月2日に"The Good Earth"を読了して800万語を通過しました。700万語通過が昨年10月6日ですので、100万語読むのに今回は4ヶ月ほどかかったことになります。これまでは3ヶ月ちょっとで100万語を読んでいたので、今回は少し時間がかかりましたね。ばたばたしていて一日で本を読む時間が確保できないときもあったので仕方ありません。ついでになりますが、昨年の10月末には多読をはじめて2周年になりました。
読んだ中身を見ると、コミックあり、児童書もちょっとあり、そして一般書もけっこういろいろ読んでいて、なかなかバラエティ豊かです。今回はDickensに初挑戦だったのですが、思ったよりてごわくて、古典文学はまだ難しいかなぁ、としみじみ思いました。今読んでいる一般書はどうしても最近はやりのものになったりするわけですが、よく読まれるものというのは読みやすさという点でもなかなか優れているようで、そういうものから古典的なものに移ると、どうしてもつらいと感じてしまうようです。
実は日本語の本もちょっとずつ読んでいます。200万語を通過したことに多読のペースを落として平野啓一郎さんの「葬送」を読んで以来、1年以上日本語の本を読んでいなかったのですが、多読で読んでいる洋書は分厚いので、最近はちょっとお出かけのときには薄手の日本語の文庫を持って出るようになりました。その最初というのが「トラちゃん的日常」という猫さんの本です。購入してまもなく著者の中島らもさんがけがをしたのにさほどのけがではないと思い込んでいて、猫のトラちゃんの写真を見ては、らもさんはどうしてこんなに上手に猫の写真を撮ることができるのだろう、と感心しているうちにらもさんが亡くなったと聞き、とてもびっくりしました。秋になると塩野七生さんの「ローマ人の物語」の文庫がたくさん刊行されましたので、全部買い込んで今ちょっとずつ読んでいます。
話は変わりますが、昨年秋のある日、テレビを見ているとピアニストの中村紘子さんが出てきまして、テレビカメラは「中村紘子宅」に潜入していくのです。そこには犬の「ウルちゃん」が出てきたりしまして、文庫になっている中村さんの本をたいてい読んでいるみゅうは、これがあのウルちゃんか、と感激したり、広そうな居間には「主人の書いた書」がどーん、と飾ってあるのを見てこれまた感嘆してしまいました。中村さんの本に出てくる「主人」はそれほど登場頻度が多いわけではないのですが、たまに現れてはけっこう肝心なことをさらっと言ったりして、すごいご主人だ、といつも思っているのです。で、テレビでは実物の「主人」が出るかわりに「主人の書」で登場してきた絶妙さにまたまた感心し、そうするとがぜん「主人の書いた本」も読みたくなるので、なぜか我が家にあった「赤頭巾ちゃん気をつけて」を引っ張りだして読んで、昔の日比谷高校もすごい学校だ、とこれまたびっくりしたりするのです。
塩野さんの本はまだまだ読み残っているのですが、それでもこれで日本語の本も2冊は読破したぞ、というところで700万語から800万語で読んだ読んだ本の感想などです。
YL(読みやすさレベル)順、()内は総語数
L: 3-
The Complete Peanuts 1950-1952(Schultz) (23230)
ご存知Snoopyが登場するコミックの全集第1巻。2年分のストリップを全部掲載したものを半年ごとに刊行していくようで、完成まで12年くらいですかね。気長におつきあいせねばなりません。前回の700万語報告ではコミック最後の1年分のストリップを読んだ("Peanuts 2000"です)のですが、こちらは50年昔に逆戻りで、さすがに絵柄も結構違います。スヌーピーは4本足で歩き、チャーリー・ブラウンも見た目は違った印象の男の子ですが、子供たちのおませな性格はあいかわらずです。Peanuts 2000では数々の野球ネタにノックアウトされましたが、こちらはベートーヴェン大好きなシュローダーによる笑える音楽ネタが満載です。シュローダーがおもちゃのピアノを奏でる横に書かれている楽譜のタイトルが書かれていないのがつらいところですが、ベートーヴェンの難曲「ハンマークラヴィーア」(第29番のピアノ・ソナタ)第1楽章の冒頭が圧倒的に多く登場します。果敢に「ハンマークラヴィーア」に挑むシュローダーを見て、「ちっちゃい君にはまだまだ無理だよ」とつっこみたくなるのですが、10歳くらいのころのみゅうもポリーニ氏の弾く「ハンマークラヴィーア」や32番のベートーヴェン最後のピアノソナタのレコード(そのときはレコードしかなかったのです)を夢中で聴いて、「もうちょっと大きくなったらこんなのも弾けるようになるんだろうか」などと、今にして思えばずいぶん無茶なことを考えていたことを思い出し、思わず苦笑いしてしまいました。「ハンマークラヴィーア」を弾くのは体力的にもたぶんとっても大変!ということで、そこらへんを作者のシュルツ氏もよくご存知なのか、今読んでいる全集第2巻の冒頭では、ひとしきり運動して体を鍛えてから「ハンマークラヴィーア」にとりかかるシュローダーが登場し、これにはさすがに参りました。第1巻ではこの他にこれまたみゅうの大好きなバッハの「半音階的幻想曲とフーガ」を、チャーリー・ブラウンのヴァイオリンとシュローダーのピアノで演奏する場面が出てきます。この曲は本当はチェンバロ一台のための曲なのに、二人でいったいどうやってんだ?、と思ったり、なかなか奥が深いですね。なお()内の語数はみゅうが読んだ冒頭の解説ならびに本文のコミック部分のみのみの語数で、この他に巻末の解説(22,000語、概算)で第1巻全部となります。
Judy Moody Gets Famous!(McDonald) (10000)
シリーズ1作のJudy Moodyとなぜか4作目のJudy Moody Predicts The Futureを読んだきりになっていたのですが、たまには児童書も読んで気分転換に、ということで2作目を読みました。あいかわらずのかわいいイラストと大きな字でとても読みやすく、持っていてもうれしい本です。主人公のJudyは女の子ですがとてもさっぱりした性格で、飼い猫のMouseもちょっとひねたなかなかおもしろい性分です。Judyの弟のStinkを主人公にした"Stink: The Incredible Shrinking Kid"も最近発売され、ハードカバー(ISBN:0763620254)は装丁もJudyのシリーズ同様にしゃれています。
YL: 4-
Little Town on the Prairie(Wilder) (60000)
今回は800万語通過の報告なのですが、みゅうは本書のLauraのシリーズの第1作であるLittle House in the Big Woodsで100万語通過して、だいたい100万語に1冊の割合でLauraの本を読んでいます。"in the Big Woods"では小さかったLauraがここではもう年頃の娘さんらしくなって、思わず感慨にふけってしまいました。100万語通過から2年たっているわけですから当たり前なのですが、多読を始めて2年もたつんだ、とこれまた感慨深くあります。町中の生活が中心のせいか、シリーズの中では単語も比較的易しかったように思います。Lauraの本はあと2冊残っていますので、このペースでいって1000万語通過までに読み終わる予定。
YL: 6-
The Wonderful Story of Henry Sugar and Six More(Dahl) (64000)
Dahlの児童書はほとんど読み終わってしまって、Puffin BooksのDahlの本で読んでいなかったのは本書とGoing Soloの2冊だけ。ということで、今回はDahlの短編集初挑戦です。Blakeの挿絵がないと理解がきついかな、と思いましたが、予想よりは楽しめたように思います。児童書と違って、すっかり大人の気分ですねー。900万語までにGoing Soloを読んで、1000万語までには本当の大人向け短編集、といきたいところです。
YL: 7-
desert flower(Dirie) (70000)
maikoさんからお借りした本。ソマリア出身のスーパーモデルWaris Dirieの自伝です。最近特によく聞かれるFGMも含め、本書の前半に書かれる(おそらく20数年くらい前の)ソマリアの日常は私たちの現在の日常とは大いに異なるもので、大変興味深く読むことができました。英語は平易ですので、PBをほとんど読んでいない人にもおすすめできると思います。
YL: 8-
Memoirs of a Geisha(Golden) (183000)
みゅうは日本的情緒というやつがいまひとつ苦手なようで、ものすごく夢中になって読んだ、という感じではないのですが、しかし登場人物たちの緊張感あふれる関係はなかなか興味深かったです。話がすごく変わるのですが、みゅうが子供のころ習っていたピアノ先生は書生さんが何人もいる家で育った方で、本書の舞台であるNitta Okiyaの人たちを思い浮かべて、なぜかその先生の話を思い出しました。先生のご実家とNitta Okiyaではぜんぜん接点はないのでどうしてそんなことを思い浮かべたかよくわからないのですが、Nitta Okiyaのように狭い家
屋の中にいる数人の間がものすごく緊張しているのと、先生のご実家の広い家にその家のご主人と書生さんやらたくさんの雑多な人がけっこう和やかに暮らしているようであるのとがとても対照的に感じられたのかもしれません。本書はGR(PGR6です)でも読んでいますが、そのときより理解度が高かったように思えたので、それってちゃんと読めるようになっているのかな、と少しうれしく思いました。
The Pelican Brief(Grisham) (107000)
間者猫さんの感想の受け売りではないですが、これまで読んだ他のGrishamの本(The Client, The Firm, The Street Lawyer, The Partner, Skipping Christmas)に比べて確かにちょっと難しかったように思います。冒頭の部分は読みにくかったですね。しかし主人公Darbyの逃避行が始まると結構よめるようになって、映画化されたのが納得、のおもしろさです。
YL: 9-
The Da Vinci Code(Brown) (138206)
せっかくだからはやっている本を原書で読んでやろう、と手を出した本。ミステリとしてはわりとお気楽に読めるタイプだと思うので、そこらへんが「薔薇の名前」とは違うかな、と思ったりもしましたが、なんだかすごく物知りになった気分になれるし、話のテンポもすこぶる良くて、爆発的に売れているだけあってやっぱりすごい本だと思いました。キリスト教の知識はあまりなくても大丈夫と思いますが、「マグダラのマリア」が何者かというのは知っておいた方がスムーズかもしれません。これは映画「パッション」でモニカ・ベルッチ演じるマグダラのマリアを見ても同じように思ったことなのですが。そして本書のヒロインのSophie同様、マグダラのマリアは貧しい境遇の出自の女性だと思っていましたから、ここでの扱われ方というのはなかなか意外でもありました。そのせいで発禁処分になった国もあるのだと新聞でちらっと読みましたが、これだけ売れた本だと、確かにいろいろあるかもしれませんね。平易な英文、とはいきませんが、1章ごとが結構短いので、あまりきばらずに読める一冊です。PBを何冊も読んでいる方はぜひどうぞ。
A Christmas Carol(Dickens) (29131)
読みにくかったです。GRとかであらすじを知っていたからなんとか最後まで読めましたが、そうでなかったら・・・・。1000万語はDickensのA Tale of Two Citiesで通過しようともう心に決めているのに、その決意が思わずぐらぐららとゆらいでしまうほど読めなかったです。150年くらい前に書かれた英文であるためか、こんな単語あるのか、みたいな見たことも発音を想像することもできないような単語が少なからずあって、それも読みにくい原因のひとつと思うのですが。良いお話だし、なにより短編だから、と手に取ったのに。どなたかお読みになった方、感想をお聞かせください。
Blood Work(Connelly) (147000)
みゅうが読むConnellyの2冊目。初挑戦のThe Black Echoよりずっと読みやすかったので、こっちをConnnelly一冊目にするのもありですね。そんな分厚いPBでもないように思っていたのですが、使っている紙質がうすくて上質らしく、実際のページ数はなかなかのもので、読んでも読んでも読み終わらない。読むのに3週間もかかっちゃいました。でもやっぱり渋くてかっこいい。次の900万語までにはまた今度はBoschの本を読むつもりです。
And Then There were None(Christie) (60000)
アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」です。原書で読む初めてのクリスティー。この本を読んでいる一週間というのは、「クリスティーを原書で読んでるんだ!」という満足感に浸った一週間でありました・・・。単語は平易で英文も入り組んでいなくてむしろ単純な方なので、書評のYL:9というのはちょっと数字が大きいようにも思うのですが、でもなんとなく読みにくい感じというのはありました。なんというか、するっと読める感じではないのですね。でもPBとしては中編程度でそんなに長くないですし、一章ごとの長さもそんなでなく、そして一章がまた細かく分かれているので、読むときにさほど身構えなくてもよいという点では読むやすい方とも思います。これって矛盾しているでしょうか?読速は約170wpmで、700-800万語で読んだ中では一番早かった(他の本はたいてい140-150wpmあたりでした)ので、やっぱり読みやすいのかしらん、と思ったりします。学生のころに翻訳を読んでいるので犯人と結末は知っているのですが、他の細かいところはすっかり忘れていたので、なかなか楽しめました。そして最後の犯人の独白を読み終えて、「この犯人はいったい何者なのだ」と慄然としたものを感じたのも、訳本を読んだときと同じです。
The Good Earth(Buck) (108721)
パール・バック作の「大地」の原書。邦訳では全部「大地」として出版されていますが、本来は3部作として別々に出版されており、今回読んだのはその第1部の「大地」です。中国のある地方で貧しい農民の青年Wang-Langが結婚して、土地を買って、大地主になって年をとるまでのお話です。あとに第2部"Sons"(息子たち)、第3部"The House Devided"(分裂した家)が続きます。マクミランのGRはすでに書評登録されていて、そちらもおおむね好評のようですが、中でもバナナさんの投稿を読んで、うんうん、と思わずうなずいてしまいました。子供のころ3部作全部を翻訳で読んでおり、そのときも夢中になって読んだことは覚えているのですが、粗筋さえすっかり忘れていたので、飢饉で南の都市に逃れたとき、妻のO-langが「自分たちには娘しか売るものがない」と言い出したときにはいったいどうなるのか、とはらはらしてどんどん先を読んでしまいました。おもしろくて絶対おすすめ。必ず先の第2部も読みたくなります。こちらも結構読みやすく、読速は160wpmくらいでした。
みゅうが子供のころは我が家には父が買ったらしき河出書房の世界文学全集という分厚い翻訳本がたくさんありました。「大地」も大久保康雄さんの訳のこの全集の本で読んでいます。あとはやっぱり同じ頃(上記のPeanutsで書いた、ポリーニ氏の弾くベートーヴェンを聴いていたころです)にスタンダールの「赤と黒」を学校に持って行って読んだりして、でもそっちはさっぱり理解できませんでした。多読を初めて、PGR6の"Scarlet and Black"を読んで初めて「赤と黒」ってこういう話だったんだ、と目から鱗だったのです。あとはチャイコフスキーの「フランチェスカ・ダ・リミニ」という管弦楽の曲を聴いて霊感(?)を受けたこのころのみゅうは、ダンテの「神曲」の地獄篇(フランチェスカは「神曲」の登場人物なのです)に手を出すのですが、これまたさっぱり理解不能で玉砕した、とかPeanutsのシュローダーを見ているといろんなことが思い出されて、苦笑いの連続です。がんばれ、シュローダーと心の中で思うのですが、でも子供にブラームスのピアノ協奏曲は絶対無理だよ〜、とまたも心の中で叫ぶのでありました。
年内には1000万語到達できるかなぁ、と思う今日このごろです。ではでは。
みゅう
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