ロマンスPBの紹介

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2760. ロマンスPBの紹介

お名前: 久子
投稿日: 2008/9/15(13:15)

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こんにちは 久子です。

前回からだいぶ時間が開いてしまいましたが、ロマンス本の紹介です。
今回は、特にテーマを決めずに これまで掲示板で紹介されていないと
思われる本を順番に紹介します。
恐らく興味が無い人にはやたら長いだけの面白く無い投稿でしょう(笑

しばらく読んだ本の感想の記録をさぼっていたので、中には記憶が怪しいものがあって、
Amazonやその他のサイトの粗筋をよんで おぉ そうだった と思い出した本もありました。
読むたびに なにか記録を付けていかないと 自分で後から振り返るときに困るなと
ちょっと反省しています。

紹介はなるべくネタバレしないように注意していますが、私は結構ネタバレされても
平気なので、もしかすると 判断が甘いかもしれません。きゃ〜 と思った方がいたら
ごめんなさいです。特にシリーズ物は全部読んでいなかったり、前作のネタバレなしに
紹介ができない場合もあるので、ご容赦くださいね。

感想は私の主観なので、人によっては面白くない/いや面白い と感じる本がある
かもしれません。

Julia Quinn、Amanda Quick の他に初心者向けだな と思った作家は
Tracy Anne Warren です。少々Wallpaper系ですが、読みやすい英語です。
Hot な物でもOKなら Mistress シリーズの1作目がオススメ。

吸血鬼物に慣れている方なら、Charlaine Harris もまずまず読みやすいと思います。

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Boy Meets Girl
Meg Cabot

Princess Diaries シリーズで人気のMeg Cabot の現代ラブコメです。
メールやチャット、レシートの間に書かれたメモ、日記などで、物語がつづられて行きます。
読みにくいといえば、読みにくいと言えるでしょう。

Kate Mackenzieは、ニューヨークジャーナルの人事部に勤務しています。
ふがいない Boyfreiend の Daleと別れて家探し中、友人のジェニファーの家に居候してます。

職場では、おいしいデザートを作ることで会社中に人気のあるIda Lopesを
直属の上司AmyがKateに解雇するように命令します。
理由はなんと、Amy の彼で弁護士のStuart Hertzogにデザートを出すことを拒否したから!
その解雇を廻っての裁判沙汰がおこり、Stuart の弟 Mitch(Mitchell)がIdaの側の
弁護士となります。Stuart はとんでもなく嫌な男なのに、Mitchell はとってもいい人で
なにかと Kateに気を配ってくれます。
そんなおりDaleが未練を残して彼女に執拗に復縁を迫ったりとKateの周囲は大騒ぎ。

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Kate の側の事情と、Hertzog一家の事情、Amy と Stuart のやりとり などが
平行して交錯しつつ進むので、物語の中に入り込むまでは判りにくいかも
しれません。
SSS書評によると、同じような構成なら The Boy Next Door の方が評価が高いです。
私は読んでいないので比較できませんが.....
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Dead Until Dark
Charlaine Harris

Southern Vampire Mysteries 1作目
2002年 Anthony Awards Best Paperback Original 受賞作
現代物パラノーマルです。厳密にはロマンスではなくミステリーと思いますが、
1作目は、ロマンスと呼んでよいと思います。シリーズは8作まで出版済み。
ロマンスに興味がないミステリーファンも楽しめると思います。

現代ルイジアナ、日本人が発明した合成血液で吸血鬼が生きることができるようになり
これまで、その存在を隠してきた吸血鬼たちが世間に姿を現し その存在が認知された
世界でのお話です。

Sookie は、バーのウエイトレスとして働いています。金髪のポニーテールの
彼女は結構魅力的な女性ですが、いままでBoyfriend がいたことがありません。
なぜなら、彼女はテレパスで人の心が読めてしまうから。誰だって、相手が何を
考えているか丸判りの状態でデートしたり、親密な関係を築くのは難しいですよね。

ある日、バーに一人の男性がやってきました。彼はまずまずの男前ですが
尋常ではないくらい色白です。そして、Sookie は彼の心が読めませんでした。
なぜ? と不審に思ったものの理由は、彼が 合成血液を注文したことで
吸血鬼だからと判明します。

心が読めない相手といることに心地よさを感じる Sookieは、次第にその吸血鬼
Bill に惹かれていきます。そんな時、彼女の同僚が他殺体で見つかり、遺体には
吸血鬼にかまれた痕があるとの警察発表がありました。

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かなり人気のあるシリーズで、Amazon.com のレビュー数がとても多いです。
7作目まで読みましたが、1作目を超えるものはありませんでした。(ロマンスファン
視点でですが.....)1作目は一応完結しているので、どうしても続きが読みたくて
仕方が無い というほど後を引きませんので大丈夫です。
パラノーマルですので、少々見慣れない単語や作者の造語がしばしば登場します
読んでいるうちに判ると思いますが、慣れていない人は読みにくいかもしれません。
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The Spymaster's Lady
Joanna Bourne

1802年 フランスの私設監獄 に、フランスの女スパイ Annique Villiers と
イングランドのスパイ Grey と Adrian が囚われていました。
Annique は、"the Albion plans"と呼ばれるナポレオンのイングランド侵攻作戦を
知っているとされ、その情報を入手したい秘密警察に捕らえられました。
Grey は、銃創を負ったAdrian とともに同じ牢に収監されており、Annique を
尋問する秘密警察の言葉から、"the Albion plans"の存在を知り入手しようと
決意します。

子供のころからスパイとしての訓練を受けた凄腕のAnnique は、拷問を受け
ボロボロの体ですが、何も無い牢屋からGrey と Adrianの2人を連れて見事に
脱出します。

---
秘密警察に追われるAnnique は、 二人と一時休戦して行動をともにしますが、
何とかGrayを出し抜き逃げ出そうと知恵を絞ります。
フランスとイングランドの諜報戦を主軸にした良く練られたストーリーは、あっと
驚く展開もありとロマンスファンでなくても十分に楽しめると思います。

ロマンスに出てくるスパイのヒーローには、下半身で何でも判断するような
どう考えてもスパイ失格な男が多いのですが、本作のヒーローは最初から
最後まで冷静な判断力を持ち合わせていて「とても」有能です。

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The Price of Pleasure
Connie Mason

1789年 フランス Devil's Chateau と呼ばれるフランスの監獄の囚人の中に
イングランド人 Reed Harwood が居ました。度重なる拷問の結果、死を待つばかり
兄 the Earl of Hertford は元気にしていて、きっと跡継ぎも生まれているだろう。
心残りは、パリで諜報活動中の彼を裏切ったのが誰なのかわからないことだけ
などと考えています。

そこへ Black Widow と呼ばれる黒尽くめの女性が入ってきます。彼女は囚人の
中でこう噂されています。時折監獄を訪れては自分の気に入った男を連れ出すが
その男は戻ってこない。きっと愛人にして、飽きると処分しているに違いない。

いずれにしても瀕死の Reed が、彼女に選ばれることはないと考えていると
なんと彼女が選んだのは、Reed でした。

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なんともスゴイ表紙で、書店で購入するのは ためらわれます。オンラインショップ万歳!
出だしと表紙のイメージからすると、スパイ物か少し怪しいエロティックもののようにも
取れますが、特に目新しいところの無い普通のロマンスでした。
あまり深く考えるとあれこれ変なところがあるように感じますが、気軽に読むには
良いと思います。私は結構楽しめました。
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The Dangers of Deceiving a Viscount
Julia London

Desperate Debutantes というシリーズの3作目
Lady Phoebe Fairchild は伯爵令嬢で裁縫が得意、家族の財政的な事情から
Madame Dupree と言う名前でドレスを作り Bond Street のお店に売って収入を
得ていました。この時代Ladyが、働いて収入を得ることは大スキャンダル、
このことが世間に知れれば、Phoebe の姉や従姉妹の結婚相手にも迷惑をかけ
Phoebe もお嫁にいけなくなってしまいます。

それをネタに Phoebe がドレスを売っていた店の店主が、 William Darby,
Viscount Summerfield の妹たちのドレスを屋敷に住み込みで作る仕事を
受けるように迫ります。

Will(William)は世界を放浪していましたが、 父が卒中を起こしたとの知らせを受けて
イングランドに戻ってきます。彼が留守にしていた数年間のあいだに弟妹たちは
やりたい放題に育ち、素行はLady でも Gentleman でもなくなっていました。
まずは、妹たちの数年前の体に合わない 恐ろしく流行おくれのドレスをどうにかしな
ければ、と London の ドレスメーカーを呼び寄せることにしました。

---
家のために相応しい花嫁を選ばなければと思う Will ですが、美しくて聡明な Phoebe が
好きになってしまい、家をとるか好きな女性をとるかと悩みます。そうなるとヒロインの
秘密がばれたときの反動がより大きくなるのは必至ということで 読者はハラハラしながら
読み進むことになります。
ちょっとありえない設定なので、その辺りが引っかかる人が居るかもしれません。
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Deception
Amanda Quick

Olympia Wingfield は、一人で三人の甥を育てながら暮らしています。ある日、Jared Ryder
という片目にアイパッチをした海賊のような風貌の男が、伯父が貿易で手に入れた荷物を
届けにやってきます。

Jared Ryderは、実は伯爵家の跡継ぎ。Olympia の伯父の荷物の中に彼の先祖が記した
宝の地図が含まれることを知って、それを手に入れようとやってきたのでした。
Jared は、型にとらされず Woman of the World を自認する彼女に惹かれ、また
日記を手に入れるため 彼女の伯父に甥たちの家庭教師を依頼されたと偽って彼女の
家に居つくことになりました。

---
Amanda Quick の本ですから、二人が謎解きをしながら行動を共にするうちに恋愛感情が
芽生えてという基本プロットは一緒です。型に嵌りきらないヒロインと何事もきちんと計画を
たてて着々と計画とおりにことを運ぶヒーローのずれ按配が面白いです。
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The Perils of Pleasure
Julie Anne Long

Colin Eversea は、身に覚えの無い殺人の容疑で逮捕され死刑の執行を待つばかりでした。
彼の家族は、自宅で刑の執行の時を待っていますが、末息子が死刑になるというのに
少し様子がおかしいです。(このあたりは私の主観です。)

Madeleine Greenway は、お金に困っている未亡人。多額の謝礼を条件に Colin を
刑の執行前に救い出す仕事を引き受けます。Colin の救出は無事成功しますが、
いざ謝礼を受け取る段になって、依頼主の裏切りにあった 彼女は Colin とともに
姿をくらまします。

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少し暗い感じのお話でロマンスは薄めですが、ストーリーは良く出来ていて最後まで
ハラハラドキドキ読むことができました。姿をくらました二人がColin 救出を依頼した
謎の依頼主とColin に無実の罪を着せた人物を探すうちに、恋愛感情が芽生えて
というのが基本のストーリーです。
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The Lost Duke of Wyndham
Julia Quinn

Two Dukes of Wyndham の1作目
Grace Eversleigh は、両親が熱病で亡くなってから Wyndham 公爵未亡人の
コンパニオンとして暮らしています。公爵未亡人は、我侭で自己中心的、周囲の迷惑を
顧みず行動する人、良く勤まっていると陰で人は言っていました。
とある舞踏会の帰り道二人の馬車は、追いはぎに止められます。追いはぎの顔を見た
公爵未亡人は言葉を失います。なぜなら、随分前になくなったお気に入りの息子に
瓜二つ、もし彼が息子の子供であるなら彼が本来公爵になるべき人なのです。

その追いはぎ Jack Audley は、アイルランド人で両親を早くに亡くし自分がイングランドの
公爵家と関係があるなんてまったく知りません。Grace に一目で惹かれた彼は、公爵未亡人に
屋敷に来るように言われてGrace に会えると少し心が動きますが、公爵になどには
なりたくありません。迷いましたが、館を尋ねるのを止めました。
ところがJack が孫息子と信じる公爵未亡人は、宿屋にいた彼を館へ拉致してしまいます。

---
Jackは館に来てから、ますますGraceのことが好きになり、Graceも明るくて面白い彼に
ドンドン引かれていきますが、彼が公爵なら、牧師の娘の彼女とは身分違いです。
また、現在の公爵と結婚すると決められた伯爵令嬢の存在と、ストーリーは予想のつく
範囲で展開していきますが、Quinnの持ち味のユーモア溢れる会話がタップリ楽しめます。
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The Switch
Lynsay Sands

双子の姉妹 Charlie (Charlotte) と Elizabeth Carland は、両親の亡き後叔父のもとで暮らして
いました。ところが、年頃になって二人に叔父が持ってきた縁談は、妻殺しの噂のある
年寄りと評判のよろしくない年寄り(一応 爵位つきだけど.....) そんな男と結婚させられたら
不幸になる いや 殺されてしまうかもしれないと考えた二人は叔父の元を逃げ出します。

女二人連れでは、怪しまれると考え Charlie は男装して こっそり部屋を抜け出したところを
the Earl of Radcliffe に見つかってしまいます。二人は、母方の叔父のところに向かう
予定でしたが、あれこれ聞かれ質問してくる Radcliff が叔父に連絡するとまずいと考え
ロンドンに向かっていると 嘘をつきました。

ところが、Radcliff は心配だからロンドンまで送っていってあげようと申し出、二人は
断りきれないまま彼とロンドンへと向かうことになりました。

---
Charlie と Elizabeth は瓜二つなのですが、Radcliff はCharlie が女性だとまったく気付きません。
線が細いので鍛えてやろう とか 大人の男の経験をさせてやろうとか、Charlie にとっては
余計なお節介を焼きます。そのうち、男の子の姿の Charlie のおしりが気になって仕方がなく
自分はどうしてしまったのだろう? と悩むことも.....
男装の麗人、双子の入れ替わり、ドタバタコメディ が好きな人向け。

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My Lady Notorious
Jo Beverley

Malloren シリーズ1作目。
Cyn(Lord Cynic Malloren)は、除隊したあと 何となく退屈を感じていました。馬車で
移動中の彼は、追いはぎに止められます。追いはぎは最初のうちは少年のように
見えましたが、すぐに女性であることに気付き興味を持ちます。逃げようと思えば
逃げられますが、そのまま捕らえられます。

その追いはぎ Lady Chastity は、父親の元から乳児を抱え未亡人になった姉 Lady Verity と
ともに逃げだしてきました。父親はChastity にも、Verity にも望まない結婚を強要して
おり見つかったら結婚させられてしまいます。
Verity は、一回は父の望みのとおりに結婚したのだから今度は自分の初恋の人と
結婚したいと願っており、Chastity はその願いを叶えるため、通りすがりの馬車を拘束
しました。
事情を知ったCynは、二人の力になろうと申し出ます。

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はっきり年代は書かれていませんが、男性がカツラを着したり、男女問わず髪粉を
使用しているので18世紀ごろと思われます。
Chastity の父親は、自身も政治的な駒として家族を自由にするのは当然の権利と
考える非情な男です。その父親から逃れて Veriryは初恋の人と結ばれるのか?
Chastity と Cyn はどうなる? と先が気になって一気に読みました。
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Something Wicked
Jo Beverley

Malloren シリーズ3作目。
ヒロインは、Lady Elfled Malloren、My Lady Notoriousのヒーロー Lord Cynic の双子の妹。
ヒーローは、the Earl of Walgrave、 My Lady Notorious ヒロイン Lady Chastity の兄。

Elf(Lady Elfled) は、兄の Cynが幸せな結婚をし新しい生活を始めるのが少し羨ましく
感じています。そんなおり Vauxhall Garden の仮装に友人と連れ立って出かけます。
仮装して"Lisette" と名乗り、いつもの自分とはちがう様子を楽しんでいますが、
暗い小道で怪しい男二人が危険な話をしているのを、思いかけず立ち聞きしてしまいます。

Elfはその男のうち一人につかまってしまいまが、声でその男がFort(the Earl of Walgrave)
と気付きます。もう一人の男が、殺すように言いますがFortは自分の愛人だから沈黙は
約束できると確約して彼女をかばいます。実は、彼は仮装したElfのことに気が付いて
いません。(第一作の件で Malloren と the Earl of Walgrave は犬猿の仲です。)
もし、自分がLady ElfledとFortに気付かれるとまずいと思い "Lisette" と名乗ります。

Fortは、"Lisette" のことを女優か娼婦と思い込み 本当に愛人にならないか? と
口説きながら自分の屋敷に連れ帰ります。

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双子の兄 Cyn の方が、美形なことに イマイチ納得の行かない Elf。 Vauxhall Gardenに
出かけるのに護身用に胴着に短剣を隠し持つような気丈な女性です。一方、イマイチ
評判のよろしくない Fort は、一筋縄ではいかない複雑な男性。ヒロインがヒーローを
追いかけるパターンで話が展開します。
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Simply Magic
Mary Balogh

Simply シリーズ3作目。
ヒロインは、女学校の先生 Miss. Susanna Osbourne
ヒーローは、Peter Edgeworth、The Viscount of Whitleaf
A Summer to Remember の Lauren の従兄弟ですね。(ちょっとしか出てきませんが.....)

Susanna は、休暇を元同僚の Frances, Lady Edgecombe(Simply Unforgettableのヒロイン)
の所で過ごしていました。孤児で帰る家の無い彼女にとって夢のような楽しい時間した。
彼の名前を聞いて、過去の忌まわしい記憶が蘇るまでは.....

Peter は、自分の屋敷には滅多にもどらずロンドンや友人の家で過していました。
もう、25歳なのだから支配的な母や姉たちの管理から抜け出したいと思いながらも、
取立てなにをするでもなく過ごしています。ある日、友人に誘われ Lord Edgecombe を
訪問したときに、Susanna を一目見た彼は、彼女だ! と心に閃きます。

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Peter が少しずつ自律への道を進む様子と Susanna の過去の出来事が絡み合いなが
らお話が進んでいきます。出だしは二人の関係があまり進まず展開が遅いように感じ
ますが、中盤に差し掛かかると俄然 先が知りたくなり読むスピードがあがりました。
二人が乗り越えなければならないヒロインの過去の出来事がかなり重いことなので、
かなり泣けるお話です。
前作、Simply Love と丁度時間が重なる部分が多く、前作の Susanna のあの台詞の
裏にはこんなことがあったのね。という楽しみも有りました。
(休暇というのが、前作のヒロインとヒーローが出会ったのと同じなのです。)
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The Ideal Wife
Mary Balogh

1991年ごろの出版の本の再販です。最近の彼女の作品に比べると内容に深みが
足らないように感じますが、比較的軽快にお話が進み、会話も面白くて楽しめます。
気のせいか最近の本より英語も読みやすいような気がして、最初のMary Balogh
としてもいいかな と思います。

15ヶ月前に爵位を相続した、Lord Severn は30歳で社交界では絶好の花婿候補に
なってしまいます。女ばかりの家族で育った彼は、母親や姉妹に頭が上がりません。
彼の母親は、今年の社交界の花形間違いなしの18歳のFrancesとの縁談を
彼の意向を無視して進めようとしています。

Francesは美女ですが、頭の中はファッションと社交界のことばかりの女の子で、
Lord Severn の好みに合いません。Frances と結婚するくらいなら「平凡で大人しい
女性と結婚する」と考えていたところに、失業したAbigaleが、遠縁のLord Severn に
推薦状を書いてもらおうと尋ねてきます。平凡で大人しい Brown Mouse ! と思った、
Lord Severn は、唐突に結婚を申し込みます。

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便宜結婚物+ヒロインのBig Secret というパターンのお話なので、好みが分かれる
かなと思います。
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Green Eyes
Karen Robards

図書館で見つけた本で、1991年ごろの出版のようです。現在では絶版になってますが、
個人的にはワザワザ古本を購入してまで読まなくてもよいかなと思います。

牧師の娘 Anna Traverne は、夫とともにセイロン(現スリランカ)にて熱帯農園を経営して
いましたが、もともと体の弱かった夫が病死してしまいます。幼い娘を抱えた彼女は、
夫の兄から今後の生活の面倒をみるという申し出を頼ってイングランドに帰国します。
しかし、実際のところは彼女が彼の愛人になったら面倒をみてやる というものでした。
お金もなく頼る人も無い彼女は幼い娘を抱えて困り果てていました。

ジプシーの血を引く Julian Chase は、あることの証拠を求めて屋敷に忍び込み
目的のものを手に入れました。が、振り返るとそこには Anna が立っており、
彼女の緑の瞳に魅了されてしまいます。震える彼女に自分の外套を着せ掛けると、
抱きしめてキスしているところ 屋敷の人間に見つかってしまいます。

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大切なものを手に入れるために、屋敷に忍び込んだにも関わらず 女の魅力で 大失態!
という 出だしからイマイチのヒーローです。また、現在の作品にくらべて かなり強引に
ヒロインに迫るので、そのあたりはフェミニストには嫌われそうな感じがします。
ラストシーンで、その理由が明らかにされて そのときの彼の気持ちが理解できますけど、
そこまで引っ張るのもどうかと.....

ストーリーは、この後すぐにセイロンに移り、ストーリーはセイロンで展開していきます。
特に目新しい内容ではありませんでしたが、セイロンが舞台というお話は珍しいので
それなりに楽しめました。
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Prospero's Daughter
Nancy Butler

2004年 RITA for Best Regency 受賞作。残念ながら絶版です。
ヒロインが身障者なのが、ヒストリカルとしては珍しいと思いました。

Morgan Pearce は、友人の父 Sir Janus Palfry の屋敷 にPalfry House 滞在して
彼の回想録の執筆を手伝うことになりました。ある朝、Morgan は湖のほとりで
車椅子に乗った女性を見かけます。暑い日にもかかわらずその女性は、厚ぼったい
衣服にボンネットをかぶり更にベール、ミトンまで身に付けていました。

その女性 Miranda Runyon は、Palfry の親戚で 馬車の事故で両親を失い、歩くこと
が出来なくなり、Sir Janus に引き取られました。それから Miranda は、屋敷の中で
外部と接触することなく、適切な治療を受けることも無く孤独に暮らしています。
その日、Morgan と会ったことが彼女の運命を大きく変えるきっかけとなりました。

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世の中や家庭の中が、すべて美しくなくてはならないと考える Palfry家では、
障害者の Miranda は、邪魔もしくは無かったことにしたい存在となっています。
そうした、扱いを受けるうちに Miranda は、自身を忌まわしい存在であると
思い込み、結婚も幸せも諦めてしまったのは無理ありません。
そんな、彼女に惹かれ彼女を一心に求める Morgan の物語です。
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The Naked Gentleman
Sally Mackenzie

Spicey Naked シリーズ4作目。ヒロインは二作目The Naked Marquis のEmmaの妹です。

Parks(John Parker-Roth) の趣味は植物の観察でなかなかのコレクションを
誇っています。とあるパーティで同じく植物観察が趣味のMeg(Margaret Peterson)と
知り合い共通の話題で盛り上がり楽しいときを過ごしたのですが、それ以上の関係に
進むことはありませんでした。

ある舞踏会で植物のコレクションで有名な、the Viscount Bennington とうっかり
庭に出た彼女は、侯爵家とどうしても縁戚になりたい彼に無理やりキスされたうえ
ドレスを破かれてしまいます。このままでは、Lord Bennington と結婚するしかなく
なってしまう彼女を助けてくれたのがParksでした。

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特に二人の趣味がストーリーの展開に大きく絡むこともなく、なぜワザワザ
そういう設定にしたのかわかりません。Parksが自分のことを振り向いてくれないと
やけになってLadyとは思えないトンでも行動をくり返すMegとそれを阻止しようとする
Parksのドタバタが中心です。
The Naked Marquis のような面白さを期待するとがっかりするかもしれません。
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The Wedding Trap
Tracy Anne Warren

the RITA Best First Book in 2007 の The Husband Trap のスピンオフで
シリーズ3作目ですが、前2作を読んでいなくても大丈夫ですし、この本以外は
翻訳されているので、翻訳で読むというのもありです。
割と読みやすい英文で、Wallpaperぽいので初心者向きの作家と思います。

The Husband Trap "あやまちは愛"
The Wife Trap "愛といつわりの誓い" (高慢、我侭、自己中心 ヒロインです)

Eliza Hammond は冴えない容姿の bluestocking でしかも持参金もたいしたこと
がなく、何回かシーズンを過ごしましたが一度も結婚の申し込みがありません
でした。実は彼女は数年前から、親友Violetの義弟 Lord Christopher “Kit” Winterに
実らぬ片思いをしています。最近亡くなった叔母が全財産を彼女に残したことから
急に財産目当ての男性が群がってくるようになりました。

Kit は、Eliza のことを何とも思っていませんでした。せいぜい、妹みたいに思って
いるかな? くらいです。ある日、Violet に「恥ずかしがり屋で自分に自信がないElizaが
社交界で自然に振舞えるように、いろいろ教えてあげて欲しい」と頼まれ、断り
きれずに引き受けます。

まずは、彼女の冴えないドレスにひっつめ髪をどうにかしないとと思ったKit は
一流のヘアドレッサーを呼び寄せ、一流のドレスメーカーで似合うドレスを購入。
Eliza は見間違うばかりに魅力的に変身します。Kitは外見は変わっても自分に
自信のない彼女を励ましてなんとか社交界での催しで普通に交流できるように
なり、自分の役目は終わったと思うのですが、なぜかそれを寂しく思うのでした。

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いっしょに過ごす時間が長くなるにつれて、いつも近くにいた女性の魅力に気付く
パターンです。そう悪くはないのですが、同じパターンなら、Julia Quinn の
Romancing Mister Bridgerton の方がオススメです。
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My Fair Mistress
Tracy Anne Warren

Mistress シリーズ1作目。
Rafe Pendragon は、冷酷な金融業者として有名でした。 未亡人Lady Juliana Hawthorne は
ある日、弟が Rafeからの借金で 先祖伝来の邸宅や所領を失ってしまう情況にあることを知ります。
Juliana は、借金問題を話し合うために Rafe の元を訪れますが、彼女が自分の所有物で
できる限り払うと懇願しても彼の態度は変わりません。

Rafe は、美しくて弟思いの Juliana に惹かれ、彼女にここまでさせた彼女の弟の身勝手な
行動に怒りを感じますが、どうしてやることも出来ないため彼女を追い返そうとします。
何かLadyが怒ったり驚いたりして逃げ出すようなことを言えば、Juliana が帰るのではと考え
「では、私の愛人になったら借金は帳消しにしよう」 と言ったところ、なんと彼女は承知したの
でした。かくして、二人の秘密の逢瀬が始まります。

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Sensuality は、かなりHotです。(愛人ものだからかな?)
Rafe の生い立ちとJuliana の妹の縁談が絡み合ってお話が進みます。
二人が体だけの関係から次第に心を通わせていく過程の心情もよく描かれており、
後半事態が急展開していく様子も良かったです。
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The Accidental Mistress
Tracy Anne Warren

Mistress シリーズ2作目。
Ethan Andarton, the Marquis of Vessey は、義務を果たすべく 母親の希望を受け入れて
とある伯爵と令嬢との結婚の約束をしてきます。(口約束だし といいかげんに考えてます)
その帰り道、食事をとるために宿屋に立ち寄った彼は、酔っ払いに絡まれている一人の
少年に目を留めます。よくよく観察すると少年ではなく女性であることに気付きますが、
知らないフリをして彼女を助けます。

その少年は、欲深い継父の持ってきた結婚話(トンでもない男が相手)から、ある嵐の夜、
自殺を装って逃げ出しロンドンを目指す Lily Bainbridge でした。
継父は知らないのですが、Lilyは祖父から受け継いだ財産でロンドンで十分に一人暮らし
ができます。一路ロンドンを目指すLilyですが、宿屋で酔っ払いに絡まれてしまいます。

酔っ払いを追い払ってくれた Ethan からロンドンまで送っていってあげようとの申し出を
受けたLilyですが、Ethan が彼女の身元を探ろうとする質問には頑として答えません。
なんとか彼女の行方を追おうとした Ethan ですが、手がかりがぷっつりと途絶えて
しまいます。

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ロマンス本ですから、思いがけないところで二人は再会して という展開になります。
特に目新しいお話ではありませんが、二人の間の会話も面白く 私は楽しめました。
でも、1作目と比較すると、落ちるというのが正直な感想です。
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My Favorite Mistress
Tracy Anne Warren

Mistress シリーズ3作目。
Gabriella St.George は、Rafe Pendragon に恨みを持っていた。大好きなパパが
亡くなったのは、あいつのせい 復讐心に燃える彼女は、Rafe の屋敷に忍び込み
彼に銃口を向けます。

実は、Gabriella がRafe と思い込んでいたのは、Tony Black, the Duke of Wyvern
でした。いきなり銃口を向けられたTonyは驚きますが、何とかGabriellaを説得し
彼女の知らない Rafe と Gabriella の父のあいだの真実を話します。
(この真実は1作目のネタバレになります。)
父を亡くし生活に困っていると思われる Gabriella を引き取りたいと Rafeが申し出ますが
混乱した 彼女は居候先に戻っていきます。

Tony は、親友二人(Rafe と Ethan)が次々と結婚し子供が産まれ幸せそうな様子を
いいなぁ と思いながらも当面は独身生活を満喫するつもりでした。しかし、Gabriella を
一目見たときから虜になってしまいます。でも、Rafe と関係の深い Gabriella を手に入れる
には結婚しかありえません。なるべく距離を置こうとしますが、思わず彼女にキスして
からは なし崩し的に、彼女との関係が発展していきます。

---
パパの敵と一心に思い込んでいたのに、相手側の説明と説得であっさり納得して
しまうあたり、人によってはどうかと思うかもしれません。(うすうすパパの悪い点に
気付いていたかも? と思えば思えなくも無いですけど)
後半の展開は、H/Hが互いに良く話し合わないことから生じるすれ違いが中心になって
展開がのろいな と感じましたが、全体的には一目ぼれで若い女の子にメロメロに
なってしまったヒーローの行動が楽しめます。
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ではでは、最後までお付き合いいただきまして ありがとうございます。
次回は、こんなに溜めないで適正なころあいに紹介したいな と思います。


▼返答


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