[掲示板: 〈過去ログ〉英語以外で多読を楽しむ掲示板 -- 最新メッセージID: 3292 // 時刻: 2024/11/25(06:36)]
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1 フランスは,今回のパリ市のテロに対し,パリ市の標語(モットー)をもって対処する旨宣言した。
パリ市の標語は,Fluctuat nec mergiturというラテン語である。
パリ市は,(これまでの歴史と同じく,幾多の困難な事態に)揺れ動くことはあっても,決して沈まないという意味である。
この標語でパリ市民が思い出すことといえば,北アフリカを経由した,中世のイスラム勢力との戦いは,ポルトガルまでであったとはいえ,要衝の地であったパリは,古代からこれまで,幾多の戦場の地となり,近世にいたり,イギリスとの百年戦争,第二次世界大戦におけるナチの占領等があったが,最後には,血と智恵で,パリ市民の独立と自由を勝ち取ってきたことであろう。
2 このラテン語の成り立ちは,以下のとおりである。
ラテン語の4つの基本形は,現在形,不定法,現在完了,過去完了分詞である。
fluctuat;基本4形態 fluctuo,fluctuare,fluctuavi,fluctuatumのうち,現在形fluctuoの三人称単数が,fluctuatである。
fluctuoの原義は,船が,激しい波に,揺れ動いていることである。その意味から派生した意味もある。
3 necは,~しない,という意味。
4 mergitur;基本4形態 mergo,mergere,mersi,mersum
「何々を沈める」という他動詞である。その意味から派生した意味もある。
「沈められる」という受動態の3人称単数は,詳細を省くが,mergi+tur=mergiturである。
日本語では,「沈む」と自動詞として訳すのが自然であるとされる。
しかし,語感としては,パリ市は,どんなテロにも,沈められないぞという意気込みの入ったものである。
5 fluctuoに馴染みがないと思う人は,英語で,fluctuationや,fluentやinfluenceなどに取り入れられていることを想起すべし。
mergiturに馴染みがないと思う人は,英語で,M&AのMや,emergencyなどに取り入れられていることを想起すべし。
6 現在,喫緊のテロの標的にされかねないニューヨーク市の標語は,やはりラテン語であり,excelsior(より高く)である。
ロンドン市の標語は,やはりラテン語であり,Domine dirige nos(主よ,我らを導き給え)である。
どの単語も,英語から見て,馴染みがある。
7 東西冷戦は,1990年,終結したが,何も努力しないで得られる平和はなく,これまでの歴史を踏まえ,あらたな紛争形態の実相を的確に把握し,解決策を模索する必要がある。
以 上
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