marigoldさんへ

[掲示板: 〈過去ログ〉多読による外国語教育 -- 最新メッセージID: 1456 // 時刻: 2024/7/1(04:18)]

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756. marigoldさんへ

お名前: スヌーピー
投稿日: 2005/10/13(22:16)

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こんにちは。
こちらをご覧の先生方は皆さん、marigoldさんへの明確なお答えが出来ると思います。
敢えて、多読指導若葉マークの私が答えてみたいと思います。

不十分な点や、おかしな点があれば、どなたか訂正してください。

酒井先生・神田先生の「教室で読む英語100万語」という本を読めば、分かるのですが、
先生は「多読三原則」のほかに、多読指導をする先生への「多読授業三原則」を提唱されています。

1.教えない
2.押し付けない
3.テストしない

タドキストが「多読三原則」を守って多読を進める以上に、厳しい原則です。
とりあえず、この三原則に則って指導をすると、marigoldさんの「先生宛ての質問」
〉(その1) 
〉生徒が本を読みはじめます。数ページめくって「これつまらないからやめるねー♪」と投げ出しました。しかも、それを何冊も何冊も繰り返しました。

〉「せっかく予算をやりくりして買ったのだから…」とか、
〉「それは私の大好きな本で、みんなに読んでもらいたくて買ったのだから、アナタにもじっくりと読んでもらいたかったのに…」というきもちになりませんか?

〉(その2)
〉生徒がいつまでもいつまでも(あなたの目から見て)幼稚な本ばかり読んでいます。
〉「もうちょっとレベルをあげてみたら?」とか
〉「もっと積極的に上のレベルの本にチャレンジしたら?」と口出ししたくなりませんか?

〉(その3)
〉本を読み終えた生徒が「楽しかった」「おもしろかった」とだけしか言いません。
〉教師としてそれで満足できますか?
〉「本当にわかったの?」「本当に楽しめた?」「どんな話だったか覚えてる?」「登場人物の中で誰が好き?」とたずねてみたくなりませんか。
〉それから、理解度テストをやってみたくはなりませんか?

〉(その4)
〉受け持ちの生徒のお母様が、「そろそろ子供に英語検定○級を受けさせたい」とおっしゃっています。
〉そのお母様は「うちの子供は毎日たのしそうにたくさんの英語の本を読んでいる。あれだけ沢山英語に触れているのだから英検○級くらい合格するのは当然」と思っていらっしゃるようです。
〉不合格だった場合、お母様にどのように説明しますか?

〉(その5)
〉単語の意味を聞いてくる生徒に対して「辞書をひきましょうね」と答えたくはなりませんか?

〉「意味のわからない単語は当分ほうっておきましょうね」
〉とか
〉「ちょっとわからないことが出たからといって、いちいち質問したり、すぐに調べたりするなんて、なんて不真面目なんでしょう。そんなんじゃ本当の英語力がつきませんよ」
〉ということを生徒に納得させられますか?

にある、
(その1)(その2)は、「原則2.押し付けない」に反するし、
(その3)は「原則3.テストしない」—(その4)も英検云々に関わってくるのなら、原則3のテスト、かな?—に、
(その5)は「原則1.教えない」に
反するので、有無を言わさずタブーになってしまいます。

「・・・というきもちになりませんか?」とか
「口出ししたくなりませんか?」とか言われると、
勿論最初はそうでしたよ。そこを無視するなんて、先生の怠慢だと思っていましたから。
でも、ここの掲示板で「Student-centered」という考え方を教えて頂いて、英語指導というものを、違った視点から見られるようになりました。
この多読三原則に反した教え方を生徒側から見れば
「教師側の押し付けてきた内容(多読指導の場合、生徒の好みではなく、教師側の選んだ本)を教え込まれ、テストされる」
ということになります。
この教え方がいかに、生徒の「英語を吸収しよう」という気持ちを萎えさせてきたか、私にはやっと分かりました。

英語を覚えた/覚えられない、文法的に理解できた/理解できない、内容を把握できた/出来なかった。
そんな次元のことではなく、「おもしろかった!」「超つまらん〜」と率直な感想を言ってくれれば、何より嬉しいことだと、今は思います。
しんどいけれど、この三原則を守って耐えて生徒たちを見守っていたら、
何のことはない、教師や講師が教えなくたって生徒たちが自らの力で成長していくんですよ!
この楽しさは、必死で教え込んでいた頃には感じなかった。

SSS式多読指導とこの多読指導三原則は、セットで普及されるはずです。

世の中に広く知られてくると、確かに本当のSSS式多読指導を理解せずに、取り入れようとする先生も出てくるでしょう。
でも、多読指導三原則をいい加減にやって、生徒の英語力や結果だけを求め、依然教師側の都合のみで多読指導をやると、文部科学省に認められるほどの成果を挙げられるはずはなく、そんな多読指導は普及しないと思います。

SSS式多読は究極の個別指導で、とても忍耐のいる指導方法。長い目で生徒たちを見てあげる必要があります。
そういう意味ではたしかに、特定の試験の結果を出すための「今の」学校教育にはそぐわないかもしれません。

ちなみに 「質問」の(その1) のように、
> 生徒が本を読みはじめます。数ページめくって「これつまらないからやめるねー♪」と投げ出しました。しかも、それを何冊も何冊も繰り返しました。
> どうしましょう?
と、ここの掲示板に相談したら、
おそらく「その生徒さんが心から好きになれる本に出逢えるまで、1冊でも多くの本を差し出してあげましょう」と言われるのでは、と思います。


▲返答元

▼返答


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