PBロマンス本 300万語通過報告

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[喜] 989. PBロマンス本 300万語通過報告

お名前: パピイ
投稿日: 2007/9/20(23:37)

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みなさま、こんにちは。
パピイです。

PBロマンス本も前回報告から、さらに100万語読みました。
その報告と読んだ本の紹介をさせていただきます。

■ 最初に
今回の報告は、PB9冊で、総語数は1,004,286語で、累計で3,015,665語になりました。

今回も前回と同じく、本の紹介をするにあたり、第一章、またはプロローグにのみこだわって紹介し、
後は全体の感想を述べるだけに止めておいて、できるだけネタバレをしないようにと考えました。

最初の章(一部主人公を紹介するために、その後の章を紹介したものもあります)の内容紹介は、その章を読んだ
直後に書いていますので、そのあと物語がどう展開するか全く知らずに書いており、その後手直しなどしていません。
そのため ********** で区切って、読後の感想を書いています。
この紹介方法で、その時感じたワクワク感が、すこしでもみなさんに伝わればうれしいです。

また最初に紹介する本の Amazon.comのレビュー数があまりに多くて、その後買う前、あるいは読む前には
必ずチェックを入れるようになりましたので、みなさんの参考のために記載しますね。ついでに、翻訳本の邦題も
記載しましたので、内容に興味がわいたけれど、今PBはちょっとねの方は、将来のために翻訳本を先に読んで
おくという選択肢もあります。

■ 本の紹介 (読んだ順に紹介しています)
◇ A Knight in Shining Armor / Jude Deveraux 語数:137,178語 ISBN:073457269
(時のかなたの恋人 428 customer reviews)
1564年英国、Nicholasは、彼の名誉、彼の領地、そして彼の家族未来にかかわる母親への手紙を一生懸命書こう
としていますが、聞こえてきた女性のすすり泣きに注意をそがれます。彼の周囲は厚い壁に囲まれ、3階にいるので
窓から聞こえてくるはずもなく、さてはこの世の者でないはずと思いますが、ペンを置き立ち上がって目を閉じ
「私に何の用だ?」と問いかけて目を開けると、遠くに明かりが見えます。

以上が、プロローグの3頁でしたが、なんのことかさっぱりわかりませんので、第一章に行きます。

1988年英国(えっ!!20世紀なの??) Dougless Montgomeryは、レンタカーの後部座席に座っています。
彼女は米国人で、最近親しくなったRobertと、彼の前妻との娘Gloriaと英国旅行中なのでした。男運の無かった
彼女にとって彼は理想の人と思われ、英国旅行に誘われた時はもう夢見心地でしたが、彼の愛娘が参加することに
なったところから状況は一変し、期待が大きかっただけに彼女にはとてもついていけないと感じるようになってきます。

ある教会を訪れたとき、ちょっとした誤解から喧嘩になりRobertは、彼女を置き去りにし、娘を連れて車で去って
行きました。過去にいろいろあって家族に頼ることもできない彼女が、Nicolas Stafford, Earl of Thornwyckと
書かれた大理石の彫像の前で泣き崩れながら、
父親の言葉 “You ought to find a man who doesn’t’t need you, but just wants you.”を思い出し、
“Help me find my Knight in Shining Armor. Help me find a man who wants me.”とささやいた後、
大泣きしていると、そばに男性が立っているのに気がつきます。彼はなんと、鎧を身につけていました。

以上が、第一章の途中、28頁でした。

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読み終わっての感想ですが、「まるで一本の映画を見たよう」です。ラストは、ハリウッド映画になったらこんな終わり方を
するだろうと思われるようなエンディングでした。

今までの経験から、ロマンス本は最初から面白い、本によっては一行目から面白いものであるべきと思っていましたが、
この本の最初の30頁(上に紹介した部分)はとてもかったるかったです。Amazon.comでの評価(レビュー数428)を
知らなかったら投げていたかも知れませんね。この後、ヒーロー登場で、物語はガゼン面白くなっていきます。

またネタばれになりますので、詳しく書けませんが16世紀の生活様式の描写は「世界史クラブ本」として
推薦したいくらい素晴らしかったです。

◇ All Through the Night / Connie Brockway語数:88,985語 ISBN:0440223725
(43 customer reviews)
1817年3月ロンドン、Colonel Henry Jack Sewardは、女家主に広場が見渡せる部屋に案内されます。
眼下では、政府への謀反の罪でJohn Cashmanの処刑が執り行われようとしています。Jackは、彼が銃器店に
押し入ったのは間違いないが、それは酒と精神的落胆のせいで、謀反とは関係ないことを知っています。予定通り
処刑は行われますが、処刑を見ていた人々から“Murder! Murder!”という声が上がります。Jackは“Indeed”と
呟いて去っていきます。

以上が、プロローグの5頁でしたが、なんのことかさっぱりわかりませんので、第一章に行きます。

1817年12月のロンドン、Wrexhall's Wraithとして知られている泥棒は、悪名高い金庫破りであった父から、
“Never assure you are safe. Never drop your guard.”との教えを受けていました。
今夜も、侯爵の家に忍び込み婦人の部屋の宝石を狙っています。父からの教え“Hide in plain sight.”で、
秘密の隠し場所を探し当て、中をのぞいてみると空っぽでした。

その時“No joy there, I’m afraid.”との声がします。驚いて振り向くと、そこにはSewardが立っていました。
泥棒は逃げようと画策しますが、Sewardの方が一枚上手で捕まえられてしまいます。彼は泥棒の体を探っていいて
愕然とします。その泥棒は女でした。彼女は色仕掛けで彼と交渉を始め、ちょっとしたすきをついて逃げてしまいます。

彼女は夜明けには、Anne Wilder未亡人として知られ、誰も彼女の素性に疑いをもたない社交界の一員になり
すましています。でもいつまでも安全ではないと感じていました。

以上が、第一章です。漫画「キャッツ・アイ」が思い起こされる設定ですが、この二人のロマンスはどうなるのでしょうか。

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読み終わっての感想ですが、「わたしには、英語が難しかった」です。
今まで読んだ本に比べると、知らない単語の出現率が高くて、ストーリーは十分追えたのですが、ディテールの理解が
いまいち不十分で楽しさに欠けました。ヒーロー、ヒロインとも暗い過去と、罪悪感にとらわれており、なかなかストレート
にお互いの感情を出せずにいるところが、もうちょっと読むことができるようになりたいと感じました。

こんな感想では紹介になりませんので、もう少し付け加えます。
物語は、Wrexhall's Wraithが盗んだとされる物を巡って進み、いろいろな登場人物がそれぞれの立場で活躍(?)
します。また「キャッツ・アイ」が思い起こされると書きましたが、ギャグはほとんどありません。

◇ The Bride / Julie Garwood 語数:110,000語 ISBN:0671737791
(太陽に魅せられた花嫁 157 customer reviews)
1100年スコットランド、Alec Kincaidは、妻Helenaの埋葬に立ち会います。
彼女の死は、キリスト教徒には許されない、自殺だったのでした。

以上が、プロローグの3頁でしたが、(実質2頁足らずで、半分が斜体字で書かれた独白で、Helenaを殺したと
述べています。誰の言葉でしょう?) ヒロインの紹介がなにもないので、続けて第一章に行きます。

1102年イングランド、Jamison男爵には双子のAgnesとAlice、MaryそしてJamieの四人の娘がいます。そして
みなを等しく愛していることを自慢してはばかりませんが、心の底ではJamieが自慢の娘でした。彼女は後妻との間に
生まれた子でしたが、結婚した時には、すでに戦場で亡くなった男の子を宿しており、血がつながってはいません
でした。Jamieは一番のしっかりもので、母親が亡くなった後、一家の女主人のように家族に尽くしていました。

この一家に大変な知らせもたらされます。国王Henryの命により、Jamieを除く三人の中の一人を、スコットランド人
Kincaidと嫁がせなければならなくなったのです。Kincaidは、彼の妻を殺したと噂されており、娘たちは恐怖に震え
ています。王の命令は、男爵が税金を納めなかったせいだとか、なぜJamieは対象外?とか、えっ!お父さん、
借金なんてしているのとか、花嫁に選ばれない方法を考えようとか、家族内でいろいろ議論が巻き起こります。
(この間の会話は、ユーモアがあって大変面白いです)

一方スコットランドの地元では、Alec Kincaidが英国女性を後妻に迎えることで非難が起きています。しかし彼もまた、
身を守るために、スコットランド王の命に従っただけでした。

以上が第一章です。さて、Kincaidと誰を選ぶのでしょうか?この展開では、たぶんJamieでしょうが(笑)
Julie Garwoodの作品を読むのは初めてですが、(この間の会話は、大変面白いです)と書いたように、
ユーモアたっぷりの文章もあり、これからの物語に期待が膨らんでいます。

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いや〜 とってもおもしろかったです。今読み終わってとても満足しています。異文化交流ものとでも言うのでしょうか、
イングランドとスコットランドの習慣の違いに戸惑うヒロイン、でもそれにめげずに自分のやり方を通し、ヒーローだけで
なく周囲の人にも愛されるようになっていく過程がとても面白かったです。プロローグはあったものの、エピローグは
無く、最後の頁まで楽しく読めました。

もう、★6つ つけてもいいくらいです。さあ、続いてスピンオフの「The Wedding」に行くぞ と思ったところで、
ハリポタの最終巻が届きましたので、ロマンスはしばらくお休みします。やさしいロマンスPBに慣れきっているので、
難しい児童書が読めるのかしら とちょっと心配。ほんとは、ハードカバーの重さの方が、もっと心配(爆)

◇ The Wedding / Julie Garwood 語数:114,000語 ISBN:0743467213
(124 customer reviews)
1103年スコットランド、ハイランド(州)、戦いで傷ついた領主Donald MacAlisterは、簡単に死にはしなかった。
息子のConnerを呼び、この敗戦の原因となった身内にいる裏切り者に復讐して欲しい、そしてAlec Kincaidに
会いに行けと命じ、息絶えます。Kincaidは隣国の領主で、長年父親の敵でしたからConnerは驚きますが、父親の
指示に従い、生き残った部下を連れてKincaidに会いに向かいます。

以上が、プロローグでしたが、ヒロインが登場しませんので、第一章に行きます。

1108年イングランド、Brennaはお転婆で、子守女にいつも世話を掛けていました。そのあげく「誰も、この子に
夫を見つけられないでしょうね」などと、母親に言われる始末。でも彼女は「自分で見つけるもん」と言い返します。
ある日三人の巨漢がやってきました。その中の最も背の高い男を見て「彼と結婚するわ」と姉にささやきます。
子豚をペットにするため、親豚のすきを狙って盗みだしますが、泥で滑って音を立て気付かれてしまい、
追いかけられます。それを救ったのは例の男で、彼女は彼の耳元でなにか囁きます。彼は、仲間から
Connerと呼ばれていました。

以上が第一章です。Brennaは、さきのような女の子。プロローグに登場したConnerは9歳か10歳。
これではロマンス本の紹介としては不十分なので、第2章に少し入ってみます。

1119年スコットランド、成長したBrennaが、スコットランド領主MacNaeとの政略結婚のためにハイランド(州)に
向かっていた途中、顔にwar paintを施した恐ろしげな戦士たちに取り囲まれてしまいます。恐れおののく彼女が
「お前たちは、何者?」と問いかけると、「MacAlisterの者で、あなたを守るためにやって来た」と答えます。
戸惑う彼女に、戦士の一人が語りかけます、「あなたは我々の領主に、結婚してくれと頼んだ」と。

はてさて、この先ロマンスはどのように展開するのでしょうか?また、妻の尻に敷かれ(ているはず)のKincaidは
どんな役回りを演ずるのでしょうか、とても楽しみです。

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読み終わっての感想ですが、正直(前作がパワフルだっただけに)なんだかなー、でした。
先に紹介したところ以降は、かなり面白かったのですが、後半はちょっと中だるみかな。

そうそう、この本のタイトル「The Wedding」がどうして名づけられたのかなと読みながら思っていましたが、
最後の方で、ああそうなのかとわかりました。

◇ Everything and The Moon / Julia Quinn 語数:84,343語 ISBN:0380789337
(48 customer reviews)
1809年英国ケント州、Robert Kemble, Earl of Macclesfieldは、湖畔にたたずむ女性を見たとたん恋に落ちて
しまいます。その女性は、今まで見た最高の美女いうわけでもなく、知性に魅了されたわけでもありませんが、彼には
「She is perfect」と思えました。

彼女Victoria Maryは、牧師の父親の仕事で、近くに引っ越してきたばかりでした。彼との邂逅もまんざらではなく
キスもゆるしてしまいますが、「君と結婚することに決めた」との言葉に動揺します。

家に帰っても、感情は高ぶったままで、妹の言葉も耳に入りませんでした。そしてやっとのことで眠りに就いた彼女を
呼ぶ声がします。Robertが、月夜の晩に誘いに来たのでした。あきれながらも、ここで断ると後悔すると思い、彼に
ついて行きます。お互いの愛を確かめた後ではなんでもこい状態(笑)になり、「I want the moon!」と叫ぶ彼女に、
「I’ll give you everything and the moon.」と答えます。

以上が、第一章でした。双方ともに一目惚れですから、しょうがありませんが、盛り上がりにかけますね。

表紙をめくると、著者から読者への言葉があります。
「I’m going to admit something that no romance novelist should ever say in public:
I don’t believe in love at first sight. The first date, maybe, but first sight?」と始まり、でもこの作品で
新しい挑戦をしてみようと、ヒーローを最初の行で恋に落してみたら、その後は魔法にかけられたように作品を
書き続け、最初の章が終わるころには、non-believerだった著者でさえ、RobertとVictoriaは本当に深く
激しく恋に落ちていると信じるようになってきた。そして、双方の父親の邪魔さえ入らなければ…。

さあこの先どのようにロマンスが展開するのでしょうか。文章はQuinnらしくコミカルな会話もあり、
とても読みやすいです。

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読み終わっての率直な感想ですが、「期待したより、面白かった」です。今まで読んだ本で面白かったのは、
この組み合わせで、ロマンスが成り立つの?の設定で、次第に二人が恋に落ちて、それを自覚するまでの展開という
本が多かったせいで、最初に双方が一目惚れでは、この楽しみはないよねーと思っていました。

でも、ちょっとした邪魔でお互いが裏切ったと思い込み、苦しんでいく中で誤解が解けていく(これは、ネタばれでは
ないですよね)という筋書きが、先ほどの「それを自覚するまでの展開」と同じように、楽しめました。

繰り返しになりますが、文章はコミカルな会話がたくさんあり、またとても読みやすく、sensual度も低いので、
初めてのロマンス本としてもお勧めします。

◇ It Had to Be You / Susan Elizabeth Phillips 語数:124,163語 ISBN:0380776839
(あなただけを見つめて 91 customer reviews)

Phoebe Somervilleは、彼女の父の葬儀にフレンチ・プードルと、ハンガリア人の恋人を連れてきたことで、
ヒンシュクを買います。彼女はあることがきっかけで、18歳の時に内を飛び出し、パリ、ニューヨークと移り住み、
葬儀のために久々にシカゴに帰って来たのでした。アメフトのChicago Starsのオーナーであった父親の葬儀で、
彼女のダイナマイトボディとセクシーなコスチュームは、多くの男性の視線をくぎ付けにします。

腹違いの妹Mollyとの仲もしっくりいかず、フットボールチームは、甥のReed Chandlerが受け継ぐものと、みなが
思っていたので、翌日ニューヨークに立とうとしますが、弁護士が財産のことで話があると言ってきます。

以上が、第一章ですが、誰がヒーローなのか釈然としませんので次に行きます。

弁護士の話は、驚くべくものでした。彼女がチームのオーナーに指名され、チームをリーグ優勝に導けば、
そのままオーナーで居続けられ、できなければ、Reedがオーナーとなり、彼女は10万ドル与えられます。
もちろん条件付きで。10万ドルもらうためには、毎日チームに顔を出す必要があったのでした。

さらに弁護士は、父親からの手紙を渡します。それには「I regard you as my only failure.」と書かれていました。
手紙を読んだ彼女は、18歳の時のいまわしい出来事を思い出します。

以上が第二章30頁までですが、まだヒーローが登場しませんね。

さて第三章は、チーム監督のDan Calebowが友人に、Phoebeがオーナーになったことをグチルところから
始まります。今までの流れから行くと、彼がヒーローで、ヒロインと一緒にチームを優勝に導く筋書きなのでしょうが、
今まで読んで来たヒストリカルに比べると、進展がかったるいですね。さて、この先ロマンスはどうなるのでしょうか。

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初めの頃は進展がかったるいとおもっていましたが、百頁過ぎたくらいから俄然面白くなってきます。
そして読後感は、良かったーと思えるヒストリカルロマンス本と同じくらい素敵でした。

そうそう読みながら、なぜかこの設定以前読んだようなはず?という気がしてきました。もちろん、ロマンス本では
初めてのコンテンポラリーなのですが。それは、二番目に紹介した「The Bride」が思い出されたからでした。

12世紀と、20世紀では800年もの違いがあるのですが、芸術には興味があるがスポーツは?のお嬢さんが、
野蛮人とも思えるアメラグの世界に踏み込んで、女の武器(?)で、慣例にとらわれずに、オーナーとして引っかき回し、
フットボールしか頭にないと思われたヒーローが、結構繊細な神経の持ち主で、家庭志向きだったり、アメラグ界では
5指に入る強暴(?)と思われる選手が、淡い恋心を抱いたりしていたりと、結局人間って昔も今も、そんなに変わら
ないのだなあ、だからロマンスは不滅なのでは!と感じさせた一冊でした。

ただ、ネタバレになりますので詳しく書けないのですが、ヒーロー、ヒロインの過去の体験や、近年の状況は
ロマンス本愛読者の一部(?) には受け入れにくいのでは、という感じも受けたことは事実です。
そのため最初の方は、少し読みにくいと感じました。

ということで、スピンオフのHeaven, Texas を次回作として準備していたのですが、ヒストリカルに戻ります(苦笑)。
この本は、次回報告に入れようと思っています。

◇ Candle in the Window / Christina Dodd 語数:121,198語 ISBN:0061040266
(22 customer reviews)
1153年イングランド、「Do you want her?」の声に、Lord Peter of Burkeはビクッとします。その声は、
当主Theobaltのもので、彼はその家の女性Sauraに見とれていたからでした。彼女はTheobaltの前妻の
連れ子で盲目でしたが、身のこなしも優雅な美人で、家を切り回し、それとは感じさせませんでした。

彼は、Sauraに「どうやって、視力の無さに対処しているのか。だれに教わったのか」と、問いかけます。彼には
勇猛な騎士Williamと言う一人息子がいますが、2か月前の戦闘中のけがで視力を失い、人前で物笑いに
されるのがいやで家に閉じこもり、自分を哀れんでいたのでした。

彼は、彼女なら息子を助けることができそうだと考え、城に来て息子を助けてやって欲しいと頼みます。それも
Housekeeperとして。というのは、息子は間違いなく若い盲目の女性の助けなど要らないと言うと思ったからでした。
そのため有能なHousekeeperとの触れ込みで、むさ苦しい男所帯を立て直すために呼んだということにして、
馴染んだところで、年配の盲目の熱心な教師であるということにして、敬意を抱かせてから指導を受けさせる作戦を
立てました。

城にやってきたSauraに、Williamは「わたしは今のままで、十分幸せだ」と言いますが、「私は、盲目の半人前の
男でも、何かの役に立つことを考えつけると思っている」と言い放ちます。

以上が第一章ですが、良い出足ですね。他の人々のように腫れ物に触るような態度でヒーローに接するのではなく、
哀れみすら見せず厳しい態度を示すヒロイン、この先がとっても楽しみです。

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「この先がとっても楽しみです」と言ったものの、そんな安易な作戦で話が持つのかなと思っていましたが、
ある事件がきっかけで、ある種の冒険が始まり、結構楽しめました。

今まで読んで来たヒストリカル・ロマンス本には、歴史上の有名人があまり登場しませんでしたが、この物語の舞台が
12世紀の英国ですから、ノルマン征服(1066年)を引きずっており、登場人物にもそれが色濃く出ています。英国史
に興味がある方にはその方面でも楽しめると思います。

タイトルの「Candle in the Window」を最初、『Candle in the Wind』と勘違いしており、「風前の灯火か〜」と
思っていました(爆) ヒロインが盲目の美少女で、危険な目にあることから名付けられたのであろうと思っていましたが、
最後のセンテンスで、その意味が説明されますので、最後の行まできちんと読みましょう。

「盲目の美少女」と書きましたが、ヒロインは19歳ですが、物語の中で「本来ならば13歳で、お嫁に行っている
はずなのに」などというコメントがあり、時代を感じさせます。

◇ Where Dreams Begin / Lisa Kleypas 語数:106,101語 ISBN:0380802317
(79 customer reviews)
1830年ロンドン、愛する夫Georgeを3年前に亡くして喪に服していたLady Holly Taylorは、久々に舞踏会に
復帰しますが、突然場違いな場所にいるような感覚に襲われます。早々に引き上げようとする彼女は夫の弟から、
馬車を手配するまで目を避けた応接室で待つように言われます。

待っている彼女は、見知らぬ背の高い男につかまえられ暗い屋外に連れ出されます。どうやら彼は人違いしている
ようですが、彼女が声を上げる前に、彼女の口を彼の口がふさいでしまいます。その男は社交界に来る紳士らしくなく
日雇い労働者のように筋肉質の体と低い声を持っていましたが、そのキスは、今まで経験したこともないものだった
ので、彼女は戸惑います。

誤解も解けてその場を去ろうとする彼女に、彼はもう一度のキスを頼みます。いけないと判っていながらも、彼女は
さからえずに唇を許してしまいますが、ふいに涙がこぼれます。どうしてとの問いを無視して、足早に逃げ出す彼女。

彼は舞踏会の女主人から、彼女のことを聞き出そうとします。女主人は、役目があるからと断ろうとしますが、
彼の魅力の前では逆らえませんでした。

家に帰ったHollyは、4歳になる一人娘の寝室に行き、当時の男性と異なり子育てに熱心で、娘に愛情をいっぱい
注いだ夫を思い出し、Georgeの代わりになる男はいないはずと思います。

以上が、第一章ですが、いつもながらKleypas最初からきっちり読者をつかみますね。でも、ヒーローの説明が
少し足りないので、次に行ってみます。

Zachary Bronson needed a wife. (これが第二章の冒頭です) というのは、貧しさから這い上がり自力で巨万の
富を得たものの、彼が雇える召使たちは、新米か、訳があって解雇された者たちで、経験をつんだ有能な者は
誰一人としていませんでした。その上、きちんと家を切り回す女主人もいないともなれば、仕事どころではありません。

友人の「ふさわしい女性を妻にすれば」との助言に、初めて結婚について考えます。そして名門の血筋の女性との
結婚で、上流階級への参加も夢ではない・・・

以上が、第二章の途中25頁までです。

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ヒロインに本気で恋してしまい手を出せなくなったヒーローと、亡き夫のことをいつまでも忘れられないヒロインの恋。
読みながら思わず「うーん!!」とうなっちゃいました。なぜなら、今まで読んで来たKleypasの作品と趣が少し
異なって、しっとり系で、とっても切なく心に迫ってきたからでした。

ドラマチックな展開はありませんが、2人の間に醸し出す緊張感と、描写にSensualではないEroticさがあり、
またヒーローに感情移入しやすかったこともあり、とーってもよかったです。Sensualではないと言いましたが、
最後の方ではしっかりKleypas的な展開になっています(笑) 一般受けするかどうかわかりませんが、パピイ的には
今まで読んできたKleypasの11作品の中では「一番好き」と言ってもいいくらいでした。

ヒーロー、ヒロイン以外の登場人物、つまり脇役の娘のRose、亡き夫の友人も重要な役割を果たしており、
ドラマチックな展開はないと書きましたが、けっこう中身が濃い作品でしたね。

そうそう、物語の中で貴族社会のマナーについて述べられているのですが、貴族の称号、呼び方の詳しい説明が
あり、なあ〜るほど と思わず勉強にもなりました。

◇ A Summer to Remember / Mary Balogh語数:107,784語 ISBN:0040236630
(47 customer reviews)
ロンドンのHyde Parkの5月の朝、ひとりの紳士が、見るからに下層階級の3人を相手に喧嘩しています。
その紳士、Christopher “Kit” Butler, Viscount Ravensbergは、連れのいなかった乳搾り女にちょっかいを
出した者たちをこらしめるために戦っていたのでした。勝ったものの、それを見ていた貴族たちから、彼の言葉使いや
上半身裸の態度が紳士らしくないと、ひんしゅくをかいます。その上、助けた女性に抱きつかれてキスされるところまで
見られてしまいます。おかげで彼の悪評が、またひとつ増えました。

この光景を目撃していたひとりに、Miss Lauren Edgeworthがいました。彼女は昨年の夏、結婚式の当日教会の
入り口に入ったとたん、死んだと思われていた婚約者の妻が突然現れるという大スキャンダルに見舞われ、田舎での
暮らしが耐えられなくなり、友人からの招待でロンドンに来ていました。そして例の紳士と目が合ったとたん、
彼女の頬は火照ります。

Kitは、友人たちに「What I really need is a bride.」と言います。今度の夏の、彼の祖母の75回目の誕生日
プレゼントとして、彼の父は息子の婚約を考えていたからです。「誰と?」との問いに、亡き兄の婚約者と答えます。
彼は突然跡取りとなり、軍役から引き戻され、気の進まない相手と婚約させられることになったのでした。それを
回避するためには、誰もが認める婚約者を探し出さねばなりません、それも至急に。

確かに彼は、ハンサムで、爵位もあり、将来を嘱望されている一方、今まで築いてきた放蕩者としての悪評を考えると、
世間体の良い女性の誰が彼との結婚を望むのでしょう。そこで新参者ならばと考え、友人はMiss Edgeworthの
名を挙げます。もう一人の友人は、例の結婚式のスキャンダル知っており彼に話します。彼女は公爵夫妻のもとに
身を寄せており、伯爵などとも付き合いがあり、彼らは彼との結婚を認めないだろう、また彼女は誰とも結婚する意志が
ないと言っているよと、ある友人は忠告します。

彼はそれも意に介さず、彼女をものにすると宣言します。それも6月末までの6週間以内に、彼女と結婚できるか
どうかで、友人たち3人と賭けをすることになります。そして近々行われる舞踏会に出席することになります。

以上が、第一章です。この組み合わせで、ロマンスが成り立つの?それも短期間に?の設定ですね。
この先がとっても楽しみです。

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読み終わっての感想ですが、「やはりMary Baloghの作品は素晴らしいです」の一言です。

第一章からだけですと、このヒーロー親への反発から見たこともない女性との結婚を決意するなどという 変なやつに
思えますが、物語が進むにつれて、彼の過去の暗い影が明らかにされ、実は根は誠実な人間であることがわかって
きます。またヒロインも過去のスキャンダルで、すっかり結婚をあきらめていましたが、Kitの求愛によって変貌して
いきます。この二人の主人公たちが心を通わせていく様が、とても自然でしっとりと描かれており、大変良い作品だと
思います。

ただ英語は少し難しめで、かつ登場人物がたくさん出てきて、この後のスピンオフSlightlyシリーズにつなげるためで
しょうか、脇役もていねいに描かれていますので、初心者向きの作品とは言い難いですね。

次回報告でSlightlyシリーズ3冊読もうと思っていましたが、そんなに早く読んでは もったいないので(笑)、
これからの報告で1冊づつ読もうかと考えています。ということは、Slightlyシリーズ6冊を読み終わる時は
900万語報告になっちゃいますね(爆)

■最後に
今回の報告でも、面白い本、楽しい本にいっぱい出会えました。でも途中で、ハリポタの第7巻の発売があり
ちょっと横道にそれていましたが、掲示板や、ブログで洋書ロマンス本愛読者のみなさんも同じ時期にハリポタを
読んでいらっしゃるのを知って、ちょっとうれしかったです。

最近書店の新刊書コーナーで、「太陽に魅せられた花嫁」を見つけたときには、びっくりしました。というのは、
よく表紙を見ると、「THE BRIDE by Julie Garwood」と小さく書かれており、その原書を読んだばかりだということに
気がついたからです。このことがきっかけで、今回から邦題も一緒に記載することにしました。
ところで、あの内容からどうやって『太陽に魅せられた』という言葉が出たのでしょう?

翻訳の最新刊で「異国の子爵と月の令嬢」というのがあります。原題は「Rules of Surrender」 (Christina Dodd)と
いい、The Governess Brides Series 全7作の第1作目で、次回紹介の予定に入れました。
邦題の『月の令嬢』とはなんのことでしょうか?興味がそそわれます。

掲示板や、ブログ、Amazonのおすすめ、さらに翻訳本からの刺激で読む本には困りません。
やっと300万語読んだというのに、もう300万語以上の未読本が待機しています(笑)。
でもロマンス本愛読者の方々から見れば、えっ それだけなの! なのでしょうね(爆)。

ではみなさん、Happy Reading!


▼返答


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