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お名前: れな
投稿日: 2005/4/6(20:08)
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皆様こんばんは。お久しぶりです。れなです。
お約束(?)通り、ご紹介するべき本が見つかったので出てきてみました。
ピンポイント紹介第1回(ほ、本当かなあ?)。
今回の本はこちらです。
"Double Homicide"
Jonathan Kellerman, Faye Kellerman 2004
先日のsakigoroさんの200冊報告の時におすすめにあがっていたJonathan
Kellerman と、私がおすすめした彼の奥さん、Faye Kellerman 初の
コラボレーション作品。書店で表紙にひかれて手に取った本がたまたまこれで、
あまりにタイムリーなのでそのまま買ってきてしまいました(笑)。
ニューヨークで成功し、その後サンタフェの街に移り住んで画廊を経営して
いた有力者オラフソンが画廊の中で殺された。最近彼の元で働いていた人間
や顧客には愛されていたらしいが、それなら何故彼は殺されなければ
ならなかったのか……。"Santa Fe"
Boston Ferris校のバスケットボールチームに所属し、将来を嘱望される
スタープレーヤー、ユリウスが、試合後にチームメイトと訪れたボストン
市内のクラブで銃撃にあって殺された。しかし、目撃者は名乗り出ず、
彼の検屍を担当した検死官は意外な死因を指摘する……。"Boston"
この本、真ん中で二つに分かれていて、上下逆綴じになっています。
読者は好きな側から好きな方を読んでいって、そっちを読み終わったらひっくり
返して反対側から読む仕掛け。どちらから読んでも大丈夫です。
私は、"Santa Fe"から読みました。
コラボレーションということで、話自体が絡み合うのかと思っていたのですが、
実はそうではありませんでした(笑)。全く別の街の、全く別の事件をそのまま
書いてある、それぞれ独立した物語です。共通するのは、物語全体の骨格部分
だけ。でもこれ、なかなか気の利いた仕掛けでした。
推理物としては全然(?)なんですが、この物語、それぞれの事件を捜査する
刑事コンビと、被害者や周囲の人々の状況や思いを描いていくという、
日本の刑事ドラマのような設定になっています。今週の主人公はA刑事、
来週はB刑事、みたいな感じ? 殺人が中心ではありますが、それはあくまでも
人間を語るためのキーに過ぎません。そして、下手に物語を絡めたりしない分、
それぞれの街の空気や住む人々の違い、考え方や生き方の違い、そして書き手の
持つ力の方向性の違いまでが鮮やかに浮かび上がってくるのです。
文章は、明らかに"Santa Fe"(Jonathanがメインで書いているらしい)の方が
簡単。それまで読んでいたファンタジーも「おお、これはこのラインにしては
楽勝」と思っていた私は、こちらの本のあまりの簡単さにめまいを覚えました(爆)。
もう、文章密度が全然違いますー。
"Boston"の方がその意味では密度が高いです。語彙的には大差はないかと思いますが。
どちらの文章がお好みかは読む方によって違うでしょうけれど、私にとっては"Boston"
(多分、フェイの書いた方)の方が「読ませる」文章でした。
というわけで、Kellerman をちょっと試してみたいと思う方、企画本が好きな
方はぜひお試しください。ええと、私が買った版(ISBN:0-7553-2456-0)は
どうやらUK版のちょっと高めの版らしいです。マスマーケット版はこれから
発売予定。書店で買ったので、「まあ、この程度かなー」と思って気にして
ませんでした(笑)。
では皆様、楽しい読書を。
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