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884. こんなのあり?!いきなりフランス語4万語読んじゃった!
お名前: 杏樹
投稿日: 2005/5/12(00:17)
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英語以外の多読をしている人も、していない人も、みなさま、こんにちは。
まったくの予定外で、突然フランス語を一気に読んでしまいました。いきなり44000語超えてしまったんです!
フランス語は1000語未満の絵本を数冊読んだだけで止まっていたんです。
英語と中国語に忙しいので読んでいる余裕がなかったということもありますが、何よりも「読んでもわからない」というところがネックだったんですよ。なにしろわかる本を集めるのが大変で、それならばマンガを検討してみましたが、検討しているだけで延ばし延ばし…。
だったのに!!!
それがなぜ突然読み始めたのかというと…
それは紀伊国屋書店をウロついていた時。本屋さんへ寄るのは危険だからやめようと思いながら、時間が空いていたのでついフラフラと…。空いているといっても少しだけなのでちょっと寄ってすぐ出るだけのつもりが…。
洋書コーナーをブラブラして「英語以外」の洋書のところに来ました。フランス語の本が並んでいます。とても読めそうにありません。「無理だよな〜」と思いつつ、薄い児童書らしきものを手にとって見ます。やっぱり無理…。しかしそこに「Le Petit Nicolas」(プチ・ニコラ)があるのを見つけました。プチ・ニコラは確か昔授業で紹介してもらったお話です。日本語訳も出てたはず。フランスの小学生の男の子を主人公にした短いお話を集めたものです。そして最初2〜3行を見てみると、何が書いてあるか、だいたいわかったんです。そしてふと思いました。絵本は語数が少ないとかえって1〜2行わからないと内容がわからなくなってしまいます。でももっと長いお話だったら、1行や2行、いや、もっと何行も飛ばしても、おおまかなお話がつかめるということがあるかも…、と。英語も短い絵本はむしろ難しかったりしますから。それで思い切ってそのプチ・ニコラと、もう一冊近くにあった薄い児童書らしき本を手に取りレジへ向かってしまったのです。
やっぱり危険です、本屋さんは。
そして「プチ・ニコラ」を冒頭2〜3行がわかった勢いで読み始めました。…でもそこから先はさっぱりわかりませんでした。なのに!?何が書いてあるかわからないのに最初の1話を読んでしまったのです。そして更に次のお話に進みました。やっぱりわかりません。1ページあたりの認識語彙は数語程度、イラストが多いので理解の助けにはなりますが、ごくおおまかなことしかわかりません。それでも読みました。わからないのに?!??なぜか読んでしまうんです?!?!?
そしてすっかり「フランス語読みたい」モードになり、連休を利用して積んでいたフランス語の絵本を引っ張り出して…一気に読んでしまったのです!
まずSEGの多読セット。これは一番やさしいはずなんですが、それでも読みきれずに残っていたものです。それを一気に読みました。わからないところもありましたが、よく知っている童話でもあり、けっこうわかった気になって読めました。
「リサとガスパール」の未読分も一気に読みました。わからないところは多かったですが、それでも目は通しました。
「マドレーヌ」「がまくんとかえるくん」は、英語で読んでいたのでわかりやすかったです。
しかし、「がまくんとかえるくん」は多読を始めてわりあい早い時期に購入していたのですが、2ページほどで挫折してたんです。いくら英語で読んでよくわかっているとはいえ、そのままフランス語もわかるというわけには行かなかったんです。なのに、今読んだらすら〜っと読んでしまいました。一体どういうことでしょう?!?理解度がそれほど上がっているとは思えないのに。
そして未読の絵本で字の少ないもの。絵の助けを借りて読んでしまいました。
それから「Le Roi Arthur et chevailiers de la Table Ronde」
アーサー王と円卓の騎士です。絵が多くて子ども向けかフランス語学習者向けらしく、文法のページや練習問題もある薄い本です。CDもついてます。CDをかけながら聞き読みしました。その速度は私の読む速度にちょうど合っていました。練習問題の部分は朗読なしなので、そのまま飛ばしました。これが文章や単語の理解度は低いんですが、予備知識があるせいかかなりわかりました。
あとは字の多い絵本が数冊で、むずかしそうなのでやめました。
そしてプチ・ニコラの続きに突入しました。(絵本より難しいんじゃないか?)
それが進む、進む。わからないのにどんどん読んでしまう。いや、こんなにわからなくて「読んだ」といっていいものかどうかとは思うのですが。
とりあえずなぜかを考えてみました。
まず、プチ・ニコラは内容もイラストもフランスのエスプリとか独特のユーモアを感じさせ、わからなくてもその雰囲気だけで気に入ってしまった、ということがあるかもしれません。やっぱり私はフランスが好き。
そして、フランス語はつづりを見れば発音がわかるので、脳内音読がスムーズに進む。
そしてこれは一話ごと、最初の2〜3行がけっこうわかりやすいんです。もともと雑誌に発表されたものらしく、登場人物もそのつど説明してくれます。絵の助けも借りて、ぼんやりと、なんとなく、どういうシチュエーションかつかめます。
…ぐらいでしょうか。もしフランスの雰囲気だけでその気になったとしたら、これもまた多読にしばしば画期的な効果を発揮する「愛」というヤツでしょうか?
さらに、英語多読も役に立っています。
多読を始める前、私は英文を読むと前置詞や関係代名詞が出てくると行き詰まりました。ひっくりかえさないとわからない、でもひっくり返し続けると文のつながりがわからなくなって混乱してしまう。しかし多読をしたら文章が語順のまま理解できるようになり、関係代名詞にも前置詞にも引っかからなくなりました。
フランス語も前置詞も関係代名詞もあります。しかし英語多読のおかげで語順のままずんずん読み進めることができました。わらかなくても進むことができたのは、そういった引っ掛かりがなかったからだとも言えます。
あと、私がフランス語をそこそこ勉強していた、ということは注釈しておくべきでしょう。テレビで始めて、大学の第一外国語で2年、そしてラジオの応用編。基本は一通りやってたわけです。しかし長年のブランクで、語数の少ない絵本も読めないぐらいサビついていたのは事実。それがここに来て急に活性化したのでしょうか。文法や単語も出てきたら思い出すものがあり、読みながら何度もでてきた用法は実感が湧くようになってきました。
そうしたら、たくさん読んだら、今は何が書いてあるかわからない本もそのうちわかるようになってくるのでしょうか?「わからないけど読み続ける」というのも「大量インプット」として効果があるのでしょうか?プチ・ニコラ1冊32000語読んだだけではまだ理解度が目に見えて進んだりはしてないのですが。
慈幻さんが言うところの「言語獲得装置」というもがあるかもしれません。
仮説としては、まずおおまかな点がポツリ、ポツリとあって、大量インプットを続けるとその点が増えてきて、そのうち点と点を結ぶシナプスが発生して点と点とを結び始め、それが広がって理解度が上がっていくのではないかという気がします。
実は、私は多読を始める少し前にフランス語のやり直し勉強をしかけていました。しかし多読でフランス語を始めようかと思った時点では「長いブランク」のため「すっかりサビつき忘れ果てていた」ことになっていました。なぜそうなっていたかといいますと。
その時私がやりかけたのは外国語学習の「トレーニングペーパー」というシリーズのフランス語読解編でした。多分その前にフランスへ行って買ってきた本を読みたいと思って、読む勉強をしようと思ったのでしょう。ちなみにフランスへ行ったのは2001年5月、多読を始めたのは2002年11月ですから、その間にやってたことになります。
そのトレーニングペーパーは初歩の文章、それこそ「これは何ですか」みたいな会話から始まって、33課でサガンの「悲しみよこんにちは」、カミュの「異邦人」までたどり着く、という無謀なものでした。しかしやさしいところから少しずつ積み重ねて難しい文章を読んでいく、という方法なので、順番にやっていけばたどり着けるのかな〜と思いました。
そしてかなり進みましたが、どんどんわからなくなり、結局最後までたどり着きませんでした。
これが自分のフランス語学習歴としてあまり意識に残らないで「忘れ果てた」という認識になったのは、「挫折した」からだと思います。そしてやさしい絵本も読めないぐらいの語学力になっていて、何か身についたという実感が生まれなかったからだと思います。
今回フランス語一気読みに突入するに当たり、このテキストも引っ張り出してどれぐらい読めるか見直してみました。やっぱり読めるのは最初だけ。少し進むと難しくてわかりません。しかし、レッスンごとにザクザク出てくる新出単語を覚えるコーナーではびっしり書き込んであり、チェックシートにマメにチェックを入れてどこまで覚えたか確認し、テキストの内容を書く問題文もびっしりと書き込んであります。ずいぶん勉強をしたように見えます。こんなに単語覚えたっけ?と、自分でびっくりするほどです。本文も従来型の訳読法でそうとう四苦八苦して読んで、学習を進めていたようです。こんなに勉強したように見えるのに、ちっとも役に立っていなかった?
これは、英語でいろいろな勉強をしたけど効果がなかった、挫折ばかりしていた、といって多読に流れ込んでくる人にも同じようなことが言えるのではないでしょうか。
今までの勉強法では、これだけやっても本も読めない、映画も字幕なしで見られない、スムーズに会話をすることもできません。テキストを最後までやり遂げられなかったという挫折感だけが残ります。それを乗り越えて、がんばってやり遂げ、勉強を継続した人だけが「語学ができる」という境地に達することができるのです。ちょっとやそっと勉強したぐらいでは勉強したことにならない、役に立たないという認識にしかならないんです。
従来型の学習の考え方では、言葉はわかるか、わからないか、のどちらかしかありません。「わかる」状態にならないと、全て「わからない」に分類されます。そしてその「わかる」境地に達するのはとっても大変なことです。
しかし多読をしてみると、なんとなく、ぼんやり、わかるような、わからないような、という状態もアリだということがわかってきます。よく報告でもわかってくると霧が晴れたような、とか、ピントが合ってきた、という表現を見ます。ではその霧がかかった、ピントの合わない状態でも、その状態のままウロウロしていればいつかは晴れていくということです。その、霧の中をウロウロしている状態というのは意外と大切なのかもしれません。ウロウロしているうちに言語感覚が身についていくのかもしれません。
ついでに、その教材では新出単語がどんどん出てきて一生懸命覚えたらしいんですが、詰め込み丸暗記はやっぱりだめですね。時間がたったら忘れた、ということもありますが、訳語を詰め込んで覚えただけではテキストの本文がすぐわかるようにはならないということです。一生懸命訳読しようと試みた形跡はあるんですが、なかなか読めるようにはなりませんでした。
多読前に英語で辞書引き読書をした経験から今までも何度か言って来ましたが、単語を調べただけでは文章がわかるようにはなりません。いくら単語を丸暗記しても文章が読めるようになるわけではないんです。
多読を知らない人は、辞書なしで読むというと、そんなバカな、と思います。辞書がないと外国語を理解することはできない、と。しかし、単語を調べても文章が読めるようにならないのは確かです。逆に、単語を知らなくても文章に慣れる読めるようになっていくというこごはありかもしれません。外国語の本を読むのに必要なのは、単語ではなくて文章を捉える力だと思います。
しかし、これから一体どうしようか困っています。フランス語は全く予定外で、中国語も英語も読もうと思った本が積んであって、やっと両方バランスよく読んでいけるかな〜と思っていたところなのに。この勢いでフランス語をどんどん読んでいくべきか…。ホント、人生何が起こるかわかりません。
○おまけの本情報
プチ・ニコラは日本のアマゾンでも買えます。シリーズになっていて何冊かあります。
ロアルド・ダールのフランス語版の本もいくつかあります。
また、マジック・ツリーハウスのフランス語版があることもわかりました。こちらはアマゾン・フランスでないと手に入らないようです。
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