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お名前: 主観の新茶
投稿日: 2008/7/13(23:56)
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Ry0tasanさんへ。新茶です。
前から申し上げているように、私は、約30年英語などの語学をしていないので、英語はできません。
しかしながら、方法論ですから、兵は拙速ながら、迅速を尊ぶのごとく、蛮勇を奮って、申し上げます。
私は、結論として、原則として、明治期の和書を読むのは、不必要だと思います。
場合によっては、貴重な人生を無駄にする有害な行為だと思います。
逆に、できるだけ、現代の専門書、概説書、啓蒙書を読むのがよいのです。
日進月歩の分野もあるから、20世紀の書物は、もはや読む価値を喪失しているものもあります。
定評のある専門書は、制度、システム、思想について、明治以来の歴史、または、西洋で起こった歴史を、概略ながらでも、説明しているはずです。
その記述を含め、今の本で、充分、和語と、英語を含む外国語の対応がわかるはずです。
そして、そこから、英語というものを考えれば足りると思います。
逆に、誰も読む相手にしなくなったはずの、制度等に関する明治の本を読む意味は、原則として、あり得ないと思います。
ここで明治の本というのは、もちろん、明治の専門書、概説書等を意味します。
例外として、語彙を創造し思想を展開した、概説書の範疇に入らない福沢諭吉の一定の本を想定できますが、彼の本も、本来、簿記の本などは、専門書に属します。前者は、思索するための古典の意味で、読むに値し、後者は、読むに値しません。
今の本は、もちろん語源の説明までは、していないのが普通です。
しかし、たとえば、経済学economicsなら、古代ギリシャ語のoikosとnomosの複合語であることは、たいていの教科書に書いてあるでしょうし、financeの本であるならば、riskという言葉の起源が、ラテン語経由の言葉であり、riskare riskoなどから由来した言葉で、地中海の島々の間の岩の間を通り抜けることを意味することも、近頃の教科書は、冒頭に記載するようになっています。
最近の専門書、概説書、基本書、教科書のたぐいは、ますます、英語との関連、語源を重視するに至っていると認識しています。
明治の本を読んでも、いつ、その日本語が使われ出したかくらいが、たかだか、その読書理由になるのではないでしょうか。
ここで、「日本語であるが,明治期以降に輸入され定着した制度,システム,思想を表す日本語」というのは、私が専門の仕事とする社会科学のほんの一分野のみならず、社会科学一般、そして、自然科学一般、さらに人文科学のうち、科学としての心理学などの一定分野の「日本語のほとんど全て」であり、その用語は、当該分野では、有機的に関連しているはずです。
明治期以降の制度、システム、思想等を表す言葉で、民間に流布している言葉は、ほとんどすべて、専門用語が、庶民の言葉になったものと理解しています。
英語など語学はできないが、あえて述べると、有機的に関連しているとは、たとえば、「所有」と「占有」は、同時期に訳された、有機的に関連する言葉だと思います。
所有は、2610で述べていますが、「domesticの語源は、本来、家庭における権力者の支配から発展し、通常は、重畳した、または重複した土地などの所有権関係を表現するもののはずだ。私は、前回、各種の所有権概念について説明したが、西洋中世の重畳的支配を表す単語が欠けていると思っていた。それを「こるもさん」の指摘でわかったのだ。」と書いているように、domeだと思います。名詞ですから、dominationでしょうか。実際は、ローマ法由来のフランス語でしょうが、フランス語はわからないが、ドイツ語で言うEigentumだと思われます。占有は、2588で述べているpossessであり、ローマ法由来のpossesioではないかと思います。検証、追試に関しては、前に紹介した、最近の本「ローマ物権法」をご覧ください。
所有の原語は、明治の歴史から見て、haveではないはずです。
そのことと、haveが、元来、所有の意味をも含むかは、別個のことです。
〉ある概念が輸入された時点かそれ以降に変質し、
〉似て非なるものになっているかどうか、
〉もとの英語の本当に同じなのかを判断するのは、
〉多くの日本人にとって非常に難しい行為だと思います。
私の認識では、輸入された概念が、変質したり、似て非なるものになったことは、そんなにたくさんあると思えないし、第1に、それは、当該日本語から当該英語を割り出すことと、何ら関係がありません。
democracyは、おそらく、民主主義に対応した言葉だと思います。
詳しくは、政治学などの専門書を見れば、わかると思います。
Ry0tasanさんは、誤解されておられないと思いますが、西欧のdemocracyは、日本に定着していないという一部の見解がありますから、西洋のdemocracyと日本の民主主義は、その意味する内容が同じではないという見解があります。
しかし、それは、ここで論議していることと、全く別です。
それは、概念の相対性によるものであり、国際商業や医学のようにrigidなものから、土地制度,民主主義のように、flexibleなものまであるでしょう。
そんな概念の相対性を言い出したら、きりがありません。
民主主義という言葉から、democracyという語が1対1で対応する言葉であることを、まず、確認すれば足りるのであり、そこから、いろいろな知的興味が湧けば足りると思われます。
次に、古代ギリシャ民主主義に関する古典を和文で読んだり、もっとも最近の民主主義に関する専門書を読んだり、また、この分野では、古典的な名著もあるから、それを読むでしょう。
しかし、Ry0tasanさんは、明治期以後に輸入し定着した制度、システム、思想等に関する和語から英語を考えるにあったって、一般的に、明治期の和書をできるだけ読むのが成功の秘訣とまで述べておられるのですから、私は、その意味を、かなり熟考しました。
もし、今後、Ry0tasanさんが、自らの想定と違っていたとか、趣旨の誤解だったとか、想定外だったとか言われると、ちょっとガクッときますが、その可能性もあるし、Ry0tasanさんの想定を教えてくださいね。
以 上
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