[掲示板: 〈過去ログ〉多読と英語学習・試験に関する掲示板 -- 最新メッセージID: 1756 // 時刻: 2024/11/24(05:36)]
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お名前: Ry0tasan http://tadoten.blog122.fc2.com
投稿日: 2008/10/12(07:53)
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米国の学力論争について補足しておきます。
1947年ぐらいを境にして、
米国の大学入学者を対象にした読解力テストの結果が下降を続けていることが、
国力低下につながるという議論が、
米国の一般新聞を賑わしてきました。
ここで結果と言っているのは、
SATというテストの、
reading に関する部分の平均点です。
原因はテレビだろうとか、
学校の授業のしかただろうとか、
いろいろな仮説が出されました。
その経過の中で、
80年代末か90年代始めに、
英文学者の E. D. Hirsch, Jr. 教授が出した仮説というのが、
読解の方法や感性を中心にした授業内容が原因であるという主張です。
文章が簡単でも背景知識が不足していると理解できないということは、
いくつかの集団を対象にした調査で確認できているので、
この主張に一定の真理はあるようです。
少なくとも、
単語や文法や読解の練習だけしていて背景知識を軽視すれば、
結果的に読解力は伸びないだろうと考えための根拠にはなりそうです。
確かに、
単語や構文が易しくても背景を知らない内容の文章は理解が難しいです。
ただし、
この主張が支持され、
結果として大学入学者の読解力テストの結果が本当に上昇したという報告は聞いていないです。
一方、
なぜ試験の平均点が下降を続けたかの直接的な原因については、
90年代に決着がつきました。
それは母集団の変化です。
むかしはごく一部のエリートだけが大学へ入学していたのに対し、
実学系の大学も増え、
大学へ行きたいと本人が望めば行ける大学はどこかに必ずあるという社会に変化して行ったため、
入学者の平均点も変化したのだというのが、
最も確実視された回答です。
そういうわけで、
Hirsch 教授の犯人さがしは失敗に終わったのかもしれません。
それでもあえてこの話題を出したのは、
背景知識を増やすことが読解力の向上に繋がるという点に限って言えば、
期待ができそうと感じられるからです。
▲返答元
▼返答