[掲示板: 〈過去ログ〉PBの掲示板(ネタバレ可) -- 最新メッセージID: 1182 // 時刻: 2024/11/22(22:15)]
上へ | 前のメッセージへ | 次のメッセージへ | ここから後の返答を全表示 | 返答を書き込む | 訂正する | 削除する
お名前: Raquel
投稿日: 2006/10/7(23:11)
------------------------------
久子さん、こんにちは。
すごい、すごい、えらいです!
初めてヒストリカルロマンスを読まれる方が疑問に思いそうなところを
たくさん解説されてて、とってもためになります。
私も思いたったことはあるんですが、挫折しました。
私が日頃何気なく使っている言葉も、付け加えさせてください〜。
以下順不同に、コメントも混ぜつつ。
Regency
リージェンシー。摂政期。
1810年頃〜20年ころ、ジョージ4世が摂政を務めた時代。
ヒストリカルで人気のある時代。
Prinny
ジョージ4世のこと。この時代の Prince of Wales といえばこの人のこと。
女性にだらしないとか、巨漢だったとか、よく登場します。
ton
これ、未だになんと訳していいか分からないんですが、「上流社会」のことかな?
なぜか "ton" と、必ず、斜体で書かれます。
season
社交シーズンのこと。
普段は地方の所領に住んでいる貴族たちが、社交を楽しむためにロンドンにやってきます。
イコール、結婚マーケットの時期だったりします。
Bow Street Runner
現在の警察の前身にあたるもの。
お金を受け取って個人的に人捜しをしたり、事件を捜査したりもします。
P.I(私立探偵)みたいなこともしてたってことかな?
特に、"Lady Sophia's Lover"と続編"Worth any Price"での重要語。
blue stocking
知的で学問を好む女性に貼られるレッテル。どちらかというと悪い意味で揶揄して使われる。
ちゃんとした語源があるんですが、フェミニズムに関係のある語だそうです。
spinster ヒロインには、blue stocking が多いです。
〉courtesan
〉有名人? としては 椿姫のビオレッタがこれだったはず。
〉頻繁には出てきませんが、適当な訳語がないように思います。
うーん、「高級娼婦」とか?
courtesan > mistress > whore, harlot
高級 → 普通 → 低級
とらえ方としては、こんな感じ(爆)?
〉Mistress
〉男性からみた 愛人 のこと お手当てや待遇についてきちんと契約をするもののようです。
〉小さい家(といってもそれなりの)、その家を維持する為に必要なだけの使用人、
〉自由に使える専用の馬車、服にアクセサリーなどを男性側が用意します。男性の
〉経済力によって、内容は異なってくるのと思います。
〉どんな人がなるか っていうと 女優や歌手 Working Class (労働者階級ってのかな?)
〉または、没落した貴族や上流階級の人 のようです。
有閑マダムや未亡人など、お金に困ってない女性もでしょうね。
Courtesanに比べると、日陰の女とか秘密の間柄という印象が強いです。
〉これに対して、Lover というのが 今ひとつ良く分かっていないです。19世紀イングランドの
〉上流社会では、女性が恋人の男性を指している というところまでかな。
〉例えば、公爵夫人が俳優とお付き合いしている場合、この俳優は公爵夫人のLover と呼ばれますが、
〉Mistress のように契約を結んでいるのかどうかまでは不明。
Lover については、あまり気にしたことがありませんでしたが、いわれてみればそうですね。
"Lady Sophia's Lover"も Lover だし。
あ、beau とは違い、肉体関係が含まれることが必須条件でしょう。
〉chaperon、Governess、Companion は、良家の女性が 生活に困って働かなければならないときに
〉それほど対面が崩れない範囲のお仕事です。
うーん、governess、companion は職業だけど、chaperon はお仕事ではないかな。
大概は親戚の未亡人とかで、社交界に顔の利く女性に頼みます。
Almack など人気の舞踏会の招待状を手に入れられるかは、chaperon の腕にかかってきたりします。
あの男性はギャンブル狂だとか、酒飲みだとかいう悪い噂を知っていたり、
男性の懐具合に詳しかったりも、よいchaperonの条件です(笑)
貴族の間では、お金のやりとりをするのは下品なことと考えられているので、
お礼のしるしとして宝石をあげたりすることはあると思いますが、現金を渡すことはないかな。
〉suitor もヒストリカルには良く出てきます。うーん、でも使い分けているので
〉意味合いが少々異なると思います。どちらかというと男性の方がその女性のことを好きな
〉印象が強いです。
私の印象では、求婚者あるいは、結婚を目的に求愛活動する男性といったところ。
関連語
court、courtship
これも日本語で適当な訳語が思いつかないんですが。。。
「結婚の意思があって(←これ重要)」、女性に求愛活動すること。
女性のお宅を訪問して、他のsuitor と混じって、厳しいシャペロンの監視の下で
お茶したり、馬車で散歩したりとか。
花は別として、現代男性のように、物(服とか宝石とか)を贈ることはありません。
そんなことしていい相手は、妻か mistress だけなので、侮辱されたと怒られます。
guardian
親を亡くした子ども(成年前の男性・女性も)の法的責任者。
たいがい、遺言で任命され、財産の管理をしたりします。
guardian に面倒をみられる相手は、ward と呼びます。
guardian と ward のロマンスも定番。
rake、 rogue、 scoundrel
これ、辞書で引いても似たような訳語が出てくると思うんですが、
簡単に言えば、ワルな男、Bad boy です。
rake < rogue < scoundrel の順に悪いのかな?
rake といえば、女癖の悪い男といった印象で、ヒーローに多いんです(笑)
ruin
これも日本語にするのが難しいんですが、「傷ものにされた」というニュアンスの言葉。
例えば、男性と二人きりで話しているとか、一晩に同じ男性と3回以上ダンスしたとか、
それだけで、"ruin"されてしまう(評判が悪くなる)かと思えば、
そのものずばりの行為(キス含む)のことも指しています。
お嫁に行けなくなっちゃった、って感じかな?
gentleman がこのような状態に陥ったときは、結婚を申し込むのが常識。
金持ちの heiress を捕まえるために、わざとこんな状態をセッティングする
悪い男もいます。
その言葉の性質上、受身形でみることが多いですが、まれに例外も。
例: Now that I've ruined you, you must marry me.
学生時代には、「遺跡」と覚えていたこの単語、意外な形での再会でした(笑)
reputation
強いて日本語にしたら、「評判」?
この時代の女性にとっては、とっても大事なもの。
reputation が ruin されてしまうと、お嫁にも行けないし、
まともな職にも就けません。
その他、この時代は特に身分社会なので、敬称に伴う呼び方
(lord, sir, Mr., lady)など、私もまだ解説できる域に達してないのですが、
この辺は読んでいくうちに分かってくると思います。
貴族の継承権は長子にしかないので、次男坊以降はどんなに家柄が良くても
みんな Mr. です。
(heir のいない親戚が爵位を残してくれたりすることもありますが)
腐っても貴族、貧乏でぶっさいくでも伯爵と結婚した女性は、
ハンサムな金持ちであっても、ただのMr. と結婚した女性を見下していたりします。
Duke > Marquis > Earl > Viscount > Baron
爵位の高い順です。これだけは頭に入れておくと、読みやすいと思います。
訳語は、今でもごっちゃになる私です(爆)
ここに挙げたのは、特に読み始めの頃分からなかった単語や、社会の仕組みです。
たくさん読むうちにだんだん分かってくると思いますが、最初の1冊を読む方は、
これだけ知っていると読むのが楽かもしれません。
中世やアメリカ西部ものは、また全然語彙が違いますので、機会とご要望があれば
解説したいと思います。
ではみなさま、ロマンスで楽しい読書を♪
▲返答元
▼返答