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お名前: 杏樹
投稿日: 2007/4/30(00:35)
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アトムさん、こんにちは。
〉私はどこに書き込めばいいのか。
〉彷徨いましたが、自分の投稿からずいぶんはなれたところに着地。 8.53。
すみません、私の誤字のせいです。
〉で、
〉やっぱり杏樹さんだー! ありがとうございます!
〉〉たかぽんとアトムさんがのんびり古典談義をしてる…おもしろいなあ。
〉っていうか、のんびりさせてるのは私・・・
〉杏樹さんたかぽんさんの会話に入るなんて恐れ多すぎ。
とんでもございません。アトムさんとたかぽんののんびりした会話に乱入して申し訳ないと思っております。
〉懐かしい〜、覚えた〜
こういうのだと聞き覚えだあるんではないかと。
〉漢文って何?
〉というか、私は漢文しか知らないんだ、と気づきました。
〉(知っていると言っても学校で習ったものだけですが)
〉杏樹さん、ありがとうございます。
〉中国にはもっともっとたくさんの文体があるのでしょうねえ。
〉あれですか、やはり漢文は漢の時代に確立した文体、ということなのでしょうか。
〉日本は「漢字」を使うから、漢文に親しみやすいので学校で習う、とか?
〉それとも漢の時代は関係ないのかなー
〉こういう文章(?)って、今も使うんですか? (すみません初歩の初歩で・・)
〉詩を書くときはこの文体でないと!というこだわりがあるとか。
〉それとも今もこんな感じで普通の(?)文章を書いているのですか。
〉(ほんとにすみません、何も知らなくて)
〉あ、すみません、質問ばかりしました。
〉あの、無視していただいて構いません(自分で調べろ、ですよねー)
聞かれたら答えたくなるんです。
「漢」というのは王朝の名前に限らず、漢文、漢語、漢民族、と大きなカテゴリなんです。漢文は中国の古典ということで、それこそ漢の時代よりはるかに昔から近代に至るまで、漢語でかかれたもの全てを言います。
古くは「四書五経」といいまして、戦国時代のころ書かれた
四書…「大学」「中庸」「論語」「孟子」
五経…「詩経」「書経」「易経」「春秋」「礼記」
という書物が中国の基本中の基本の古典です。
時代によって文体は変わります。流行の文体と言うのもあります。しかし文章構造そのものが変わるわけではないので、日本では返り点方式でほぼ読めます。
日本でもそうですが、近代の言文一致運動までは「文語文」というのがありまして、文章として書かれる言葉は話し言葉と隔たっていました。「文語」と「口語」の違いです。漢文は全て文語です。現在は「口語文」が使われており、日本人でも日本の古文がよくわからないように現代中国人も古典はよくわかりません。
なぜ漢文を勉強するかというと、日本人は中国から漢字を学ぶと同時に漢文の古典も導入し学んできたからです。そして「訓読」という方法を編み出し、「翻訳」でずに訓読で読んできました。平安時代でも「源氏物語」や「枕草子」を見てもわかりますが、当時の貴族には漢文の素養は必須でした。某所でもちょっと話題にしましたが、少し前までの日本では漢文は教養の一つでした。
漢文の古典に由来する言葉は日本にも入ってきており、例に出した「朋有り遠方より来る」とか「国破れて山河在り」などは日本でもよく知られています。また故事成語など、日本で使われていることわざにも漢文由来のものがたくさんあります。「蛇足」などは中国語を勉強すると初級の読み物にも必ず出てくるお話からきていますし、「五十歩百歩」も「藍より青し」も「大器晩成」も「良薬は口に苦し」もみんな漢文から来ています。
もう少し複雑なものでは「虎穴に入らずんば虎児を得ず」「死せる孔明、生ける仲達を走らす」「人間万事塞翁が馬」あたりになると知らない人もいるかもしれませんが、昔の日本人はこういう言葉をよく知っていて、何かの例えや話にふくらみを持たせるネタに使っていたのです。
それから詩は中国では必ず韻文です。中国語には上げ下げのリズムがありますので、その規則と韻を踏む規則があって、それに従って詩を作ります。ですから訓読をすると全然わかりませんが、中国語で読むと独特のリズムがわかります。
基本的な韻を踏んだら自由に作る「古詩」から、上げ下げのリズムと字数を厳密に決めた「近体詩」まで作り方はいろいろです。一番厳密なのは「近体詩の中でも「律詩」でしょうね。規則が厳しいので完璧に作る人は少ないのですが、杜甫などはこの規則を運用することに喜びを見出していたようで、それはもう非の打ち所のない完璧な律詩を作るのが得意でした。根暗の杜甫がネチネチと文字を組み合わせてあーでもない、こーでもないと熟考している様子が目に浮かぶようです。
〉ああ、いいですねー、雰囲気ありますねー
〉よし、始めるときは森鴎外から読もう。
〉〉で、古事記より万葉集の方が古いんじゃないかと。
〉あー、万葉集でしたか。
〉古事記も万葉集も本棚にあるような。あ、もちろん現代語訳付きで。
〉興味は昔からあるんですよねー。
〉じゃあ、どちらが古いかぐらい知っておけ、という話ですが。(持っているだけで読んでいない)
現代語訳つきでちゃんと持ってるんですね。
万葉集や古事記はかな表記が確立する前に書かれたもので、読み方にはいろいろ論争があるんです。万葉仮名と漢文風の書き方が混在してるらしいです。ですから「原文」といってもどれが本当の「原文」なのか定説がないんですね。読むのはかなりハードル高いと思います。とりあえず現代語訳で意味を知っておくのはいいのではないかと。平安以降になるとかな表記が確立するので、「源氏物語」「枕草子」あたりだと本当に「原文」で読めます。
それでは…。
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