300万語通過報告です。(長文お許しを)

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13072. 300万語通過報告です。(長文お許しを)

お名前: wkempff
投稿日: 2014/6/15(19:51)

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昨年の11月末から、本格的に洋書多読を開始し、ようやく、300万語を突破しました。

・期間:2013年11月20日〜2014年6月15日
・合計語数 304万8千語
・合計冊数 20冊

100万語までは、とにかくスピード重視で、読みやすい本を読みました。Grishamの4冊は、なかなかエキサイティングでした。
100万語を超えてからは、あまり難易度にとらわれずに、面白そうなミステリーを読みました。

150、200、250万語の節目でご紹介していますが、Gone Girl、Millennium Trilogy(ドラゴンタトゥの女のシリーズです)、11/22/63など、衝撃的でした。
250~300万語の間に読んだ作品(たったの3冊ですが。。。)のうち、下の2冊は、ともに衝撃的で、皆様にも強くおすすめしたく、ご報告ついでに紹介させていただきます。。

●The Luminaries, Elenoa Catton著、27万3千語 
超難解の大長編。語彙レベルが非常に高く文章が複雑である上に、構造があまりに斬新でわかりにくく、読みにくい小説です。
2013年のThe Man Booker Prize受賞。ブッカ—賞は、ノーベル文学賞に次ぐ権威を誇る、英連邦の文学賞です。しかし、ノーベル文学賞はときに政治的メッセージを強く出しすぎるとの批判があるのと同様、ブッカ—賞は、玄人や評論家好みの複雑怪奇な小説を高く評価し一般大衆の好みと乖離しているとの批判もあります。作者は28歳の長身美人の女性作家。なんと本作が2作目とのことです。ブッカ—賞最年少受賞かつブッカ—賞史上最長の小説です。

舞台は、ゴールドラッシュに沸く、1860年代のニュージーランド南島西側の港町、Hokitikaです。嵐の夜、一山当てようと渡ってきたMoodyは、難破しかけながらようやくたどりついたホテルのパーラーで、12人の男たちに出会います。ひそかに、直近に起きた3つの事件について相談しているところでした。
隠棲生活を送っていたCrosbieが死体で発見されます。暗殺された可能性もあります。自宅に大量の金塊が発見されます。
娼婦Annaが、路上で半死半生で発見されます。阿片中毒のようです。彼女のドレスには、大量の金が縫い込まれていました。
若き大富豪、Emeryが、突如失踪します。誰しも彼は死んだと思っていますが、確証がありません。
12人は、それぞれMoodyに事件を自分のかかわりを話しますが、何かを隠し、何かの嘘を言い、物語が進むにつれて、お互いに裏切り裏切られ、なにが本当だかわからなくなってきます。この3つの事件の背景には、金、アヘン、船にまつわる詐欺などがからんできて、きわめて複雑な様相を呈してきます。
また、背景には占星術(zodiacs)があり、12人の男は、12星座に対応づけられています。タイトルのLuminariesは、天空でもっとも明るい天体、太陽と月を表しています。

ヴィクトリア朝の英語を模した複雑な文体に加え、古語もふんだんに使われ、英文のレベルは極めて高いです。また、20人を超える人物が複雑にからみ、パズルを解くようであり、なんらかのメモを取りながら読まないと、しだいに混乱して、わけがわからなくなってきます。
「分野別おすすめ洋書500」の著者、渡辺由佳里さんは、ご自身のWEBサイトで、「超上級、ネイティブでも読みにくい」と評価されています。
いろいろなWEBサイト上のnativeの方のレビューでも、読みにくい、放り出す人が多いだろう、というものが多いです。

辞書を引きまくりながら、意地と根性で読破し、しかし、ラストシーンの美しさ、そして、ゴールドラッシュ時の人々の生活、汗の臭いまでが浮かんでくるような描写に感動を覚えました。
感激的ではありますが、読み解くのにメモや図解が必要になるほど複雑な構造にすることが果たして効果的なのか、多少の疑問は残りました。

前に、Stephen Kingの、11/22/63が、かなり難しかった、と書きましたが、Kingの比でなく読みにくいです

●The Lock Artist, Steve Hamilton著、12万4千五語 
非常に(もしかしたら一部の児童書やハリーポッターよりも)読みやすい小説です。
それでいて、エドガー賞(米国探偵作家クラブ)、バリー賞(ミステリ雑誌編集者賞)という、アメリカで権威のあるミステリーの賞をダブル受賞した、名作の呼び声高い作品。
物語は、刑務所に収監されている若者Michaelの独白として、幼児から高校時代と、凄腕のの解錠師になって多くの犯罪に加担するようになった後が、交互に語られます。

Michaelは、ある幼少期のトラウマから一言も発することができず、つらい高校時代を送りますが、絵の特異な才能があり、また、古道具屋で見つけた錠前を玩具にしているうちに、錠前を破壊せずに開けられる才能を身に着けてしまいます。
彼がAmeliaと心を通わせるようになり、しかし、Ameliaと家族を助けるために、Michaelは、裏社会で、凄腕の金庫破りとして犯罪を重ねることになります。
シンプルな道具と手先の感覚のみを頼りに、どんなに複雑な金庫も解錠し、解錠した痕跡も残さないのです。
主人公が静かに錠前に向かう様は、独特の迫力と緊張感を持って描かれています。また、センチメンタルで救われるようなラストが清々しいです。

ただし、謎解きやアクションでハラハラドキドキ、といったミステリーを期待すると、ちょっと期待はずれかも知れません。犯罪小説ですが、主人公の心の成長や葛藤、そしてプラトニックに近い恋愛模様を楽しんでください。

こちらは、長さも適切であり(12万4千語)、初めて洋書に挑戦なさる方にも強くおすすめする次第です。

●経過の記録
2013.10.-12.27
8冊,  101万3千語

2013.12.28-2014.3.17
7冊 18万7千語

累計 217万9千語

2014.318-4.1
The Girl who Kicked the Honets' Nest, Stieg Larsson著 20万7千語
2014.4.2-4.13
Iron House, John Hart著 12万8千語
2014.4.18-4.27
The Lock Artist, Steve Hamilton著 12万4千語
2014.5.7-5.20
Mystic River, Dennis Lehane著 13万7千語
2014.5.21-2014.6.15
The Luminaries, Eleanor Catton著 27万3千語

累計 304万8千語


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