続き:変な本の数々

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13432. 続き:変な本の数々

お名前: wkempff
投稿日: 2017/12/17(20:57)

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この3か月くらいは、変な本ばかりあたり、ちょっと参っていました。
特に、CornwellとGrishamの新作は、疲れるばかりで、10万語ちょっとの本に各1か月くらいかかってしまいました。
簡単にご紹介しますので、もの好きの方は、どうかおつきあいください。。

Chaos, by Patricia Cornwell
女性監察医Kay Scarpettaシリーズは、全米で人気が非常に高く、作者をスター作家に押し上げました。本作が24作目にあたります。
Connwellは監察医務院で広報やITを担当していたことがあり、話は非常にリアル、死臭ただよう殺人現場、腐乱死体、司法解剖の状況などが、これでもか、というくらい過剰にリアルに描写されます。たぶん、そういう点が人気のひとつ。しかし、同時に、主人公は、Johns Hopkins(全米でHarvardに次ぐ難関の超一流医学部)を卒業し法曹資格も取り世間的には超エリートでありながら、恋になやみ、娘をネグレクトする姉との関係に悩み、男性社会である警察や検察との軋轢に悩む等身大の女性として描かれているところも人気の秘密でしょう。
しかるに、Chaosは、とてもCornwellの作品とは思えないダルな展開で、語彙レベルばかりやたら高く、非常につかれました。
Scarpettaが夫とレストランで食事をしようとしたときに出会った女性が直後に殺害されるところからはじまりますが、駆けつけた主人公が遺体の脇に到達してから遺体を検分するまでに100ページ以上かかる、それも、遺体を前にあーだこーだとつまらない議論ばかりしている、という、なんとも、な展開でした。
読み通した自分は偉かったと思います。

Maestra, LS Hilton
Domina, LS Hilton
Hiltonは、真面目に資料を積み上げて重厚な歴史ドキュメンタリーを書く女流文筆家ですが、Fifty Shades of Greyに刺激されたのか、突如してエロティックサスペンスを書き始め、これがまた大ヒットしました。3部作ですが、そのうち2作が刊行されています。
貧しい生まれの主人公Judithは苦学の末画廊に職を得ますが、経営者の陰謀で職を終われ、クラブホステスとして客を籠絡しようとしたところで事件が起こります。
Judithは逃走途中に金持ちを籠絡してクルーザーに住み込み、不都合な人間はかたっぱしから殺し、殺させ、乱交パーティに紛れこんで他人のアイデンティティを盗み、都会のど真ん中で繰り返す殺人は決してバレず、近づく富豪は先を争って大金を貢ぎ、という、なんともとんでもな展開になります。
続編Dominaにはロシアの暗部がからんできますが、究極のご都合主義は変わりません。
上流階級の生活や美術に燗する造詣(薀蓄)はしかし非常におもしろく、私は、カラバッジョの色彩や絵の具に燗する薀蓄など、わくわくとしてしまいました。
語彙レベル高く、薀蓄満載の、非常にしょうもない小説です。こんなものを足りない英語力に苦労しながら読むのは私くらいのものかと。

Elle, by Philippe Djian
この小説はもしかしたら傑作と評価されるものかも知れず、変な本に分類するのはどうかと思いますが、奇妙な小説で、非常に疲れました。
フランスで大ヒットし、映画化され、こちらも極めて高評価でした。パリを舞台にした、ちょっとしゃれた、サイコスリラーのような、性愛もののような、不思議な小説。ただし、私が読んだのは英訳です。
父親の犯罪で辛い青春時代を送った主人公は、フィルム製作会社を経営して、そこそこ成功しています。しかし、離別した夫はつきまとい、聖人した子供のできは悪く、母親は若い男性と再婚すると言い出し、苦しい私生活です。
ある日、主人公は自宅で暴行され、犯人不明だが、いつも犯人に見張られている感覚を持ちます。同時に息子は他人の子供を宿した女性と結婚してしまい、金銭的に主人公を頼ってきます。
主人公は社会的にそこそこ成功しながらどこか性的に壊れていて、隣人も恋人も元夫も同じようにどこか異常、そして、ついに、、、、という小説。
変な人ばかり出てくる変な小説。章立てが一切なく、段落区切りだけで延々と続き、読みにくいです。

Quarry’ s Climax (Quarry Series), by Max Allan Collins
これは、いわゆるPulp Fictionの人気作です。要するに、スポーツ新聞の裏面で、風俗ガイドの脇に連載されるような小説。Quarryは殺し屋で、Climaxというポルノ出版社兼ストリップ小屋が舞台。殺し屋が殺し屋に着け狙われる経営者の保護にまわる話です。舞台がストリップ小屋ですので、そういう場面もいろいろあり、実は、結構楽しめました。


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