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お名前: パピイ
投稿日: 2008/11/2(01:29)
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みなさま、こんにちは。パピイです。
■ 最初に
今回の報告は、PB10冊 総語数は1,006,493語、累計で8,043,070語になりました。
今までと同じように本の紹介をするにあたり、第一章、またはプロローグにのみこだわって紹介し、
後は全体の感想を述べるだけに止めておいて、できるだけネタバレをしないようにと考えました。
最初の章(一部主人公を紹介するために、その後の章を紹介したものもあります)の内容紹介は、
その章を読んだ直後に書いていますので、そのあと物語がどう展開するか全く知らずに書いており、
その後手直しなどしていません。そのため ********** で区切って、読後の感想を書いています。
この紹介方法で、その時感じたワクワク感が、すこしでもみなさんに伝わればうれしいです。
いつものことですが、一冊ずつ読むたびに原稿を書いていますので、投稿文全体の長さを考えていません。
その結果A4換算で15頁と、かなり長文になってしまったことを先にお詫びしておきます。
また前回の報告と同じように Amazon.comのレビュー数と、邦題(翻訳本があれば)を付け加えてあります。
■ 本の紹介 (読んだ順に紹介しています)
◇ Guardian Angel / Julie Garwood 語数:109,424 ISBN:0671670069
(56 customer reviews) Lion's Ladyのスピンオフ
1815年ロンドン、Cainewood (Caine) 伯爵は、悪名高い海賊Pagan of Shallow’s Wharfになりすまし、
隠れている彼を誘き出そうとしています。賞金を懸けても彼を裏切る者は現れず、自ら危険な行為に身を投じ
ているのです。Paganの船Emeraldは、数え切れないほど目撃されていますが、彼自身は謎の人物でした。
Paganの略奪は海だけでなく陸にも及んでいましたが、狙うのは上流社会だけでした。家人に気付かれず
仕事を済ますので、夜明けになって、枕もとに置かれた薔薇の花で初めて犠牲者は襲われたことを知るのです。
当然のことながら、貧しい者たちは彼を崇拝の対象にしていました。
毎晩Caineは、スラム街で港湾季節労働者が集まる居酒屋Ne’er Do Wellに通っています。そこでは爵位は
なんの意味もありません、ただ体格と腕っぷしだけで仲間に溶け込んでいました。そして、Paganのふりを
するために、伝え聞いている地位ある紳士のような服装で、襟に小さい白薔薇を留めていました。
ある日の午前3時頃、彼の正体を知る店の主人と話をしていると、突然入口が開きます。振り返ってみると、
そこには若く美しい女性が立っていました。暫く二人は見つめ合っていましたが、彼女のほうから近づいて
来て、「あなたがPaganなの」と尋ねます。そうだと答える彼に、持って来たお金を見せて、これである人を
殺して欲しいと頼みます。誰を殺して欲しいのかと尋ねる彼に、彼女は「Me.」と答えます。
以上が、第一章でしたが、よくわかりませんので次に行きます。
あっけにとられるCaineが、何時殺して欲しいのかと問うと、良ければ今すぐにでもと彼女は答えます。
彼の質問に答えて、彼女の名はJadeで、両親は亡くなっており、貿易関係の仕事をしているNathanという
兄がいるようです。質問を続ける彼に、業を煮やした彼女は、本当に殺してくれるのかと尋ねますが、彼の
返事はNOです。約束を守らない恥知らずと彼に向って言ったとたん、泣き崩れます。
店の主人に諭されて気を取り直した彼女は、他の人に頼むからと出て行こうとします。彼が、彼女の肩を掴み
こちらを向かせると、彼女はまた泣き始めます。彼ら(?) に殺される前に、もて遊ばれるくらいなら尊厳ある
死を選びたいという彼女に、彼は兄を悲しませないために彼女を守ろうと提案しますが、2週間の留守の間
守り切れるわけがないから、ピストルでひとおもいに殺してくれとたのみます。
その後の会話から、Caineは、Lyonwood伯爵の友人であり、彼女の耳の上にこぶがあり、兄の家で階段から
落ちたときにできたもので、頭をすっきりさせようと歩いている時、殺人を目撃し、犯人たちに追われている
というのです。話を聞いていたCaineは、彼女の話にはつじつまが合わないことがあると気付きます。
彼は、彼女を家に帰すために馬車に連れて行こうとしますが、無理強いするなら大声であなたの名前を叫ぶと
いう彼女に、自分はPaganではないと自分の正体を明かします。馬車の中で、なぜPaganのふりをしていた
のかと尋ねますが、彼を捕まえるためと答えますが、理由までは明かしません。一方彼女は、目的を果たし、
彼女の兄は喜ばせることができました。(??)
以上が、第2章までですが ??ですね。
涙が功を奏したことにJadeは驚きますが、その行為を恥じたりはしていません。ただ叔父のBlack Harryが
このことを知ったら大笑いするでしょう。彼は彼女が泣くところ、まして彼の敵McKindryが、彼女の背に
鞭を使った時でさえ、うめき声一つ上げなかったからです。
Jadeは、Cainewood伯爵のことをよく知っていました。彼女には一度読んだら全て記憶する特殊能力があり
彼の資料に目を通していたからです。彼はWar Departmentで、Hunterとコードネームで呼ばれていました。
彼についての情報を読むと、その呼び名もなるほどと思えました。
Caineは、弟Colinの死が知らされたとたん仕事を辞めました。彼は、弟が同じ仕事をしているとは知らな
かったのです。彼は6人兄弟の長男で、Colinは次男で、他の四人は女性でした。そのため彼は自然と保護者
のようなふるまいをするのです。彼女はそこをうまくついて目的を果たしたのでした。
彼女は、やむを得ず今後2週間彼のそばにいることになりますが、その後は自分の生活に戻ります。彼女を
守ることが彼の義務と思わせることが、彼の身の安全につながる唯一の方法でした(??)そんなことを
考えている時、妙な音が聞こえたと思った瞬間、左後方の車軸が折れ、馬車は突然止まりました。
外に出て調べてみると、車軸に細工をした跡が見つかります。二人は御者を残して、馬で帰ろうと考えますが
その時銃声がし、間一髪で弾丸はCaineをかすめました。彼女を抱きかかえ盾になろうとしますが、数発の
銃声が続き、路地や裏通りを逃げ、テムズ川の橋の上まで来ました。「泳げるかい?」と聞かれて「Yes」と
答えたとたん、彼は手すりを登って彼女を川に投げ込み、続いて彼も飛び込み、二人は岸にたどり着きます。
CaineはJadeを連れて、Lyon (Lyonwood伯爵)の家を訪ねます。Lyonの妻Cristeinaは、Jadeを風呂に
入れる時に、Jadeの背中の痣に気付きますが黙っています。Jadeは、持っていたナイフを見つけられて、
彼女が言い訳を考えている時に、Cristeinaは「私のは、もっと鋭利なのよ」と言います。
以上が、第三章の途中44頁まででした。未だ謎の多いヒロインですが、前作のヒーロー、ヒロインが
登場してきて、果然面白くなりそうですね。
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上の紹介文のみでは、みなさん???と思われるのでしょうね。
ヒロインが、Caineに近づくためについた嘘から話が始まり、頭を打ったためか話につじつまの合わない
こともあり、彼女の話がどこまで本当かがよくわからないまま物語は進みます。
さらに前作「Lion's Lady」と同じように、とんでもない設定ですので、読まれる方はご注意を(笑)
二人の心の通い合いというロマンスの大事なポイントがあまりかかれていないという不満もありますが、
Paganを筆頭に、コードネームで呼ばれる謎の人物なども登場し、サスペンス色の強い作品で、
その点では面白かったと言ってよいでしょう。
そうそう、ヒーローの執事 Sternsがいい味だしています。
◇ The Bride and the Beast / Teresa Medeiros 語数:73,284 ISBN:055358183X
(89 customer reviews)
1746年スコットランド、ハイランド(州)、その日9歳のGwendolynは、MacCullough族の将来の首領を
殺しそうになりました。いつものように樫の木に登って下を通るBernardを眺めながら、いつの日か彼女に
気づいて声をかけてくれることを夢想していると、悪ガキ達にからかわれてしまいます。そこにBernardが
やって来て、子供たちを追い払ってくれますが、誤って彼女は彼の上に落ちてしまいます。
彼は死んでしまったのかと思った瞬間、「けがはないか」と彼が声をかけます。その後の会話から、彼女は
族長の世話役の一人の娘で、姉二人妹一人の四人姉妹です。Weyrcraig城で、彼を見かけてから恋心を抱いて
いましたが、彼の大人びた尊大な態度と、彼女を子ども扱いする物言いに、辟易します。
以上が、プロローグでした。次に行きます。
1761年、The Dragon of Weyrcraigは、崩れた城壁の中を徘徊しながら、頭を持ち上げ唸り声をあげたい
衝動と闘っています。日中は身を潜め、闇夜だけ歩き回るのでした。闇だけが彼の支配にあるのです。
この地に来て以来、過酷な挑発以外には何も感じなくなり、人間性を失ったようです。
従順に従う村人たちの行動は、空腹を満たすのには十分でしたが、寂しさまで紛らわすことはできません。
そして今夜、野生の欲望を満たすために、狩りにでかけることにします。
Gwendolyn Wilderは、ドラゴンなんて信じていません。またドラゴンが大暴れしいるぞと叫ぶ声を聞いても
耳を塞いで寝ようとします。ドアを激しくたたく音に、召使が出てみると修繕屋の見習Hamが立っています。
彼の話によると、ドラゴンの要求が来たが、牧師が出かけており、他にただ一人字の読める彼女を連れてくる
よう言い使ったとのこと。彼女は、読書の楽しみを後悔する日が来るとは、想像さえしていませんでした。
彼女の父Alastairが、イングランド人がまた攻めて来たのかと聞きます。15年前に冷酷なCumberlandの
襲撃に遭って以来、少し正気を失っていますが、その恐怖だけは忘れていないようです。彼女が9歳の時、
母親が出産で亡くなって以来、彼女が父親と妹Kittyの面倒を見ていたのです。
Ballybliss村の中央の焚き火に、人々は集まり不安そうにひそひそ話しています。そして鍛冶屋のAilbertが
羊皮紙を手にして登場します。それは今までと同じように、樫の木に矢で留められていたメッセージでした。
彼女は要求を読み上げます。新鮮な鹿肉、ジョッキ一杯のウイスキー、1000ポンドの金。それを聞いて、
村人は息をのみます。というのは、長年誰かが1000ポンドで、亡き首領を裏切ったと噂されていたからです。
もし金を差し出さなかったらと尋ねられ、続きを読むと、村に破滅の魔法をかけると書いてあります。村中
集めても10ポンドもあつまりそうにありません。その時老人が、族長が死に際にかけたとされる皆が知って
いる呪歌を歌います。彼が言うには、ドラゴンは族長その人で、裏切り者を罰するために墓から戻って来た、
そして呪いを解かない限り、ドラゴンから逃げる手立てはないと。
皆で歌詞を考え始め、「’Til innocent blood be shed.」から、処女の生贄が必要と考えます。ほとんどの少女は
12歳を過ぎれば結婚してしまうこの村で誰が?となって、用が済んで立ち去ろうとするGwendolynに、
皆の視線が集まります。逃げようとする彼女に立ちふさがったのは、村の女性たちでした。
以上が、第一章でしたが、もう少し続けます。
女性たちがGwendolynの支度をする間、姉妹たちは泣き崩れます。お母さんは美しい人で、他の三人の様に
美人であればよかったのにとか、せめて太っていなければなどといわれます。姉妹で別れの挨拶をしますが、
彼女は父親のことが心配でなりません。
彼女は雨の中、城の中庭まで連れて行かれ、杭に縛り付けられます。稲妻が走りだし、皆は引き上げます。
しばらくして雨があがり、目を開けて周りを見渡すと、誰かこっちを見ているようです。「あんたなんか、
信じないわよ。私は無知な田舎者じゃないからね」と言う彼女は、それが怪獣ではなく、想像もしたことも
ないほど恐ろしく、美しい男性の顔であることに気付き、気を失ってしまいます。
以上が、第二章でしたが、ヒーローの説明がないので先に行きます。
自分をDragonと呼ぶ男は、村人が差し出したものを唖然として見つめます。女を気絶させる評判も勝ち得た
ようだねと、もう一人が言います。どうして女性を連れてきたのだろう、鹿肉と体を温める酒を要求したのに
という彼に、彼女が温めてくれるのではと友人が答えます。雨に濡れた彼女の服は、体に張り付き、半透明で
胸と豊かな腰の線をはっきり見せてくれます。
なんて野蛮人たちだ、こんなひどいことをするなんて、と彼は縄を解き、城の中に連れて行こうとします。
彼女がお前の顔を見たらどうすると言う友人に、このまま放っておけというのかと抱いて中に入ります。
Gwendolynは、目が覚めるとドラゴンの腹の中でなく、天国にいるように感じます。さらにシーツの下の
自分は、天井に描かれている神話の登場人物のように裸だということに気が付きます。その時、自分ひとりで
ないことを知ります。隠れてないで、姿を見せなさいと言います。
以上が、第三章でしたが、ヒーローの説明がないのでさらに続けます。
シーツの下でうずくまる彼女に、怯える必要はない、私はドラゴンでも怪獣でもない。ただの男だと彼は
言います。彼女は怖がっているわけではない、恥知らずの何者かが、私の服を盗んでいったからだと答えます。
彼は、彼女がここに連れてこられた理由と名前を聞き出します。「なぜ、彼らはお前を選んだのだ」との
問いは、彼女には『なぜ、もっと美人な誰かを、もっとやせた人を』と聞こえますが、「処女は、ドラゴン
より珍しい存在だから」と答えます。
Dragonは、友人のTupperと彼女の扱いについて相談します。顔を見られていないのなら、村に返すことも
できますが、彼女は彼を、村人から金品を巻き上げるペテン師だと考えていますので、村人たちを連れて来る
かもしれません。ということで、しばらく彼女を捕虜としてとどめることなります。
以上が、第四章でした。ヒーローの説明がほとんどありませんが、今までの流れからすると、Bernardが
父親を裏切った者を見つけ仇を討つために、村に帰って来て、ドラゴンのふりをしているようですね。
Gwendolynは、Bernardと一緒に暮らすことになるわけですから、これからの展開が楽しみです♪
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話の流れとタイトルからして、「おとぎ話のような物語」を想像していましたが、全然違いました。
語数も少なめでしたが、十分に楽しめた作品でした。
ヒーローの父親を裏切ったのが誰か、お金はどこに消えたのかのサスペンスと同時に、
名前も顔も知らない男性に恋をしますが、理性的で、家族思いのヒロイン、一方ヒーローも孤独を感じており、
危険とは知りながら、暗闇の中ヒロインの所を訪れて… なかなか進まないロマンス(笑)
おとなな、あなたも楽しめますよ♪
◇ Someone to Watch over Me / Lisa Kleypas 語数:87,563 ISBN:0380802309
(80 customer reviews 想いあふれて)
Grant Morganは、その女性を見た瞬間、その美貌をしても、誰の花嫁にもならない女であることを悟ります。
3月のテムズ川で20分以上も冷たい水に浸かった者は助かりそうもありません。探偵稼業から死体を見るの
には慣れていましたが、溺死体は気持ちのいいものではありません。死体はうつ伏せでしたが、女性に間違い
ありません。Grantが肩をつかんで仰向けにしようとした時、彼女は咳き込みます。彼は、死体でなかった
ことだけでなく、彼女がVivien Rose Duvallであることで驚きます。
彼はBow Street Runnerの一人として、盗まれた金を銀行に取り戻してやるとか、拉致された女性相続人の
居所を見つけ出すとか、王侯の個人的警護をするなどして、多大な利益を稼ぎ出して来ており、社交界でも
もてはやされるまでになっていました。しかし彼は、社交界の裏側の汚さについてもよく知っていました。
彼はVivianを、事務所から少し離れていますが、貧民街の一角にある自宅に連れて帰ります。彼は父親が
借金で牢獄に入れられてから、惨めな暮らしから抜け出すためたくさんの努力をしてこの家を手に入れました。
家政婦Mrs. Buttonsの病院に連れて行けばとの忠告も無視して、部屋に入れ湿って体に巻きついた衣服を
ナイフで切って脱がせます。数え切れないほどの女性の裸を見ている彼でさえ、高級娼婦である彼女は眩しい
存在でした。
彼女が生き延びて、落胆する者がいるだろうなと彼は考えます。彼女の喉には、絞めた跡があったからです。
また彼は「俺を笑いものにしたことを後悔するだろう、こんなに早くチャンスが訪れるとは」とつぶやきます。
以上が、第一章でしたが、もう少し続けます。
悪夢にうなされて、彼女は目が覚めます。Grantが話しかけてみると、彼女は何が起きたか、自分が誰なのか
さえ覚えていないようです。一方、彼女が自分の家、さらにベッドにいるということが、信じられないくらい
うれしいことでした。約2か月前、二人はある舞踏会で初めて出会いましたが、ちやほやされるのに慣れて
いる彼女を彼が冷たくあしらい、それが頭に来た彼女は彼の評判を下げるような噂を流したという経緯があり、
それから苦々しい思いを抱いていました。
医者を呼んで診察してもらうと、記憶をなくしているものの怪我や問題となる傷もなく、十分休養すれば
そのうち記憶も戻るだろうと言われます。記憶をなくした彼女は、無防備な状態であり、彼女の本当の姿を
見ることができそうです。弱みに付込むようなことは紳士ならしませんが、彼はそうではありませんでした。
医者が首を絞めた跡があることから捜査を始めるだろうが、彼女に無理強いしないようにと言いますと、彼が
女子供の弱い者いじめはしたことないから安心するようにと返事すると、君の「評判」はよく知っているよと
答えます。それを聞いたVivianは、あなたの「評判」ってなにと尋ねます。彼は自分の仕事のやり方を説明
しながら理由を話します。それを聞いた彼女は、「私の評判は?」とささやいたとたん眠りにつきます。
以上が、第二章でした。やはりKleypas、読者のつかみはうまいですね。このさき二人のロマンスはどう
発展するのでしょうか。Bow Street Runnerシリーズですから、当然Sir Ross Cannonも登場するでしょう
からそれも楽しみです♪
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紹介の第一文は、原作の第一文です。こういう文を冒頭にもってくるところが、Kleypasの作品のよさで、
冒頭から読者を惹きつけるんですよね。
さて、Bow Streetのナンバーワンの捕り手と、記憶を失っているものの元高級娼婦という設定ですが、
思惑があって、自分の家に連れて帰って来たものの、以前の彼女とは別人のような女性に戸惑いを感じて…
当然そこにはそれなりの理由があって…(ネタばれせずに紹介するのは難しいですね)
Amazon.comのレビューでは結構きついことも言われていますが、私は楽しく読めました。
◇ The Gift / Julie Garwood 語数:110,815 ISBN:0671702505
(83 customer reviews) Lion's Lady シリーズ 3
1802年イングランド、結婚式の招待客たちが、殺し合いを始めるのは時間の問題でした。Oliver Lawrence
男爵は、王が決めた式ですから万全の予防装置をとっており、王の登場までホストとして立ち回っています。
Winchester家とSt. James一族たちは、王の命令に痛烈に抗議していますが、王は聞く耳を持ちません。
Winchester達は、傲慢無礼にも武器を携帯しており片時も離しません。一方St. Jamesたちは、武器を手に
せず歩調を合わせて歩み寄り、微笑みを浮かべています。人数は6対1ですが、卑劣な行為で名だたる彼ら
を相手では優位に立っているとは言い難かったのです。その時Sir Roland Hugoが王の到着を知らせます。
王の命令で、14歳にもなっていない花婿Nathanが登場します。彼の父Wakersfield伯爵は、重要な国の
仕事で国外に出かけており、実際のところこの結婚式のことを知りません。彼の激しい気性のことを知って
いる男爵は、もし知っていたらと思うときがきでなりません。
男爵は、花嫁Winchester伯爵の娘Saraを迎えに行きます。父親は少し娘に手こずっているようで、男爵が
上に二人も姉たちがいるのになぜと感じながらも、眠たそうな彼女をうまく説得して、ホールに連れて来ます。
Nathanは、茶番劇と考えて今まで結婚相手に興味がありませんでしたが、父親の脚に抱きついている彼女を
見て驚きます。男爵は、あわてて彼女を引き離してNathanに渡します。彼女は彼に抱きつきますが、彼は
どうしてよいかわかりません。そして長旅と先ほどの癇癪で疲れ果てた彼女は、彼の胸で眠ってしまいます。
彼は、法廷弁護士が結婚の条件を読み上げるまで、花嫁の年齢を知りませんでした。彼女は、4歳でした。
以上が、プロローグですが、当然続けます。
1816年ロンドン、St. James侯爵三世ことNathnial Clayton Hawthorn Baker、通称Nathanが行おうと
している行為は誘拐というより拉致と言えますが、皮肉にも法廷では正当な行為とみなされることでしょう。
彼はこれから花嫁を引き取りに行くのです。紳士の取るべき行為でないのは明らかですが、結婚の契約違反
まで残すところ6週間しかありませんでした。彼は14年前に会ったきり、花嫁を見てはいません。今まで
我が道を行き、友人Colin以外の意見を聞いたことがない彼が妻をそばに持つことは、試練にほかなりません。
彼は、悪名高い海賊Paganの役を演じてきましたが、敵も多く、賞金の額も莫大なものとなり、いつまでも
こんなことをしていては危ないとのColinの忠告もあり、Emerald Shipping Companyを立ち上げ貿易の
仕事を始めました。Colinの兄Cainewood伯爵は、Nathanの妹Jadeと1年前に結婚していましたので、
義理の兄弟になっています。その身分から、社交界でのお誘いも多いのですが、二人とも興味がありません。
結婚を決めた国王ジョージ3世は、現在摂政皇太子に政権を譲っていますので、契約を反古にすることは、
容易ですが、Nathanは名誉をかけて約束を守ろうと考えています。そして普段は外に出かけない公爵夫人の
パーティにSaraは来ているはずで、妹のRebeccaにSaraのそばに付き添わせていると、Colinは話します。
出かけた二人はSaraを目撃し、そのあまりの美しさ、あまりの女性らしさ、Winchester一族らしからぬ
細っそりした体形に、Nathanは息を呑みます。また、周りの男性たちが獲物を狙うサメのように群がって
いました。NathanはColinに向かって、さあ行こう、十分見たからと言います。
以上が、第一章でした。ヒロインの説明が無いので次に進みます。
Saraの叔母Noraは危機に瀕していました。彼女は、St. James侯爵に助けを求める手紙を2通出して
いましたが、返事をもらっていません。そのためNoraを救えるのは、彼女だけでした。彼女から連絡が
とれないことで、Saraの母親は心労で具合を悪くしています。Noraは、地位の低い男性と結婚したため、
Winchester一族の男性たちから疎まれていました。
召使のNicholasが、Henry叔父の家に叔母が閉じ込められており、近いうちに精神病院に送られ、財産が
一族で分配されることを突き止めました。家族が寝静まった深夜、彼女は窓から立木を伝って、抜け出そうと
します。ちょうど誘拐に来て、木に登ろうとしていたNathanは、自分の目が信じられません。突如、窓が
開いたと思ったとたん、女性の所持品が窓から降って来て、パラソルは彼の肩に当たります。そしてSaraが
枝をつたわって降りてきますが、とても危なっかしくて見ていられません。
以上が、第二章の途中、29頁までです。ヒロインがただならぬ設定であるところは、Lion's Lady シリーズ
らしいですね(笑)。前作でも活躍したNathanとのロマンスは、どう展開するのでしょうか、楽しみです♪
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紹介文に書いたように、危なっかしいことを平気で行うヒロインが巻き起こす騒動がこの作品の面白さに
なっています。あまり書くとネタばれになりますが、追っ手から逃れるために、ヒーローがヒロインを自分の
船に乗せて逃げますが、その船の中での騒動は、ロマンス本らしからぬものです。このシリーズの設定に
大丈夫の方なら、十分楽しめると思いますし、それがGarwoodの作品のよさとも感じます。
◇ When He Was Wicked / Julia Quinn 語数:90,007 ISBN:0060531231
(131 customer reviews)
1820年ロンドン、人生には転機があり、その瞬間胸を撃たれて息が止まりそうになることもあります。
Michael Stirlingにとって、Francesca Bridgertonを見た時がそうでした。沢山の女性たちと交遊を持った
彼の心をとらえたひとはいませんでしたが、彼女だけは違っていました。
会ってから36時間後には彼女の姓は、彼のいとこのものに変わります。放蕩者Michaelでも付き合う女性を
選ぶ際、一定のルールを持っていましたが、いとこJohnの妻が欲しく我慢できません。Michaelの父の死後、
Johnの家族、Kilmartin伯爵家が彼を引き取って育ててくれたため、彼は弟のような存在でもありました。
2回目の結婚記念日は何をしようかと尋ねるFrancescaに、Johnはつれない答えをしますので、Michaelに
問いかけます。なぜ自分にと聞く彼に、彼女はいつも陽気だからと答えます。世間は自分をそう見ているのか
とやるせなさを感じます。その後の会話から、Michaelは戦争に行き、後継ぎだからと行けなかったJohnが
引け目を感じており、爵位も財産も無い彼に領地を分け与えていることがわかります。
唐突に、スコットランドの領地に行くことをMichaelは提案します。一緒に来てと言う彼女に、やることが
あるとつまらない理由を挙げる彼に、姉Eroiseを紹介しようとします。いとこの妻に恋い焦がれている上に
その姉との結婚など考えられません。もうやめておきなさいと口を出したJohnに感謝します。
彼女は散歩しましょうと提案しますが、Johnは用があるから二人で行きなさいと言います。Michaelは、
心穏やかではありませんが、彼女の提案と微笑みには逆らえません。彼女がコートを取りに行った後、
Johnが具合悪そうなことにMichaelは気づきます。頭痛で少し休むという彼に、大丈夫?という彼女を
見るMichaelは目のやり場にこまります。でも彼は幸せでした、愛する女性と散策できるのですから。
以上が、第一章でしたが、続けます。
Francescaは、たくさんの欠点にも関わらずMichaelを大切な人、夫のよき親友だけでなく自分の親友とも
感じています。男性を親友と感じるのは変ですが、4人の兄弟を持つ彼女にとっては、不思議ではありません。
家族の中で自分だけ少し変わっていると感じていた彼女は、Johnに出会うことでそんな違和感から救われた
気がしていました。何を言われたか覚えていませんが、彼が言葉をかけた瞬間から、居心地良く感じました。
Michaelは、Johnと兄弟同然でしたが、後継ぎのJohnとは扱われ方が違います。それを妬ましく思って
いない彼が、不思議でなりませんでした。それが彼を好きになった理由でもあったのです。散策途中、彼女は
だれか待っている女性がいるのではと彼に尋ねます。その返事は、歯を見せてニコッと笑うだけでした。
彼女は、社交界の女性の半数が、彼に恋している理由がわかります。
家に帰ってみると、Johnの従者が待っています。彼によると、頼まれた時間に起こそうとノックしても
返事がないと言うのです。最近働きすぎていたから寝かしておいてあげたけど、重要な会合があるからと
彼女が起こしに行きます。Johnの馬車に乗せてもらおうと待っていたMichaelは、彼女の悲鳴を聞きます。
彼は、ベッドのわきでJohnの腕をつかんで、彼を起こしてと頼む彼女を見つけます。彼は死んでいたのです。
爵位を持つ人たちの権利を擁護する機関から「彼女は妊娠しているのでは?」とMichaelは、尋ねられます。
Johnが亡くなったことで彼が爵位を相続する立場にあり、彼らは、彼女が女子を産んだ際に男子との取り
換えを防ぐことを考えていたのです。
Johnが亡くなったばかりだと言うのに、こんな話題が出てきて、彼はいらだちます。彼は、伯爵の地位が
欲しかったわけありません、ただ彼女が欲しかっただけなのに、こんなことになって…
彼にはとても尋ねる気にはなりませんでしたが、彼女は自分から妊娠していることを告げます。
以上が、第二章でした。今まで読んだ5作でも、あまり印象の残っていないFrancescaとMichaelの
ロマンスは、このあとどう発展していくのでしょうか、楽しみです♪
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少しネタバレになりますが、その後Francescaは流産し、その心の痛手もあって、ひっそりと喪に服します。
Michaelは伯爵になりますが、傷心した彼女のそばにいることができず、インドに行ってしまいます。
そして4年後、彼女は、子供が欲しいと再婚を考え始めます。彼は、いつまでも義務から逃れているわけには
いかないと英国に帰って来て、二人はロンドンの伯爵家で再開します。ここからがロマンスの始まりですから、
ここまでを紹介文にすればよかったのでしょうね。
いろいろわだかまりがあって、自分の心に正直になれない二人ですが、世間は放っておいてはくれません。
未亡人とは言え、美人の26歳で、伯爵家とBridgerton家それぞれから持参金が用意されると噂が立ち、
Michaelも爵位を得たことで、二人は結婚市場では一躍大人気になります。多くの求婚者たちを見るたびに、
二人の心は穏やかではありません…と物語は展開していきます。
この作品は今まで紹介したQuinnの11作品と違って、作品全体が暗いです。これは非難しているわけでなく
紹介文にあるように、幸せな二人を見ていなければならないMichaelの苦しい想いにはじまり、二人が再開
しても亡きJohnへの罪悪感でなかなか進展しないロマンスと、雨のシーンが多いことによります。
◇ Lord Perfect / Loretta Chase 語数:87,877 ISBN:0425208885
(36 customer reviews)
1821年9月ロンドン ピカデリー街のEgyptian Hallは素晴らしい建物であったが、展示物に彼の興味を
そそるものはなかった。彼、Rathbourne子爵 Benedict Carsingtonは、貴族の見本のような男です。そばを
通りかかった女性が、彼を見て息をのんだのも無理はありませんでした。
ここにはオープニングセレモニー以来3度目で、今回は13歳になる甥Lisle伯爵 Peregrine Dalmayの
付き添いでした。少年は、退屈しのぎに、本でも持ってくればよかったと後悔している彼と異なり、展示物の
スケッチに2時間も夢中です。反対側を向くと、彫刻を見ている女性に気付き、息をのみます。
女の子がPeregrineのそばに来て話しかけます。どうしてピラミッドなどつまらないものを描いているのから
始まり、絵が上手でないとつづき、話しているうちにだんだん口論となり、最後は女の子はスケッチブックを
彼から取り上げ、彼の頭を叩きます。Bathsheba Wingateが、娘に十分注意を払っておればこんな事態に
ならなかったでしょう。彼女は、気になる貴族から視線をずらそうと一生懸命でした。
Bathshebaは、娘Oliviaに駆け寄り叱りつけます。Benedictは、甥に紳士たるべき行動を諭し、二人は
初めて出会います。遠くからでも目を見張るような美人でしたが、近くで見る彼女は…。
娘を連れて立ち去った彼女の後を追おうとしましたが、入れ替わりにLady Ordwayが入って来ます。
彼女とは、8年前にPeregrineの父Athertonの妹で、今は亡きAdaの代わりに結婚していたかも知れない
間柄でした。彼女は、Bathshebaがここいることにたいそう驚いたようです。
Ordway の話によると、Bathshebaは悪名高いDeLucy一族の出身で、Wingate家の伯爵の二男Jackと
結婚したものも、そのせいでJackは勘当されてしまったとのこと。それはBenedictが、ジプシー女と結婚
したいと言ったら、彼の父親がとるだろう想像される行動と同じようです。
彼は、彼女に会うまではそんな品のない態度をとる自分ではないと信じていましたが、いまでは学生のように
のぼせあがっている自分に驚きます。
以上が、第一章でした。もう少し続けます。
外に出た後のBathshebaとOliviaの会話から、Oliviaはスラングを話し、ゴシップに詳しいことがわかり
ます。彼女は、質屋や金貸しと交友があり、それは父親の影響もありました。こんな環境の中では、娘は
ちゃんとしたレディになれないと、一刻も早くこの生活から逃れたいのですが、お金がありません。彼女に
できることと言ったら、絵画を教えることですが、それもままなりません。
Benedictは、高度の基準と強い義務感での行動、たち振る舞いは、皆からLoad Perfectと呼ばれるほど、
失敗をおかしたことがありません。Bathshebaの亡き夫とは違う人種と言ってもいいほどです。彼のこと
知れば知るほど自分には縁のない男性のように、Bathshebaは感じます。
Lady OrdwayのBathsheba Wingateが町に現れたとの噂は、あっという間に広がります。Benedictは、
Peregrine、弟Rupert夫妻と一緒に両親の家を訪ねます。食後、Peregrineの描いた絵の話題から、彼に絵の
先生をつけてやるべきとの話になり、昼間出会った母娘が話題になります。ここでも、Jack Wingateが魔法
でもかけられたように美しいBathsheba DeLucyに魅了され破滅させられた話が語られます。
Edmund DeLucyは将来を嘱望された海軍将校でしたが、婚約していた女性を捨て、海賊の道を進みました。
彼の子孫たちは、詐欺師、賭博師、ペテン師となり、重婚、離婚など気にもかけないと悪名高く、最近は主に
債権者たちから逃れるため、海外で生活しているようです。大事なPeregrineをそのような女性達に近づける
わけにはいかないのですが、彼は絵の先生が必要で、Bathshebaは絵の先生であることを告げます。
次の日の午後Benedictは、印刷所の窓のカードに気付きます。それはBathshebaの絵を教えるという広告文
でした。彼女は大陸で教育を受け、指導の経験があり、参考作品が店内に展示してあるとあります。店内を
眺めて、彼女の作品を探すと、それは見事なものでした。突然ドアが開き、Bathshebaが出てきて躓きます。
倒れかかる彼女を、Benedictは両腕でしっかりと受け止めます。
以上が、第二章途中までです。完璧を絵に描いたようなヒーローが、悪名高き美女に出会い、恋に落ちると
どうなるのでしょう。この先の展開がとっても楽しみです♪
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Carsington brothersシリーズの第三作で、以前紹介した2作より面白かったです。
初対面から強烈に惹かれあいますが、お互いにふさわしくない相手だと思い、それ以上関わり合うつもりは
なかったはずでしたが、PeregrineとOliviaが、Edmundの隠した宝物探しに家出をしていまい、二人は
子供たちの後を追いかける形で一緒に旅をします。この旅を通して二人のロマンスは盛り上がるわけですが、
家族にも社交界にも認められない関係であることが切なくて、最後まで読者はドキドキさせられますよ。
叔父のような紳士になろうとするPeregrineと、悪名高いDeLucy一族のひとりらしく、天使のような顔を
して平気で嘘をつくOliviaの物語がこの作品に深みを与えています。
少しネタバレになりますが、Hargate伯爵が最後に息子を取り戻しに登場しますが、さてどうなるでしょう。
おまけ:Bathshebaは、旧約聖書でバト・シェバ、ダビデ王の愛妾で、ソロモン王の母親が語源のようです。
◇ This Heart of Mine / Susan Elizabeth Phillips 語数:122,633 ISBN:0380808080
(131 customer reviews 湖に映る影)
その日Kevin Tuckerは、シカゴ・スターズ本社の駐車場で乱暴な運転で、Molly Somervilleを殺しそうに
なり、彼女は報われない恋などやめてしまおうと心に誓います。スター選手の彼にとって、Mollyはとるに
たらない存在でした。27歳の彼女は、スターズのファンではありましたが、それは家族のしがらみの上の
ことで、激しいスポーツを見るより、小説を読んだり、博物館で時間をつぶす方が性に合っています。
彼女は、姉Phoebe夫妻の11歳になる双子の姪に出会います。彼女らよると、試合前にスカイダイビングを
したことでKevinは、父親から罰金一万ドルを言われたとのこと。最近の彼は、パラグライダーとか、高級
スポーツカーを買ったりしており、Danもついに我慢の限界を超えたようで、口論となったようです。
姉夫婦には、8歳になるHannahと、5歳になるAndrewがいます。彼らは交替で、Mollyのアパートに
宿泊する習慣があり、今日はHannahの番でした。出かける前に姉と話しますが、その中でKevinのことが
話題になり、どうして彼のことを嫌うの、あんまり話したこともないのに?彼のことをよく知れば好きになる
はずよと言われます。姉夫婦のラブストーリーはよく知っていますが、自分に縁がないことと考えています。
彼女は21歳で、1,500万ドルの遺産とジャーナリズムの学位を手に入れ、贅沢な暮しを始めましたが、すぐ
そんな生活は自分に合わないと知ります。甥姪たちのために創作した物語に挿絵を描き、本を出版するまでに
なりましたが、周囲からは金持ちの道楽にしか見られません。
彼女は、全財産を恵まれない子供たちに寄付することにします。その結果、肩の荷が降りた満足感を感じます。
姉夫婦のような大恋愛に縁はないかもしれませんが、素晴らしい想像力に恵まれ、活動的な日々を満喫する
はずでしたが…。
翌日Hannahを送り届けてから、ウィスコンシン州にある別荘に向かいます。それは、以前満たされない
思いを感じると、周囲の関心を自分に引き付けるために火災報知機を鳴らしてヒンシュクをかった騒動を
再び起こさないためでした。その頃Kevinは、その別荘にいました。試合のないしばらくの間、頭を冷やす
ようDanから命令されていたのです。
以上が、第一章でした。
外の物音から泥棒が侵入しようとしていると思ったKevinの前に、暗闇の中ドアが開き誰か入ってきます。
取り押さえようとした彼は、相手が犬を連れたオーナーの妹と知って大変驚きますが、彼女のことは、名前
さえも思えだせません。深夜なので追い出すわけにもいかず、二人は一つ屋根の下で寝ることになります。
Mollyは寝室に入りますが、薄い壁の向こう側にKevinがいると思うと落ち着きません。一夜明けて、彼の
車がないことに気づきほっとしたのもつかの間、買い物をしてきた彼が帰ってきます。彼は、上司の命令には
逆らいたくない、大きな家だからシェアするのも問題ないと、居座る決意を話します。
その後、二人はちょっとした口論から、自分たちのことを話し始めます。Kevinは、4代続くメソジスト派の
牧師の一家の生まれで、Mollyの母親はラスベガスの踊り子で、姉Phoebeとは母親が違い、5歳の時に宿舎
学校にいれられたため、みなし子のように感じて育ってきました。そしてハイキングすることになり、二人は
楽しい時をすごしました。
Mollyがうまく寝付けない深夜、Kevinは外出から帰ってきます。彼が外でどんな女性と遊んで来たのかと
思うと、心穏やかではありません。バスルールには扉が二つあり、ひとつはKevinの寝室につながっており、
その扉は少し開いています。彼女はちょっと覗くだけだからと、ドアをゆっくり開けます。
以上が、第二章でした。
Mollyは、寝ている彼の姿を見て我を忘れ、ナイトガウンを脱ぎ棄てて裸になりKevinのベッドにもぐり
込みます。Kevinは夢うつつの中でガールフレンドが来たと勘違いし、彼女と関係を持ってしまいます。
以上が、第三章途中まででした。いきなりヒロインの驚くべき行動で始まりましたが、MollyとKevinの
ロマンスはどう発展していくのでしょうか。今までの流れで行くと、姉夫婦がかなりかかわってきそうですね。
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ヒロインの全財産を寄付してしまうは、火災報知機を鳴らしたい衝動に駆られるは、ヒーローをレイプして
しまうなどとんでもないヒロインが巻き起こす物語ですが、読み終わってみると不思議な魅力のある本と
感じています。
なぜそう感じたのかうまく説明できないのですが、ヒロインの行動にもそれなりの背景があり、「Shallow」
と思われているヒーローが、実は誠実で繊細な心の持ち主で、ヒロインを見守るところや、彼の生みの親との
わだかまりとその母親のロマンス、そして姉夫婦ら今までの作品の登場人物が物語を豊かなものにしている
ことによるのかもしれません。まあS. E. Phillipsの技量がすごいということなのでしょうね。
読み終わってこれを書く前にブックカバーを外して、表紙がとってもキュートなのでちょっとびっくり。
読む前に見ているはずですが、読後の余韻に浸っている間に見たことでよりそう感じたのかもしれません。
ウエディングドレスの下から見えるスニーカーがとってもかわいいです。Amazon.jpや.comでは、表紙が
変更されているようです。興味ある方はS. E. Phillipsのサイトで見てください。
◇ Contact / Susan Grant 語数:110,000 ISBN:0505524996
(21 customer reviews)
前兆も無く雷雨が、ホノルルからサン・フランシスコに向かう途中のユナイテッド航空58便の前に現れます。
夕食中の機長のBrian Wendtはよくあることさと、副操縦士のJordan Cadyが、航空管制へ進路の変更を
連絡してから進路を変えます。
Jordanは32歳になるシングルマザーで、6歳になる娘がおり、不在の時は両親に預けてこの仕事を続けて
います。帰国後2週間の休暇を取って、親が所有するコロラドの牧場に行く予定と機長に話します。
気流の乱れを感じレーダーを見ると、進路を変えたにも関わらず雷雲は進路上に位置しています。再度回避
行動をとりますが、奇妙なことに雷雲も進路を変えているかのように目前に来ています。
彼女が、目を凝らして見ると楕円形をしており、雲らしくありません。まさか航空機と非常無線で呼びかけ
ますが応答がありません。機長が何度もトライしてもむなしく、その雲は飛行機を飲み込んでしまいます。
以上が、第一章でした。
対地接近警報装置が、機首を上げるよう警告を発すると、すぐさま機長がエンジンを吹かします。Jordanが
レーダー高度計を見ると、地上数フィートで下降中を示しています。さっきまで3万3千フィート上空に
いたはずですが、気圧高度計は10万フィートを示して、さらに上昇中でした。
何が起きているのかわからないまま、コンピューターは着陸を告げており、エンジンが停止します。このまま
だと普通太平洋に墜落してしまうはずですが、あたかも空港ゲートに駐機しているような静けさに包まれて
います。周囲を見渡すと、機体は「壁」のようなもので囲まれているようです。
突如機長が息の詰まるような声をあげて倒れます。脈をみるとありません。チーフパーサーのBenたちも
来てくれて彼女とAEDで機長を助けようとしますが、効果ありません。乗務員のAnnが2階の乗客たちを
下に連れて行き、代わりに二人の医者を探して連れて帰ってきます。
機長を医者に任せて、一人になったJordanは娘Robertaの写真を取り出し、必ず帰るからとささやきます。
機長の様子を伺いに帰った彼女に、Benは「機長、これからどうします」と尋ねて、機長が亡くなり指揮権が
彼女に移ったことを告げます。彼女は皆を集めて、これからのことを話し合い行動に移します。
Jordanは下に降りて行き、乗客たちに今までわかったことを説明し、ハイジャックかもしれないと告げます。
うろたえる乗客たちに、羊のようにおとなしく待っていないで、必要があれば戦うつもりであること話し、
協力を頼み、乗務員たちに出口を守ることを指示します。手助けを申し出た宗教家たちに、乗客たちを任せて
コックピットに行く彼女は、体中汗でジットリしていることに気付きます。空調が効いていないからでした。
以上が、第二章でしたが、ヒーローがまだ現れませんね。
Kào Vantaar-Morayは、中型の恒星間宇宙船Saviorの艦橋にいます。窓の外は、光より早く飛んでいるため
星たちは糸のような線になって見えています。船は目的の物を貨物室に安全に収納したので、地球から加速
しながら遠ざかっているのです。「地球」とは、その天体の名前で船の言語学者がそこに住む人々の言葉から
知ったものです。今や、地球は破壊され、そこに住む人々は、その歴史と文化とともに消滅したのでした。
彼が物思いに耽っている時、Ilya Moray提督がやってきます。3歳になったばかりの頃、故郷が消滅する
直前に彼に救出され、その後養子として後継者になるべく育てられたと聞いています。提督に本部から通信が
入り、スクリーン上に情報部の大佐が登場し、今回の辺境の地の救出の成功を称えます。提督は、たまたま
情報が入ったとき近くにいただけで、本船は救助用の船ではないのだと謙遜します。
宇宙同盟軍のパトロール船Saviorは、同盟の境界線を守るため武装までして、危険な任務についています。
当然近くに同胞の船などいませんでした。彼は、父と大佐との会話を眺めながら、本来父は本部にいるべき
人物で、自分の敵の捕虜になったという失敗さえ無ければこんな辺境での任務についていないことを考えます。
ここでの任務は、最近締結された和平合意に基づく「非交戦」条項を犯しに来るTalagarの船を捜すことです。
Talagarは、古い歴史を持つ孤立主義者で、奴隷制度をいまだに続けている民族です。彼らが領地拡大に走り
交易船の略奪を始め、同盟のNo.2リーダーの家族を拉致して奴隷として売ったことから戦争の火蓋が切られ
ました。大きな犠牲を払った10標準年の戦いののち、厭々ながら和平にこぎつけましたが、悔い改めている
わけではない彼らのために、こんな辺境のパトロール活動をしているのです。
通信が終わると、運が向いてきたようだ、救助活動で、お前の不名誉な経歴も払拭されるだろうと言いますが、
彼は父の言葉を疑っています。さらに、結婚のことも考えねばならない、次回のSofuでの選挙で友人たちが
有力地位に就くだろうから、その娘たちから相手を選びなさいと言いますが、彼はその気になれません。
未確認のTalagar船が近くをうろつき、予定外の救出者たちを乗船させていては、その気になれないだろう、
落ち着いたらこのことを話そうと言う、一人息子の将来を案ずる父親の気持ちも理解できますが、無気力です。
立ち去ろうとする彼に、地球人たちの対応をすること命令されます。
優秀な言語学者で暗号解読にたけたTrist Pren少尉をこの任務に既に任命してあると聞いて、彼女が先祖に
Talagarを持つ一人で、アルビノという遺伝的特徴があることを知ります。もしこの任務を全うすれば、父の
名誉を汚した償いが少しでもできるのではと、彼は考えます。
Barb Jensenはランチの準備をした後、孫娘のRobertaを呼びに行くと、孫はTVはお母さんの飛行機の
ことを言っているのと尋ねます。ニュースキャスターは、ユナイテッド航空58便行方不明を報じており、
その時電話が鳴り、会社からも知らせが入ります。泣きながら孫娘を抱き、しっかりしようねという彼女に
孫は、お母さんは海でなく、お空にいるんだよと言います。
飛行機の中では、ハイジャッカーたちの襲撃に備えており、Jordanが死を覚悟しようとしている時、音楽が
聞こえてきて、壁が光りのシートのように変化します。そしていろんな言語が聞こえてきます。どうして
機体の塗装を見てどこの国の飛行機かすぐにわかるはずなのにといぶかる間もなく、音が止み、男性と女性、
後に4人の男性が目の前に現れます。4人のベルトには武器らしいものがついています。
女性が両手を挙げ挨拶らしき動作をします。そしてコンパクトなコンピューターのような機器を取り出し、
口に当てます。それはスピーカーシステムのようで、こちらで喋ったことをそっくりそのまま返してきます。
以上が、第三章まででした。SFですから、舞台設定を把握するのにとても長い紹介になりました。
スタートレックファンの私には、おなじみの異星人間のロマンスなので、この先の展開が楽しみです♪
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幼いころに両親と母星を亡くしたことから来る心の空洞を持つヒーローが、同じく母星を亡くした地球人達に
親近感を覚え始め、作戦の失敗で敵に捕らえられ拷問されたこと、一人生き延びたこと、その結果尊敬する
父親の経歴を汚したことによる罪の意識で無気力だった彼が、機長の死でリーダーとしての重い責務を負った
ヒロインの勇気と優しさに惹かれていくところは良かったです。
また「謎」が多くて(ネタバレになるのであまり書けませんが)、ひとつの謎は早く解けるのですが、誰が何の
ためにという謎に変わるなどして、最後までサスペンスとしての面白さが続きます。これには感心しました。
以前、Raquelさんの投稿「パラノーマルロマンスのすすめ〜パラノーマルからファンタジー&SFへ」で、
〉〉地球は彗星群によって破壊され、58便の乗客が地球人の生き残りだと聞かされる。
〉これちょっと、設定がおかしくないですか?
〉「彗星群によって破壊されたことを」聞かされるまで、彗星群が迫っていることを地球人が
〉知らなかったなんて!とんでも設定は、かなりOKな私でも、ちょっとね。
とレスを付けましたが、ヒロインたちも異星人に私と同じ質問をしていましたね。
で、その答えは… これ以上は書けません(苦笑) 興味ある方は、読んでみてくださいね。
私は、この疑問を解くためにこの本を読んだんですよ(笑)
◇ Slightly Sinful / Mary Balogh 語数:102,000 ISBN:0440236606
(33 customer reviews)
Bewcastle公爵の三番目の弟、Alleyne Bedwynは、25年間の人生のほとんどを英国で暮らしているため、
ナポレオン台頭後の他国の惨状から隔離された状態で、また戦闘の経験もありませんでした。ただ興味はあり
退役軍人の兄Aidanから戦争の話を聞き出しますが、彼の思い描くものと現実は大きく異なっていました。
何か役に立ちたいと考えた彼は、外交官としてハーグの大使館勤務になりますが、Sir Charles Stuartらと
ブリュッセルに来ています。エルバ島から脱走したナポレオンの脅威に立ち向かうため、Wellington指揮の英国軍と
手を組む国々の代表がそこに集まっているからです。そしてWaterlooでの戦闘が始まろうとしています。
Alleyneは、Sir Charlesの手紙をWellingtonに届け、返事を受け取って来る仕事を志願します。初めて経験する
戦場の中、恐怖を覚えながら帰路を行く彼は、左太もも上部に銃弾を受けます。馬から降りて手当てをしようともせずに
帰路を急ぎます。ブリュッセルには、18歳になる妹Morganが彼の帰りを待っており、傷の手当てを終えたらすぐに
彼女と一緒に帰国しようと考えていました。しかし痛みはひどく、森の中で落馬して、意識を失ってしまいます。
ブリュッセルの町中の一見立派な家は、4人の英国人女性が2ヶ月間借りているのですが、実は売春宿でした。
Bridget Clover、Flossie Streat、Geraldine NessとPhyllis Leaveyたちは、ロンドンからひと儲けできそうだと見て
ここにいるのです。彼女らの夢は、お金を貯めて、英国で社会的地位のある女性たちの宿泊施設を経営することです。
ところが一生懸命貯めたお金を、戦闘が始まった日にNigel Crawlyと名乗る牧師に持ち逃げされたのです。どこか
遠くに逃げてしまった彼を追うにも、当座のお金がありません。Flossieが、戦闘で亡くなった人の持ち物を盗もうと提案
します。愛する人を探す哀れな女性のふりをすれば怪しまれないし、誰も傷つけるわけではないと皆を説得します。
最近加わったRachel Yorkが、全て自分のせいで自分が彼を皆に紹介しなければと言いだします。皆は、それは違う
甘い言葉に騙され、安全のために財産を英国銀行に保管することを彼に託したのは皆が同意したことだと慰めます。
30代のBridgetは、かつてRachelの妻を亡くした父親に、子守りとして雇われていたことがあり、二人は母娘のような
間柄でした。ところが父親がカード賭博で財産を失い、Bridgetは職を失いました。約一か月前に再会し、一緒に住む
ことになっていたのでした。Rachelによれば、ここ一年間は、おとなしい女性のコンパニオンをしていたそうです。
そして翌日からRachel達は、死体を捜しに出かけることになります。
以上が、第一章でした。
ブリュッセルから南に行くのは自分たちだけだろうと想像していたRachel達は、他にも多くの人が戦場から傷ついて
帰ってくる兵士たちと反対方向に向かうことに驚きます。他の女性たちは、不安を抱える妻を上手に演じていますが、
昨日は虚勢を張ったRachelは、周りのありさまを見て怖気づき、森の中を探すように彼女たちに言われます。
森の中にひとり入った彼女は、死人からハンカチひとつ盗むこともできそうにありませんが、幹にもたれた男の死体に
出くわします。彼は、既に誰かに見つけられたようで、衣類などを持ち去られて裸でした。彼は誰かの息子で、誰かの
兄弟で、ひょっとしたら誰かの夫で、父親かもしれないと思うと、かわいそうになり、ひざまずいて手を顔に当てます。
ほんのりぬくもりを感じ脈を診ると、彼がまだ生きていることがわかります。思わず誰か夫を助けてと叫び、片目を負傷
したWilliam Strickland軍曹が通りかかり、彼を町まで運び医者に見せることができました。医者が言うには、高熱
さえ出なければ助かる可能性があるとのこと。軍曹は、二人の二等兵にRachelの住まいまで彼を運ばせます。
皆に事情を話すRachelから、軍曹はふたりが夫婦でないことを知ります。行く当てもなく、具合も悪そうな軍曹に
Phyllisは、ここに留まるよう進めます。見知らぬ男の介護をするRachelは、久々に喜びを感じます。その晩、5人の
女性たちは、その日の出来事を話し合います。そして、意識を回復しない男の素性をあれこれ想像します。
Rachelは、今までの境遇を回顧します。ギャンブル好きの父親のために不安定な子供時代を過ごし、父亡きあとある
夫人のコンパニオンを務め、尊敬し、信頼できる男の花嫁になれると思った矢先に男に裏切られ、売春宿で名も知らぬ
男の見つめる自分に、これから先何が起きるのかしらと疑問に思う彼女は、疲れて椅子で眠りにつきます。
以上が、第二章でした。もう少し進めます(苦笑)
Alleyneが意識を取り戻すと、4人の女性が見えます。ぼんやりと見える彼女らの姿形から、自分は死んで、
天国に来たものと思います。そしてその天国は、売春宿のように感じ、また意識をなくします。
次に意識を取り戻した時、そばにRachelがおり、黄金の天使がいる天国の夢をみているんだと独り言を口に
します。それに気付いたRachelが、ここに連れてこられたいきさつを説明し、誰か彼の安否を気遣っている
人はいないのかと尋ねます。彼は、自分が誰かわからないと答え、再度気を失ってしまいます。
次に目覚めた時、Rachelの他にもう一人います。Geraldineは化粧をしていませんでしたが、生々しい官能性が感じ
取られ、彼女の職業が何か容易にわかります。ここは売春宿かとの問いに、婉曲にYESと答えがきます。Rachelに
君もここで働いているのかと尋ねると、ここに住んでいるのと返されます。君は他の女性たちと違うように見えるのだが
と言うと、それが私のウリなの、いろいろな好みの方のために、私のようなタイプがお店には必要なのよと答えます。
以上が、第三章でした。彼に売春婦と信じ込ませたRachelと、記憶喪失のAlleyneのロマンスは、どう展開して
いくのでしょうか、とっても楽しみです♪
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毎回同じ感想で、申し訳ありませんが、やはりMary Baloghの作品ですね、とても良かったです。
多くの読者は、Alleyneの記憶がいつ戻るのだろうか、彼が戦場で亡くなったはずのAlleyne Bedwynと気づく
人が現れるのかとヤキモキしながら読むのでしょう。私もその一人でした。ネタバレになりますので、多くは
書けませんが、おおっ そう来るのかと、なかなか進まないロマンスも結構展開は楽しめました。
さらに、ヒーロー、ヒロインを取り囲む人々、4人の娼婦と片目の軍曹がとても温かく魅力的でした。さらに
(紹介文にはありませんが)ヒロインが冷たい人と思っていた叔父さんと再会して、心を通わせていくところは、
ほんとうに良かったですよ。
特筆すべきは、死んだと思っていたAlleyneに再会した、FrayjaとWulfricの行動ですね。
ふたりの性格が、行動に表れています。
◇ Slightly Dangerous / Mary Balogh 語数:112,890 ISBN:044024112X
(97 customer reviews)
Christineは、母親から頬が赤いのね、熱でもないといいけどと言われます。彼女は牧師館で、甥や姪たちと
遊んでいたのでした。姉のEleanorは、帽子をかぶっていなかったから日焼けしただけと言います。
外でRenade男爵の馬車の音がします。Christineの友人、Melanie、Lady Renadeが訪ねて来たのでした。
招待を断るから彼女直談判に来たのよとEleanorが言います。彼女は家に入るなり、どうして招待を断るの?
BasilとHermioneが一緒だから?Oscarが死んだ時、喧嘩したけどそれはずいぶん昔の話よね?と問います。
Christineの7年間一緒に過ごした亡き夫Oscarは、Basil、Elrick子爵の兄弟で、Melanieのいとこでした。
村の学校教師の家庭に育った彼女は、MelanieとBertieの結婚パーティでOscarに出会い、結婚しました。
今回のパーティは、Melanieの妹AudreyとSir Lewis Wisemanの婚約披露で、兄弟のHectorとJustinも
当然参加します。彼女は、一族のひとりとして招待されたのですが、なぜ急に?
Melanieによると、本好きで非社交的なHector、Mowbury子爵が、彼らしくもなく友人を招待したと急に
知らせてきたので、男女の数が合わなくなったそうです。彼女を選んだのは、34歳で独身生活にどっぷりの
Eleanorは、半島戦争で愛していた人を亡くしてから、求婚してくる男性に見向きもしないからです。
結婚により9年前に社交界に入りましたが、いろいろあってうんざりしていました。ただ困った人がいると、
特に友人では、ノーと言えない性格の彼女は、気が進みませんが、Christineは参加することにします。
ところが、Melanieを見ると問題がすべて解決したわけではなさそうです。突如出席することになったのは
Bewcastle公爵で、どうもてなしてよいか悩んでいたのでした。
Christineは、彼に会ったことはありませんが、公爵は強大な権力と、傲慢さを持ち、氷のように冷たい男と
言われているのを知っていますので、彼女の狼狽ぶりも理解できます。でもMelanieは気を取り直して、
うまくいけば来シーズンのロンドンでは、このパーティが話題になるだろうし、羨ましがれるだろうなどと
言い出します。一方Christineは、明日から2週間Melanieの家に住まうことになり楽しいはずでしたが、
公爵が出席するのと、社交界の人々が自分をどう思うかなどと気にする自分をいやなことで、気が重いですが、
29歳のChristineが、若い人に交じって騒ぐ必要もなく、傍観者としてことの進みを見ていようと考えます。
Wulfric Bedwyn、Bewcastle公爵は、ロンドンの邸宅の書斎ですることもなく座っています。シーズンも
終わり、友人たちはロンドンを離れていますし、弟妹たちも次々結婚して家庭を築いて帰っていたのでした。
一家の長としての責任を無事果たして満足すべきでしょうが、何となくもの寂しく感じています。そのためか
自分らしくもなく、Mowbury子爵からのハウスパーティの招待を衝動的に受諾してしまいました。
彼は、この2月に亡くなった10年来の愛人Roseを恋しく思い出します。最初はただの寒気だと思った病は
結果的に肺の炎症となり、彼に看取られて亡くなりました。彼女との関係はとても良好で、彼女の死は、彼に
大きな空虚感を与えます。35歳の彼は、他の誰かが代わりになるのだろうかと感じます。
17歳で公爵になり、結婚して世継ぎを儲ける以外の責務を果たしています。数年前の婚約発表の夜、花嫁は
気の乗らない親が決めた結婚を避けるために彼と婚約したことを知りショックを受けていました。それ以来、
結婚に懐疑的になり、愛人との生活にまんぞくしていましたが、それもRoseの死で終わりを告げました。
どうしてSchofield Parkに行くことを同意したのだろう、ただ一人でLindsey Hallに帰りたくなかっただけ
なのかと、何もない空間を見つめながら自問します。
以上が、第一章でした。今までのシリーズ5冊から少しはWulfricのことがわかっているはずですが(苦笑)、
Christineとどんな恋に落ちるのでしょう、とっても楽しみです♪
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「あの」Wulfricがヒーローということで、物語がどう展開するのだろうとワクワクしながら読み続けましたが、
Mary Baloghの作品らしくなく(褒めています)、とてもユーモラスな作品でとても満足しました。
他の褒め方をすると、このシリーズを初めから順に読んでいた人に、作者からご苦労さんとご褒美を頂いたような
最終回でした。これだけではなんですので、もう少し説明します。
ヒロインとヒーローの最初の出会いは最悪でした。Christineのへまで、Wulfricは、彼女のことを召使のひとりと
思ったりするんです。その後、彼女の明るく元気でちょっとそそっかしい性格が、義務と名誉に生きるWulfricの
心を溶かしていくとでも言ったらいいのでしょうか、彼の真の姿が見えてくるところは良かったです。
その間で、Christineが後先考えずにする行動するせいで、何度も災難に巻き込まれ、そこにいたWulfricに
助けられます。その助けは(貴族としては)見苦しい行動で、彼が人目を気にせず人助けするというだけでも、
Bedwyn一族だけでなく、このシリーズを読んできた読者にも笑えます。
ユーモラスなだけでなく、Wulfricらしいスマートな場面もありますよ。紹介文の中で、Christineが亡き
夫の兄Basilとその妻Hermioneと喧嘩しているとありますが、その原因が終盤で明かされ、その問題を彼が
きれいに解決するところは、今まで読んできたWulfricらしくてとてもかっこよかったです。
繰り返しになりますが、シリーズの締めにふさわしくBedwyn一族総出演で、ヒロインが一族に歓迎されて
大団円を迎えますので、とっても幸せな気持ちで読み終えることができました。
次回からは、Simplyシリーズを読み始めます。
■最後に
前回の投稿から、3か月ちょっと過ぎましたね。今年の夏は、仕事に追われ少しペースが落ちたのが
理由ですが、その間でも寸暇を惜しんで(笑)読んでいました。仕事前とか休憩時間など隙間時間に
ロマンスを読むことで、暑〜い職場なのに頭の中では、時空を超えて涼しい英国にいました(爆)
寸暇を惜しんでと書きましたが、忙しければ忙しいほど、隙間時間に集中して読んでいました。
ちょっと現実逃避も入っていたような読み方かなと思っていましたが、仕事が一段落した今でも通勤電車の
中とか職場の昼休みに読む時などは、その時間だけ時空を超えているように感じます。
秋も深まり、周りが静かになった深夜にウイスキーでも飲みながら読むのもそれはそれで楽しいですが、
周囲の喧噪から隔絶された世界に、短い時間であっても浸って読むのも楽しいと思うこの頃です。
では、ロマンスファンのみなさん、Happy Reading!
▼返答