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302. Harry Bosch シリーズと Myron Bolitar シリーズ
お名前: ポロン
投稿日: 2004/9/23(12:36)
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みなさん、こんにちは。ポロンです。
HankさんのSheldon、間者猫さんのGrisham紹介と続いたので、私も
ちょっとがんばって書いてみまーす(^^)
ここ4ヶ月位、ほとんど同じシリーズものばかり読みつづけました。
もともと、いろんな作家の本を読みたい、児童書も大人向きもあれこれ
読みたい、というタイプだったのに、Harlan Coben の Myron Bolitar シリーズ
第1作目「Deal Breaker」を読んでみたら、これがすっごくおもしろかった!
シリーズの先が知りたくて、7作をほとんど一気読みしました。
また、1年半前に記念すべきシリーズ第1作「The Black Echo」に出合って
以来、私にとってあまりに大切なので、大事に少しずつ読むはずだった
Harry Bosch シリーズなのですが、4作目の「The Last Coyote」を読み
終わったとたん、Bosch がこの先、どんな生き方をするのかが知りたくて
知りたくて、最新作に追いつきたくて、この夏ずっと読みつづけました。
2つのシリーズを続けて読んだことで、シリーズものを順番に追いかけていく
おもしろさがよーくわかりました♪
今日は、この2つのシリーズを私なりにご紹介したいと思います。
でも、超長文になりそうなので、興味のある方だけお時間のあるときに
おつき合いくださいませ。m(__)m
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■Myron Bolitar シリーズ(by Harlan Coben)
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sakigoroさん、れなさんもおすすめのシリーズです。
Myron Bolitar は、31歳のスポーツ・エージェント。
元大学バスケットボールの花形プレーヤーで、ドラフト1位でプロ入り
するも、シーズンが始まる直前に練習試合でひざに重傷を負い、引退を
余儀なくされます。その後、ハーバード・ロースクールに進み、FBIでも
働いたあと、今はスポーツ・エージェントをしている、という設定。
経歴が経歴だけに、彼のもとには「行方不明者を探して欲しい」などの
以来が次々と舞い込み、素人ながら事件解明にあたることになります。
Myron は典型的な白人中流家庭の出身で、甘っちょろいおぼっちゃん
なのですが、バスケに対する未練が、心の深いところで傷となっているようです。
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■Myronシリーズの魅力
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このシリーズは、WHODUNIT のおもしろさもあるのですが、それ以外に
2つの大きな魅力があります。
1つは、キャラクター造形の妙とウィットに富んだ会話です。
Myron という主人公のキャラもすごくいいのですが、その脇役がまた
個性的な人物ぞろい!(^^)
特に、由緒正しい家柄で大金持ちの御曹司、相棒の Win というキャラは、
シリーズに独特の魅力を添え、彼と Myron の掛け合いは絶妙です!
地の文もとてもユーモラスで、軽快なテンポで読ませてくれます。
2つめの魅力は、シリーズが進むにつれて、これが単に軽くておもしろい
ミステリーというだけでなく、物語に深み・重みが増してくること。
1作1作、Myron が解決に当たる事件は、彼自身のパーソナルな面とも
密接に結びつきます。Myron は深く傷つき、逡巡し、人生のほろ苦さを
噛みしめ、成長していきます。
彼の身にはシリーズ中、様々なことが起きるのですが、読んでいる方も
ほんとうに切なくなってしまい、胸がきゅんとなることが度々でした。
1作読み終わるごとに、後味のいい余韻の残る作品群です。
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■Myron シリーズの順番とお薦め本
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ここで、Myron シリーズを出版順に並べてみます。
1. Deal Breaker ★
2. Drop Shot
3. Fade Away ★
4. Back Spin
5. One False Move ★
6. The Final Detail
7. Darkest Fear ★
シリーズものは、順番に読んでいってこそ主人公の成長や変化が追え、
おもしろさもその分増すのですが、7冊も読めないよ〜、という方の
ために、いちばんのお薦め本に★印をつけました。
どれか1作だけ読んでももちろんおもしろいのですが、できれば
1、3、5、7の順に読むのがおすすめです。
5作目、7作目はシリーズ最高傑作、とも言われていますが、7作目は
3作目のネタばれがあるのと、3作目を読んでいないと理解しきれない
ところがあります。
最初に読むとしたら、1作目の「Deal Breaker」がミステリーのプロット
的にもすごくおもしろいですし、キャラ造形や会話の魅力も存分に味わえます。
これで Myron にはまったら、7作全部いってしまいましょう〜!(笑)
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■Harry Bosch シリーズ(by Michael Connelly)
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「どうせオマエはこれが言いたくて出てきたんやろ〜」という声が
外野から聞こえてきそうですが、実はそのとおりです(爆)
Harry Bosch に巡り逢えたことだけでも、多読を始めてよかった〜!!
と思うくらい、、、、好きです。
もうすっかりこの広場ではおなじみのシリーズですが、改めて
Harry Bosch の人となりをご紹介します。
このシリーズは、ロサンジェルス市警ハリウッド署殺人課の刑事、
Harry Bosch (本名 Hieronymus Bosch) を主人公とするハードボイルドです。
第1作「The Black Echo」の時点では、Bosch は40歳。
それ以前は、エリート部署である市警本部強盗殺人課で華々しい活躍を
したものの、容疑者を射殺したことが原因で、左遷の憂き目に遭いました。
市警の刑事とはいえ、警察という特殊組織とは折り合わず、常に
上部との確執がたたない一匹狼です。
Bosch は11歳のときに母親を亡くし、それ以来施設と里親の間を転々と
して育ちました。その後ベトナム戦争に従軍。いまだにベトナムの
後遺症で不眠症に悩まされるなど、心に深い傷を抱えています。
「The Black Echo」では、そのベトナム時代のトラウマと事件とが
絡み合い、読み進むにつれて、読者もともに Bosch の心の闇の奥へと
いざなわれることになります。
ベトナム帰りの一匹狼、というとハードボイルドにはありがちな
設定なのですが、Bosch の孤独は、どうやらそこからくるだけの
ものではなさそう。
でも、1作目ではそれが何なのか、過去をほのめかすにとどまっています。
それが、2作目、3作目、4作目と読み進むにつれて次第に明らかになり、
Bosch の父親のこと、母親のことなども詳しく語られます。
シリーズが進むにつれて、物語は Bosch の心の内面奥深くを探り、
その心理描写には、ほんとに感情をもみくちゃにされます。
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■Harry Bosch シリーズの魅力
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このシリーズは、ミステリーとしてとても質が高く、そのプロット展開で
ぐいぐい読ませるのですが、なんといっても最大の魅力は、Harry Bosch
という人物造形の深さにあります。
Bosch は、組織やまわりの人間とは相容れない孤独な男。常にびんびん
張り詰めたような緊張感をただよわせています。
シリーズ中、彼は実に多くの傷を背負い込んでしまうのですが、
そのえぐるような痛み、哀しみを真っ向から受けとめて、なおかつ真摯に
生きようとする凛とした姿勢に心揺さぶられます。
Bosch が殺人犯をつきとめようとする執念は、いわば生まれもった「使命」
であり、その justice を追い求める生き様は、ほんとうに凄みを感じます。
また、作者 Connelly は、その文章構成力、描写力が素晴らしいです!!
読んでいて、思わずハートをわしづかみにされる文章に出合うことが
たびたびで、そういうときは、その部分を何度も何度も読み返して、
切なさに胸がいっぱいになってしまいます。
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■Michael Connelly の作品リスト
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Harry Bosch シリーズは、今のところ10作が発表されています。
出版順に並べてみます。
1. The Black Echo
2. The Black Ice
3. The Concrete Blonde
4. The Last Coyote
☆The Poet
5. Trunk Music
☆Blood Work
6. Angels Flight
☆Void Moon
7. A Darkness More Than Night
8. City of Bones
☆Chasing The Dime
9. Lost Light
10. The Narrows
☆印をつけたのは、コナリーの単発作品なのですが、「Blood Work」や
「The Poet」は、その主要キャラクターが「A Darkness More Than Night」、
「The Narrows」に登場する(というか、主役を張る)ので、Bosch シリーズを
読みつづけるのに必読の作品となっています。
「The Narrows」は、なんと「The Poet」の続編でもあります。
どの作品も質の高いものばかりですが、私が第9作まで読み終わった中で
あえてベスト3をあげるとすれば、「The Last Coyote」「Angels Flight」
「City of Bones」が大好き!!(心乱れてます:爆)
でも、「The Black Echo」もすごく強烈な印象があってベスト3に
入れたいほどだし、Harry を語る上では「A Darkness More Than Night」も
はずしたくないです。
要するに、ほとんど全部大好き♪(爆)
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■Bosch シリーズは、第1作目から順番に読んでください♪
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これから読む方にお願いなのですが、このシリーズは、ぜひぜひぜひ!
1作目から順番に読んでくださいね〜〜!(懇願〜)
どれかひとつだけ読んでももちろんおもしろいと思いますが、それでは
Harry Bosch の魅力の半分しかわからない!(と断言してしまおう〜:笑)
つまみ食いすると損しますよー(笑)
このシリーズは、1話完結のミステリーであると同時に、シリーズ全体が
Harry Bosch という男の魂の遍歴、自分探しの道程をたどる大長編小説
でもあります。(なーんてね^^)
その大きなうねりを味わいながら読んでこそ、各々の作品の中での
Harry の心情や行動が、深〜く理解できるのです。(^^)
Bosch ものを読んでいるとき、私はいつも Harry がすぐそばにいて、心の
傷に苦しみもがいているような気がしますし、読書を離れているときでも、
彼がL.A.の空の下にほんとうに実在しているような気さえします。
Harry にどっぷり感情移入して読んでしまうので、あまりに胸が痛く、
全く冷静ではいられないのです〜〜。
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■コナリー作品、何から読むか?
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上に、このシリーズは第1作目から、と書きましたが、Connelly を読んだ
ことがない方は、コナリー・ワールドの魅力を知るために、単発ものから
先に読む、という手もあります。
単発作品でおすすめなのは、「The Poet」と「Blood Work」です。
それで Connelly の世界にはまったら、「The Black Echo」に進む、という
のもきっと入りやすいはず♪
私の初コナリーは「The Poet 」でした。(おもしろいですよー(^^))
でも、読みやすさから言えば、3作のうちいちばん読みやすいのは
「Blood Work」だと思います。
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■シリーズを読むときの注意 − あらすじやレビューはあまり読まないように
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シリーズものは、主人公のまわりの人間関係、環境が少しずつ変化し、
それに伴い主人公も人間として成長していきます。
先々の作品のあらすじや読者評を読んでしまうと、そのサイドストーリー的な
部分がネタばれになっていることが多いのです!!
1作目を読んだばかりで、「○作目では主人公にはそんなことが起こるのか」
なんて、あまり知りたくないでしょ?^^
Myron も Bosch も、作品の先々でファンにとって大きなサプライズが
数々待ち受けています。
それがなにかは自分で発見してこそ楽しいもの♪
あまりよそで読者評などを読まないようにしましょう〜(笑)
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■シリーズものの魅力
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繰り返し書いたように、シリーズものを通して読むおもしろさは、
主人公の成長や変化を追いつづけることにあるのですね。
どんどん進化するシリーズを順番に追いかけてこそ、その醍醐味を
深く味わえるのだとわかりました。
それに、Myron シリーズも Bosch シリーズも、ほとんどの作品に主人公の
ロマンスが挿入されていて、これがどうなるのかもすごく気になるのー(笑)
Bosch シリーズは、今最新作の「The Narrows」を読んでいるところで、
これを読み終わったら、他のシリーズものにも目を向けてみようと思っています。
キャラクター造形が深く、物語に奥行きのあるハードボイルドのシリーズもの
(できれば現在進行形の)があれば教えてください!
とりあえず、レヘインのパトリック&アンジー・シリーズの1作目、
「A Drink Before the War」は手元に用意してあります(笑)
長くなってしまいましたー。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございます♪
自分で親記事を投稿するなんて1年ぶりなので、肩が凝りましたー!
これでBoschファン、Myronファンが少しでも増えるとうれしいな〜(笑)
Happy Reading!(^^)/
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