[掲示板: 〈過去ログ〉英語で趣味を楽しむ -- 最新メッセージID: 1605 // 時刻: 2024/11/23(07:31)]
上へ | 前のメッセージへ | 次のメッセージへ | ここから後の返答を全表示 | 返答を書き込む | 訂正する | 削除する
お名前: ako
投稿日: 2005/4/25(01:46)
------------------------------
世界史クラブからakoです。
4・23はサン・ジョルディの日でしたね。本を贈られた方もおられるでしょうか。
これはスペインのカタルーニャ地方の習慣です。
スペインの一地域で、どうして本を贈る事が習慣になったか。
その理由は、世界史クラブのコンセプト「多読で世界史」にびったりの話題なんです。
日本史では、スペインは実はふる〜〜〜〜いお馴染みさんです。
スペインの旧国名はカスティーリャといい、それがナマって日本語でカステラになりました。
3時のオヤツは○○堂〜〜〜 …え〜、世界史ですが…。
そのご縁は鎖国中の江戸時代以来です。
バレンタインデーが聖バレンタインの命日であると同様、
4月23日も、サン(聖)ジョルディの命日です。西暦303年にお亡くなりになりました。ジョン・ポール(ヨハネ・パウロ)2世様ともども合掌…。
クリスマスは誕生日を記念した日なのに、聖人は命日が記念日なんですね。いま気づいた…。
「聖だれだれ」というからには、キリスト教、その中でもカトリックのエライ人、ということになります。
「聖人」になれるかどうかは、バチカンのローマ法王庁が認定します。けっこう厳密です。
洋書の児童書には、ドラゴン退治がモチーフになっている物語がたくさんあるようですが、このサンジョルディ氏も、姫の救出とドラゴン退治の英雄が起源です。
いつのころからかカタルーニャの守護聖人になったとのことで、
カタルーニャでは、この日になると、男性が女性に赤いバラを贈る習慣があるそうですが(いいなぁ)、それは、サンジョルディがドラゴンと流血の戦いをした記念なのだそうです。
ここで児童書をたくさん読まれたSSSの皆さんに質問したいのですが、
英語の児童書では、ドラゴンって、悪役が多いですか?
中国では、龍・竜は神の使いですよね。
同じ生き物の扱いが、文化によって違うってのは、我が世界史クラブの多読重要テーマです。
児童書でどう扱われるかが、その言語文化で育つ人の価値観に大きく影響するからです。
さて、世界史クラブはここからが本番。
カタルーニャとは、スペインの地中海側にある地方名で、バルセロナがその中心地です。ガウディの建築で有名な都市といえば、すぐにおわかりと思います。
言語は、スペイン語とは少々違うカタルーニャ語です、
スペイン内の一地方となっていますが、フランス支配下だった時代もあります。
マルセイユやプロヴァンス等と一緒に、地中海岸エリアのほうが、文化として共通度が高いとされています。
それは裏を返せば、スペインだけでなくフランスも、北と南では相当ちがうってことを暗に意味します。
バルセロナの街には、スペイン語とカタルーニャ語が併記された看板があり、
カタルーニャは、スペインに征服されたという歴史的記憶があり、
今でも、「カスティーリャの連中は…」という人もいるそうです。
(バルセロナ人の知人がいる日本人友人からの伝聞)
どのくらい離れた言語かは聞かないとわからないですが、
英語、仏語学習者の方であれば、イギリスにおけるスコットランドやウェールズ、
フランスにおけるブルターニュやアルザスのような位置付け、という方が分かり易い人もいるかも。
日本における沖縄(琉球語)と言えるかもしれません。
さて本日の本題。バラを贈る習慣に、本を贈る習慣が加わった理由です。
カタルーニャは、スペインがフランコ政権の時期(第二次大戦をはさんだ30数年の長期政権)、えらい目にあいました。
カタルーニャ語禁止、スペイン語を強制され、たいへんな屈辱だったそうです。
日韓などでも類似の体験がありますが、植民地っていやですね。
この時に、使用禁止になった愛する母国語の本を秘密裏に贈りあったことが契機、と言えば、もう説明は不要と思います。
カタルーニャ愛国者にとって、フランコと戦う現実を、
サンジョルディがドラゴンと戦った故事になぞらえたのですね。
さてさて、当 世界史クラブもSSSの多読促進活動ですから、洋書の話でシメたいと思います。
カタルーニャと言えば、『カタロニア讃歌』。 (カタルーニャは、現地音基準)
作者はジョージ・オーウェル。 ご存知、『動物農場』『1984年』の英国人作家です。
管理社会と全体主義に対する鋭い批判精神とブラックユーモアで小説を書いた人ですが、(映画『未来世紀ブラジル』の世界は、まさにこれ!) 本人は、スペイン内戦に実際に参加した熱血正義感(とakoは思う!!そこがいいのだ!)
キャパの写真とピカソの絵(ゲルニカ)で知られ、ヘミングウェイにもつながるあのスペイン内戦です。
あぁ誰が為に鐘は鳴り、日はまた昇ってバンプローナの牛追い祭。こっちはヘミングウェイです。
オーウェルですが、実際の参戦体験が『動物農場』『1984年』につながったと思うと、醒めたブラック精神の根は、暑くて、熱い心なんだ〜、とまた暑苦しいことをakoが言う。
…いえ、多読です、多読。
多読意欲に結びついてこその投稿ですから!
こういう本が英語で読めたらサイコウ!
バレンタインデーが、チョコレート販売競争のようになってしまっている現状をみて、サンジョルディだって、「どうせ本を売りたいための商業主義だろう〜」なんて冷めた人もいるらしいですが、(日本では、それほど普及してないけど)
世界史クラブは一年中、自分のためのサンジョルディの日のようなモンです(笑)
(あぁ、視界に入る未読本のダンボールの存在が重い…)
新しいローマ法王も決まってめでたしめでたし。聖人さんたちもあの世でホッとしてるかな。
▼返答