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お名前: shin
投稿日: 2003/11/7(18:12)
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PB入門としてkirinoさんが推薦されていたのがシェルダンのThe Sky is
falling。
おそらく人によってはThe Sky is fallingよりも易しく感じるのでは、と
思われるのが標題の作品です。
(こんな話)
ナノテク技術によって作られた微細ロボットが実験中に砂漠に。そのロボ
ットたちは自己複製能力を持つとともに、生態系用語でいう「捕食者」とし
ての機能もプログラムされていて、人間を襲い始める・・・というような話
です。
(こんな感じ)
クライトンを知らない人はこれだけ読むと、なんとなく不気味な三流ホラ
ーのように感じると思いますが(もっとも、それに近い?ところもあるんで
すが)、全体のトーンはSFXを多用したSFアクション映画の脚本みたい
なノリの本です。
版元のキャッチコピーは<ナノテク版ジュラシック・パーク>だそうで
す。
クライトンは着眼とアイディアの人。
最近はやりのナノテク技術によって、微細ロボットが製造され・・・とい
うあたりの「現実化しそう」な題材を選んで、味付けしているところに、
「アンドロメダ病原体」以来の「らしさ」を感じます。
まあ、あくまで娯楽作なので、深い感動とは一切無縁です。
(おすすめしたい人)
この手の話(含む映画)が好きで、やさしくて、ある程度長い(10万語
前後)のPBに(初)挑戦してみたいと思う人や、最近、カタイ本ばっかり
読んでいて息抜きをしたい人。
(特にPB初心者におすすめの理由)
この本の特徴として・・・
・場面展開が早い(ジェット・コースターPB)
・なきに等しい心理描写(笑)
一応、夫婦関係のことがあるにはあるんですが・・・。
・・・このあたりはシェルダンと同様の特徴ですね。
この作品が特にPB初心者にお奨めなのは、これらに加え、以下のような
特徴があると思うからです。
・一つ一つ文章が短くてすっと読める
GRのLevel5−6が読めている人には、それぞれの文章がかなり短く
感じられるのではないかと思います。
・会話が(かなり)多い
映画化を前提にしていて、脚本制作をやりやすくするためなのか、と
勘ぐりたくなるくらいに、数あるPBの中でも会話量は多いほうだと思
います。
会話も読みやすく、これが全体の読みやすさにつながっているように
思います。
・「ビジュアル」な描写
読んでいて場面が浮かぶような感じです。
・ページが多い
見かけでは500ページを超えているので、読み終わると「読め
た!」という充実感を感じることができそうです。一応、売れっ子作家
ですしね。
・語彙も・・・
一部、ナノテク関係、生態学関係の用語がでてきたりするのですが、
それ以外は難しい言葉はあまりでてきません。
極端にいえば、そんな用語は飛ばしても読めます。それではあんまり
という人は、あらすじを読んだり、検索エンジンなどで関係の知識を読
み流しておけば楽しめると思います。
クライトン(の原書)は初めて手をだしたのですが、読んだ感じでは、い
よいよクライトンも、シェルダンが辿ったように、日本語版権が早川書房→
「超○」へと鞍替えになるのでは?と思わせるような作品です。
レベル5−6を読んでいる人で、長さへの抵抗がなく、一部にでてくる用
語がわからなくてもこだわらないで読める人なら十分楽しめる本だと思いま
す。
やさしいPBだ!ということで、形式破りで紹介していまいました。
すいません。どなたかが正式な書評を書かれることを期待しています。
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