ロアルド・ダール”来訪者”に関する一考察

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363. ロアルド・ダール”来訪者”に関する一考察

お名前: 間者猫 http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Keyaki/6250/
投稿日: 2004/1/22(06:30)

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投稿しようかどうか迷ったんですが
自分の内を整理するために書かずにはおれないので書きました。
無知な自分への自戒も込め、今の自分にできることは投稿することだと考えました。
邦訳で確認していないし、100%読めているわけではないので
完全な読み間違いがあるかも知れません。

”Switch Bitch”, Roald Dahlに収録されている”The Visitor”は、
”Leprosy”という言葉と意味が分からなければ全然分からない話です。
ついに辞書を引いてしまいました。
しかし、引いたからといって”面白かった。なるほど!”というのではなく、
むしろとても悲しい気持ちになりました。
書かれた当時の時代を反映しているとはいえ、
昨今では黒川温泉宿泊拒否事件に代表される”Leprosy”の悲しい歴史を省みる時、
今、これを読んだ私自身を含めた無知な読者が差別を助長しないかが心配です。
私自身、かなり前に邦訳”来訪者”を読んでいたはずなのですが、
全く覚えていない(不覚)。いまさらながら情けないです。
筒井康隆さんの断筆宣言に代表されるような言論・表現の自由への干渉ではなく
過去の認識の上に書かれた本は本として受け入れ、言論・表現の自由を保障した上で、
読者に”Leprosy”の現状認識を知る術を与え、
それぞれ個人が判断すればよいのだろうと思います。
邦訳では”Leprosy”の現状について”あとがき”あたりで掲載してほしいものです。
こういう作品に出会うと次の作品を読むのが億劫になってきます。
こういう議論が起こると必ず公権力の介入を望む声があがるのですが
私は間違っても公権力に判断を委ねることはしたくないです。
 
とここまで書いて、やはり邦訳を確認しておこうと思い、
図書館で”来訪者”を借りてきて確認してみると、
なんと”レプラ”とカタカナでそのままではないですか! 最悪!
もう怒りが込み上げてきました。
訳者も苦肉の策として”レプラ”としたのでしょうが、
これだと全然味も素っ気もない作品に仕上げられてしまいます。
”She has leprosy”と読んだ瞬間に全てが明らかになるのに全然落ちない。
つまらない作品に仕上げられてしまったものです。
これなら堂々と日本語訳をあて、公に議論するべきだったと思います。
まさに筒井康隆断筆宣言と同じ構図ではないですか!
つまらない自主規制のおかげでつまらない邦訳に仕立てあげられて
本当に怒り心頭です。


▼返答


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