Re: ひたすらシェイクスピア

[掲示板: 〈過去ログ〉本のこと何でも -- 最新メッセージID: 3237 // 時刻: 2024/11/23(18:23)]

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2091. Re: ひたすらシェイクスピア

お名前: Ryotasan
投稿日: 2007/1/27(08:56)

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杏樹さん、おはようございます。

長くなりましたが、多読をする人にとって何らかの参考になりそうな感じもあるので、もう少し続けます。

シェイクスピアの作品を日本語で上演するばあい、出演者も日本人ですから、無理にイタリア風の演出をするより、日本人から見て普遍的に思える要素を強調した方が、演劇としてうまくいくということのようですね。台本も、Athensを「アテネ」とせずに、あえて英語風にすることで、地方色を隠したりすることもあるのですね。

ただ、シェイクスピアのイタリア的、あるいはラテン的な側面は、わざわざ原文を読まなくも感じることはできます。

たとえば Romeo and Juliet です。この作品の graded reader で表紙の写真にも使われている有名な映画の監督はイタリア人で、音楽を担当した作曲家もイタリア人です。主題曲もどことなくイタリア風でした。

90年代になってこの戯曲はまた映画化され、今度はメキシコで撮影されたので、全体にラテン風の雰囲気がみなぎっていました。冗談ですが、ロミオを演じている俳優さんの名前も、まるでイタリア人の様な名前でした。

ほかにも、映画化にあたって、イタリアで撮影された作品はいくつかあるようです。

イタリアから遠い北欧を舞台にした Hamlet でさえ、最初に登場する人たちはイタリア人のようです。その中の一人は最後まで登場して、事件の目撃者となります。イングランドの観客たちは、イタリア人に案内されてデンマークへ旅するのです。

又、僕が注目しているイタリア風とかギリシャ風の要素は、本当のイタリア風やギリシャ風と言うより、当時の英国人から見た範囲のギリシャ風やイタリア風であることも事実です。アテネの市民社会を描くつもりで、イングランドの村人たちの素人演劇になってしまったり、神々を描くつもりで妖精たちの話になっています。マクベスほどケルト的ではないと思いますが、ウェールズやアイルランドの話のように演出してもおかしくはないでしょうね。(ただ、ロンドンの近くという設定では難しいかもしれません。)

僕たちは東京や大阪のような大都市から遠いところに住んでいるので、生の舞台を観る機会は少ないです。演劇鑑賞会も、個人では入会できません。東京まで芝居を見に行くとすれば1日がかり、あるいは泊まりがけということになり、劇場は観光コースのようなものです。

シェイクスピア時代にも、僕たちのようなお上りさんたちがロンドンの劇場で芝居を観たのかも知れません。せっかく国際都市まで来たんだから、芝居も長いのを観たいとか思ったかも知れません。

これは、新幹線や高速道路を利用して「東京」ディズニーランドへ行った人が、ヨーロッパ風の城や、ミシシッピ川の蒸気船を真似た観光船や、ニューオーリンズ風のジャズを演奏する楽士さんたちを目の当たりにする体験と似たようなものかもしれません。


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