[掲示板: 〈過去ログ〉英語以外で多読を楽しむ掲示板 -- 最新メッセージID: 3292 // 時刻: 2024/11/27(09:26)]
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お名前: 杏樹
投稿日: 2009/6/29(02:11)
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中国語で500万字通過しました。
フランス語多読をしていたはずでは…?と思われるかもしれません。しかしフランス語の本は入手が容易ではないので本が届くのに間が空くことがあり、その合間にちょこちょこ中国語の本を読んでいたのです。しかもうっかり長めの本を読んでしまったりしていたのです。そしてこの間HSK(漢語水平考試)を受けたため、頭を中国語モードにしておこうと思って中国語の本を読みました。そうしたらそれがけっこう長くて、ついに500万字越えたのです。
400万字を越えたあたりではだんだん進歩の実感が乏しくなって停滞したことを書きました。この500万字では、進歩を「実感」というよりも、読んだ本を振り返るとレベルが上がったような気がしてきました。一般向けの本や、児童書でも学年の高めの分厚い本などを読んだからです。
今までなかなか一般書は難しいと思って敬遠していましたが、英語を振り返ると「読みたかったら読めばいい」のだと気が付きました。英語ではPBは飛ばしまくりで読んでいるうちに読めるようになっていきました。しかし中国語の本ではそんなに飛ばしたことがないのに気が付いたのです。飛ばせば読めるかも…と思って普通の小説に手を出してみました。そうしたら…あまり飛ばさずに読めてしまったのです。もちろん、わからないところはあちこちありましたが、英語のPBを読み始めたときほど豪快な飛ばし方はしなくてすみました。いつのまに読めるようになっていたんでしょう?本がやさしかったのか、本当に読めるようになったのか?
さて、読んだ本を紹介します。
昨年秋に台湾へ行ったので、そのときに買った本が多いです。台湾では繁体字を使っているのであまり本を買うつもりではありませんでした。お目当ては台湾マンガだけのつもりでした。しかし気が付いたら別送するぐらいの荷物が…。
「安平追想曲」(24000字)
台南で買った本です。台南の海岸には「安平古堡」という城砦の遺跡があります。オランダ人が最初に築いて、それを鄭成功が攻め落としたものです。そのご当地歴史本。安平周辺の歴史が書かれています。オランダの支配から鄭成功へ、そして19世紀中ごろには西洋の商社がやってきて商館を築き…。ちょっと難しかったですが、読みごたえがあっておもしろかったです。
「台湾史」(31000字)
子ども向けでイラストが豊富な本です。台湾の歴史がわかりやすく書かれています。
「龍山寺」(11000字)
台北にある観光名所にもなっているお寺で、案内本を買いました。なかなか見ごたえのあるお寺です。
「西廂記」(24000字)
子ども向けのカラーイラスト入りの本です。中国の有名なお話です。
「愛国者的故事」(35000字)
児童書です。台湾の愛国者物語ですので、大陸の愛国者物語のように「革命のために命を犠牲にした」人を讃えるような内容ではなく、いろいろな時代の人物が出てきておもしろかったです。
「少年降魔師之西安探検記」(15000字)
学習マンガみたいなものです。オールカラーでアニメっぽい絵です。主人公は降魔師の少年で、西安を訪ねて史跡を回っていたら、次々と魔物が現れてそれをやっつけます。秦の始皇帝の兵馬俑も出てきますが、やはり西安と言えば唐の都。唐代の歴史がよくわかります。台湾で西安の案内をしてどうするのか…というツッコミは置いといて、一応「中国の歴史だから覚えておきましょう」ということでしょうね。
そのほかCD付きの論語や成語故事の絵本も買いました。
台湾では今でも発音の表記に注音字母を使っています。絵本・児童書には付いているものが多いです。全然読めないのでじゃまなんですが、読んでるうちにだんだん気にならなくなって来ました。
台湾マンガは前にも報告で触れましたが、中国の時代物を探して片っ端から買ってきました。ファンタジー風の味付けのものが多いです。
さて、前の報告で「岳飛伝」がおもしろかったのですが、歴史故事のシリーズものらしいので、同じシリーズを探してみました。それでネットで注文したら、出版社もシリーズ名も同じなのに、「岳飛伝」より大判でピンインがついていてオールカラーの本が来ました。
「白蛇伝」(19000字)
中国の有名なお話です。しかし後半が「宝蓮灯」みたいにお母さんを助ける話になるのはなぜ?
「封神演義」(22000字)
これも有名な中国のお話です。登場人物がややこしくてちょっとてこずりました。
「包公案」(25000字)
中国の「大岡裁き」で有名な包公(包青天)のお裁き物語集です。
それから少年向けの古典で長いものに挑戦しました。
「三侠五義故事」(138000字)
中国の古典「三侠五義」のダイジェストです。ピンインもイラストも全くなし。これをネタにして日本のマンガ家が「北宋風雲伝」という作品を書いていたので読んでみたかったのです。原書は日本語訳でむか〜しに読んだことがありますが、内容をすっかり忘れていました。ものすごい中途半端なところで終わっていることだけ覚えていたのでそれは覚悟していましたが、やっぱりものすごい中途半端でした。一人の主人公を追っていくのではなく、いろいろな登場人物それぞれが主体になった話が交錯しているのでちょっとわかりにくいところもありましたが、なんとか読めました。
「楊家将」(120000字)
これも中国で有名なお話です。カラーイラストつき。中国の古典は登場人物が話が進むにつれて変わっていくものが多いです。これまた登場人物が多くて交錯します。難しいところもありましたが、お話がおもしろいのでどんどん読みました。武将が戦うお話ですが、後半は女性も戦いに参加してものすごいことになります。
このへんは、やっぱり私には中国のお話がおもしろく思えるので引き込まれて読めたんだな、と思います。
それ以外の児童書で「聖経故事」(30000字)というカラーイラスト付きの本を読みました。
「聖経」とは聖書のことです。なんで中国語で聖書物語を読もうとしたのかといいますと、西洋人の固有名詞を把握するためです。中国語の本では西洋人でも漢字を当てて書きます。でももともとどういう名前かわからない場合があります。西洋人の名前は聖書に由来しているものが多いので、聖書物語を見たらどの名前にどんな漢字を当てているかわかると思ったのです。「なるほど」と思うものがいくつかありました。
一般書では
「正説唐朝二十一帝」(110000字)
これはシュミの世界なので「その気になったら読める」本。唐代の皇帝について一人ずつ書いてあります。本名、廟号、皇后に、干支まで書いてあります。唐代は前半はよくわかってますが、後半の皇帝はあまり知らなかったので、これでわかるかと思いました。でもやっぱり後半どんどん皇帝が交代していくところは読んだら忘れていきました。
「老上海花園洋房」(86000字)
やっぱり「老上海」関係ははずせません。といいながら台湾本に押されてこれだけ。まだまだ老上海本はあるんですけれど。
そして、最初のほうに書いたように、「小説を読もう」と思って手に取った本は…
「夜上海」顧艶著(123000字)
ネットで見て内容も全くわからずに買った本。実物を見て初めて小説だということがわかりました。作者は杭州出身の若い女性です。
内容は出版された2002年現在の上海の若者の生活を描いたもの。
上海のナイトクラブを経営する兄弟の弟を中心に物語が展開します。そのナイトクラブの歌手が持ち歌にしているのが1930年代に流行した「夜上海」という歌。(私は昔のレコードを復刻したCDを持っている…)。当時のモダンな上海のイメージが現代の上海と交錯する様子がたびたび描写されます。その弟は現代的なマンションを捨てて、「石庫門」と呼ばれる老上海時代のアパートに引っ越します。そこには1930年に青春時代を送った老婦人がいて、昔の上海の話を聞きます。
彼のの学友でパソコンメーカーのCEOとその部下の女性が三角関係になったりしますが、単純な恋愛ものではなく、お話は多彩な登場人物がいろいろ交錯しながらラストへ向かって収束していきます。
そしてHSK対策(?)の500万字通過本。
「遠東背影 ハルピン老公館」(122000字)
なぜか上海からはるか北の果てのハルピンに飛びました。ふとしたきっかけでハルピンのことを調べてみたら、20世紀前半のハルピンは「遠東のモスクワ」「東洋の小パリ」と言われ、モダン文化が花咲いた街だったのです。しかもロシア人を中心にユダヤ人、フランス人、アメリカ人、イギリス人など西洋人が入り乱れ、日本人も乱入し、各国の領事館が立ち並ぶ国際都市だったのです。
こういう本が普通に読めるようになったということは、やっぱり読む能力が上がったんでしょうね。多読は「いつのまにか」読めるようになっているので、実感が薄いです。読めないときはいつまでたっても進歩しないように感じるのに、読んでたらいつのまにか読めるようになっているんですね。進歩しないように思っても、おもしろい本を探しながら(←これが重要)少しずつ読んでいくことが大切だと思いました。
さて、HSKのほうはほんのこの間だったので結果が出るのはまだ先ですが、今回かなり調子が良かったような気がします。高得点を取りたいのでリスニングと文法の勉強をしました。文法は解説を読むと「なるほど」と思うときと、かえってワケがわからなくなるときがあります。多分多読で経験値を増やせば文法問題ももっとわかるようになるかもしれませんが、500万字ではまだまだだと思います。それに日本人でもみんな国語の点数が高得点取れるかというとそんなことはないんですね。ですから点数を取るにはそのための勉強が必要です。特にリスニングはひっかけ問題もありますので、ひっかからないためのコツを勉強する必要があります。
しかし私は多読と「勉強」が必ずしも対立するものだとは思いません。私の場合、英語は勉強する気がしません。それでも読んでいれば本は読めるようになります。それでいいんです。多くは望みません。
しかし中国語はレベルアップしたいという野望があります。試験で点数も取りたいしコミュニケーション能力も磨きたいし、映画やドラマも字幕なしで見たい。そうすると、「本が読めたらそれでいい」ではなく、そのための勉強が必要になってきます。ただそうやって勉強したい、レベルアップしたい、と思うとき、多読の蓄積がベースになって役に立つのです。必ずしも「多読だけで何でもできるようになる」わけではありませんが、多読で言葉の基礎を築けば、レベルアップを目指したり、目的向けの勉強をするのに役に立つということです。
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