最近読んだPB(その2)です

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79. 最近読んだPB(その2)です

お名前: れな
投稿日: 2004/2/28(13:13)

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PB読みの皆様、そうでない皆様もこんにちは。れなです。
相変わらず、読みたい本だけ適当に読んでます(笑)。
今回は、特にマニア傾向が高いような……。
去年の終わり頃に「もうそろそろ何でも読んでいいかも」と思うようになった
ので、これまで難しそうだから(できることならちゃんと読みたいから)という
理由で読まないできた本たちを解禁しました。
そんな訳で、1月2月に読んだ本はある意味私の「真打ち」クラスがほとんど。
数は少ないですが、粒選りです。あんまりやさしくない(爆)ですが、
よろしければおつきあいください。


1.ファンタジー系

Guy Gavriel Kay
"The Fionavar Tapestry" LV10
 Book 1 "The Summer Tree" 129000  ★★★★
 Book 2 "The Wandering Fire" 99000 ★★★★★
 Book 3 "The Darkest Road" 158000 ★★★★★
関連書籍:「夏の樹」(早川文庫FT・絶版)

大昔に第1部だけが翻訳され、続編が訳されないまま絶版になってしまった、
神話系ファンタジーの大作です。洋書を読めるようになった時に、「ああ、じゃあ
あの続きも読めるんだ」と思った本の一つでした。でも、本が届いた時に中を見て、
その時届いた本達とくらべてあまりにも難しかったので、そのまま積んでました。
積んでいることそのものがある種のプレッシャーだったので、今回読み終わって
ほっとしています。こちらでいう「コンダラ」の一つだったのかも(笑)。

さて、内容ですが、ケルト神話とアーサー王伝説をモチーフにした異世界ファンタジー
です。すべての世界の元となる真世界「フィオナヴァール」を舞台に、光と闇の戦い
が描かれます。主人公たちはこちらの世界から引き込まれた5人の大学生。でも、
こちらとあちらがどうのという日常的な物語ではなく、フィオナヴァールでそれぞれ
大きな運命を背負わされることになった彼らの苦悩と戦い、フィオナヴァールの人々や
神々の選択とその対価が語られる、とても重い物語です。傾向としては「十二国記」
などに近いでしょうか。こちらの方が神様がかってますが。

作者は「シルマリルの物語」の編纂を手伝っていたこともあるという方で、確かに
そちら系の、優美で力強い文章です。とても美しくて、安定していて、流れるような
英語でした。ちょっとかっこつけすぎ? という部分もあるのですが、それも
魅力のひとつかもしれません。

久しぶりに(「指輪」はちょっとおいといて)ちゃんとしたファンタジーを読んだな
っていう気がしました。難し系のファンタジーファンの皆様にはおすすめです。
ケルト神話は知らないでも大丈夫ですが、もしアーサー王の本を1冊も読んでいない
という方がいらしたら、簡単でもいいので1冊は読んでから読むことをおすすめします。


Garth Nix
"Abhorsen" 95000  LV7  ★★★★★
関連書籍:「サブリエル」「ライラエル」(主婦の友社)

以前ご紹介した"Sabriel"シリーズの第3部、完結編です。やっとPBになったので
読みました。相変わらず文章は堅めでフラットです(笑)が、今回は展開がとっても
速くて面白かったので、どんどん読むことができました。どうやってオチをつけるの
かなー、と思っていたんですが、大丈夫、ちゃんと終わってます。
英語で読んだ方がいいな、っていう程の文章ではない気がするので(私は翻訳版が
ハードカバーじゃなかったら英語では読まなかったと思います)、そういう意味では
日本語で読んでもいいかなーって思いますが、逆に、「とにかくがんがん読める本」
をっていうことであればこれは楽しいです。


あと、お正月休みに指輪の1巻だけ読みました。はまりすぎて危険なので、
次の長期休暇まで2巻以降は封印中です。読んでみて思ったのは、「考えていたより
ずっと読みやすい」ということと、「エルフ達って普通の英語を喋ってたんだー」
ということと、「英語で読むとフロドはおじさんじゃない」ということでした。
良くも悪しくも、翻訳の力ってすごいんだな、と思いました。



2.一般向け(?)PB

Donna Andrews
"Crouching Buzzard, Leaping Loon"  87000  LV8  ★★★★★
関連書籍:「庭に孔雀、裏には死体」「野鳥の会、死体の怪」「13羽の怒れるフラミンゴ」
(早川文庫HM)

前回ご紹介したDonna Andrewsの、こちらは日本でもおなじみのシリーズの4作目。
とりあえず今のところ翻訳は出ていません。そのうち出るでしょう(笑)。
ええと、とにかく大爆笑。全編大爆笑。
電車の中で読むのはとても大変でしたよー。このシリーズ、もともと爆笑なんですが、
今回のこれはその中でも最爆笑間違いなし。いやあ、笑いました。

内容はえーと、シリーズ全体はその辺の翻訳版の書評をご覧ください(汗)。
今回はメグの弟の興したゲームソフト会社"Mutant Wizard"が舞台。「自分の腕をハンマー
で叩いてしまった(彼女は鍛冶職人)」メグは、腕が治るまでの間、弟の会社の事務を
手伝うことになります。弟は、「何かが起こっている気がするから探り出して欲しい」
と言うのです。会社は今、大好評を博したゲームの最新作発売を控えて大混乱中。
何とか新作の秘密を探り出そうとする熱狂的ファンはしのびこむは、もうちょっと広い
オフィスを求めて移転したらそこにはセラピスト達が事務所を構えているは、
怪我をしたノスリが拾われてくるは………。そして、ある日、当然のごとく殺人が(笑)。

このシリーズ、日本語では読んでいて大好きなんですが、英語で読むのはちょっと
ためらってました。結構語彙が難しそうだなー、と思ってたんですね。ヒロイン達は、
「長い単語を覚えて報告するとおこづかいをくれた」というお父さんを持っているため、
日常的に長い単語を平気で使う、という設定があるんです(笑)。あと、割と色んな本や
映画からの引用があって、そのへんがどうかなー、と。
読んでみたら、思ったほど大変ではなかったですが、一応レベルは8にしてみました。
にしても、この出版社のPBは字が小さいー。何とかしてー。


David Handler
"The Cold Blue Blood"  LV9  102000  ★★★★★
"The Hot Pink Farmhouse"  LV9  118000  ★★★★★
関連書籍:このシリーズではないですが、「フィッツジェラルドをめざした男」他
(講談社文庫・多分品切れ中)

この人はミステリ系の私の真打ちです(笑)。ずっと、いつかはと思ってました。
とにかく大好きで、でも、手を出しかねてました。よく考えてみると、私が(翻訳で
読んで)好きな作家って、ある種、「読者にある程度の教養を要求する」作品を
書く人が多いです。そうですね、コニー・ウィリスあたりもそうかもしれません。
読者の知識が日常レベルではなく、それなりの知的階級レベルにあることを最初から
想定して書かれた作品。そういうのって、日本語で読む分には解説してあったり
して何とかなりますが、英語でそのまま読むにはそれなりの力が必要かなって、
さすがに思ってしまうわけですねー。

でもとうとう読みました。うーん、やっぱり好きな作家の文章って、読むだけで
幸せです。うっとり(笑)。この方の作品は、私がその昔「こういうおしゃれで知的な
会話が書けるのなら代償に何を支払ってもいい」と思っていたという、気の利いた会話
と流麗な文章が特徴。「現代物のミステリなのにカタカナ語が少ない」ところも
ポイント高いです。文学的な文章っていうのかな。私は大好きです。

今回の2冊は近年出版された新しいシリーズの1作目2作目。未翻訳です。
NYに住む映画評論家のMitchは、妻を亡くして失意の日々を送っていたところ、
編集者から取材をかねてドーセットへの旅を提案されます。そこで彼を待っていたの
は、現代のアメリカの街とは思えないほど落ち着いた由緒ある街と、そこに住む
穏やかな人々、そして小さなプライベートアイランドに建つ1軒の貸し屋でした。
その場所に何故かとてもひかれるものを感じた彼は、その家を借り、NYを離れて
新しい生活を始めることにしたのですが、ある日、彼の家の菜園から死体が……。

というのが1冊目のお話です。Mitchは、作中で"He's only the single most 
respected film critic in America" と評される、若手の映画評論家。作中には
映画関係の蘊蓄がいっぱいです。私は半分もわかりません(笑)が、映画好きな方には
とっても楽しいシリーズなんじゃないかなって思います。ばりばり殺人が出てくる
ような猟奇なシリーズではないので、血を見るのが苦手な方でも大丈夫。
よろしければお試しください。


3.おまけ この間に読んだ文庫本

ここまでで十分長い(汗)ので、どうしようかなと思ったんですが、私がどうやって
読みたい本を探しているのか不思議に思ってる方も多いみたいでしたので、
試しに、今回のPBを読んでいた間に読んだ日本語の本のうちから、目立つものを
ご紹介してみます。私は基本的には「日本語で気に入る → 英語で未読分を読む」
人です。だから、英語で読むのは本当に気に入った作家の本に限られます。
英語で読むのはまだまだのろいので、英語でないと読めない本に限っても、時間が
あまりにも足りません(笑)。自分にとってどうでもいい本を英語で読んでる場合
じゃないー。苦しいところです。
というわけで日本語。一言感想つき。

魔法使いとリリス(シャロン・シン/早川文庫FT)
 日本語で読めばいいや。
黒蠅・上下(パトリシア・コーンウェル/講談社文庫)
 最初の頃の内容だったら英語で読んだかもしれないけど、こうなっちゃうと……。
螺旋階段のアリス(加納朋子/文春文庫)
 この人の作品は好きだけど、これはそうでもなかった。
塵クジラの海(ブルース・スターリング/早川文庫FT)
 これ、ファンタジー? 昔のSFって感じ。
くるみ街道(青木奈緒/講談社文庫)
 この人の文章はやっぱり好き。
夢の灯りがささやくとき・上下(ダイアナ・マーセラス/早川文庫FT)
 先にPBで読んでました。次は英語だけでいいや。
神秘の短剣・上下(フィリップ・プルマン/新潮文庫)
 これも英語が先。ウィルの台詞の訳し方がちょっと嫌。
雨の影(バリー・アイスラー/ヴィレッジブックス)
 次の巻は英語で読みたい。
ポケットの中の野生(中沢新一/新潮文庫)
 ポケモンの評論(笑)。私はピカチュウが好きです。
月と闇の戦記3:神様はしらんぷり(森岡浩之/角川スニーカー文庫)
 他にもライトノベル読んでますが、後は内緒。
ブルーベリー・マフィンは復讐する(ジョアン・フルーク/ヴィレッジブックス)
 クッキーが最高においしそう。日本語で読めば十分だけど。
キャノン姉妹の一年(ドロシー・ギルマン/集英社文庫)
 サバイバルな節約生活が楽しい。そのうち英語で未翻訳分を読んでもいいかな。

とまあ、こんな感じです。なんだかまだ翻訳物が多いですね(笑)。これでも、
ずいぶん減ったんですよー。今貧乏だし。


というわけで、長い間おつきあいありがとうございましたー。
では、楽しい読書を。

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