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3060. Cleopatra's Daughter&今年のベスト5
お名前: 柊
投稿日: 2010/12/22(17:02)
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Michelle MoranのCleopatra's Daughterがすごく面白かったです。
両親を失ったKleopatra SeleneとAlexander Heliosという10才の双子が、勝ったローマの軍に連れて行かれてローマで生活する。
エジプトのアレクサンドリアという都市でギリシャ語で生活していた2人は、とても高い教育を受けていて6カ国語をしゃべれるので、ラテン語圏のローマでも平気です。アレクサンドリアは2人にとって世界一の都市で、実際ローマよりも建築物や文化水準など優れていた様子。
新しい皇帝Octavian(のちのアウグスト帝)に役に立てば生かしておいてもらえるという助言に従い、セレネは建築の勉強に励みます。他にもゴール族の王女だったガリア(架空)、ヌミビアの王子だったJuba(ユバ。実在。父はユバ1世)など、奴隷だったり家臣だったり、いろんな人種が集まっています。そもそもローマは人口の3割が奴隷といわれ、いろんな地方から戦争で負けた人々が連れてこられています。
アウグスト帝の子どもたちと、セレネとアレクサンダーは一緒に勉強するんですが、同じ生徒に見えても実はセレネとアレクサンダーはいつ殺されるかわからない身の上。でも、アウグスト帝の娘のジュリアはそれがわかっていないから、辛いことがあるとエジプトに生まれたかったと嘆いたりする。セレネは年の割に知性も感性も大人なので、ジュリアに同情するぐらいの度量がありますが。
奴隷制度廃止を訴えて、せっせと張り紙をしたり、奴隷を逃がしたりするRed Eagle(架空ですが、ある程度歴史上の動きはふまえています)の正体もわからないし、セレネはジュリアの許婚のMarcellusに恋をしてしまうし、盛りだくさんです。母のクレオパトラ7世の話より、セレネの方が面白いかも知れない。といって、またクレオパトラもの買おうとか考えてますが。
成長物語で、推理もので、冒険もので、恋愛ものなので、歴史ともう一つのジャンルは何を選べばいいのか、書評の時にすごく迷いました。
今年読んだ本でベスト5に入りますね。ちなみに残りの4冊はAlison WeirのThe Lady Elizabeth、David HandlerのThe Burnt Orange Sunrise(「ダーク・サンライズ」として翻訳)、Lisa KleypasのMarried by Morning、Hilary MckayのWising for Tomorrowでした。
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