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お名前: 杏樹
投稿日: 2005/7/11(01:38)
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みなさま、こんにちは。世界史クラブの報告です。
今回はほんっとうに特にやさしい本を集めてみました。しかもすでに書評があるものが多いです。語数数えやレベル分けが楽〜♪
まず、世界史を知るには人物から入るのも一つの方法です。歴史的事実を並べられるよりも、一人の人物がどんな人生をたどったかを読む方が面白いということはよくあります。
ということで、このシリーズ。
●FAMOUS PEOPLE FAMOUS LIVES (Franklin Watts出版)
レベル2ぐらいの薄い本です。ほのぼのした感じの、ちょっぴりマンガっぽいイラストがたくさん入っていて、楽しい雰囲気で読みやすいです。短いのでよく知っている人なら少々物足りないかもしれませんが…。
「William Shakespeare」(1670語)
シェイクスピアはどのようにして劇作家になったのか、とか家庭生活などがわかります。子沢山で家の中がひっくり返ってるイラストなども楽しいです。
当時の舞台は吹きっさらしだったんですねえ。
シェイクスピアの兄弟は小さいときに亡くなりました。ペストのせいです。
…そこで思い浮かべるのは、前回紹介した本「You Wouldn't Want to be Sick in 16th Century!」。
時代が重なりますので、これを読むと当時の病気の様子が思い浮かびます。イラストに書いてある町並みも同じような感じで、この時代の雰囲気をつかむことができます。このように、同じような時代の本を結び付けて読むと、その時代の雰囲気をより多角的に知ることができます。
「Wolfgang Amadeus Mozart」(1327語)
モーツァルトは子どものときから並外れた音楽の才能がありました。その神童ぶりを見てカツラが飛んでるおじさんもいます。大きくなってザルツブルクの大司教に雇われますが、嫌われて追い出されます。ウィーンに移ったモーツァルトは大人気。しかし生活は楽にならず…。
モーツァルトの楽譜には書き損じ、書き直しが一つもないという逸話も紹介されています。最後に当時のピアノが紹介されていますが、ペダルがひざの位置にあったとは。
「Thomas Edison」(1255語)
発明王といわれたエジソンです。エジソンは子どもの頃耳が悪くて、頭が悪いと思われて学校をやめさせられます。そして駅で乗客に食べ物や新聞を売る仕事をします。やがて駅で通信の仕事を覚え、新しい工夫を思いつきます。
前に秋男さんがマザーグースのOxford Dictionaryを読んで、エジソンが蓄音機を発明したとき最初に吹き込んだのは「メリーさんの羊」だったということを教えてくれましたが、このイラストではちゃんと蓄音機からMary had a little lambという歌が流れています。
「Alfred the Great」(1144語)
この人は知っている人は少ないと思います。
9世紀、イギリスはいくつもの国に分かれていました。アルフレッドはその中のWessexという国の末の王子として生まれます。当時のイギリスは北欧のバイキングの侵略・略奪に悩まされていました。アルフレッドは兄の死によって国王となります。そして襲ってくるバイキングと戦うことになります。しかしある時急な襲撃によって逃げ出します。そしてあちこちさまよいますが、彼の素性を知らない農家のおかみさんから役立たず呼ばわりされてほうきで叩かれたりします。「どこがGreatやねん」と思ってしまいます。
しかしそんな逃亡の日々にも終わりを告げ、偉大な王となる日が…。
このシリーズはたくさんの人が取り上げられています。ただ、アマゾンで探すと品切れのときもありますが…。興味のある人、名前だけしか知らない人など、適当にみつくろって読んでみてはいかがでしょうか。
シリーズ一覧から拾って見ます。
Hans Christian Andersen(アンデルセン)
John Logie Baird(誰?)
Alexander Graham Bell(電話を発明したアレクサンダー・グラハム・ベル。エジソンの本にも登場します)
St Bernadette(フランスで聖母マリアを見た奇蹟の少女、ルルドの聖ベルナデット。「ルルドの泉」は癒しの聖地として有名)
Boudicca(イギリスでローマ軍に抵抗したケルトの女王)
Louis Braille(誰?)
Julius Caesar(ユリウス・カエサル、もしくはジュリアス・シーザー)
William Caxton(誰?)
Winston Churchill(チャーチル首相)
Cleopatra
Marie Curie(キュリー夫人)
Roald Dahl(すでに歴史上の人物…?)
Francis Drake(エリザベス1世のもとで活躍したイギリスの海賊)
Elizabeth 1
Guy Fawks
Henry Ford
St Francis(アッシジの聖フランチェスコ)
Anne Frank
Mahatma Ghandhi
Henry VIII(6人の妻で有名な王様。エリザベス1世の父親)
Helen Keller
Martin Luther King(マーティン・ルーサー・キング牧師。黒人解放運動に力を尽くしたが暗殺)
John Lennon
Mary Queen of Scots
A A Milne
Thomas More(トマス・モア。「ユートピア」の作者)
Florence Nightingale(ナイチンゲール)
Emmeline Pankhurst(誰?)
Louis Pasteur(ルイ・パスツール、細菌学者)
St Patrick(聖パトリック、アイルランドの守護聖人)
Beatrix Potter
Captain Scott
Mary Seacole(誰?)
George Stephenson(「宝島」などの本を書いたスティーブンソン)
Queen Victoria
James Watt
「誰?」情報を知っている人がいたら教えてくださいませ。
●Rookie Read-About Holidays
世界の民族のお祭、お祝いを解説するRookie Readerのシリーズです。Rookie Readerですから、薄くてとってもやさしいです。ですから記述は簡単なものにとどまっていますが、「世界の国を知る」入門として読めば興味深いところが見つかると思います。主にアメリカでの各民族のお祝いの様子が書かれているようです。アメリカにこれだけ多民族がいるということですね。
まずはキリスト教関係から。
「Christmas」
クリスマスのいろいろな習慣について。ツリーの飾り、食べ物、クリスマスキャロルなど…。
「Easter」
クリスマス以上に大切ともいえるイースター。カラフルな卵の写真が目を引きます。パンの中に卵を入れて焼くこともあるとは。イースターの過ごし方、シンボルの解説など。
「Valentine's Day」
バレンタインデーの起源は?
女性が男性にチョコレートを送るというのは日本のチョコレート屋の陰謀です。世界では「特別な人」にカードやプレゼントを贈ります。でもカードにはいずれも赤いハートが書かれていたり、赤い紙をハート型にかたどったものが使われます。
「St. Patrick's Day」
アイルランドの守護聖人、聖パトリックの日は3月17日。聖パトリックが教えを広めるのに使ったという三つ葉のクローバーにちなんで、緑のものを身につけ、まわりのものを緑に塗ります。顔まで緑に塗ります。アメリカにはアイルランド移民がたくさんいますので、アメリカでも聖パトリックのお祝いをします。シカゴでは川まで緑にしてしまうなんて!
次はイスラム教です。
「Ramadan」
ラマダンはイスラムの暦で1ヶ月続きます。イスラム教徒にとって聖なる月です。普通「断食月」として有名ですが、ここでは聖なる月の部分を重視した記述になっています。イスラム教徒がこの月をどんな気持ちで迎えるかがよくわかります。
次はユダヤ教です。
「Passover」
聖書では「過ぎ越しの祭り」と書かれているお祭です。モーセがエジプトからユダヤ人を連れて逃げて、安全なところまでたどり着いたのを記念する、ユダヤ人の重要なお祭です。この逃避行は「十戒」という映画で海が割れる場面が有名です。しかしユダヤ人がこの日をどのようにお祝いして過ごすか知りませんでした。食べ物とか、シンボルとか、いろいろあるんですね。
「Chanukah」
「ハヌカー」と読むらしいです。このお祭は初めて知りました。シリアとの戦いに勝った記念のお祭だそうです。九枝に分かれた燭台にろうそくを立てて、一晩ずつともしていきます。お祭の食べ物やゲームもあります。
そして最後は
「Chinese New Year」
中国語で言う「春節」ですね。中国人は旧暦でお正月を祝います。家族みんなが集まって、遠くに住んでいる人も帰省して、晩餐のテーブルを囲みます。街では爆竹が鳴らされ、龍踊りが行われます。最後に出てくる「Lantern Festival」とは、1月15日に行われる「元宵観燈」のことです。
このシリーズは他にもたくさんあります。書評にもありますし、いろいろ探して読んでみてください。
次は世界の国に関する本です。
●A True Book
今までの報告で紹介してきたLands, Peoples, Culturesシリーズがまだ難しいという人は、こちらはいかがでしょう。レベルは2ぐらい。1500〜2000語の薄くてやさしい本です。
「France」
フランスの地理的特徴、歴史、政治など。ルイ14世は「Sun King」…確かに「太陽王」という意味ですが、英語では重みが足りないような…。歴史の記述がナポレオンで終わってるのは、その後王制や共和制がめまぐるしく変わるので、とても記述しきれなかったのでしょうか。美術やシャン・ゼリゼ通りの紹介、トゥール・ド・フランスの紹介もあります。
「Italy」
イタリアの歴史はやはりローマ時代が中心。そこから急に19世紀の統一へ。火山に埋もれたポンペイの町のことも書いてあります。あとバチカンのことや、オペラのことなど。どこの町にもオペラハウスがあります。
「China」
漢字はletterとは言わずにCharasterって言うんですね。
歴史は万里の長城を作った秦からいきなりモンゴルに飛びます。やはり西洋人にはモンゴルを出すとわかりやすいんでしょう。マルコ・ポーロもいますし。でもここに出てくるフビライ・ハーンは西洋人が書いたエキゾチックな専制君主、といった感じで、日本人が見慣れているいかにも「モンゴル」顔の肖像とギャップがありすぎます。また孔子の肖像はもっとひどいです。背景の建物が完全に西洋風…。でもモンゴル以降、明、清、辛亥革命を経て共産中国が成立するあたりの記述はわかりやすく書かれていていて、中国の入門書としておすすめできます。中国人の生活も紹介されています。食事はナイフとフォークではなくお箸を使います、子どもも小さいときからお箸の使い方を覚えます。…だって。パンダも紹介されています。か、かわいい。
「Asia」
アジアを総合的に知ることができる本です。
世界一高い山エベレスト、世界一標高の低い死海。多彩な気候、いろいろな動植物。短い本の中に多様なアジアの様相が紹介されています。ひとつだけ気になるのはモンゴル人をものすごい野蛮人扱いしていること。モンゴルは世界を征服してたくさんの人が殺されました、アジアで最も血塗られた時代です、でも今のモンゴルは平和な国になりました、ではモンゴル帝国が相当野蛮な国だったみたいじゃないですか。少なくとも「bloodiest」という表現はひどすぎ。西洋人にとってはモンゴルといえば恐ろしい征服者というトラウマが残り続けているのでしょうか。
でもそこを除けば、アジアのことがよくわかるいい本です。
ただ、モンゴル帝国はチンギス・ハンの征服が一段落した後は、アジアからヨーロッパにまたがる大帝国を築いたことで、モンゴルの統治が広い範囲をカバーして交通も発達して国同士の争いの少ない時期だったということだけ覚えておいて欲しいです。
他にもシリーズはいろいろありますが、書評ではシリーズ名で検索しても出てこないので、アマゾンで探してみてください。
やはりアジアに関するとツッコミが多くなってしまいます。
でもこういったやさしい本で世界のことを知るてがかりにしてくれればうれしく思います。
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