今更ながら自己紹介(長文です)

[掲示板: 〈過去ログ〉SSS めざせ100万語 交流の広場 -- 最新メッセージID: 9999 // 時刻: 2024/11/26(15:34)]

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2324. 今更ながら自己紹介(長文です)

お名前: 柴田武史
投稿日: 2002/6/5(01:05)

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Hello, everyone.

これまで何度も書き込みをしましたが、きちんと自己紹介をしたことが
ありませんでした。先日の懇親会の参加者の皆さんには少しお話
しましたが、英語教師の私が多読学習者の集うこの掲示板にやってくる
わけを掲示板を読んでいる方たちに説明すべきだろうと思い、
今更ながらの自己紹介を書くことにしました。

私は20年以上英語を教えています。もとは高校教師でしたが、今は
私立の中高一貫校に勤めています。英語教師としての私は多読の必要性を
認めてはいても、学校でどのように指導すべきかがよくわからなかった
ため、今まで多読の授業をしたことはありません。

英語教員ですから、私はおそらく多読学習者の皆さんの多くより英語は
わかる・・・はず・・・と思いますが、若い頃の自分の英語学習法に
多読は含まれていませんでした。

アメリカの大学に1年ほど交換留学生として通ったことも
ありますし、 NewsweekやTimeのようなニュース雑誌とか英字新聞を
読んだり、NHKの講座やテープ教材、ビデオなどを使った勉強は
それなりにやってきました。20数年も英語教員として仕事をして
おりますから、仕事でも、海外旅行のような私的な場面でも、英語で
困るということは少なくなりました。

しかし、元来それほどの読書家ではない私は十年ほど前まではペーパー
バックなどの小説類をたくさん読んだりはしていませんでした。

私は英語の発音の研究に特に興味があり、発音教育についてはかなりの
経験と知識を持っていて、学校での生徒の指導だけではなく、最近は
英語教員を対象とした講演や発音講習会の講師としての経験もあります。

前置きが長くなりましたが、ここからが私と多読の関わりの話です。

私には小6と小3の二人の息子がいます。長男が生まれたころ、私は妻と
一緒に息子に本の読み聞かせを続けて、読書好きの子供に育てたいと
考えました。そこで、赤ん坊だった長男に、妻は日本語、私は日本語と
英語の絵本をせっせと読み聞かせ始めたのです。

同時に私は息子に英語で話しかけることを始めました。家庭内バイリンガル
の試みです。とはいっても、LとRやVとBの違いが聞き分けられる耳が
できれば、将来息子の英語学習が楽になるだろうくらいの期待で始めた
ものです。息子が成長して「お父さん、いいかげん変なことはやめて、
日本語で話してよ」と言えば、スパッと日本語に切り替えようと思って
おりました。(でもいまだに「英語やめて」とは二人とも言いません)

長男はやがて母親には日本語で、私には英語で話すようになり、五歳
くらいの頃にはかなりのレベルの英語を話せるようになりました。しかし、
その後日本語が混ざる割合が増え、六歳くらいで日本語しか話さなく
なりました。

三つ下の次男にも同じように読み聞かせと、英語での話しかけをしました
が、この子は、当時同居を始めた私の両親からの日本語のインプットの
影響のせいか、ずっと日本語しかしゃべりませんでした。

今では二人とも日本語しかしゃべりませんが、英語を聞いて理解する力は
高水準に達しています。私が彼らに英語で話してきたということは彼らの
英語理解力に貢献していることは間違いありませんが、それよりも英語の
本の読み聞かせが大きな効果があったと思っています。息子たちは、
膨大な量の英語の本を耳で聞いて理解するということを赤ん坊時代から
毎日のように続けてきたのです。

私が過去12年の間に息子たちのために音読した英語のほとんどすべてが
英米の子供向けの本です。Graded Readerはほんのわずかしか読んでやった
ことがありません。赤ん坊のときの絵本から始め、徐々にレベルを
上げていき、試行錯誤しながらたくさんの本を読み聞かせました。昨年の
前半にはHarry Potterの一巻から三巻までを数ヶ月かけて全部読み聞かせた
のですが、息子たちは本当に楽しく聞いていました。今週は 
The Three Investigatorsの第一巻、The Secret of Terror Castleを
読んでやっているところです。

多読をしている皆さんは分速200語以上で読めるのが一つの目標
でしょう。私は黙読をするときは300語くらいで読みますが、
読み聞かせの場合、最近は180語程度です。元々私は中学生の頃から
音読練習は好きで、よくやっていましたが、息子たちへの読み聞かせの
おかげで、おそらくさらに千時間をはるかに越える英語音読練習を過去
10年ほどの間に積み重ねてきたことになります。語数にすれば百万は
軽く突破していることでしょう。そういうわけで、私は児童書の音読に
よる「100万語突破」を達成しているのです。息子たちは、私の
読み聞かせに加え、テープによる耳からの英語の吸収を加えると、多聴に
よる英語のインプットは200万語以上になっていると推測されます。

子供への読み聞かせでは、SSSで強調される三つの極意、すなわち、辞書を
引かない、わからないところは飛ばして前へ進む、つまらなくなったら
止める、を忠実に実行しています。私が事前に単語の発音を確認する
ために辞書を使うことがたまにある以外は、子供の本を読むために辞書は
まったく使いません。息子たちは、知らない単語が聞こえてきても
ほとんどの場合、その意味を質問したりすることはなく、そのまま
聞き流しています。また、英語が難しすぎたり、内容が子供の気に
入らなければ、すぐにその本はあきらめます。

息子たちを見ていて思うのですが、子供にとってこの世というのは
わからないものだらけのはずなのに、子供は一向にわからないことで
ストレスを募らせないのですね。例えば、ウルトラマンの映画を見ている
幼児は俳優たちが交わす会話の内容がさっぱりわからないことがあると
思うのですが(「未確認異次元生命体が云々」とか)、全然苦にしている
様子はありません。そんなことは気にせず、映画を楽しんでいます。
きっと息子たちにとって、英語の本を読んでもらうのも同じようなもの
だったに違いありません。

Harry PotterにせよThe Three Investigatorsにせよ、小学校高学年
くらいの子供が読む本には、私の息子たちが知らない単語や言い回しが
たくさん出てきます。しかし、わかるところの方が多くて、話の筋が
見えていれば、話の面白さに引き込まれて、わからないところがあっても、
一生懸命に聞いています。そして、知らない語が文脈の中で使われて
いるのを何度も聞いているうちに、その単語のイメージが徐々に固まって
いき、ある時点からはっきりとわかるようになってくるのです。
No sooner had she gone to bed than the doorbell rang.のような文も
文脈の中で聞いていると、息子たちは幼児の頃にその意味が理解できる
ようになりました。

中学生以上の英語学習者は通常そのような勉強はしませんね。教師も
親切のつもりでほんの数行の英文を50分の授業時間を使って、ああだ
こうだと説明し、生徒たちはその説明を聞き、さらに単語の意味もすべて
英和辞典を使って日本語に置き換え、完璧にわかったつもりになって
います。その結果として進学校といわれる高校で大学受験のための
英語の「勉強」をしてきても、生徒たちの「英語力」はきわめていびつな
ものです。私は担当している高校1年生たちがそのような変な英語の勉強を
せずにいいようにするため、もうすぐ多読の授業を始めるつもりです。

息子たちはいまだに英語の読み書きがあまりできません。少ししか勉強
したことがないからです。しかし、長男は来年中学生になり、否が応でも
英語の読み書きを習います。そのときには「公害」とも呼んでもいい、
あまり役に立たない中学校の英語教育に毒されることがないよう、
近いうちに多読を始めさせたいと思っています。

息子たちのために音読をし、たくさんの朗読テープを購入して食卓で、
あるいは車の中で聴かせてきたことが、結果として息子たちの
英語力養成だけではなく、私自身の学校英語をunlearnする素晴らしい
機会になりました。30代の半ばを過ぎるまでほとんど接することの
なかった子供の英語の世界にどっぷりつかることで、nursery rhymeも
たくさん読んで、歌えるようにもなりましたし、英語圏のおとぎ話を何十も
知りました。子供がいなかったら、Dahlの作品を始めとする多くの楽しい
童話の世界も知らないままだったかもしれません。

超長文になってしまいましたので、この辺で終わりとします。
では皆様、今後もよろしくお願いします。

Good luck to you all, and happy reading! 

▼返答


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