乙女のためのロマンス小説のすすめ

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353. 乙女のためのロマンス小説のすすめ

お名前: Raquel http://orchid.tea-nifty.com/
投稿日: 2004/9/28(19:19)

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みなさま、こんにちは。Raquel@シンガポールです。

多読の目標であった、ロマンス小説のPBを読み始めて数ヶ月。
ようやく、ロマンス小説100万語達成記念に、こちらの広場にデビューいたします!
題して、「乙女のためのロマンス小説−非18禁的ロマンス小説のすすめ−」です。
(「18禁プロジェクト」を否定する意図はありませんので、よろしくお願いします。
「乙女」に「18禁」という言葉は似合わないという、ただそれだけの理由でのタイトルです)

さて、ロマンス小説が好きというのが何となく気恥ずかしいのは何故でしょう。
(私は、思いっきり声高に言ってますが。。。)
中身が恋愛だけで、何となく薄っぺらな気がする?何となくHな気がする?
そういうところもあるかもしれません。
でも、主人公の心の動きに、一緒に胸が熱くなったり、きゅんと切ない気持ちになったり、
心が動かされる作品もたくさんあります。
恋愛映画や少女マンガに夢中になった人ならきっと、ロマンス小説が
お気に召すことと思います。
リンダ・ハワードやノーラ・ロバーツなどの有名な作家さんは、もちろん面白い
作品が多いですが、読んでみてピンとこなかった方。翻訳されている有名作家以外に
何を読んでみたらいいのか分からない方に、読んでいただきたいと思って、
書いてみました。
あまり初心者向けではないかもしれませんが。。。
 
 
======================================== 
さて、ロマンス小説には大きく分けて、コンテンポラリー(現代物)とヒストリカル(歴史物)
があります。
今回ご紹介するのは、ヒストリカルが殆どです。
歴史物は難しそうに思えますが、スラングがない分、現代物より簡単な気がしました。
そのころの時代背景について、ちょっと下調べして読むと、より分かりやすいかと思います。

以下ご紹介する本のレベル分けについては、先に登録してあった書評の

・Lady Sophia's Lover  YL 5〜6
・McKenzie's Mountain  YL 7〜8

を参考にしてつけましたが、非常に個人的な印象です。
(Lady Sopnia〜がAnimorphsと同レベルかは疑問ですが。)
各カテゴリーの☆の数は、1〜5個です。

========================================
◎イギリスが舞台のヒストリカル◎
 中でも、3〜7は、いわゆるRegencyと言われる、人気があるジャンルです。

1.Lady Sophia's Lover  / Lisa Kleypas     YL6
   (Bow Street Runnersシリーズ 第2作)
  舞台はヴィクトリア朝時代のロンドン
  Lady Sophiaは没落してしまった子爵の娘。たった一人の身内だった弟は獄死した。
 弟に判決を下した治安判事、Ross Canonのもとで働き始め、そのうち彼を誘惑して、
 スキャンダルを起こし、彼を社会的に抹殺すると心に決めていましたが。。。
  Bow StreetのMonkと呼ばれるほどストイックなヒーローと、復讐に燃える美女のロマンス。
  
  二人の惹かれあう様子、めまぐるしい展開に、ぐいぐい引き込まれて読めます。
  後半、あっと驚く展開が待っています。

 おすすめ度      ☆☆☆☆☆
 sensual度      ☆☆☆☆☆
 mystery, suspense度 ☆☆
 comedy度       ?
 
 
2.Worth Any Price  / Lisa Kleypas  YL6〜7
   (Bow Street Runnersシリーズ 第3作 "Lady Sophia's Lover"の続編にあたります)
  舞台はヴィクトリア朝時代のロンドン
 (主人公の名は、前作のネタばれになりますので伏せて、彼とさせていただきます。) 
  彼は、Bow StreetでRunnerとして働いている。 
  ある時、2年前に逃げ出した婚約者を捜して欲しいと、私的な依頼を受ける。 
  探していた令嬢は、ある婦人の付添人として働いていることを突き止め、 
 身分を偽り、彼女と出会うが。。。 
  ふたりが様々な障害や過去を乗り越え、愛を見つけるストーリー。 

 おすすめ度      ☆☆☆☆
 sensual度      ☆☆☆☆ 
 mystery, suspense度 ☆☆☆
 comedy度       ?
 
 
3.How To Marry A Marquis  /  Julia Quinn YL7〜8
  舞台は19世紀初頭、イギリス。 
  Elizabeth Hotchkiss は、どうしても結婚しなければならなかった。
 両親を亡くして5年。準男爵の父は何も残してくれなかったので、貴婦人の付添人として
 生活の糧を得、妹弟を育ててきたけれど、もう限界だ。なんとかして裕福な夫を見つけるより他はない。 
  ある日、雇い主の図書室で「伯爵と結婚する方法」という本を見つけ、これだ!
 と思ったエリザベス。 

  リバーデール伯爵 James Sidwell は、叔母に頼まれ、estate managerとして身分を隠し、
 あることを密かに探ることに。最初は付添人のElizabethを疑っていたが、彼女を知る につれそんな疑いも捨てる。 
  ある日、Elizabeth が「伯爵と結婚する方法」という本を持っているのを見て、彼はある申し出をする。。。 

  Julia Quinnは、日本では未紹介の作家さんなのですが、推薦文の、
 「現代のジェーン・オースティン」と言うのを見て、俄然読む気になりました。
  とにかく会話が楽しく、一癖もふた癖もある登場人物や動物(!)も生き生きとして
 いて面白いです。 まさしく、ラブコメ!

 おすすめ度      ☆☆☆☆☆
 sensual度      ☆☆☆ 
 mystery, suspense度 1/2☆
 comedy度       ☆☆☆☆☆
 
 
4.To Catch An Heiress / Julia Quinn   YL6〜7
  "How to Marry a Marquis"に出てきた、Ravenscroft夫妻のお話。(こちらが先) 
  1814年、イギリス。 
  Caroline Trentは、邪な後見人とその息子(との結婚)から逃れるために、
 夜中にこっそり逃げ出した。 
  21歳の誕生日まで、あと6週間。無事に逃げおおせれば、遺産が手に入り、
 後見人との縁も切れる。 
  ところが、家を出たところで、黒ずくめの男に襲いかかられ、こともあろうか、
 スペインのスパイ扱いされた上に、誘拐されてしまう。。。 

  ↑が可愛いラブコメなら、こちらはちょっとドタバタ。
  Carolineの天然ぶりに、思わず笑ってしまいました。
 
 おすすめ度      ☆☆☆☆
 sensual度      ☆
 mystery, suspense度 ☆
 comedy度       ☆☆☆☆☆
 
 
5.The Wedding Bargain / Victoria Alexander  YL6〜7
  19世紀初頭、イギリス 
  ヒロインPandra Effingtonは、その美貌と家柄の良さにもかかわらず、
 やんちゃな言動のせいで、"The Hellion"という不名誉なニックネームを付けられている。 
  Trent伯爵、Maximillian Wellsは、彼女のそんなところに目をとめ、妻にしようと
 決心する。しかし、パンドラは、愛によらない結婚は絶対にしないと決めていたのだった。 
  何とかして求婚を断ろうと、彼女はマックスに「へラクルスの12の苦行」を
 成し遂げられたら、妻になってもよいと言う。その代わり、もし出来なければ、
 パンドラが彼の妻を選ぶと言う条件付きだ。 
  「ヘラクルスの12の苦行」、もちろん生身の人間に成し遂げられるわけがない。
 だが、マックスは、絶対負けないと心に決めていた。。。 
  二人の勝負は、どちらに軍配が上がるのか。 

  「ヘラクルスの12の苦行」というと、ギリシャ神話のヘラクルスに与えられた、
 不可能な使命のことです。9頭の毒蛇を退治するとか、アマゾネスに衣をもらう、とか
 だったかな?
  この不可能な使命を、マックスがいかに頭を使って達成していくのか(するんです!)、
 見るのも楽しいラブコメです。
  二人の間でポンポン飛び交う会話や、個性的な脇役たちとのやりとりに、
 思わずニンマリしてしまいました。 

 おすすめ度      ☆☆☆☆
 sensual度      ☆
 mystery, suspense度 −
 comedy度       ☆☆☆☆
 
 
6.Devil's Bride / Stephanie Laurens  YL8〜9
  舞台は摂政時代の英国。
  Cynster一族が主人公の一連のシリーズ、"Bar Cynsters"の第1作。 
  一族の長、St. Ives侯爵、Sebastian "Devil" Cynsterが主人公。 

  ある嵐の日、Honoriaは銃で撃たれた若い男性を見つけた。
 そこを通りがかった男性(Devil)に助けを求める。若い男性は Devilの従兄弟で、
 手当の甲斐なくその夜亡くなってしまう。 
  不可抗力とはいえ、未婚の男女が二人きりで一夜をともにすごすことは、
 スキャンダルになる時代。その言動から、Devil と呼ばれる彼が、Honoriaに
 求婚し、周囲を驚かせる。だが、独立心旺盛で冒険にあこがれる Honoriaは、
 誰とも結婚したくないと思っていた。。。 
  そして、従兄弟の殺人者を捜すうちに、Devil自身、そしてHonoriaの命も狙われはじめる。 

 上でご紹介した本にくらべ、かなりミステリ・サスペンス色が濃い作品です。
 傲岸な貴族ヒーローが、愛の前に膝を屈することができるかも、読ませ所。
 また、この作品の文体は、ちょっと読みにくかったです。
 リージェンシーの文体は長めで、文節が多いようなことをどこかで読みました
ので、そのせいかもしれません。

 おすすめ度      ☆☆☆☆☆
 sensual度      ☆☆☆☆
 mystery, suspense度 ☆☆☆
 comedy度       ☆☆
 
 
7.Running Away To Love / Barbara Cartland YL5
  先日、れなさんがご紹介された本です。(なので省略)
  ロマンス小説の女王と呼ばれ、600を超す著作を残した作家さんですが、
 残念ながら殆どが絶版です。
  最近、ベルばらの池田理代子さんが、カートランドさんのコミックスを
 出されたようですので、興味がある方はご一読を。
  (シンガポールには入ってこないようで。。。)
 
 
8.Candle in the Window   /  Christina Dodd   YL7〜8
  1153年春、イギリス 
  勇猛な騎士、Sir William of Miravalは、戦闘中の怪我がもとで盲目になった。
 自分を哀れみ酒におぼれる息子を見かね、Lord Peterは、息子を助けることが
 できそうなただ一人の人物、Lady Sauraを訪ねる。彼女自身が子供の頃より盲目で、
 にも関わらず、家を切り回し、できるだけ普通の生活を送ろうとしていた。 
  Sauraは、むさ苦しい男所帯を立て直す。Williamは、彼女が盲目の美少女とは知らず
(年配の女性と勘違いしていた)、次第にLady Sauraを尊敬し、自己憐憫から抜け出し始める。 
  二人は不思議にも、何となく惹かれ合い始める。
  そんなある日、二人は何者かに誘拐されてしまう。。。 

 ほんのさわりの部分のあらすじしか書けませんが、恋愛、謀略、戦い、笑いが、
400頁にぎっしり詰まっています。 
 このころのイギリスは、ヘンリー1世の甥スティーブンと、ヘンリー1世の娘
 マティルダとその息子ヘンリー(後のヘンリー2世)との王位争いで揺れていました。 
 エレアノール・ド・アキテーヌなどの名も出てきます。

 おすすめ度      ☆☆☆☆☆
 sensual度      ☆☆☆☆
 mystery, suspense度 ☆☆☆☆
 comedy度       ☆☆☆
 
 
 
◎アメリカ西部もの◎
 アメリカものも、ヒストリカルの中では結構多いです。

9.Banner O'Brien   /  Linda Lael Miller    YL7〜8
   (Corbin家4兄弟もの。第1作。長男)
  1886年、ワシントン準州 
  Banner O'Brienは、暴力夫から逃れ、医師の職に就くためにPort Hestingsに赴いた。 
  そこで、Adam Corbinという腕が立つ医師のもとで働くことになる。 
  Adamは傲岸でハンサム、時に暴力的になると言う噂もあったが、Bannerは何故か
 彼に惹かれてしまう。前夫にうけた仕打ちのせいで、恋愛なんてこりごりと思っていたのに。。。 

 リンダ・ラエル・ミラーは、日本でも翻訳が出ています。古くはハーレクインシリーズに、
 最近では、ソニーのヴィレッジ文庫からも出ています。
 いつ誰が名付けたのかは知りませんが、sensualの女王(!)と呼ばれるだけあって、
ラブシーンは熱いです。(ふぅ〜っ。赤面)

 おすすめ度      ☆☆☆☆
 sensual度      ☆☆☆☆
 mystery, suspense度 ☆☆
 comedy度       ☆☆
 
 
 
◎SFロマンス◎
 ロマンス小説家が、SFやファンタジーに挑戦することもあります。
 え〜と、本職様にはもちろん敵いませんが、そこはロマンス小説なので、勘弁してください(爆)

10.Amaryllis  /   Jayne Castle
  未来SFロマンス 
  舞台は地球コロニー、St. Helens 
  人々の中には、超能力を持つ者(talent)がでるようになった。しかし、
 talentが能力を発揮するには、 prismと呼ばれる人の能力の補助を必要とする。 
  二人そろわなければ役に立たないのは、悪用を防ぐ天の配剤だと言う人もあった。 

  さて、Amaryllis Larkは、高い能力を持つprism。Lucas Trentは、自分の会社で行われて
 いる不正を 自らのtalent(Detective Talent)を使って調査しようと、Amaryllisの
 事務所を訪れる。 
  二人が調査を始めたとき、これがある殺人事件を掘り起こすことになるとは、
 予想だにしないことだった。。。 

  え〜、Jayne Castleは、Jayne Anne Krenz(ジェイン・アン・クレンツ)の別名義。
 SFものなどは、このペンネームで書かれていることが多いです。
  この作品は、花の名前のタイトル3部作の超能力もので、続編も含めて7作くらい
 あります。
  クレンツは、ハーレクインからもたくさん翻訳が出ていますし、二見文庫からも
 数冊出ています。
  彼女の書くヒーローは、傲慢、俺様型の多いロマンス小説のヒーローの中では、
 ちょっと異色です。どこがどうとは、言えないんですが。。。
  文章ですが、超能力についてなど、造語が多く、設定に慣れるまでは
 読みにくいかもしれません。 

 おすすめ度      ☆☆☆☆
 sensual度      ☆☆☆
 mystery, suspense度 ☆☆☆
 comedy度       ☆☆
 
 
 
◎現代もの(ミステリ)◎
11.White Lies / Linda Howard  YL8
  (邦題「カモフラージュ」)
  5年前に離婚して以来、ジェイ・グレンジャーは、まじめな銀行員として身を粉にして今日まで働いてきた。 
  だが突然解雇を言い渡されてしまう。 
  悪いことは重なるもので、打ちひしがれてアパートに戻ってみると、
 FBIの局員二人が訪ねてきた。別れた夫、スティーブが重症を負ったので、
 身元の確認にワシントンDCまで来てくれと言う。 
  わけがわからないまま同行したジェイは、全身に包帯を巻かれた一人の男の姿に
 愕然とした。。。

 L.Hの初期の作品で、最近のものほどハチャメチャではありません。 
 (私は、このころの方が好きです)
 "White Lie"とは何なのか、調べるのは読み終わってからにしましょう。 

 おすすめ度      ☆☆☆☆☆
 sensual度      ☆☆☆
 mystery, suspense度 ☆☆☆
 comedy度       ☆

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以上です。

長々と読んでくださって、ありがとうございました。
もしこの中の何か1冊読んで気に入ったら、殆どの作品にはスピンオフ(と呼ばれる
関連作品)があり、作中の魅力的な脇役が主役になって登場しますので、
そちらを読んでみてくださいね。
そうやって芋蔓式(爆)に、読みたい本が増える恐れがありますが。。。

まだまだ、未読ロマンス本は(2日で1冊読んでも2年かかるくらい)ありますので、
これからも読み続けるつもりです。
ご紹介第2弾は、そのうち。。。読者がいれば。。。
(ブログの読書日記では、もう少しあけすけな感想を書いていますので、よかったら
ご覧ください)

ではでは、みなさま
好きなものを好きなように、楽しい読書を♪

▼返答


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