マチルダ(読書感想文):Holesに続いて、めちゃネタバレ?

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264. マチルダ(読書感想文):Holesに続いて、めちゃネタバレ?

お名前: MOMA親爺
投稿日: 2003/10/30(18:23)

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マチルダ読みました。なんか震えがくるような物語でした。感激しました。
もしお読みでない方は、ここでお止め下さい。でも、書きたい。

★最後のシーンから・・・。★

去っていく車のなかで、お兄ちゃんだけが振り返りマチルダに手を小さく
振るシーン。生まれて以来昨日まで一つ屋根のもとで生活を共にした妹への
突然の別れに対する純粋な切なさの表れなのでしょうが、でも私は「ああ。
この子だけはマチルダの生き方に影響を受けているな」とも思い、この家族も
ひょっとすると救われるかも知れないと感じました。甘いなあMOMA親爺。

★ 感想★

この物語はマチルダが主人公ですが、読み進めるうちに「いや本当はMiss
Honey」の物語ではないのか?と思い始めた小生。Miss Honeyはマチルダに
会えたことで救済される、それがこの物語の本筋ではないのか。多くの子供達
は初めはマチルダへの共感から、やがて次第にMiss Honeyへのより深い憐憫
の情に落ち込んでいくことでしょう。なぜならMiss Honeyの生い立ちのほうが、
余程現実的であり、なかには自分の事を書いてくれているのではないかと共感
をよせる子供すらいるのではないかと思うからです。

一方マチルダといえば、これは逆説的ながら羨望の対象。逆境ではあります
が、この子には希望が見えます。「一人で生きているのがかわいそう」だけど・・・。
マチルダはひょっとするとヒロインになれるがMiss Honeyはおそらく無理です。

親子の関係は子供にとって絶対的で、保護者への生まれながらの束縛は底知れ
ないものです。切ろうと思っても切れるものではない。親子(保護者)の関係
は、特に子供にとっては世界の全てだからです。
仮にどうしようもない存在と頭でわかってても、どうにもできるものではない。

でこの本を読み通すと、究極的なメッセージが見えてくるのです。

『親子といえども、切らなくてはいけないと思ったらスパッと縁を切っても
いいんだよ。それで君が救われるのなら。』

現実に親子の縁を切れる子供なんて、あるいは切らなければならない状況なん
てそうはないでしょう。いや親子の関係でなくてもいいんです。これは象徴で
すから。自分を取り込み、呪縛するどんなものでもいい。子供ながらにして、
もうすでにあきらめている関係性。一見絶望的なしがらみ。

しかしこの本から読みとれる(かもしれない)究極のメッセージがどれだけ
子供を楽にするか。特にある種の境遇にいて、逃れられない子供達にとって。
そこがダールの言いたかったことではないかと思うのです。
この本ではその希望の象徴としてマチルダが造形されたのかな。クールな
ダールだから、こちらも思い切りクールに考えてみたい。

★ 最後のシーン再び★

Miss Honeyの腕に抱かれるMatilda。この子は生まれてから、ひとに抱擁され
たことがあるのだろうか一瞬思いました。あの絵には救われたような気持ちに
なります。御多幸を祈っちゃう。

(いや、だめだだめだ。クールを貫き通すなんてやはり無理だな。)

こんな本がこの先いくつもあるかと思うと、多読はやめられません。
「マチルダ」いつか子供が読んでくれないかと切に切に願います。


▼返答


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