120万語を超えました

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12439. 120万語を超えました

お名前: せきけん
投稿日: 2012/9/18(01:39)

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みなさんこんばんは

せきけんです

600万語のBlackさん、310万語のMMMさん、
130万語のせんべいさ、おめでとうございます。

120万語で報告するのも何ですが、100万語をちょと過ぎたぐらいの皆様の
参考になるかもしれないということと、
自分自身のモチベーションもあって報告しています。

110万語〜120万語では、以下の3冊を読みました。
Lois Lowry "Gathering Blue"
Louse Sachar "Stanley Yelnats's Survival Guide to Camp Green Lake"
Lois Lowry "Messenger"

Lois Lowryの"The giver"の続編とされる二冊を読みました。
加えて、"The Holes"の補遺とも言える、
Stanley Yelnatsのサバイバルガイドですので、
全部、これまで読んだ本の続編です。

まず、Lois Lowryですが、問題意識としては、とても面白いのですが、
その結末としては、私としては納得性が低く、消化不良の部分もあり、
ちょっと残念な内容でした。
面白くないというわけではないのですが、
全体としての納得性というか、物語のつながり的に、
どうも飲み込めなかったところがあったというのが正直な感想です。
その点では、"Gathering Blue"の方が、納得性が高く、
"Messenger"は、私としては納得できませんでした。

天から与えられた才能(Gift)を武器に、Handicapを乗り越えて、
自分の人生を歩もうとするKiraの物語として、Gathering Blueは、
とても共感できる物語だったのに対し、
"Messenger"を目指して、自己形成しようと努力した、
Mattyが自分の才能(Gift)に気付いた上で、
市場経済やグローバリズムの代名詞のようなTrade Marketや、
現代を象徴するGame Machineが登場しながら、
その魔力や孕む問題点が十分描かれないまま、
主題が横ずれしていくような展開に、
何だか納得ができなかったのです。
ネタばれになるのでこれ以上、主題に関係するストーリーに関して、
書きませんが、この主題で物語を書くのであれば、
分配の問題や、貿易(グローバル化)の侵食力に対抗する鎖国の意味や、
異国や自然環境とのコミュニケーションの問題を、
もう少し丁寧に追った展開にすべきです。
欲望が、相互扶助的な共同体を破壊していくことと、
救済がどこにあるのかを、性急に結び付け過ぎているように思えるのです。

Messengerに関して、納得できないポイントとして、
欲望を喚起して人格を変質させてしまうようなTrade Marketの姿があります。
私から見るとこのTradeのあり方の問題点がはっきり描かれていないのです。
例えて言うなら、「愛はお金で買えない」と考えていた人が、
このTrade Martに参加した途端に、「愛はお金で買うしかない」と
考えて、自分の高貴な精神を質に入れて人格を変質させます。
それが、揃いも揃って、村人の多くがそうなってしまいます。
しかし、根本的な原因がどこにあるのか、よく分からないのです。

この人格の変質の根底には、天然資源の枯渇があるように読めます。
そうだとすると、Tradeが問題であると示唆する上記のような本文は、
何だが意味が分からなくなります。

私の感想としては、Gathering Blueはよいが、Messengerは納得できないということになります。

3作全体としてみると、Gathering BlueとMessengerとは、
登場人物も共通していて姉妹作ですが、The Giverとは、
登場人物は全く別であって、共通点はありません。
但し、これら3作は、同じ未来像を描いているという点で、
連作になっているかと思います。
しかし、これは単純な未来像ではなく、管理社会の行く末に、
前近代的な人々の連帯によって成り立つ村落共同体が成立するか否か、
という疑問に対して、結果的には否を突きつける物語ではないかと思います。

もちろんそんなもの(utopia)が成立するはずはない。
だからと言って、それが、キリスト教的なメシアの物語になるのか?
やっぱりそれは納得できないですね。
私は。

もちろん、救済がなかったら、もっと暗澹たる物語になってしまうのですが・・・。

Lois Lowryの物語は、クローズしていなくて、いろんな疑問が、残ります。
あれはどうなっちゃたんだと気になることが、無数に残るのです。
だから、とても消化不良です。
その宙吊り感が、Lowryの物語の特徴なんでしょうか。

さて、Holesの解説本のような、サバイバルガイドですが、
これは、純粋に楽しめる作品です。
途中でサバイバルクイズが幾つかあり、
結構、これが振るっています。
私は、Sacharの考える正解に殆ど近づけませんでしたので、
Texasの砂漠に放り投げられたら、野垂れ死にするタイプなのでしょう。

これを読んで思ったのは、Holesでは、意識しなかったのですが、
軍隊の世界です。
軍隊の世界でのサバイバルの教訓に近いものがあるのではないでしょうか。
もちろん、軍隊よりも、ある意味では厳しい世界であるので、
同僚の過去を穿鑿すべきでないとか、
ガラガラ蛇から逃げるにはどうすべきか、
水が生命線だから、水筒の水をどうすべきか、
ということに対する知恵は、とても重要です。

そういう知恵について、ウィットに富んだ説明をさせたら、
Sacharの右に出るものはいないという感じですね。

全く、そういう本だと思いました。

survival guideを読んで、そのまま、それを実践に移すようでは、
サバイバルできないはずで、
guideをマニュアルとして誤読しないことが大切です。
これは、あくまでhumorです!!

では。


▼返答


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