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お名前: 杏樹
投稿日: 2004/10/6(00:38)
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…て、なんのこっちゃ。
はまこさん、こんにちは。
〉「翻訳」や「通訳」の作業って、「和訳」「英訳」とは別ものなんですね。
〉訓練の対象は発想の転換、ということなんでしょうか。
〉ということは、「翻訳者」や「通訳者」って、英語と日本語の領域が
〉別々に存在している人たちなんですよね?
〉でも、「翻訳」「通訳」の勉強をするときには「和訳」「英訳」の勉強を
〉するんですよね?
〉?????
こんなに「?」が飛んでたらお答えしたくなるじゃないですかー。
まず
'What a good idea!'
これを訳せば「何といういいアイデアだろう!」
英語の試験なら充分マルです。
…でも日常会話では普通はこんな言葉づかいをしませんね。
フツーなら「その考え、すっごいいい!」とか「めっちゃいい考え!」とか言うほうが自然ではありませんか?
ふとそばにあるORTが目に止まりました。
'The New Baby'
というタイトルがついてます。「新しい赤ちゃん」
…なんかヘンですねえ。そもそも日本語で赤ちゃんに「新しい」なんて形容をするかどうか。
ならどう訳せばいいでしょう?赤ちゃんが生まれたことを言う時、日本語ではどんな風に言うかいろいろ考えてみなくてはなりません。
「サウンド・オブ・ミュージック」に「すべての山に登れ」というナンバーがあります。でも一体どういうことなのか、いまいちよくわからない表現です。
Climb Every Mountainですから、間違ってはいません。
しかし原詩を当たってみるとその意味がよくわかります。そして考えました。
「あらゆる山に登れ」にしたら?
このほうが歌詞の内容が伝わるような気がしますが、比べてみてどんな感じがしますか?
あえて答え、つまり歌詞の内容は書かないでおきます。(知ってたらチャンチャン♪ということで)
つまり「翻訳」の場合、必要なのは「日本語力」なんです。対象言語ができるというのは当たり前の前提として、さらに日本語としての表現を磨くのが「翻訳」です。
で、「練習」の広場で私が投稿したひとりごとも参考にしてみてください。
翻訳で、ふさわしい日本語を探すことがどれだけ大切か…。
[url:http://www.seg.co.jp/cgi-bin/kb7.cgi?b=test&c=t&id=713]
〉
〉えっと、そもそも「英文和訳」「和文英訳」のことを思いついたのは、
〉映画を見ているときにですね、日本語字幕を出して見ているんですね。
〉字幕のことはあまり意識していないんですけど、それでも
〉英語を聞いていて、日本語字幕とは違うなー、なんて思ってるんですね。
〉それでもってときには、何でそんな日本語訳をつけるの?とか、
〉なんでここを訳して字幕に載せないの?飛ばさないといけないの???とか思うんです。
映画の字幕は何秒に何文字、と決められています。するともとの英語がほんっとうに入らないんですよ。映画字幕はいかにうまく短く省略しつつ意訳するかがめちゃめちゃ難しいんです。
〉訳のニュアンスがおかしかったリ、訳せそうなセリフなのに載せなかったり、
〉あー、これは説明も一緒に字幕に載せないとわかりにくいから飛ばしてるのかー、
〉ということろまではわかるんですけど、自分では日本語字幕に載せられるような
〉書き方(頭の中で考えてるだけですけど)ができないんです。
できなくて当たり前ですってば。
ついでに、某字幕翻訳の大御所さんの訳は実はあんまりうまくありません。省略するために独特のことば遣いを用いていて、その言葉づかいに慣れると意味がわかってくるのですが、日本語しても翻訳としてもかなり粗雑です。
〉訓練しないとできないよー、と言われそうですけど、不完全でもせめて
〉自分の頭の中だけでもパッと思いついたらいいのになーと思っていたんです。
〉で、それの対策として、「英文和訳」「和文英訳」を思いついたんですね。
〉で、それを思いついた時の「英文和訳」「和文英訳」って「意訳」の
〉事だったんですけど。
〉「英文和訳」「和文英訳」=「意訳」ではないんですね(^^;)
〉あぁ、杏樹さん〜、あきれた?今すんごいあきれた?
〉頭いたい〜。 ←それは杏樹さんのセリフか。
いえ、いえ。説明のしがいがあっていいですわ〜。
って、はまこさんのほうが疲れて読めない、とかなってしまったりして?
ではマザーグースから
Johnny shall have new bonnet
Johnny shall go to the fair
ジョニーは新しい帽子を手に入れるでしょう。
ジョニーはお祭へ行くでしょう。
これは試験でマルがもらえる「和訳」です。
でもマザーグースがこんな訳ではイヤでしょ?
マザーグースにふさわしい訳し方、ふさわしい言葉をさがさなくてはいけません。私は長年考えていますが、いまだにいい訳し方が思いつきません。
ただの「和訳」では日本語表現として使い物になりません。生きた日本語にはなりません。だから翻訳には「意訳」がどうしても必要なんですが、それは頭をしぼって考えないとできないんですよ。
多読をしている人なら気づくと思いますが、「これは日本語になおせない」と思うような表現がドンドン出てきませんか?それを「英語のまま」わかるようになったら「英語が読める」ようになった証拠です。日本語と結びつかない本当の英語がわかってきたということです。だから日本語に訳すのはあきらめたほうがいいです。
では通訳はそんな考えてたらできないだろう、と思いますよね。
同時通訳の場合は、英語に追いついていかないといけませんので、例えば関係代名詞など普通なら後ろから訳すような言葉でも先に結論だけ述べ、その後説明をする、といった形で順番どおりどんどん日本語にしていきます。ですから同時通訳の言葉を文字に直すと、かなり不自然な日本語になります。意味を伝えることを重視するので、日本語としての整合性を犠牲にしているのです。
逐次通訳はまだそれよりはきちんとした言葉で伝えることができます。例えば講演会など原稿のあるものは、前もって原稿をもらって読んでおき、どう通訳するか考えておくということもあります。しかしその場で突然訳す場合、その場でとっさにふさわしい言葉を選ばなくてはなりませんし、それはやはり訓練しないとできません。知らない単語だって出てくるし、通訳に失敗は付き物で、それを話者に気づかれないよううま〜くフォローするのも技術のうちです。
ということで、英語は英語のままわかったほうがいいですし、英語をうまく日本語にするには技術のいることですので、和訳・英訳はあきらめてそれぞれの言語を別々に磨いてください。
英語の本を黙読するのはつらいんですよね。では日本語も音読すれば黙読よりもスムーズに進んだり…しませんか?リズムのいい日本語をシャドウイングするとか、日本語も「音重視」で触れてみると英語や謎語のように楽しめるかもしれません。
それでは長くなりましたがこのへんで。
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