I, JUAN DE PAREJA(世界史クラブ行きかも)

[掲示板: 〈過去ログ〉本のこと何でも -- 最新メッセージID: 3237 // 時刻: 2024/11/22(10:16)]

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3225. I, JUAN DE PAREJA(世界史クラブ行きかも)

お名前: 杏樹
投稿日: 2018/9/15(01:51)

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I, JUAN DE PAREJA
Elizabeth Borton de Trevino

フランス語で語数報告をしたら英語の積読本を読む…というのが最近の傾向です。
英語の積読本で何かないか探していたら、これが見つかりました。ベラスケスに関する話らしい。ちょうどプラド美術館展をやっていて行きたいと思っていたのでちょうどいい、と思って読み始めました。

スペインなので、この名前はフアン・デ・パレハですね。
フアンはセビリアの貿易商の家の黒人の奴隷です。Blackと書いてあるので黒人だと思いますが、もしかするとムーア人かもしれません。お母さんがこの家の奴隷だったのですが、お父さんは誰かわかりません。お母さんは5歳の時に死にました。フアンは奥様の扇をあおいだり、お出かけの時に荷物持ちなどをして暮らしていました。
しかし、ご主人と奥様が相次いで亡くなります。フアンは奥様の甥の所へ行くことになります。甥はディエゴといって、マドリードで画家をしています。もともとセビリアでパチェーコという画家の弟子でしたが、パチェーコの娘と結婚したそうです。フルネームは、ドン・ディエゴ・ロドリゲス・デ・シルヴァ・イ・ベラスケス。

ということで、フアンはマドリードへ行きます。ベラスケスの家には奥さんと小さな娘二人がいました。また、弟子が来て絵を習いに来ます。フアンは筆を洗ったりキャンバスを張ったりして仕事を手伝います。
そうしたら、ベラスケスの所に国王から知らせが来ます。王室の画家に任命されたのです。王宮にアトリエを与えられて仕事を始め、フアンもついていきます。ベラスケスは国王やその家族の肖像画を描き、宮殿に飾る絵を描きます。
ベラスケスの仕事を見たり話をするうちに、フアンは自分も絵を描きたいと思うようになります。そして絵を教えてほしいとお願いするのですが、断られてしまいました。奴隷は職人の仕事はできますが、芸術つまり絵を描くようなことは禁じられているのでした。

宮廷にルーベンスがやってきたこと、イタリア旅行に同行したことなど、ベラスケスの人生に関わることが描写されていきます。そしてフアンはこっそり紙と木炭を買い求め、誰にも知られずに絵を描き始めます。
やがてセビリアからムリーリョと名乗る青年がベラスケスの弟子になるためにやってきます。ムリーリョはとても親しみやすい人で、フアンはムリーリョにだけひそかに絵を描いていることを明かしました。ムリーリョはフアンのために絵具をわけてくれたりしました。
やがてムリーリョは独立してセビリアへ去っていきました。

月日は過ぎ、フアンは大人になり、ベラスケスの娘たちも、下の子は早くに亡くなりますが、上の娘はベラスケスの弟子と恋に落ちます。また2度目のイタリア旅行にも行きます。

この時イタリアで、ベラスケスはフアンの肖像を描きました。
検索するとこの絵が出てきます。

ベラスケスという人は、王室の画家になってからひたすら真面目に仕事をこなし、絵を描く以外何もしないような人生を送ったそうです。そんな主人の傍らで忠実に仕えた奴隷の目線であまりドラマチックではない話が進んでいくのですが、最後の方はじーんとくるものがありました。

最後にポイントになるのがベラスケスの畢生の大作「ラス・メニーナス」ですが、この絵をベラスケスが描いているところの描写がなかったことだけが残念です。
「ラス・メニーナス」は相当大きな絵なのでプラド美術館から出るのは無理なんですが、スペインへ行ってこの絵を見ることができたのは幸福でした。でもこの本を読んだらもう一度見たくなります。

さて、なぜこの本を積んでおいたのか思い出せません。誰かが感想を書いていたんだろうと思うんですが、書評にも登録されていません。ニューベリー賞を取っているのに。

ここに登場する国王はフェリペ4世で、その時代のスペインの様子が描かれているので世界史クラブ行きかもしれません。一人称で、ベラスケスのことはずっと「Master」と呼んでいるし、国王のことはKingと言って名前があまり出てこないし、この時代のことだという実感は薄いのですが。でも世界史オタクは書かれていることをもとにこの時代の空想を広げるのです。


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3226. Re: I, JUAN DE PAREJA(世界史クラブ行きかも)

お名前: かつらぎ
投稿日: 2018/9/18(21:17)

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杏樹さん、こんにちは。

〉I, JUAN DE PAREJA
〉Elizabeth Borton de Trevino

杏樹さんの投稿を拝見してAmazonで検索してみたところ、表紙の画像に見覚えがありました。
以前、Amazonからおすすめされたことがあった本でした(笑)

〉英語の積読本で何かないか探していたら、これが見つかりました。ベラスケスに関する話らしい。ちょうどプラド美術館展をやっていて行きたいと思っていたのでちょうどいい、と思って読み始めました。

プラド美術館展、私も(上野のほうですが)行きました。
美術書でも見られますが、本物を間近で見るというのはやはり違うなと思いました。

〉宮廷にルーベンスがやってきたこと、イタリア旅行に同行したことなど、ベラスケスの人生に関わることが描写されていきます。そしてフアンはこっそり紙と木炭を買い求め、誰にも知られずに絵を描き始めます。

ベラスケスのブレダの開城も、スピノラ将軍とイタリアへ行ったことから描かれたのでしたっけ(絵が完成したときには、皮肉にもブレダはオランダ側に奪還され、スピノラも亡くなっていたそうですが)
当時のイタリア南部はスペインの支配下にありましたから、それでベラスケスもイタリアへ旅行しているんでしょうね。

〉やがてセビリアからムリーリョと名乗る青年がベラスケスの弟子になるためにやってきます。ムリーリョはとても親しみやすい人で、フアンはムリーリョにだけひそかに絵を描いていることを明かしました。ムリーリョはフアンのために絵具をわけてくれたりしました。

バルトロメ・エステバン・ペレス・ムリーリョも登場するんですね。
ムリーリョの絵は親しみやすく愛らしい印象がありますが、人柄も親しみやすかったんですね。

〉最後にポイントになるのがベラスケスの畢生の大作「ラス・メニーナス」ですが、この絵をベラスケスが描いているところの描写がなかったことだけが残念です。
〉「ラス・メニーナス」は相当大きな絵なのでプラド美術館から出るのは無理なんですが、スペインへ行ってこの絵を見ることができたのは幸福でした。でもこの本を読んだらもう一度見たくなります。

ラス・メニーナスを描いている描写はないのですか。
杏樹さんは実際にラス・メニーナスをご覧になったんですね。
美術書の小さな画でも見る者を引き込む引力のある絵ですが、実際にご覧になっていかがだったでしょうか。

〉ここに登場する国王はフェリペ4世で、その時代のスペインの様子が描かれているので世界史クラブ行きかもしれません。一人称で、ベラスケスのことはずっと「Master」と呼んでいるし、国王のことはKingと言って名前があまり出てこないし、この時代のことだという実感は薄いのですが。でも世界史オタクは書かれていることをもとにこの時代の空想を広げるのです。

フェリペ四世の時代のスペインは支配していたポルトガルやオランダが独立し、衰退していく斜陽の国という印象です。
フェリペ四世のせいというより、カルロス一世やフェリペ二世の時代から続く戦争の戦費がかさんだうえ、イングランドに敗れて制海権を失ったことが響いたようにも思いますが。けれど、芸術は花開いたということでしょうか。
手元に積ん読がたくさんありますが、今度注文してみようと思います。
ご紹介ありがとうございました。


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3227. Re: I, JUAN DE PAREJA(世界史クラブ行きかも)

お名前: 杏樹
投稿日: 2018/9/20(00:42)

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かつらぎさん、こんにちは。

〉〉I, JUAN DE PAREJA
〉〉Elizabeth Borton de Trevino

〉杏樹さんの投稿を拝見してAmazonで検索してみたところ、表紙の画像に見覚えがありました。
〉以前、Amazonからおすすめされたことがあった本でした(笑)

おすすめされた…ということは、似たような傾向の本検索したり買ったりしていたんでしょうか。

〉〉英語の積読本で何かないか探していたら、これが見つかりました。ベラスケスに関する話らしい。ちょうどプラド美術館展をやっていて行きたいと思っていたのでちょうどいい、と思って読み始めました。

〉プラド美術館展、私も(上野のほうですが)行きました。
〉美術書でも見られますが、本物を間近で見るというのはやはり違うなと思いました。

ベラスケスの絵は近くで見ると描写が荒くて、離れるとリアルに見えるという不思議な絵なので、本物を見ると特に違うと思いますね。

〉〉宮廷にルーベンスがやってきたこと、イタリア旅行に同行したことなど、ベラスケスの人生に関わることが描写されていきます。そしてフアンはこっそり紙と木炭を買い求め、誰にも知られずに絵を描き始めます。

〉ベラスケスのブレダの開城も、スピノラ将軍とイタリアへ行ったことから描かれたのでしたっけ(絵が完成したときには、皮肉にもブレダはオランダ側に奪還され、スピノラも亡くなっていたそうですが)
〉当時のイタリア南部はスペインの支配下にありましたから、それでベラスケスもイタリアへ旅行しているんでしょうね。

詳しい事情は書かれていませんが、宮廷画家ですので国王の命令で行ってます。

〉〉やがてセビリアからムリーリョと名乗る青年がベラスケスの弟子になるためにやってきます。ムリーリョはとても親しみやすい人で、フアンはムリーリョにだけひそかに絵を描いていることを明かしました。ムリーリョはフアンのために絵具をわけてくれたりしました。

〉バルトロメ・エステバン・ペレス・ムリーリョも登場するんですね。
〉ムリーリョの絵は親しみやすく愛らしい印象がありますが、人柄も親しみやすかったんですね。

ムリーリョの絵はやさしいタッチで心が温まるような気がします。この本のムリーリョはそんな人柄が描かれています。フアンは黒人奴隷なのに対等な友人として接してくれます。

〉〉最後にポイントになるのがベラスケスの畢生の大作「ラス・メニーナス」ですが、この絵をベラスケスが描いているところの描写がなかったことだけが残念です。
〉〉「ラス・メニーナス」は相当大きな絵なのでプラド美術館から出るのは無理なんですが、スペインへ行ってこの絵を見ることができたのは幸福でした。でもこの本を読んだらもう一度見たくなります。

〉ラス・メニーナスを描いている描写はないのですか。
〉杏樹さんは実際にラス・メニーナスをご覧になったんですね。
〉美術書の小さな画でも見る者を引き込む引力のある絵ですが、実際にご覧になっていかがだったでしょうか。

パックツアーのガイド付きで行ったんですが、まずベラスケスの絵がずらっと並んでいる部屋がありまして、離れたところから「あちらをご覧ください」と言われ、他の絵を見ながらだんだん近づいて行きました。離れたところから見ると本当に絵の向こうに当時のスペイン宮廷が存在しているように見えました。近づいて見ると大きさに圧倒されました。
宮廷画家になったとはいえ、ベラスケスは決して国王に媚びるような絵は描きません。対象物をいかにキャンバスに写し取るか、ということだけを考えていたようです。フェリペ4世もその力量がわかる人だったんでしょう。

プラド美術館に行ったときにmixi日記を書いています。
[url:http://open.mixi.jp/user/1362523/diary/1882460589]

〉フェリペ四世の時代のスペインは支配していたポルトガルやオランダが独立し、衰退していく斜陽の国という印象です。
〉フェリペ四世のせいというより、カルロス一世やフェリペ二世の時代から続く戦争の戦費がかさんだうえ、イングランドに敗れて制海権を失ったことが響いたようにも思いますが。けれど、芸術は花開いたということでしょうか。

この時代のスペインはすでに最盛期を過ぎて斜陽でしたね。国王は国力拡大よりも芸術を愛でることに価値を見出していたのかもしれません。

〉手元に積ん読がたくさんありますが、今度注文してみようと思います。
〉ご紹介ありがとうございました。

積読はタドキストの定めですねえ。


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3228. Re: I, JUAN DE PAREJA(世界史クラブ行きかも)

お名前: かつらぎ
投稿日: 2018/9/20(22:50)

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〉かつらぎさん、こんにちは。

再び、杏樹さん、こんにちは。

〉〉〉I, JUAN DE PAREJA
〉〉〉Elizabeth Borton de Trevino

〉〉杏樹さんの投稿を拝見してAmazonで検索してみたところ、表紙の画像に見覚えがありました。
〉〉以前、Amazonからおすすめされたことがあった本でした(笑)

〉おすすめされた…ということは、似たような傾向の本検索したり買ったりしていたんでしょうか。

似たような……思い当たるのはShakespeare Stealer(Gary Blackwood著)でしょうか。
Shakespeare Stealerは速記(shorthand)の技術を身につけた孤児の少年がシェイクスピアの台本を盗むように言われ、劇団員に加わるという話……らしいですが、こちらも積ん読状態です。

〉ベラスケスの絵は近くで見ると描写が荒くて、離れるとリアルに見えるという不思議な絵なので、本物を見ると特に違うと思いますね。

そうですね。間近で見ると意外に筆のタッチが荒いんですよね。
狩猟服姿のフェリペ四世の絵はペンティメントも出ていて、描線の修正がよくわかりました。

〉〉杏樹さんは実際にラス・メニーナスをご覧になったんですね。
〉〉美術書の小さな画でも見る者を引き込む引力のある絵ですが、実際にご覧になっていかがだったでしょうか。

〉パックツアーのガイド付きで行ったんですが、まずベラスケスの絵がずらっと並んでいる部屋がありまして、離れたところから「あちらをご覧ください」と言われ、他の絵を見ながらだんだん近づいて行きました。離れたところから見ると本当に絵の向こうに当時のスペイン宮廷が存在しているように見えました。近づいて見ると大きさに圧倒されました。
〉宮廷画家になったとはいえ、ベラスケスは決して国王に媚びるような絵は描きません。対象物をいかにキャンバスに写し取るか、ということだけを考えていたようです。フェリペ4世もその力量がわかる人だったんでしょう。

〉プラド美術館に行ったときにmixi日記を書いています。
[url:http://open.mixi.jp/user/1362523/diary/1882460589]

日記のURLありがとうございます。拝見しました。

〉積読はタドキストの定めですねえ。

そうですね(^^;)
手元の本を読み終わったら注文しよう、と思っていたら絶版になっていたという経験があるので、気になる本はあるうちにと、つい買ってしまいます。
積読も含めてHappy Readingでいきたいと思います。


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