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13242. 550万語通過報告 −ゆっくりと、軽めのスリラーをー
お名前: wkempff
投稿日: 2015/6/2(23:51)
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500万語通過報告をしてから、年末年始のドタバタ、そして連休はいろいろあって読書どころではなくなり、ずいぶんと時間が経過してしまいました。
といっても、ややこしいものを読んでいたわけではなく、気楽に読めて頭が疲れないもの、ということで、Patricia CornwellとJeffrey Archerを選んでみました。
両者とも、はじめて洋書にトライする方にも十分読めるかと思いますし、Sheldon、Grishamなどを多少読まれた方であれば、すっと物語に入り込めるだろうと思います。
・Patricia CornwellのKay Scarpettaシリーズより、2冊。
Cornwellは、監察医務院(相当)のIT担当や広報担当を経験して、Postmortemでデビューした女流ミステリー作家です。
女性監察医Kay Scarpettaシリーズをライフワークとしており、1年に1冊のペースで、20年以上続いています。
Scarpettaは、全米最難関のひとつであるジョンホプキンスで医師/医学博士になり、続いてジョージアで法曹資格も取得した、超エリート女性で、若くして、地区の監察医の責任者になります。しかし、男性社会である警察や官僚機構との関係に悩み、また、姪のLucy(非常に高い知能を持ちながら、親にネグレクトされて扱いが難しい)との関係に悩み、たたき上げで粗野だが抜群に馬力がある調査官(元刑事)Marinoと、FBIのエリート捜査官Bentonの間で心が揺れる、等身大の女性として描かれます。20年以上経過し、若手エリートだったScapettaは中年に、小学生だったLucyは若手調査員になり、読者は、ほぼ実際の時間軸に従って、Scarpetta周辺の成長や変化を感じることができる、という仕組みになっています。
2冊読んだ感想は、「これは水戸黄門だ」というものでした。予定調和の世界を楽しむ小説シリーズになっています。Scarpettaが事件に巻き込まれ、調査を命じられ、男性社会に足を引っ張る人間が現れ、彼女自身が危険にさらされ、最後は科学捜査によって真相にたどり着く、という。
英語は、検屍特有の、さまざまな内臓、骨、組織や器具の語彙に慣れれば、難しくはありません。しいて言えば、会話の場面が多く、多くの会話は、スラングや省略形に満ちていて多少わかりにくいかもしれません。
Postmortem
Scarpettaシリーズの1作目、Cornwellのデビュー作です。グロテスクな女性連続殺人を追う展開ですが、スリリングで、あっという間に読めます。気難しい小学生のLucyが、周囲を振り回しながら、大活躍します。
Bone Bed
シリーズ20作目。中年になったScarpettaは監察医務院長に出世していますが、公私とも思うにまかせず、悩み深い女性として描かれます。LucyはScarpettaの部下のIT担当調査官になっていますが、天才的ハッカーで、あらゆるコンピュータを違法にハッキングして警察やFBIの先回りをするため、徹底的に嫌われています。
・Jeffrey Archerのエンターテインメントより3冊。
30年にわたり流行作家の先頭を行くArcherですが、彼の作品は、大別して、1.大河ドラマ、2.短編、3.肩の凝らないスリラー に分けられます。傑作Kane and Abelは、大河ドラマに分類されるでしょう。今回は、気楽なエンタメから3冊。
Archerは、イギリスの名門の家に生まれオックスフォードを卒業した後にロンドン市会議員から政治家になります。しかるに、下院議員当時に、北海油田詐欺にひっかかって財産を失い、しかし、この詐欺事件を題材に小説を書いて、一気に損害を取り戻しました。これが、デビュー作の、Not A Penny More, Not A Penny Lessです。その後、作家としても政治家としても順調にキャリアを重ねますが、友人の詐欺にまつわる偽証罪で実刑を喰らい、2年間の牢獄生活を送りました。その後、獄中日記をはじめ、さらに精力的に作品を発表し、貴族院議員として政治活動も行う、なんというか、草食系日本人からは想像もできないエネルギーの塊のような人です。
正当な英語で書かれており、まぎれのすくない文章で、読みやすいです。下の3作では、False Impressionがもっとも読みやすく(筋書きも単純なので)、他の2作は、トリックが複雑である分、理解に時間がかかる部分もあります。Archerのエンターテインメントは、基本的にハッピーエンドで終わるので、安心しながらドキドキ感を楽しめます。
Not A Penny More, Not A Penny Less
Archerのデビュー作。北海油田にまつわる詐欺にひっかかった4人が、協力して、詐欺の頭目から、だまし取られた金額をそっくり取り返そうとする、奇想天外な詐欺の話です。数学の教授、画商、富裕層相手の開業医、貴族の4人が主人公で、舞台は、オックスフォード大学内部、モンテカルロ、アスコット競馬、ウインブルドンテニスと、イギリス上流階級の世界で展開されます。評論家渡辺由佳里さんが、この作品ではじめて洋書の魅力に触れた本、とのことです。
False Impression
ゴッホの名画「耳を切った自画像」をめぐる詐欺と駆け引き。名画を所有する貴族に金を貸し込んだ後に殺し、自画像もろとも資産を全部巻き上げようという悪徳金融業者に、女性美術館定員が戦いを挑みます。舞台は、ニューヨーク、ロンドン、ブカレスト、香港、東京と展開し、チャウセスク政権崩壊前後のルーマニアの暗部や、ウォール街の強欲ぶり、そして、9.11の貿易センタービルへのテロが背景になっています。
Honor among Thieves
湾岸戦争で米英の態度に切れたSaddam Hussainは、アメリカの独立宣言書を盗み出し、これをメディアの前で焼いて、アメリカとを侮辱し、自分の権威を示そうとします。イラク政府の依頼を受けたマフィアの黒幕の奇想天外な強奪作戦。そして、盗まれた独立宣言書をバクダッドから奪還する、さらに破天荒な作戦と、CIAのScott(法学の教授でもある)とMossadのHannahによるスリリングな独立宣言書の奪還と国外脱出。非情なスパイの世界が描かれますが、どこまでもHussainは悪者、英米は正義、ではあります。9.11のはるか前に書かれています。
くたびれると移動中に読もうとしてもベッドで読もうとしても寝てしまうし、一日走り回ってまったく読書時間が無い日も多く、それでも、まったりと続けるつもりです。
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2013.10.11-2015.3.11 合計 502万5千語
2015.3.25-4.13
The Bone Bed, Patricia Cornwell著 12万6千語
2015.4.14-4.22
Postmortem, patricia Cornwell著 9万5千語
2015.4.23-5.1
Not a Penny More, Not a Penny Less, Jeffley Archer著 7万5千語
2015.5.11-5.21
False Impression, Jeffrey Archer著 11万5千語
2015.5.22-6.2
Honor among Thieves, Jeffrey Archer著 13万5千語
合計 556万6千語
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