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お名前: パピイ
投稿日: 2009/4/19(23:49)
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ロマンスPBファンのみなさん、こんにちは。パピイです。
10ヶ月ぶりに その2をお届けします。
■最初に
前回と同じで、ここで紹介するものは、ロマンスファンなら楽しめると私が感じた本などで、
やさしいロマンス本を紹介するものとは限らないことを、最初にお断りしておきます。
今回は、絵本1冊、GR8冊、児童書2冊、映画1本を紹介します。
■絵本
◇ Stellaluna / Janell Cannon語数:1,201 ISBN:978-0152802172
Stellalunaは、Fruit bat(オオコウモリ)の女の子。生まれて間もなく母親とはぐれて、鳥の巣に落ちて、
小鳥たちと一緒に暮らすことになります。コウモリと鳥とは、食べ物も習性もまったく違いますが、
彼女は一生懸命努力して鳥として成長します。そして巣立って、母親と再会しますが…
♪お勧め理由
この本は、ロマンスPB「Dream A Little Dream 」(邦訳:あの夢の果てに)の中で、夫と死に別れたヒロインが、
幼い息子に読み聞かせをしてやる場面で登場します。ロマンス読書が、絵本購入のきっかけになったという
珍しい事例というのがお薦め理由(苦笑)ですが、親と別れて、異なる環境で必死に生きようとするヒロイン、
自分らしさを取り戻しても、変わらない鳥たちとの友情も良いのですが、かなり写実的に描かれている絵と、
とってもかわいいコウモリや鳥の表情も楽しめます。
また映画「アイ・アム・サム」の中で、知的障害者の父親とその娘が一緒にこの本を読むことで、
娘の知能が父を超えようとしていることを描写するのに使われているそうです。>映画のこの場面は覚えて
いますけど、その本のタイトルまで記憶にはありませんでしたが、良い絵本だから使われたことがわかりますね。
■GR (YLが低い順に)
◇ Little Lord Fauntleroy / Frances Hodgson Burnett OBW1 語数:7,250 ISBN: 978-0194789295
父親を亡くした7歳のCedric Errolは、母親と二人ニューヨークで倹しく暮らしていました。ある日英国から
使いが訪れ、彼はDorincourt伯爵の後継ぎだと告げるのです… 邦題「小公子」のGRです。
♪お勧め理由
多読通信で、古川さんが「この本を喫茶店で読んで思わず涙目になってしまいました」と書かれていたので
読んで見ました。いきなり貴族の後継ぎと言われるところや、心優しい主人公が、頑なな人々のこころを溶かして
いくという設定は、ヒストリカルロマンスにも通じるところもあり、読み終わって幸せな気分になれます。
◇ Love among the Haystacks / D.H. Lawrence OBW2 語数:7,030 ISBN 978-094790802
兄Geoffreyと弟Mauriceは農民の息子たちで、ある夏二人で協力して干し草の山を作っていると、近所の牧師の
子供の面倒をみているドイツから来た女性を見つけます。女性に縁の無い生活をしていた彼らですが、口達者な
弟が彼女と親しくなります。兄はそれに嫉妬して… D.H.ロレンスの短編で、邦題「乾し草小屋の恋」のGRです。
♪お勧め理由
干し草の中で一夜を過ごすことになるカップルという設定が、ロマンスぽくっていいです。
もともと短編だからでしょうが、GRになって語数がすくなてもまとまっています。
GRで、D.H.ロレンスの他の作品は「Sons and Lovers」 PGR5 邦題「息子と恋人」があります。
◇ Becoming Jane PGR3 語数:11,795 ISBN: 978-1405867672
若き日のジェーン・オースティンの恋を描いた物語です。同名の映画(日本未公開)のノベライズ。
♪お勧め理由
彼女の作品のGRに彼女の経歴が紹介されたりしており、ロマンスが実らないことも知っていても、
ロマンスファンなら読んでみたくなることでしょう。
「Becoming Jane」でネット検索するといっぱい出てくることからも、彼女の人気のほどが知れますね。
映画の方は、あれこれ言われているようですが(笑)、予告編を見る限り、日本公開されたら私は見に行きます。
◇ Pirates of the Caribbean At World’s End PGR3 語数:13,144 ISBN: 978-1405892056
ご存じ、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」のノベライズです。
♪お勧め理由
映画を見たことある人にお勧めです。(>登場人物もたくさんで、説明もあまりありませんから)
ロマンスファンなら忘れられないシーンは、戦いの中でエリザベスがウィルから突然のプロポーズを受けて甲板で
結婚するところと、エンディングのシーンでしょうね。映画のシーンを思い出しながら読んでください。
◇ Love by Design / Kieran McGovern MGR3 語数:10,800 ISBN: 978-1405072724
17歳のTomは、大学で絵や写真の勉強をしたかったのですが、成績が悪くて入学が認められませんでした。
仕方なく小さな図書館で働き始め、仕事に退屈さを感じ始めた頃、Ritaという同い年の女性と出会います。
♪お勧め理由
ヤングアダルト系のロマンスです。たまには、さら〜と読めるものも楽しいですよ。
◇ The No.1 Ladies' Detective Agency / Alexander McCall Smith
PGR4 語数:15,600 ISBN: 9781405833967
Precious Ramotsweは若き日に結婚で失敗しており、父親の面倒を見ていましたが、父の死後遺産を売り
ボツワナ共和国の首都Gaboroneで私立探偵稼業を始めます。彼女は34歳のかなり太めの黒人です。
探偵稼業なんて成り立つのとヒロインも不安でしたが、意外や意外浮気の調査から、失踪人探しなど次から次と
仕事が舞い込んできて、方やワニやヘビなどを相手にすることにもなります。
♪お勧め理由
いちおうミステリーなのでしょうが、おぞましい事件は起きません。謎解きも一応あるのですが、アフリカという土地柄
なのでしょうか、なぜか気持ちがゆったりするような展開で物語が進み、読後には癒しが感じられます。
◇ Tears of the Giraffe / Alexander McCall Smith PGR3 語数:19,978 ISBN: 9781405867771
上に紹介した「The No.1 Ladies' Detective Agency」の続編。今回は,米国人女性に頼まれて、10数年前に
突如消息を絶った青年を探す物語を縦糸に、秘書が探偵に昇格して、ある男性の夫人の浮気調査などを行う
なども話もありますが、その解決方法はちょっと強引かなとは思いますが、人情味あふれるものです。
♪お勧め理由
こんどの作品の方が、読み応えがありますが、前作を読んでおいた方が社会や人物関係がよく理解できます。
同シリーズの三作目として、おなじPGR3で「The Kalahari Typing School for Men」が最近発売されました。
◇ Death on the Nile / Agatha Christie PGR5 語数:26,246 ISBN: 978-1405867795
美人で資産家のLinnetは夫Simonと、エジプトでハネムーンを楽しんでいた。ナイル川観光船上で、ある朝
彼女が拳銃で撃たれて死んでいるのが発見されます… アガサ・クリスティの「ナイルに死す」のGRです。
♪お勧め理由
PBで飛ばし読みに慣れている方も、たまにはじっくり読書を楽しんでみませんか。GRとして短くされており、
登場人物も多数で、怪しげな行動・言動も多数あり、ときたまページを戻ったりしてディテールまで読まないと
この本は楽しめませんよ。【ご参考】乗船客について語られる28頁が、人物一覧の役割をしています。
この本が楽しめましたら、同じ作者の「Murder on the Orient Express」 PGR4も最近発売されていますよ。
■児童書
◇ Nathan Fox: Dangerous Times / L. Brittney 語数:66,000 ISBN: 978-0312369620
エリザベス女王統治下のイングランド、スパイ組織のリーダー Sir Francis Walsinghamは多くの諜報員を
抱えて、強大なスペインに対抗して国力維持の活動をしています。そして新たに13歳のNathan Foxを
雇うことになります。彼は芸人で、8歳の時から若きシェークスピアたちと活動を共にしており、その変装と演技が
認められたのでした。(シェークスピアも諜報員という設定が、可笑しいです)
当然諜報活動の経験のない彼は、格闘術や暗号技術などの訓練を受けた後、大胆不敵なJohn Pearceとともに、
スペインに対抗する同盟のおぜん立てのためベネチアに向かいます。そこで出会うのが、奴隷から将軍になった
Othello、貴族の娘Desdemona、ずるがしこいIagoたちで、戦争にも巻き込まれます…
♪お勧め理由
児童書とはいえ、時代小説を読んだ経験がないと読みにくいところもあります。でもヒストリカルロマンスをお読みの
あなたなら大丈夫です。YLはJulia Quinn並みでしょうか。シェークスピア劇「オセロ」は、Nathanの体験をもとに
彼が書きあげたことを暗に示す設定になっていますので、原作を知っている方はその点も楽しめます。
◇ Nathan Fox: Traitor's Gold / L. Brittney 語数:72,000 ISBN: 978-0330454216
スペインの植民地ネーデルランドでは、プロテスタントが広まりつつあり、カトリックを強制するスペイン王との間で
争いが続いていました。Nathan と同僚たちが、オランダ人から戦う訓練を受けているところから物語は始まります。
今回の任務は、ネーデルランドで戦うスペイン軍に支払われる金塊を、イタリアから輸送中に強奪することでした。
軍は半年間給料の支払いがなく、もしそれを奪うことができれば軍人たちの士気を低下させることができるのです。
ただPearce、Nathan、そして彼の姉Marieには別の任務が極秘に与えられます。それは、聖母マリアの骨と
言われる聖遺物をスペイン王が手に入れるのを阻止することでした。ただ情報源がアムステルダムの逃込み寺の
ため女性であるMarieの力が必要だったのです…
♪お勧め理由
本作は、Marieをめぐっての二人の男の恋の鞘当てなどもあり、前作より段面白かったです。
シェークスピア劇の「Measure for Measure (尺には尺を)」という作品を筋立てに使っているようですが、
その作品を知らなかったため、よけい面白く感じました。
少し紹介しますと、公爵の代理として市政を任された美徳を重んじ戒律に厳しい男が、長い間適用されなかった
厳しい刑罰の執行を始め、婚約者を妊娠させた男が死刑に処せられようとします。その男の妹が、命乞いに…
■映画
◇ ある公爵夫人の生涯 原題「The Duchess」
18世紀後半のイングランド、貴族の家に生まれたジョージアナは、17歳でデヴォンシャー公爵のもとに嫁ぐ
ことになります。結婚後公爵は彼女に愛情を示すこともなく、ただ「跡継ぎを生むこと」だけを望むのでした…
邦題に生涯とありますが、婚約からの十数年を描いています。
♪お勧め理由
物語は、おもいっきりロマンスと縁遠いところで展開しますが、当時の衣装、建物、世相など本だけの情報では
得られないものが多々あります。蝋燭だけの部屋明るさや、何なの?な下着の一部などマニアックに楽しめます。
平日の夕方見たのですが、観客は私以外全員女性でした。カップルで見る映画ではなさそうです。
■最後に
「Little Lord Fauntleroy」(小公子):主人公の名前が、某社の車の名前になっていること以外知らないで
人生を過ごして来ましたが、死ぬ前に読めてよかったと感じました(笑)
GRでは、他にもいろいろな世界の名作が読めます。ロマンスファンの方にはちとお勧めしにくいのですが、
不倫もの「ボバリー夫人」(フロベール)、「アンナカレーニナ」(トルストイ)、「赤と黒」(スタンダール)とか、
犯罪もの「罪と罰」(ドストエフスキー)などがあり、それぞれGRとは言え読み応えがあります。
以上、ここしばらくPBばかり読んでいてGRが好きだったことを忘れていたパピイでした。
では、みなさんHappy Reading!
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