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13274. 暇ネタ:酷評されているスリラーを、多読三原則で読んでみました
お名前: wkempff
投稿日: 2015/8/15(15:11)
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お盆近くなり、多少は時間ができたので、アマゾンなどで、激しい酷評にさらされているクライムスリラーを、忠実に多読3原則に従って読んでみました。
暇ネタですが、ご興味があれば、おつきあいください。
The October List, by Jeffery Deaver
Deaverは、ハードボイルドスリラーの人気作家で、四肢麻痺の名探偵Lincoln Rhymeシリーズを中心に、多くの根強いファンを持っています。
彼の作品は、等しく、Amazonのレビューで、5つ星がもっとも多く、星1つ(最低評価)は、5%以下、となっています。
しかし、この、The October Listだけは例外で、星1つが、34%を占めている。
読者のレビューを見てみると、
I read on average 10 books a month. I have never not completed a book, until now. This book is confusing and is a huge disappointment. I got to 22% on my Kindle and gave up.
Oh what a disappointment. As a big fan of Deavers I was thoroughly disappointed with this convoluted effort at a story.It is truly complicated and very hard to read.
I read the first chapter (last chapter) of this rip-off and was disgusted. Did not go any further. Who wants to read a not well written last chapter first?
と、まあ、ボロカスで、ここまで酷評されると、かえって、読んでみたくなりませんか(私だけかな^^)
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この小説は、扉に、
A novel in reverse with photographs by the ahthor
とある通り、36章からはじまり、時間軸を逆行して、1章で終わります。
読者は、最初に結末を知り、結末に至るいろいろなプロセスをさかのぼっていくのですが、当然、だんだん、疑心暗鬼になり、何が何だかわからなくなってきます。
最後の数章で、ああ、そういうことだったのか、と理解した気になったところで、もう一段、どんでん返しが仕掛けられている、というのは、ひねりの名手、Deaverならでは、でしょう。
私自身は、もちろん、そんなにスムーズに読めたわけではありません。しかし、頑固に、一切辞書を引かず、メモの取らず、ひたすら読み続けました。
途中でわけがわからなくなり、前の(時間軸的には後の)章に戻ったりしましたが、最後の数章の種明かしは、けっこうおもしろかった。
それまで、いろいろ推測していたことは、半分当たり、半分外れ、でした。
そして、重要な脇役の1名がどうなったかわからず、この脇役の登場場面をいくつか読み返し、ようやく納得したところです。
構成が複雑、というか、無理のある構成であるだけで、英文が複雑だったり、語彙がとりわけ高度だったりするわけではありません。普通のクライムスリラーのレベルでしょう。それで、過剰に混乱せず、最後まで行けたのかも知れません。
結論として、辞書もメモも使わない飛ばし読みでも、構造を見失わなければ、なんとかなる、ということがわかりました。多読三原則は偉大ですね。
意外に面白いので、ゲテモノを読んでみたい、という方は、ぜひトライなさってみてください。
ページ数も、内容も、薄いです。構造に凝るあまり、人物像は深く描きこまれておらず、マンガ的、な印象も持ちますが、気楽に読めるのではないかと思いますし、Amazonで酷評されるほどひどくないかと。。。
ということで、残暑厳しき折、皆さまもご自愛ください。
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